<編集履歴> 26Dec.2019公開、13Mar.2023見直し更新(第6回目、41820号機の情報追加)
陸上自衛隊のUH-1Jは平成元年(1989)度予算で12機分の発注が計上されたのを皮切りに平成19年(2007)度予算で16機分を計上するまで合計130機が調達され、すでに全機が納入済みとなっている(機体の配備は1993年から)。令和4年度防衛白書の資料8より、保有機数は115機なので15機が用廃となっている(事故抹消を含む)。2022年12月6日時点で展示機や訓練機としてS/Nが確認されているものは今津駐屯地にある1機のみだ。今後、各地で古くなったUH-1B/Hとの置換や新たな展示機が生ずるものと予想している。
一方で2022年12月20日ごろのフィリピンの新聞ではUH-1Jをフィリピンに供与するというニュースが掲載されていた。用廃機あるいは特定の何機かはフィリピンに供与されることになるだろう。
写真1 UH-1Jは令和4年度(2022年)防衛白書より15機の用廃機が生じている。(2010年5月30日高遊原分屯地にて撮影)
【展示機・訓練機】
(1) 41820 / SK 今津駐屯地(35.3929N, 136.0199E)、GE-Proでは2021年4月15日取得画像より確認できる。Twitterに投稿された2022年12月4日の公開時の画像よりテイルローターとエンジンは付いていないため、広報用展示機ではなく訓練機だと思われる(ただし設置場所、ヘリコプタ運用をするため部隊の配備状況からフツーの訓練機とは性格が異なるような気がしている)。本機は2015年5月17日には霞ヶ浦駐屯地の格納庫内にあったことが確認されているが、”SK”の機体であるため、この時点で用廃であったのかまだ活躍中の機体であったのかは不明。
【参考:UH-1J用廃機数の確認方法】
(1) Wikipediaより調達数を確認する。
(2) 防衛白書の資料の部で保有機数(前年度末日時点での保有数)を確認する。
(3) Flyteamさんの写真投稿で近頃撮影されていない機体を探し出す。
(4) 事故抹消機を確認する。
(5) 上記の結果を突き合わせて推定する。
【結果】
(1) UH-1Jの調達数は130機
(2) 令和4年度(2022)防衛白書の資料表8よりUH-1Jの保有数115機。このうち事故抹消は2機なので、13機が用廃となった勘定だ。
(5) Flyteamさんに投稿された写真は撮影時期が古いものが多く、確認・検証として利用するには十分な情報を得られないと判断したため、確認結果の公表はしない。(気になる方はご自身でやってみてくださいね)
(6) 事故抹消機は以下の2機。
<事故抹消>
41871 2020年2月7日 旭川駐屯地にて吹雪の中で横転
41889 2019年6月21日 立川駐屯地で落着、テイルブーム折損
【参考・考察】
(1) 41801-41812は平成元年度(1989年)予算による調達一次ロット。運用期間を考えると2023年頃までに全機用廃となるものと思われます。(41801は2020年3月3日の時点ではすでに用廃になっているとのマニア情報あり。なお用廃となった時期は不明。)
(2) 平成2-3年の2年間は調達機はありません。
(3) 41813-41825は平成4年度予算による調達二次ロットに相当します。13号機と17号機が用廃機となっている可能性があります。20号機は今津駐屯地に置かれています。
(4) 令和元年度版より防衛白書の資料から「UH-1H」の表記が消えた(それまでは「UH-1H/J」と表記されていた)。 ちなみにUH-1Hは平成27年(2015年)に丘珠で展示されたのが最後の1機のようです。しかし防衛白書上では平成27-29(2015-2017年3月末日まで)は保有機数が「131機」となっており、UH-1Jの130機を上回っている。この間は書類上だけかもしれませんが1機が在籍していたことになる。
(5) 防衛白書に記載された保有機数の妥当性ですが、過去にF-4EJ/F-4EJ改の保有機数を間違えて記載しており、修正もなされていないという「前科」があります(別項「おかしいぞ!防衛白書のファントムの機数」参照)。このため「必ずしも正しいとは言えない数値」ですが、ほかに参照できる公的資料が存在しないので、「正しいものとして」話を進めます。
(6) Flyteamさんに投稿された写真撮影日の信憑性について。個人裁量の自由投稿でチェッカーが存在しないようですね。このため異なる機体番号の機体や、退役してから数年経過した日付に撮影された「現役機」の写真が掲載されることが時々あります。投稿数の多い写真は他の写真と見比べて間違いであることが推測できますが、投稿数の少ないものは検証することが困難ですね。私は投稿者のその他の投稿内容や写真の腕前、活動状況などから、その投稿内容の信憑性を感じ取っています。
以上