<編集履歴> 13Nov.2020公開(海上自衛隊の回転翼機より分離独立)、04Oct.2025見直し更新(第13回目、大村航空基地の訓練機(撤去済)を追加)
【HSS-2シリーズの展示機】
(1) 米海軍の機種名改称後の機種名としてはH-3系統だが、海上自衛隊では名称変更前の”HSS-2"のままで最後まで使用しており、HSS-2 (8001-8055)、HSS-2A (8056-8083)、HSS-2B (8084-8167)の3バージョンが存在した。1964年から2003年まで運用されていた(HSS-2は1987年7月、HSS-2Aは1991年6月、HSS-2Bは2003年7月7日に大湊基地所属の8167号機の除籍をもって運用終了となったとされる)。
(2) 本記事最終版時点ではHSS-2は残されておらず、HSS-2Aも残るのは1機のみ。HSS-2Bは6機が各地に展示されている。S/N順に紹介しよう。
【展示機 Displayed HSS-2A/Bs】
(1) HSS-2A (8074) 鹿児島県 鹿屋基地航空史料館。国内に残る最後のHSS-2Aだが、保存状態はあまり良くない。

写真1 鹿屋基地史料館のHSS-2A(8074号機)。国内に残る-2Aはこの一機のみ。(2020年3月10日撮影)
(2) HSS-2B (8101) 石川県 県立航空プラザの屋外に展示されている。

写真2 航空プラザに屋外展示されているHSS-2B (8101)。(2021年10月5日撮影)
(3) HSS-2B (8114) 岐阜県 飛騨エアーパーク(36.1783N/137.3157E)、2003年6月以前より存在

写真3 農道空港にKM-2と共に置かれているHSS-2B (8114)。(2020年8月26日撮影)
(4) HSS-2B (8149) 神奈川県 横須賀市 海上自衛隊横須賀教育隊武山地区(35.2184N/139.6289E)、2003年4月22日GE-Pro画像に存在。海上自衛隊横須賀教育隊武山地区は陸上自衛隊と航空自衛隊第2高射隊が同居するエリアだ。敷地面積のメインは陸上自衛隊武山駐屯地だが、海上自衛隊エリアと陸上自衛隊エリアは柵で明確に分割されているという。一般人が本機を撮影することは事実上不可能で、巷に出回る写真のほとんどは「中の人およびその関係者(子供の様子を訪ねに来た親など)」や「取材で中に入れた者」によるものだ。私自身も実物を見たことは無い。なおSpottingmode.comでは本機を"S-61AH 8949"として紹介している。

写真4 小松島航空基地のHSS-2B。(2018年7月15日撮影)

写真5 七戸町中央公園にあるHSS-2B (8165)。(2021年8月26日撮影)
(7) 8167 青森県 大湊基地。HSS-2最終号機だが、2018年公開から2019年公開の間に機体番号を8162に変更して記載。「陸奥(むつ)」の語呂合わせで「62」にしたという。

写真6 大湊基地のHSS-2B(8167号機)。2019年の公開時には機体番号が”8162”に変更されており、以後、そのままになっている。(2018年06月30日撮影)
【展示後に解体撤去】
(1) HSS-2B (8084) 愛知県 三菱重工(株)小牧南工場、HSS-2Bの初号機だ。2020年頃から敷地内で2回ほど設置場所を変えていたが、2025年2月21日頃に解体撤去された。

写真7 8084号機はHSS-2Bの初号機だ。2024年1月13日に移設作業が行われ、正門近くに置かれていたが、2025年2月21日頃に撤去された。(2022年11月12日撮影)
(2) HSS-2B (8085, 34.9856N/139.8408E) 2002年10月6日には館山航空基地に展示機として設置されていたが、2024年3月12日朝から14日昼までの間に解体、撤去された。

写真8 2023年度末に解体撤去された館山航空基地のHSS-2B(8085)。(2022年7月18日撮影)
(3) HSS-2B (8089, 31.7743N/131.1548E) 宮崎県山之口町のあじさい公園に1996年4月19日には設置されていたが、2011年11月25日から2014年1月15日までの間に撤去された。

写真9 あじさい公園に展示されていた8089号機。(2011年3月27日撮影)
(4) HSS-2B (8105, 33.9571N/135.1146E) 和歌山県 海上自衛隊紀伊由良基地に1993年より展示されていたが、2021年3月19日までに撤去された(入札公告2020年11月16日付掲示第2号より入札日は12月16日、履行期限は2021年3月19日)。

写真10 紀伊由良基地に展示されていたHSS-2B (8105)。すでにMR/TRは外されていた。(2020年11月5日撮影)
(5) HSS-2B(8138) 長崎県 大村航空基地内にて救助訓練用に使用。2002年の時点で長崎空港から見える機体右側は黒色、左側はノーマル塗装となっていた。いつの間にかSH-60Jへと交換されていたようだ。
(6) Type? (S/N?, 33.1321N/129.7283E) 佐世保港の湾口に位置する海上自衛隊佐世保警備隊の敷地にB-65 (6723)と並べて展示されていた機体。GE-Proの2003年9月7日取得画像にて機影を確認できるが、2007年5月12日取得画像では既に撤去されていた。当時の写真を発掘できていないためS/NおよびHSS2/A/Bのいずれのタイプであるかは不明。
【S-61シリーズ】
(1) H-3系統の輸送および救難型を海上自衛隊ではS-61と命名して使用していた。救難ヘリコプターS-61AH(8941-8953)は2001年3月末までに全機が用廃となり、南極観測支援用の輸送用ヘリコプターであるS-61A(8181-8183)およびS-61A-1(8184, 8185)は2008年5月末までに用廃となった。
(2) 現在ではS-61Aが1機と1機分のS-61AHの機体前方部分だけが残されている。
【S-61シリーズの展示機】
(1) S-61A (8181) 愛知県名古屋市 南極観測船ふじに搭載

写真11 南極観測船「ふじ」甲板上のS-61A。撮影時間帯により手前の橋の支柱の影が機体にかかる。(2017年10月8日15時30分ごろ撮影)
(2) S-61AH (8941) 鹿屋基地航空史料館内に機体前方部分を展示

写真12 鹿屋航空基地の史料館内にあるS-61AH(8941号機)。キャビン後方部で機体は切られており、尾部は存在しない。(2022年1月20日撮影)
【展示後に解体撤去】
(1) S-61A-1 (8185, 34.9865N/139.8411E) 2008年5月25日の館山航空基地祭にて最後のお披露目飛行を行い用廃となった。年度末の2009年3月2日には展示機として設置されていたが、2024年3月12日朝から14日昼までの間に解体、撤去された。

写真13 館山基地のS-61A-1(8185号機)は2024年3月中旬に解体撤去された。(2009年5月31日撮影)
【その他】
(1) 大湊航空基地の消火訓練ピットの脇(41.2317N, 141.1288E)には救助訓練用のS-61系の胴体(S/N不明)が置かれている。本機は一機のキャビン部後方に、もう一機分の「機首部以降、キャビン後部まで」を継ぎ足した「ストレッチタイプのS-61」のような造りをしており、コクピト部分は無く、またエンジン部などの上部構造物や脚支柱などは付いていない”直方体”だ。2022年2月15日に「ヘリコプターが不時着して乗員が行方不明になった」との想定で救助訓練が行われ、その様子がいくつかのメディアで公開されているが、その際の映像・画像に本機が写っている。興味ある方はネット上を丹念に探してみよう。
以上