用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

日本で見られる保存機・展示機ガイドブック制作秘話

<編集履歴> 09Nov.2023公開、14Dec.2023見直し更新(第9回目、正誤表追加、見直し更新)

 

【はじめに】

「日本で見られる保存機・展示機ガイドブック」(イカロス出版)が2023年11月9日に私の手元に届きました。全国の本屋さんには今週中に配送され、来週あたりから店頭に並ぶのではないかと勝手に思ってます(注1、注2)。

・注1:私は出版業界の実情は全く知らない。印刷を終えたのだから、1週間もしたら店頭に出回るだろうと、ホントに勝手に”思っている”だけです。

・注2:本書を予約された方から「配本が21日になる」という連絡がネットの書籍取り扱いサイトから11月14日夜に連絡があったそうです。→どうやらホントニ21日になるまで店頭に並ばなかったようですネ。

 

 2023年6月中旬ごろに発行企画の話が舞い込んできた際に「本Blogで紹介しているデータは好き勝手に使って、好きに仕上げてイイよ」としていました。まぁ、勝手にやってくれ、私は高みの見物・・・と目論んでいたのだけれど、結局はドップリと浸かることになってしまいました。

 書評は読者の皆様にお任せすることにして、本書が出来るまでに、どんなハナシがウラにあったのか?いく分”ハナシを盛った”うえ、「事実に基づくフィクション」として関係者に迷惑が掛からないように配慮したつもりで、面白そうなエピソードを紹介してみようかと思います。

 例によって直ぐには書き上げることができないので、今回もまた、気分が乗った時にユルユルと加筆していきます。面白そうだと思われましたら、お手数ですが、半年ほど経過してから、もう一度覗きにきてくださいナ。あれ?先週と言ってることが180度違うぞ、ということもあるかもしれませんが「あくまでフィクション」なので、どうかよろしくお願いいたします。(ヤベ~!書き過ぎちまった!と、慌てて取り繕った痕跡かもしれません。笑)

これが、今回取り上げる話題の本だ。

このBlog記事中では”本書”と表現する。

 

【前段階】

 本書の前に私が関与して世に出した冊子がある。Jウイング誌2021年8月号別冊付録「全国保存機・展示機ガイド」だ。これを無料で月刊誌の付録とするのだから、イカロス出版さん、太っ腹!とにかく、この冊子を制作する際に手持ちの用廃機データを整理していたことが、今回の出版へと話が繋がる元になっていた。Jウイング誌では2021年9月号以降に「用廃情報局」というコーナーを作っていたので、データを都度Updateできていたのも、力になったかな。なおイカロス出版Jウイング誌では2003年9月号別冊付録として同様の冊子を制作していた経験がある。この冊子はJ.A.R.G.の”大先生”が監修されており、当時の私は、用廃機に対して全くといってよいくらいに興味を持っていなかったため、購入すらしていない(20年前の付録かぁ。人は時と共に変わっていくものだなぁ・・・)。

 そうそう、一応、確認の意味で書いておくけれど、私は一般読者であって、毎月せっせと投稿しているヒコーキマニアですからね。おかげ様で「連載状態」となってはいるけれど、本職ライターやフォトグラファーではないのだヨ。そこのトコロ、どうかヨロシク。

「これがオマケ?!」という伝説を(ごく一部の読者に)残した

Jウイング誌2021年8月号別冊付録

 

【国内マーケット】

 ヨーロッパでは各地に転がる用廃機の情報を集めた本が何冊も出版されている。

かなり力を入れた情報サイトも存在する。現用機に触れる下地があってこその用廃機なのだけれど、国内ではどれだけ受け入れられるのかなぁ?

 それにまとめた本としても、直ぐに売れるような類の内容ではない。爆発的なヒットをすることは無く、ジックリと毎年少しづつ売れていくような本だと思う。2021年末のコミケだったと思うが、同人誌で用廃機を取り上げた方がおられた。その方のX上での発言から400部を作り、通販も利用して半年程度で完売したという話を目にしていた。一刷千部として、増刷するくらいでないと儲けは出ないと言われる出版業界で見込みのある販売部数はせいぜい数百部だぜ?もちろん、販売価格にもよるけれど、そんなモンで本になるのかい?という意見は企画の話を伺った際に出版担当者に伝えていた(と、自分では思っている)。→そんなワケで販売数に関しては幾分、興味を持ってはいる。ホントの売れ行きなんてハナシは出版社の社外秘事項だから、これ以上、突っ込むつもりは無いけれど。

・参考記事:

【基礎編】用廃機の探し方 - 用廃機ハンターが行く!

 

【収録の方針】

6月中旬ごろ、最初に企画の話を聞いた時の本書の構想は;

1) メインは国内に残る軍用機の展示機や訓練機の紹介

2) 大戦機も一通り取り上げる

3) 官公庁で使われた機体は取り上げない

4) 民間機は取り上げない

・・・・というものだった。

1)の軍用機は本Blogの記事を好きなように使ってもらえばよかろう(私は高みの見物さ♪)。

2)の大戦機は私の趣味じゃないから知らないヨ。イカロス出版さんはミリタリークラシックスもやっているので、ライターさん候補は沢山いるのではないかと思っていた。企画が始まってみると、現在の国内においては大戦機修復・保存に関しての第一人者というべき中村泰三さんのご協力を得られることになったと聞きビックリ!

3)の官公庁使用機(の展示機、教材機)は本書の中でも述べているが、企画を進めている初期段階で官公庁の用廃機がどのような状態になっているのかをまとめたサイトは存在しなかった。生データ的な情報はあったが、まとめている時間はないと判断し、バッサリ切り捨てることにした。2023年11月21日時点で、本Blog内に警察・消防・海上保安庁・その他官用機の展示機リストを作り始めたが、これは今後、本書の発展記事を書くような事態が生じたときに「こんなコトもあろうかと」と言えるようにしている、という目論見がある。

4)の民間機の扱いについては、いくらかのやり取りがあった。そもそも民間機の用廃機の現状をまとめたサイトが存在しないこと。私を含めて「展示されている民間の用廃機」の情報を集めて発信している人が身近にいなかったことから、どの程度のページを割き、どの程度の労力がかかるか、全く未知数であった。しかし、バッサリ切り捨ててしまうと国内で唯一博物館法上の博物館である成田の航空科学館の紹介やB-787を展示しているフライトオブドリームスという「有名施設」を無視する内容となること・・・。当初は「国内にあるYS-11の一覧も掲載しようか」なんてハナシもあったような気がするが、結局は「民間機は原則切り捨てて、航空科学館とフライトオブドリームスは小記事(最終的には本書内のコラム記事となる)で触れる程度にする」ことに落ち着いた。国内に残るYS-11の話も、コラム記事で軽く触れるだけとなった。

 なお3)で述べた官用機をまとめながら薄々と感じているのだけれど、「民間機の全機展示機(一機丸ごと展示されている展示機)」は意外に数が少ないのではないかと思う(200機未満程度かと思う)。→2023年11月中旬ごろから手を出してまとめ記事(随時更新中)を書き始めました。ある程度、使えるデータベースになるのは1年くらい経過してからかしらん?

 

【記事書いてください(その1、猛暑知らず)】

 前述した通り、当初は「データを渡したら、あとは高みの見物」のつもりだったが、いつの間にかアレコレと書くことになってしまった。もともとコロナで外出できなかった時期に作ったブログの内容を総括的にまとめる時期と考えていたこともあり、この機に乗じて一気に片づけてしまえ!と思って引き受けたのだが、少々甘い考えだったかな?2023年の夏は、ほとんど外出せずに自室で頭を絞ることになった。時間制限がある(「締め切り」という言葉が存在する)というのは恐ろしいことだ。今夏には「取材に来るなら来てもイイヨ」と言ってくださった場所への訪問を計画していたのだけれど、時間が取れずに夏が過ぎてしまいました。結果としては、その場所の写真を入手することもかなわず、本書で紹介できなかったのが心残りですね。ご配慮いただいた担当の方に対しても申し訳なく思っております。なおエアコンをガンガン効かせた部屋に籠って文章を練り上げたおかげで、猛暑の夏でも体感温度的には快適に過ごせましたが、例年になく電気代がハネ上がりました・・・(泣)。

 

【記事書いてください(その2、文字数)】

その1.

 出版担当者から「この件について、書けるのはアナタしか居ない。ぜひ!」と言われて、つい承諾してしまった。思いつくままサラリと下書きを書いたら、途中までの文書で2,400文字を超えていた。指定された文字数は800字程度だ。「指示された文字数では何も書けないじゃん!」結局はテーマを見直し、全面的に書き直すことになった。

その2.

9月中旬頃には大体の原稿と写真が集まり、記事としての形が出来つつあった。それと同時に「あと90-120文字程度足して!」「ここ2/3程度に削ってイイですか?」などという注文が増えてきたように思う。内容を増す話は原則として私自身で対応し、削るのは「私への確認不要」として出版担当者に一任したところがある。中には文字数を増やせるならばと、この機会に全面改訂して、差し替えた文もあった(その1で述べた状況とは逆の事態が生じたワケだ)。ワタシは本職のライターではナイのだけれどな~、とボヤきながら対応させていただきました。

 

【締切はいつ?】

 本書の構想が固まりつつある初期の頃、いつまで経っても、原稿や写真提供の締め切りのハナシが出てこなかった。しばらくして別件で出版担当者から送られてきたメールに、他の関係者宛に発信したメールがたまたまのミスでくっついてきており、その中に締め切りの話が書かれていた。「いい加減だなぁ~!!」(笑)

 なお後述するけれども、発行予定日は最終的には約1カ月半遅れることになり、最終校了間際には「今日お願い、明日まで!」というハナシも出てきました。「絶対にムリ!出来ない!!」とお断りした事案もありましたっけ(苦笑)。

 

【写真、ありません(その1)】

本書発行の企画が固まった頃のハナシ。

出版担当者「・・・では、全国600余機の写真を提出願います」

ワタシ「そんなに写真は無いヨ。」

出版担当者「えっ?」

ワタシ「だって自分で全国巡ったワケじゃないモン。ネット上の情報を集めて作ったのが、この”用廃機ハンターが行く!”だもの」

出版担当者「ええ~っ?!!」

 担当者はワタシが全国全ての展示機を訪問して、その写真を撮影していたと思っていたようだが、そんなことはない。私自身は今も「次はどの機体を撮影しに行こうかな~」と時刻表を眺め、予算(お小遣いの割り振り)を考えているのだ。

 その後、出版担当者は自衛隊広報や各地の機体保有者や団体、コアなマニアの皆様などに写真提供を呼び掛けたようで、本書に紹介した場所の四分の三以上で写真を掲載することができました。中には”本邦初公開”と思われる貴重な写真もありますね。結果オーライ。めでたし、めでたし。

 なお、このような場合には、普段から写真投稿されている読者の方々に対して「写真ありませんか?助けてください」とお願いすることもあります。「普段からの関係を築いておく」というのは営業の基本。自分の写真を売り込もうという方(特に若い方)は、せっせと投稿に励んでおきましょう。写真と名前が売れれば、また次の機会にお声がかかるかもしれません(保証はしない)。現在、航空雑誌の巻頭カラーを飾る航空写真の大家といわれるセンセイ方も、昔は「ヒコーキ写真小僧」「〇〇基地でよく見かける写真投稿マニア」と呼ばれていたんだゼィ。(もちろん、中には別な分野から来られた方もおられますが)

 

【写真、ありません(その2、肩書が欲しい!)】

「私は一介のヒコーキマニアのオッサンでして、貴所にあるヒコーキの写真を撮らせていただけませんか?そのうえで、可能でしたらブログへの掲載許可をいただきたく・・・。さらに、もし可能なら雑誌等への投稿もご許可いただきたく・・・」というのが、通常は一般に公開していない用廃機の写真を撮りに行く前に、相手先に出すお伺いメールの基本的な内容だ。

 本書の制作中に「どうしてウチに取材に来ないの?」と言ってくださる場所もあれば(すみません、動ける身体と出張費(私のお小遣い)がありません)、回答するまでに何日もかかかった挙句、「撮影不可」と一言だけ返していただいたところもある。返事をくれるだけでもマシな方で、完全スルーの場所もいくつかあった。個人で頼んでも撮影できないトコロは出版担当者にお願いして、時間をおいて再度「出版社から」お願いしてもらい、写真を入手できたケースもあった。

 やっぱり、会社の肩書があると強いよな~と、しみじみ感じたのでした。

 こんな話を本職のライターやカメラマンの間でこぼしたら「適当な会社を立ち上げなよ」とか、「航空関係の有名団体に加入したら?名前だけ連ねているけれど、何もしない人は沢山いるよ」など、貴重なご助言を多数いただいた。「ヒコーキ趣味なんて、もう止めてやる!」と常々思っている(記憶にある限りでは、1982年頃から・・・)ので、そこまでやるつもりはないけれど、アドバイスいただいた皆様には、深く感謝しております。なお「どこの馬の骨とも判らぬ、一介のヒコーキマニアのオヤジがどこまで真実や核心に迫れるか?」という想いは私自身の活動の原動力となってます。と、書くとカッコ良すぎですかネ。「不便だけれど、今の位置づけを楽しんでいる状態」とご理解ください。

 

【写真、ありません(その3、滑り込みセーフ!)】

 出版担当者が八方手を尽くしたけれど、入手できない写真がいくつかあった。その中には私自身が「個人利用に限る」という条件で撮影していたものがあったのだ。そこで、ダメ元で投稿の可否についてお伺いをしたところ、投稿の許可をいただけた場所があった(繰り返すが、私は読者投稿の立場であって、写真の採否権限はない。あくまで投稿して、その写真の利用・掲載を”ご提案”するのみだ)。このBlog記事を”ノンフィクションに近いフィクション”と位置づけているので、掲載場所を明確に記すことはしませんが、関係された皆様に対しては大変感謝しております。おかげさまで当該写真は締め切り数日前に本書の中に収めることができました。

 もう一つ、別な事案の話。

 とある場所の公開行事が締め切り間際に行われた。出版担当者に問い合わせると、その事案の写真は、まだ入手できていないという。なんとかならないか?こちらは海外に行く予定があったが、その日程を短縮して帰国。家には帰らずに羽田-成田間を移動して空路イベントを訪問し、1時間半見学して戻って来るという(かなり無駄の多く、かつ無謀な)行程にて本書掲載用の写真を撮影することができた。ところが、今度は当該場所の記事に関しては編集が終了しており、既に固定してしまったので変えられないという。これでは自分の努力はともかく、現地で撮影に協力していただいた皆様に申し訳が立たない。何とか一枚、入らないのだろうか・・・?本書全体を見渡したところ、展示場所の紹介記事とは関係のない、参考写真を掲載しているページの写真1枚を差し替えることで、全ての関係者の顔を立てられることが判り、対応した。さすが百戦錬磨の出版担当者。そういう手段もあるのかと感心したものだ。この話は「展示場所紹介のページに機体の写真が無い」けれど、「その他のページにだけ、当該場所の写真が掲載されている」という案件を探すと、どこの話かということが、かなり絞り込めるかと思う。

 

【あの写真を入手せよ!】※この項は本書p.72-73をあわせてご参照ください。

出版担当者「訓練機って、どんな訓練で、どんな風に使うのですか?それも書いてくださいな。」

私「ワシ、”中の人”じゃないモン。ホントのことは知らんがな。」

・・・そんなやり取りの後に、公式Xや公式チャンネルでの画像や動画を次々とチェックして「用廃機を使った訓練」の様子を探すことになった。その結果、以下のような画像や映像が公式Xや公式youtubeなどで公開されていることが判明した。

(1) C-1やP-3Cの機体を破壊しての救助訓練の様子

(2) 横転した機体を想定した訓練の様子

(3) 訓練機や展示機(!)を使った搭乗員救難訓練の様子

(4) 機内で行う空挺降下前手順を確認する様子

(5) 用廃機や現用機を使用した擱座機撤去作業訓練の様子

(6) 主にヘリコプターの訓練機や展示機(!)を用いた積載物の積み下ろしや、その固縛訓練の様子

(7) 野外での整備訓練の様子(主にヘリコプター)

(8) その他いろいろ

・・・私から出版担当者へ発信:「教育・訓練で用廃機を用いる例は、上述の通りだから、あとは出版社の立場を使って、基地広報や中央(各幕僚監部広報室)にお願いして、ネタ(画像/映像)を集めなさいな!そしたら、少しは書いてあげるから!」

 その結果、ネタ的に面白そうなモノ、取材が出来たモノ(注)を本書で取り上げたけれど、中には「時間とページの都合」で「担当部署に問い合わせるコトすら、しなかった」事案もある。前述の「写真、ありません(その2、肩書が欲しい!)」でも述べたが「”ヒコーキマニア”で、かつ”雑誌投稿マニア”のオッサン」の立場でよろしければ、各基地の「取材」に行きたかったのだけれどなぁ!だけど、そこまで動き回れる身体と出張費(私のお小遣いだヨ!)は無かった。また取材先にしてみれば、取材内容が出版されるかどうかの裏付けが無い「どこの馬の骨とも判らぬ者」に内部を見せることになる。フツーはそこまで優しくはナイよな。そのくらいはサルでも、いや、”馬の骨”でも理解する。

注:Jウイング誌2024年1月号No.305, p.62-63に、下総基地を取材した際の話が掲載されています。こちらも合わせてご参照ください。(写真と文は鈴崎利治氏)

 

【写真、集まり過ぎました!】

 上述の通り、出版担当者が各位にお願いした結果、一部の案件では複数の写真を入手することができた(ありがとうございます>ご協力いただいた皆様)。中には直ぐに写真を入手できたものから、締切直前になってから、ようやく入手できたものもあったようですね。ここで「後から良い写真が送られてきたけれど、もう先に入手した写真を使うことを前提に記事やページを編集しちゃった」とか、「後から送られてきた写真の方がベターだけれど、こちらから頼み込んでワザワザ送ってもらったのに、それを使わないとなると、今後の関係に響くよね」という案件がいくらか生じたようです。読者の皆様には、掲載されている写真は「ベストショットだけではない」ということを知っていただければと思います。なお、同じような機体の写真が多いため、敢えて大胆な構図の写真や一風変わった写真を使って、構成誌面にアクセントをつけている場合もあります。念のため。

 

【載せないでください】

 本Blogに掲載されていても、本書には掲載されていない案件がいくつか存在する。その多くは個人所有の機体だ。もともと本書の企画段階では「原則として個人所有機は掲載しない。ただし、外部から十分に見えるように設置したもの(第三者に対して自らが保有していることを誇示しているもの。Google のStreetViewで確認できるもの)と、自らがネット等で公開している案件を除く」という方針を立てていた。中には「ウチにも取材に来てよ!」と言ってくださる方がいらした一方で、自らのHP(個人HPだけでなく、企業や団体等の公式HPを含む)等で機体の存在を紹介しているにも関わらず、本書への掲載許可が得られなかった案件も存在する。それぞれ固有の事情があるのだろう。また確認にかかる人手と作業時間の都合により、掲載の可否を確認することができなかったために掲載を断念した案件もある。校了間際に「やっぱり載せないで」と言われると、ギチギチに組んだ本文から当該部分を削除して次の案件を繰り上げたり、上手く収まらない時には写真を追加したり、文字や写真の大きさを変えて調整することもあるようだ。でも時間的に対応が間に合わない場合には、ポッカリ空白が生ずることがある。本書内の数か所に見られる「不自然な空白」には、”もしかしたら”、そんな事情が隠されているのかもしれない。読者の皆様には「そういうことが有り得る」ことを知っていただければと思う。このため「あの案件はどうして掲載してないの?」というご質問には、個別事情により、お答えできない場合があります。予めご了承ください。

 なお「本書には掲載されていないけれど、ココにもありまっせ」という、「読者からの情報提供/情報発信」は全く問題ありません。「本書と読者からの情報を合わせることにより、総合的な情報をより良いものにする」ということは、ご考慮いただければ幸いです。

 

【収録場所数と収録機数】

 本書p.32には「全国約250か所、600機以上を紹介」と記載しているが、前述の通り「掲載しないで欲しい」と言われた施設等が発生している。この数値は達成されているのだろうか?そこで第三部ではエリアごとに所蔵者/施設数と展示機数を記してあるので、再度集計して確認したところ、所蔵者/施設数は243か所、紹介している機数は662機であった。紹介機数は十分だが、施設数はやや少なく、これでは「240か所」だよなぁ。そこで無理やりp.30で紹介した個人宅とp.132で紹介した航空科学博物館、フライトオブドリームス、消防博物館を加えると246か所だ。一位を四捨五入すれば、堂々と「約250か所を収録」といえる。記載文書に偽りは無しだ。よ~し、ヨシッ!

 

【宣伝と同人誌の話】

8月11日のこと。「用廃機」という単語でGoogle検索をしたところ(注:定期的に情報を確認している)、複数の新書案内サイトにて本書を発行する予定であることが紹介されていた。各サイトでは当時の発売予定日は10月2日であったことも記されていた(へぇっ!そうなの!と驚いた)。そして、一番大切なコトを記録には残さなかなったけれど、結構トンでもないタイトルがついていて、大笑いしたものだ(記録を残しておけばよかった・・・)。聞いたところでは、出版社は本の発行が決まると取次店などに「どんな本がいつ頃発行される予定」という情報を流し、取次店はそれを元に電子販売の予約を取ったり、二次取次店に伝えたり、一次取次店直系の書店への配本を考えたりする流れになっているのだそうな。ふ~ん、そうなんだ。

 と、いうことで「国内の用廃機を一挙に紹介する本が今秋発行される」という情報は8月11日にはネット上に一般人が見られる状態で存在していたのだよ!

 年末のコミケに向けに向けて、用廃機本作ろうとしていた方の存在には気づいていたが、この世の中は常に情報戦。いつ気づくだろうかと黙っていたことはお詫びする。特許でも学術論文でも、発表は「早い者勝ち」だけど、その結果をどのように使う/表現するかによって、その後の展開は変わってくる。「展示機はココにある」という基本情報に、決められたページ数の中で、どれだけの付加情報を上乗せできるかは商用本でも同人誌でも制作者(執筆者)の腕の見せ所だ。より面白い内容の本がコミケ会場のブースに並ぶことを期待しています。それから「商用本の新刊発行予定は数か月前に判る(こともある)」ので、次に同人誌を作る際には十分に調査して、同人誌の制作方針を考えようね!(こんなコトも社会勉強の一つだと思っていただけると幸いです) 

 

【延びる発行日】

 上述の通り、本書は10月上旬に発行するという計画だった。企画が固まってきたのが7月中旬ごろで、印刷所に最終原稿を出すのが発行予定日のおおむね3~4週間前。9月中旬がデッドラインだなと考える(注:再三繰り返しますが、私はライターなど出版関係者ではない。あくまでネット上にある、本の流通に関する解説記事を読んで、一般知識を得ているだけだ。その上での予想です)。2か月余りで全国250か所、600機を網羅する本を作るんですかぁ?このスケジュールで本当に出来るのかなぁ?と、いく分心配になった。

 予想通りというか、案の定というか、10月上旬発行予定は11月上旬と伝えられ、ネット上で見ることができる書籍取次店の新刊発行予定は11月9日が14日になり、さらに発送予定は11月21日”ごろ”となった(そして最終的には21日には店頭に並んだ)。冒頭に紹介した通り、11月9日には印刷が終わっているハズ。国内では一日当たり平均200冊の書籍が発行されると言われており、その出荷(配本)待ちなのだろうけれど、印刷所から書店の店頭に並ぶまで10日程度かかるのですかね。週刊誌や月刊誌のような定期刊行物と本書のような不定期刊行物では扱いが異なるとは思うけれど。こんなコトも「やってみて、初めて分かる社会の仕組み」の一つです。

 発行までにイロイロありましたが、本当に良い勉強になりました。本書出版に際して、関係された各位には深く感謝しております。

 

【ジックリ読めば、まだまだみつかる!日本で見られる保存機・展示機ガイドブック 正誤表】

「畳のホコリと同じで、叩けばたたくほど出てくる」と言われる誤字・脱字・校正ミスや現地情報の修正。見つけたものを以下に記します。「ごめんなさいっ!」

p.4 「もくじ」の関東北部エリア 誤「50」→正「52」

p.4 「もくじ」の中国四国エリア 誤「100」→正「102」

p.41 三沢基地 F-4EJ改27-8305の垂直尾翼モニュメントが2023年3月中旬に設置され、除幕式が行われていた(三沢基地公式Xの3月20日頃の発信より)。これは2022年9月末ごろまでは新田原基地にあったものを三沢に移設したものだ。

p.50 最下段右、写真撮影者「中井俊治門白菊」→「中井俊治」さんです。大変失礼いたしました。

p.53 科博廣澤航空博物館は「アミューズメントパーク」ではなく、「テーマパーク」の「ザ・ヒロサワ・シティ」にあります。ごめんなさい。また収蔵機は「5機」ではなく、「7機」だそうですが、2023年11月27日ごろに新たに3機のヘリコプターが日本ヘリコプター歴史協会さんから陸送/搬入されました。日飛のモーターグライダーNP-100も展示されるという「ウワサ」話も耳にしています。正式開館して「正しい情報」が伝えられるのを心待ちにしています。

・参考:本Blogでの紹介記事:

【茨城県】科博廣澤航空博物館(2024年開館か?) - 用廃機ハンターが行く!


p.76 新発田駐屯地のOH-6D「機番なし」→「31312号機」

p.103 岡山県のドレミコレクションさんの解説記事中に「・・・を公開している。」と記載してあるけれど、「2024年中に公開予定」です。本書発行時点では一般公開しておりません。ドレミコレクションさんや、訪問を楽しみにされて問い合わせをされた読者の皆様にお詫び申し上げます。

p.108 最下段で紹介したUH-1Bは2023年11月21日の本書発行時点では撤去されて無くなっていました。本書執筆中の8月末ごろには撤去されていたようですが、店頭に並ぶ前に無くなっちゃったので、「展示機がココにある、という話は誤報」となりますね。ごめんなさい。なお、2021年に作成した付録小冊子から記載されていた住所の最後にある「四国イビデン」は住所を拾った元ネタサイトが間違えて記載しているのではないかと思う(テンポスバスターズが入る前に、ここにあった企業の名前ではないだろうか?)。今となっては機体は存在しないし、店舗も移転してしまったので実害はないと思うけれど、住所は「高松市勅使町619」までにしておいてください。

p.116 芦屋基地リストのカメラマーク はF-86Fではなく、H-19Cが正しい。
p.117 春日基地リストの下の注記で777号機がブルーインパルス所属機で塗り直したという話は誤り。 「※ ブルーインパルス塗装」のみとするのが正しい。
p.125 新田原基地リストのカメラマークはMU-2Sではなく、T-2が正しい。

p.125 新田原基地リストのF-4EJ改27-8305の垂直尾翼モニュメントは2023年3月中旬には三沢基地に移設されて除幕式が行われていた。(三沢基地公式Xにて3月20日頃に発信があったが、「新田原基地内の移設」と思っていた私は気づかなかった)

p.156-159 「さくいん」は写真掲載ページだけを紹介しています。「ある機体は全国のどこにあるか?」という索引には「なっていません」。このため、例えば「CH-47Jはどこにある?」と思って「さくいん」を見ると、朝霞、習志野、富士演習場のページは記載されていますが、宇都宮駐屯地(p,57)や松本駐屯地(p.76)のCH-47Jのことは出てきませんね。頭書きに「機種名で”掲載写真”を探すことができます」と書いたので、「誤記」ではないけれど、ユーザーに対して「不親切」「使いづらい」「機体を見落とす可能性がある」という点で、よろしくないですね(汗)。「さくいん」に情報掲載ページの全てを掲載すると、締め切りに間に合わないので、「写真ページだけ数えて”さくいん”に仕立て上げた」という、ウラ事情があったような、無かったような・・・(本書の仕上げの最後の最後でバタバタしている時だったので、すでに細かい部分の記憶が無い・・・)

p.157 その”さくいん”中のRF-4Eの項、p.54が抜けている。同時に一段下のRF-4EJの項に不要なp.54が入っている。つまりはRF-4Eの項に入れるべき”p.54”を、間違えて一段下のRF-4EJの項に入れちゃったのだな。同様のミスは他にもありそうだ・・・。

 

さて、私からの制作秘話は、この辺にしておきます。

気分がノったら、もう少し加筆するかもしれません(正誤表は見つけたら、都度修正するつもりです)。

こんな感じでマニア本はできるんだなぁ、と思っていただければ幸いです。

そして、いつの日か、どなたかが本書を超える本(もしくは電子的なサイト/記事)を作っていただければと思っています。

<おしまい>