用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

海上自衛隊 HSS-2 / S-61系統の展示機

<編集履歴> 13Nov.2020公開(海上自衛隊回転翼機より分離独立)、09Apr.2024見直し更新(第10回目、体裁見直し)

 

【HSS-2シリーズ】

 米海軍の機種名改称後の機種名としてはH-3系統だが、海上自衛隊では名称変更前の”HSS-2"のままで最後まで使用しており、HSS-2(8001-8055)、HSS-2A(8056-8083)、HSS-2B(8084-8167)の3バージョンが存在した。現在では全て退役しているが、HSS-2は残されておらず、HSS-2Aも残るのは1機のみ。HSS-2Bは7機が各地に展示されている。S/N順に紹介しよう。

【展示機 Displayed HSS-2A/Bs】

(1) HSS-2A (8074) 鹿児島県 鹿屋基地航空史料館。国内に残る最後のHSS-2Aだが、保存状態はあまり良くない。

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写真1 鹿屋基地史料館のHSS-2A(8074号機)。国内に残る-2Aはこの一機のみ。(2020年3月10日撮影)

 

(2) HSS-2B (8084)   愛知県 三菱重工(株)小牧南工場、HSS-2Bの初号機だ。現在は正門脇に置かれている。

写真2 8084号機はHSS-2Bの初号機だ。2024年1月13日に移設作業が行わており、本機は現在は正門近くに置かれている(写真は移動前のもの)。(2022年11月12日撮影)

 

(3) HSS-2B (8101)   石川県 県立航空プラザの屋外に展示されている。

写真3 航空プラザに屋外展示されているHSS-2B (8101)。(2021年10月5日撮影)

 

(4) HSS-2B (8114) 岐阜県 飛騨エアーパーク(36.1783N/137.3157E)、2003年6月以前より存在

写真4 農道空港にKM-2と共に置かれているHSS-2B (8114)。(2020年8月26日撮影)

 

(5) HSS-2B (8149) 神奈川県 陸上自衛隊武山駐屯地(35.2184N/139.6289E)、2003年4月22日GE-Pro画像に存在。陸上自衛隊海上自衛隊横須賀教育隊、航空自衛隊第2高射隊が同居するエリアだが、敷地のメインは陸上自衛隊武山駐屯地なので、この名称を使用する。一般人が本機を撮影することは事実上不可能で、巷に出回る写真のほとんどは「中の人およびその関係者」や「取材でで中に入れた者」によるものだ。私自身も実物を見たことは無い。なおSpottingmode.comでは本機を"S-61AH 8949"として紹介している。

 

(6) HSS-2B (8161) 徳島県 小松島基地

写真5 小松島航空基地のHSS-2B。(2018年7月15日撮影)

 

(7) HSS-2B (8165) 青森県 七戸町中央公園

写真6 七戸町中央公園にあるHSS-2B (8165)。(2021年8月26日撮影)

 

(8) 8167 青森県 大湊基地。HSS-2最終号機だが、2018年公開から2019年公開の間に機体番号を8162に変更して記載。「陸奥(むつ)」の語呂合わせで「62」にしたという。

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 写真7  大湊基地のHSS-2B(8167号機)。2019年の公開時には機体番号が”8162”に変更されていた。(2018年06月30日撮影)

 

【展示後に解体撤去】

(1) HSS-2B (8085) 千葉県の館山航空基地に展示されていたが、2024年3月12日朝から14日昼までの間に解体、撤去された。

写真8 2023年度末に解体撤去された館山航空基地のHSS-2B(8085)。(2022年7月18日撮影)

 

(2) HSS-2B (8105, 33.9571N/135.1146E) 和歌山県 海上自衛隊紀伊由良基地に1993年より展示されていたが、2021年3月19日までに撤去された(入札公告2020年11月16日付掲示第2号より入札日は12月16日、履行期限は2021年3月19日)。

写真9 紀伊由良基地に展示されていたHSS-2B (8105)。すでにMR/TRは外されていた。(2020年11月5日撮影)

 

(3) Type? (S/N?, 33.1321N/129.7283E) 佐世保港の湾口に位置する海上自衛隊佐世保警備隊の敷地にB-65 (6723)と並べて展示されていた機体。GE-Proの2003年9月7日取得画像にて機影を確認できるが、2007年5月12日取得画像では既に撤去されていた。当時の写真を発掘できていないためS/NおよびHSS2/A/Bのいずれのタイプであるかは不明。

 

【S-61シリーズ】

 H-3系統の輸送および救難型を海上自衛隊ではS-61と命名して使用していた。南極観測支援用の輸送用ヘリコプターであるS-61A(8181-8183)およびS-61A-1(8184, 8185)と救難ヘリコプターS-61AH(8941-8953)を運用していた。現在ではS-61Aが1機とS-61AHの機体前方部分のみが残されている。

(1) S-61A (8181) 愛知県名古屋市 南極観測船ふじに搭載

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写真10 南極観測船「ふじ」甲板上のS-61A。撮影時間帯により手前の橋の支柱の影が機体にかかる。(2017年10月8日15時30分ごろ撮影)

 

(2) S-61AH (8941) 鹿屋基地航空史料館内に機体前方部分を展示

写真11 鹿屋航空基地の史料館内にあるS-61AH(8941号機)。キャビン後方部で機体は切られており、尾部は存在しない。(2022年1月20日撮影)

 

【展示後に解体撤去】

(1) S-61A-1 (8185) 千葉県の館山航空基地に展示されていたが、2024年3月12日朝から14日昼までの間に解体、撤去された。

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写真12  館山基地のS-61A-1(8185号機)は2024年3月中旬に解体撤去された。(2009年5月31日撮影)

 

【その他】

(1) 大湊航空基地の消火訓練ピットの脇(41.2317N, 141.1288E)には救助訓練用のS-61系の胴体(S/N不明)が置かれている。本機は一機のキャビン部後方に、もう一機分の「機首部以降、キャビン後部まで」を継ぎ足した「ストレッチタイプのS-61」のような造りをしており、エンジン部などの上部構造物や脚支柱などは付いていない”直方体”だ。2022年2月15日に「ヘリコプターが不時着して乗員が行方不明になった」との想定で救助訓練が行われ、その様子がいくつかのメディアで公開されているが、その際の映像・画像に本機が写っている。興味ある方はネット上を丹念に探してみよう。

以上