用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

【愛知県】あいち航空ミュージアム

<場所 Place> 〒480-0202 愛知県西春日井郡豊山町大字豊場(県営名古屋空港内)

あいち航空ミュージアムあいち航空ミュージアム

<座標Location> 35.2477N, 136.9250E

<訪問日Visit>  18Aug.2018

<行き方 Access> 

(1) 名古屋駅より小牧空港経由あいち航空ミュージアム行バスが1時間に2本程度ある。

(2) 名鉄西春駅より小牧空港行のバスが1時間に2本程度ある。空港で下車して5分ほど歩く。

(3) JR名古屋駅前、JR勝川駅や栄から空港に行くバスの便もあるが本数は少ない。時刻表やミュージアム前に停まるかどうかは各自で確認ください。

<解説General>

(1) 空港南西端のショッピングモールに隣接した展示館で2017年11月30日にオープンした。開館時間は0930-1700(入場は1630まで、夏季などに1800までの開館時間延長あり)、火曜日およびHPにて通知した日は休館。入場料大人800円(2022年3月末まで)。

(2) 屋外に1機、展示ホールに実機が8機とゼロ戦のレプリカ1機が展示されている。なお本記事内においては「三菱重工(株)」を単に「三菱」と記載する。

(3) 2021年4月より三菱Spacejetのキャビンモックアップ(胴体部内装模型)の展示が始まった。

(4) 展望デッキは国内の空港の中では最も滑走路に近い。三菱のテストフライト機が通る誘導路まで約140m、滑走路中心まで約320mだ。

【展示機】

(1) YS-11P (52-1152) 空自の無償貸付機。2017年5月28日の美保基地祭でサヨナラ飛行を一般公開し、翌29日小牧基地にフェリーされて用廃となった。

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写真1 展示の目玉は航空自衛隊のYS-11P。(2018年8月18日撮影)

 

(2) MU-2 (JA8737)

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写真2 三菱製ビジネス機MU-2。(2018年8月18日撮影)

 

(3) MU-300 (JA8248) 

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写真3 三菱製ビズジェットMU-300。(2018年8月18日撮影)

 

(4) MH2000A (JA002M)

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写真4 三菱製ヘリコプターMH2000A。(2018年8月18日撮影)

 

(5) MH2000A (JA21ME)

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写真5 三菱製ヘリコプターMH2000Aの中味を改造したJAXAのMuPALε。(2018年8月18日撮影)

 

(6) EH-101 (JA01MP) 2019年2月22日から展示されている元警視庁航空隊機。民間籍としては国内唯一の機体だ(海上自衛隊でCH-101とMCH-101を使用中)。本機の写真は私自身は未撮影。

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写真6 EH-101。(大路 聡 氏 撮影)

 

(7) ロックウェル・コマンダー112 (JA3783) 屋外の道路入口に展示されている。 

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写真7 ミュージアム前の道路に展示されたロックウェル・コマンダー112。(2018年8月18日撮影)

 

(8) 八〇式名市工フライヤ- (JR1968) 名古屋市工業高等学校飛行機同好会が二宮忠八の「玉虫型飛行器」を基に製作した飛行機。平成29年1月28日に三重県津市の香良洲飛行場で約70mの距離をジャンプ飛行した。

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写真8 八〇式名市工フライヤ-。(2018年8月18日撮影)

 

(R1) ゼロ戦52型のレプリカ 佐賀県馬場ボデー製作の機体。映画「人間の翼」、「君を忘れない」、「永遠の0」で使用された。2010年には青森県立三沢航空科学館に一時展示されていた機体。2019年3月ごろに三菱に返却した実機の代わりとして展示を開始した。本機の写真は私自身は未撮影。

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写真9 本物は三菱に返却し、新たに展示されたゼロ戦のレプリカ。(大路 聡 氏 撮影)

 

【過去に展示された機体】

(1) ゼロ戦五二型甲(三菱4708号機) 三菱の保有する機体を2017年11月の開館時から2019年4月8日まで展示していた。その後は返却され、現在は秋水と共に三菱の大江時計台航空史料室に展示されている(撮影不可)。

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写真8 展示に際して一悶着あった三菱のゼロ戦(実機)。(2018年8月18日撮影)

 

(2) 小型機等、各種の機体がイベント時にミュージアム内外に展示されている。2019年頃のイベントでは航空自衛隊のC-130Hが格納庫前に展示され、ミュージアム屋上から正面上からの撮影ができたという。

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写真9 イベントで一時的に展示されたパイパーPA-28-140。飛行可能な機体だ。(2018年8月18日撮影)

 

【余談】

(1) 口の悪い人達からは「三菱失敗航空博物館」と揶揄されている。

1) YS-11は国内航空企業の集合体であった日本航空機製造(株)の製造だ。しかし実機製造の責任者は三菱の東條氏であったこと、そして日本航空機製造(株)が解散した後のフォローは三菱が行っていたこともあり、「販売戦略等の失敗で182機しか製造できずに終わった」のも「三菱の失敗」に含めて考える場合がある(三菱からすればいい迷惑だろう)。

2) MU-2はまぁ成功作。ただしドルが変動相場制に移行した際のドタバタで翻弄され販売は赤字に陥った。開発から生産終了までの目で見た時に赤字だったか黒字だったのかは検証・確認していない。

3) MU-300はFAA基準の変更適用第1号となったため、さんざん「産みの苦しみ」を味わった挙句、三菱での販売が振るわずにアメリカのビーチクラフト社(当時)に販売権を譲り、のちには製造権も譲ってしまった。・・・その結果、アメリカで成功した機体だ。(だから三菱としては失敗)。その後、航空自衛隊がT-400として採用したのは皮肉でしかない。

4) MH2000ヘリコプタは試作機2機を含む7機が生産されたのみで終わった。

5) 三菱SpaceJetの試作機が試験終了後に展示される予定であったが、2020年には機体開発自体が「一旦立ち止まる」状況となってしまった。アメリカで飛行試験を行っていた機体は2021年4月時点では現地で保管中だが、三菱の財政状況も考慮すると日本に回航してまで展示機とする可能性は低い。ただし設計変更に伴う地上試験用機や製造をほぼ終えた10号機が国内に残されているので、これらが展示される可能性は残る。

6) 開館当初に展示されていた三菱保有ゼロ戦も当時の地元町長が「(戦闘機や戦争の道具の)展示は好ましくない」としたことから様々な調整が行われたようだ。個人的な邪推に過ぎないが、おそらくはこれで戦後の航空工業復活の元となったライセンス生産のF-86F、「国内初の超音速機」三菱T-2、中身を自主開発したHSS-2Bという三菱小牧工場脇に屋外展示されている「三菱が手掛けた」自衛隊機群を移設して公開する芽を摘んでしまったのではないだろうか。

※結果として「かつての華やかなりし頃の名古屋小牧空港を懐かしむ施設」でもなく、「三菱で製造した機体(主に軍用機)の歴史や製造技術・機体製造に関する事項、周辺地域の航空産業を展示・紹介する施設」でなく、「小牧基地と供用する民間空港の現状やあり方を紹介する施設」でもなく、「小型機・民間ヘリコプターを紹介する施設」でもない、主体性の良く判らない「とにかく空港の脇にあるのだから、何か航空機を展示してみたハコモノ(建築物)」になっているように思える。

(2) 加えて展示内容の割に入館料が高く、隣接するショッピングモール来場者を取り込めていないような気がしてならない。現在は大人1,000円の入館料を期間限定で800円にしている(恐らくはコロナの影響で入場者数が激減したことにより、値下げで客数を増やす施策に出たのだろう)が、感覚的には入場料250~300円程度として入場者数3倍程度を狙っても良いと思っている。ショッピングモールにはかなりの数の家族連れが年間に何度も訪問しているはずだ。この家族連れが「今日もヒコーキ見て行こうか?」「うん、行く!」と言えるような価格帯にすれば入場者数を数倍にすることは比較的容易となる下地はある。(参考例として東京湾アクアラインの通行料金が挙げられよう。当初2400円程度の通行料金を800円にしたところ、ほとんど利用されていなかった道路があっという間に渋滞するまでに通行量が増えた)

 この施設の唯一の取柄といえば、屋上から三菱のテストフライトを絶妙なアングルで撮影できることだろうか。平日にも訪問できるような地元スポッターとっては、年間パスポートを使って通えば良いショットを量産できることだろう。

(3) 2021年3月に運用を終えたF-4EJ戦闘機の初号機を展示したいとの希望があったようだ。しかし同機の引退直後にイカロス出版Jウイング編集部から「初号機を展示しませんか?」とのアナウンスがTwitterに流れたことから、展示は実現しなかったようだ。同機は1年くらいは基地内に残されるだろうが、残されている間になんとか金銭的な支援を受け、関係部署等の調整を行い、岐阜基地から分解・搬送して展示できないものかと思う。少なくとも展示スペースはあり、ファントムの分解・組み立てを行うことのできるスキルを持った人員は近隣に大勢いる。だけど上述の通り「何のための展示施設か?」というところが曖昧なので「展示しなくてはいけない理由」がやや乏しいように思う。

 誰かミュージアム側の尻を押してくれないかしら(蹴っ飛ばしてくれてイイ)。

 

以上

編集履歴

19Apr.2021 公開

22Oct.2021 見直し更新(第4回目、YS-11Pが空自の無償貸付機であることを追記)