用廃機ハンターが行く!

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【情報求む!】大津駐屯地のF-86Dの胴体マークについて

<編集履歴> 16Jun.2023公開

 

 去る2023年4月29日に開催された陸上自衛隊大津駐屯地の創立記念行事に行って、展示されている機体の写真を撮ってきました。展示されているF-86D(14-8222、F-86D供与最終号機)の胴体左側には「狼の頭(セイバードッグだから山犬の頭かな?本記事では”狼頭”としておきます)」のワンポイントマークが記されています。このマークは一体何でしょう?というのが今回のお題です。

写真1 陸上自衛隊大津駐屯地に展示されているF-86D(14-8222)。コクピット後方下部に「狼頭」のワンポイントマーキングがある。(2023年4月29日撮影)

 

【問題提起】

 航空史に強いヒコーキ雲さんの「大津駐屯地」に関する記事を読むと、最も古い写真撮影日は1980年5月で、現在の展示場所に移転される前の姿が見られますが、この時点で既にマークが書き込まれています。その後、2003年5月24日に撮影されたマークの写真には「狼頭」の下に消えかけた「102 SQ」の文字が見えます。そして「小牧基地第3航空団第102飛行隊のエンブレムが胴体に残っています。」というコメントが書かれています。

ここで「本F-86Dに描かれた「狼頭」は本当に第102航空隊のエンブレムか?」という問題提起をしておきます。

・参考:ヒコーキ雲さんの大津駐屯地に関する記事はこちら;

陸上自衛隊大津駐屯地 展示機

写真2 「狼頭」の拡大。他の写真からのトリミングです。なぜかしっかりと拡大写真を撮ってくるのを忘れてしまった・・・。でも費用対効果の観点から、恐らく多分きっともう二度とココには行かない。新たな用廃展示機が設置されない限りは。(2023年4月29日撮影)

 

【状況確認】

(1) ヒコーキ雲さんのサイトに掲載されているF-86Dの現役時の写真を全てチェックしましたが、「胴体にワンポイントマーク」を描いた機体は見当たりませんでした。

(2) 次の文献掲載写真をチェックしましたが、やはりマークを描いた機体の写真をみつけることはできませんでした。

<確認した文献>

世界の傑作機No.73「特集F-86D/K/Lセイバー」(文林堂、1976年5月)

航空ファンイラストレイテッド「F-86Sabre」(文林堂、1980年4月)

・「JASDFセイバースペシャル」(酣燈社、1983年5月)

(3) 上記文献や最近発行されたパッチ特集本(増補版を含めて3冊ほどあるが、どれを読んだのか記して来るのは忘れた)を見て当時の第102飛行隊のパッチをしましたが、「狼頭」ではありませんでした(金のシャチホコの背景に赤い稲妻のデザインでした)。

(4) 展示に際して/あるいは展示後の再塗装に際して、再塗装を実施した担当者が陸上自衛隊の大津駐屯地関連部隊のマークを書き込んだ可能性を考え、陸自のマークをネット上で確認しましたが、それらしきデザインは見つかりませんでした。

(5) 大津駐屯地にあるF-86Dには1980年5月に撮影された写真において、すでに機首、主翼端、垂直尾翼前縁部などの一部が黄色に塗られています。しかし現役時代に撮影された実機のカラー写真を見る限りでは、このような塗装例は確認できませんでした。

 

【考察】

(1) 航空自衛隊発足間もない当時、機体にパーソナルマークなどを描く習慣は無く、そもそもが用廃機あるいは展示機になってからの「いたずら書き」ではないかと考えています。

(2) F-86Dの引退は1968年。大津駐屯地で撮影された最も古い写真が1980年なので、展示されてから写真が撮影されるまでに少なくとも1回は塗り直されていると考えるのが妥当でしょう。

(3) 用途廃止になった機体に整備員がお別れの意味を込めて「狼頭」と「102  SQ」の文字を描いた可能性は捨てきれません。また大津駐屯地において展示されたあとで再塗装を行った際に、担当者が「いたずら書き」を残し、これが、その後も引き継がれている可能性もあります。

 

 上記の考察について「真相」をご存じのかた、あるいは「こういう理由ではないか?」というご意見がありましたら、お聞かせいただければ幸いです。

 

・参考の参考。本Blogでの大津駐屯地に関する記事;

【滋賀県】陸自 大津駐屯地の展示機 - 用廃機ハンターが行く!

 

【最後に雑談】

 30~50年ほど前の話は、もうわからなくなってきているのですよね~。

 例えば別記事で紹介した大阪にあった「さやま遊園」には1975年ごろまで数機が展示されていたが、知人等に尋ねると「たしかにあった!乗って遊んだ!!でも写真も残っていないので機体は何だったかわからない!!!」「ゼロ戦と言っていたが本当の所は知らない」「銀色の機体があったことだけは覚えている」などという答えが得られているが、何がどのような状態で展示されていたかという「歴史的事実の解明」には程遠い状況だ。ほかにも「未解明」の話はありますので、もし思い出したら、これらについても一報いただければ幸いです。

【大阪府】さやま遊園の展示機(記録) - 用廃機ハンターが行く!

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以上