<編集履歴> 17Dec.2023公開、22Mar.2024見直し更新(第1回目、見直し更新)
2023年度の松島、那覇、百里の各航空祭では、展示された航空自衛隊のE-2Cを”E-2D”と誤認する発言が何件かXに投稿されていた。
両機種はモデラーの知人に言わせると「鼻から尻尾まで、みんな違うじゃん!」ということだが、ここでは航空自衛隊機の保有するE-2C/E-2Dについて「パッと見た時の識別点」を書き記しておく。基本は初心者向けの話題なので、年季の入ったオッサンマニアや細部にこだわるモデラーな方は、あまり深くは突っ込まないように(笑)。
さて、どうして両機種を誤認するのだろう?「見慣れていない」ということが一番の原因だろうが、E-2Cには四翅プロペラ(54H60プロペラ)を八翅プロペラ(NP2000プロペラ)に換装した機体が3機存在しているため、この3機をE-2Dと見間違えるケースが多いようだ。(参考/航空自衛隊E-2Cのプロペラ換装機:34-3459, 34-3460, 34-3463)
・重要なポイント:プロペラブレードの枚数の違いは両機種の識別点とはならない!
写真1 この機体はオリジナルの四翅プロペラ(54H60プロペラ)を八翅プロペラ(NP2000プロペラ)に換装したE-2Cだ。E-2Dではないぞ。(2023年12月10日、那覇基地祭)
【航空自衛隊のE-2CとE-2Dの識別点】
航空自衛隊のE-2CとE-2Dの簡単な識別点をいくつか挙げておこう。冒頭に書いた通り、細かく見れば「全て違う!」ことになるので、目が慣れてきたら、アレコレと細部の違いを確認して欲しい。
1.全体的な色が違う!
・E-2C:機体の上半分はグレイ、下面は白。胴体側面、下部の塗り分けラインは波状になっている。
・E-2D:機体全体はグレイ一色。
写真2-1, 2-2 上写真はE-2Cで、下面が白く塗られており、胴体側面下部の塗り分けラインが波打っている。下写真はE-2Dでグレイ一色だ。
2.円盤(ロトドームRotodomeと言います)の縁の色が違う!
・E-2C:円盤の縁は黒色
・E-2D:円盤はグレイ一色
※注:E-2Cの54-3457号機は、(確認された期間としては)1996年2月ごろ2001年7月22日の防府北基地祭で展示された時まで、IRAN間隔としては2回分程度(約6年間)は「縁が黒くないお皿(グレー一色のお皿)」を載せていました。これは唯一の例外事例ですが、その理由は不明です。新型円盤の評価試験でもやっていたのでしょうかね?
写真3 上写真はE-2C、下写真はE-2D。ここでは円盤の縁の色だけに注目する。
3.E-2Dにはお腹に出っ張りがある!
・E-2C:お腹は白色でスッキリ。
・E-2D:お腹もグレイで主脚脇付近に張り出し部分がある。
※いやらしいことに米海軍のE-2Cの最終型、通称”E-2C-2000”には、このお腹の張り出し部分がある。タイトルや上述の文書中に再三にわたり「航空自衛隊のE-2CとE-2D」と書いてあるにもかかわらず、この米海軍機のことを指摘しようとする人がいるようなので、もう一度書いておく。「この記事は、あくまで「航空自衛隊のE-2CとE-2D」の見分け方についての文章です。」よろしいですか?
写真4-1, 4-2, 4-3 写真4-1(最上段)の写真はE-2Cのお腹。写真4-2はE-2Dの胴体右側面を斜め前から撮影したもの、写真4-3はE-2Dの胴体左側面を斜め後ろから撮影したもの。出っ張りがあるのが判るだろうか。なお、上述の通り「米海軍のE-2C」の最新型には同様の張り出しがある。
4.レドームを支える支柱の胴体接合部の形状が違う!
・E-2C:接合部は隙間があってスカスカ。反対側まで良く見える。
・E-2D:接合部にはフェアリングが設けられていて、反対側はよく見えない。
写真5-1, 5-2 E-2CとE-2Dのレドームを支える支柱と胴体接合部の違いを紹介する。ただし航空自衛隊のE-2Dの良い写真が無かったので、E-2Dについては米海軍機の写真で代用する。アンテナなど細部は航空自衛隊と米海軍では異なるので、ここでは支柱の取り付け部/円盤の先端部/お腹の張り出し部分など、本記事で紹介した部分のみに注目すること。
5.その他、イロイロ違う!(こんなトコロもチェック!)
(1) シリアルナンバー(本BlogではSNまたはS/Nと表記)。各機ごとに違うが、3桁のノーズナンバ-はE-2Cならば45Xか46X、E-2Dであれば47Xか48Xだ(2023年末時点では48Xの機体は存在していない)。
(2) 冷却用エアインテイクの形が違う・・・が、両機を見比べるか、十分に見慣れていないと分からないので、初心者向けの本記事での”識別点”としては不採用。
(3) E-2Dの後部胴体はリベットだらけ(構造が強化されているのかな?)。光加減では浮き出て見えるので、結構よく分かる。
写真6 E-2Dの後部胴体はリベットだらけ。小さくて見にくいので通常より大きめの写真を掲載する。読者の皆さんが見た時に、機体前部(写真の左半分)がツルツルに見えるのに対して後部(写真の右半分)がザラザラに見えていればOK。
最後に:
ざっくりE-2CとE-2Dの外形の違いを記しました。違いを覚えて、間違ったことをXに投稿しないよう、早く「見慣れて」くださいネ。(「見慣れる」ということは「せっせと基地に通って実物を見ましょうね」という意味を含んでます。念のため。)
以上