用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

【まとめ】お役所仕事の用廃機

<編集履歴>  31Oct.2023官公庁の機体のまとめ記事として公開、19Nov.2023警察、消防、海保機を別途独立させ、残りの官公庁使用機に限った独立記事へと見直し更新(第2回目更新)、14Dec.2023見直し更新(第5回目、見直し更新)

 

【はじめに】

1.本記事では以下の官公庁で使われていた機体の展示場所を総括的に紹介する。

 1) 経済産業省(前身の通産省)/文部科学省(前身の文部省):あすか

 2) 文部科学省(前身の科学技術庁):NAL/JAXAの機体

 3) 文部科学省(前身の文部省):南極観測支援機(海上自衛隊運用機を含む)

 4) 国土交通省(前身の建設省):国土地理院の航空写真撮影機(海上自衛隊運用機)

 5) 国土交通省(前身の運輸省):航空局の運用機

 6)その他:電子航法研究所運用機

 

2.官公庁使用機のうち、警察、消防、海上保安庁の機体については別記事を参照願う。

【まとめ】警察使用機の展示機 - 用廃機ハンターが行く!

【まとめ】消防使用機の展示機 - 用廃機ハンターが行く!

【まとめ】海上保安庁使用機の展示機 - 用廃機ハンターが行く!

 

3.次の機体は本記事の対象から外す。

 1) 防衛省(TRDI/ATLA)および自衛隊保有する機体(ただし南極観測支援と航空測量支援機を除く)

 2) 運輸省国土交通省下の航空大学校所属機

【まとめ】

 現在(2023年11月19日調査時点)は国内に10か所に固定翼機8機(機首部のみ1機を含む)、回転翼機3機の合計11機が展示されている。以下に展示機の詳細を、用途別にまとめる。

 

【NAL/JAXAの試験/実験機】国内3か所に合計4機がある。

(1) MH2000A (JA21ME) 三菱製ヘリコプターMH2000Aの中味を改造したJAXAのMuPALε。あいち航空ミュージアムに展示中。

【愛知県】あいち航空ミュージアム - 用廃機ハンターが行く!

(2) FA-200改 (JA3263) 航空宇宙技術研究所(NAL)でSTOL試験機に改造された機体。

岐阜かかみがはら航空宇宙博物館に展示中。

【岐阜県】岐阜かかみがはら航空宇宙博物館(その2、屋内展示の固定翼機) - 用廃機ハンターが行く!

(3) STOL実験機「あすか」 (8501)。岐阜かかみがはら航空宇宙博物館に展示中。

【岐阜県】岐阜かかみがはら航空宇宙博物館(その2、屋内展示の固定翼機) - 用廃機ハンターが行く!

(4) Beechcraft 65 (JA5111) NAL/JAXAで可変特性研究機として使われていた機体。

【石川県】日本航空学園 石川能登空港キャンパスの展示機・教材機 - 用廃機ハンターが行く!

 

【南極観測支援】 国内3か所に合計3機がある。

(1) S-61A-1 (8185, 21FS) 南極観測支援に使われた。文部省予算で購入し、運用は防衛省海上自衛隊に委託されていた。名古屋ガーデンふ頭の南極観測船「ふじ」甲板上に展示されているS-61A (8181号機)の後期型。外見はほぼ同じだが、エンジン出力が少しばかり向上している。

【千葉県】海自 館山航空基地 - 用廃機ハンターが行く!

(2) S-61A (8181) 南極観測支援に使われた。文部省予算で購入し、運用は防衛省海上自衛隊に委託されていた。館山航空基地に展示されている機体の初期型で、外見はほぼ同じだがエンジン出力がやや低い。

【愛知県】南極観測船ふじ甲板上のS-61A - 用廃機ハンターが行く!

(3) ピラタスPC-6/B2-H2 (JA8221) 南極観測の際に資材運搬等で活躍した機体。石川県立航空プラザにて展示中。

【石川県】石川県立航空プラザ - 用廃機ハンターが行く!

 

【その他】 国内4か所に合計4機がある。

(1) B-65P (9101) 旧JA5061 国土地理院の地図作成用に航空写真を撮影していた機体で海上自衛隊に運用を委託されていた。

【茨城県】国土地理院のB-65P - 用廃機ハンターが行く!

(2) YS-11 (JA8610) 量産初号機。航空局で使用されていた機体。ザ・ヒロサワ・シティ内科博廣澤航空博物館に設置も、2023年11月時点では公開されていない。開館予定日は未定。

【茨城県】科博廣澤航空博物館(2024年開館か?) - 用廃機ハンターが行く!

(3) YS-11 (JA8720, cn. 118) 2006年12月に航空局を引退した機体の機首部分のみがJAXA調布航空センター(東京都調布市)に展示されている。

【特集】YS-11を見に行こう! - 用廃機ハンターが行く!

(4) ビーチクラフトB99 (JA8801) 船舶技術研究所を経て電子航法研究所で使われ、2011年3月11日に仙台空港津波にのまれた機体が千葉県の芝山町農産物直売施設「空の駅風和里しばやま」にて展示されている。 

 

【余談:海上自衛隊が運用する南極観測支援機】

 海上自衛隊が運用していた南極観測支援用のS-61、CH-101は文部省/文部科学省予算で購入された機体で、防衛省海上自衛隊に運用を委託している。一言「運用を委託している」と書いているだけだが、「どのような取り決めの下で、どのような内容を、どれだけの委託費用で」委託しているのか、詳しくレポートした記事を、私自身は、まだ読んだことが無い。例えば運用経費はどのように処理しているのか。その支払い根拠となる数値(飛行時間やメンテにかかる費用、人件費など)は情報公開請求したら公開されるのかなど、調べると面白そうなテーマが沢山ありそうだ。またCH-101が落着事故を起こした際に国土交通省事故調査委員会が口を挟まなかった(事故調査報告書は無い)ということから、運用範囲の省庁間の縄張りが少しは分かるかなぁ、などと思っている。

以上