<編集履歴> 18Apr.2021公開、30Aug.2024見直し更新(第13回目、見直し実施)
【注意!】
所沢航空発祥記念館では、早ければ2025年(令和7年)9月頃より長期休館し、リニューアル工事を行う予定です。この工事期間中に、国内に一機しか残存していないV-44A、全機展示(一機丸ごとの展示)としては1機しかないH-19C、屋内展示となっていて、退役以来の綺麗な姿を保っているUH-1Bは防衛省へ返却される予定です。(機体は返却時に解体され、そのまま廃棄処分されるものと予想)。
これらのヘリコプターが国内から無くなる前に、人目見ておこう!と思われましたら、2025年夏までに、出来ることであるならば、2024年度中に訪問されることをお薦めいたします。(2024年8月30日記)
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所沢航空発祥記念館のヘリコプタを見よう! - 用廃機ハンターが行く!
<場所 Place> 〒359-0042 埼玉県所沢市並木1-13 所沢航空記念公園内
所沢航空発祥記念館 | 日本で初めて飛行場ができた場所。所沢航空発祥記念館。
<座標Location> 35.7990N, 139.4715E
<訪問日Visit> 20Jan.2013, 06Apr.2019, 15Apr.2021, 18Feb.2022, 29Aug.2024ほか
写真1 展示ホールのOH-6J(右上)、H-19C(中央)、V-44A(左上)。貴重な機体の展示が多いが、2025年に予定されるリニューアル工事ではH-19C, V-44A, UH-1Bを撤去する計画だ。(2021年4月15日撮影)
<行き方 Access>
<解説General>
(1) 国内で初めて動力飛行機が飛び立った地に作られた展示館。開館時間は1000-1630(入場は1600まで)、月曜日および12/29-1/1は休館。入場料大人520円(映像館は別)。
(2) 屋外に2機、展示ホールに18機(レプリカ2機を含む)が展示されている。
(3) 展示機の他に保管庫に10機近くが保管されている。例年春と秋に行われる公開イベントの際には保管庫の入口から収蔵されているの機体を覗き見ることができる。保管庫の機体を引き出して展示したり、保管庫内に入って見学することは出来ないので、幾分ストレスの溜まる公開方法だ。なお過去には保管機を引き出したり保管庫内にも入れたようだが観客側の問題(破損や盗難)により取り止めになったという”ウワサ”を耳にしたことがある。真相は不明だ。
(4) リニューアル構想が存在する。詳細はこちらへ;
公園等建設工事(所沢航空発祥記念館基本設計業務委託)簡易公募型プロポーザル方式について[公園スタジアム課] - 埼玉県
【展示機 Aircrafts】
<屋外>
(1) YS-11A (JA8732) 航空公園駅前に展示。2010年度および2017年6月末から7月頃に再塗装実施。
写真2 航空公園駅前にあるYS-11。(2022年2月18日11時ごろ撮影)
(2) C-46D (91-1143) 元はC-46AからEC-46Dに改造された機体。1978年4月19日に用廃となったとされ、1980年3月にはここに展示された。展示に際して機体下面にあったレドーム2か所を外して輸送型(C-46D仕様)に戻された。このため機体下面には不自然なパネルラインが残っている。一方で機首上部にある一つの黒いレドームは残されている。貴重な電子戦機EC-46Dを何故わざわざ手をかけて”一般形式”に戻したのかと個人的には思うが、「電子戦機」ゆえにそのままでは見せたくなかったのだろう。EC-46D電子戦機の記録はほとんど残っておらず、当時の関係者の多くが80歳を超えた現在、その存在は忘れ去られようとしている(誰か当時の手記を残しておいてくれないかなぁ。今、公開できなくてもイイから)。2011年1月、2015年1月末頃および2019年12月頃に再塗装実施。なお本機は所沢市航空公園の管理物件とのことで、記念館はノータッチの物件だ。このため博物館のホームページを見ると駅前のYS-11は「屋外展示」として紹介されているが、建物の目の前にあるC-46については一言も触れられていない(2024年1月発行のパンフレット「展示機のご案内」を見ると、本機の写真やデータも掲載されているが「※管理は所沢市」との注記が添えられている)。縦割り行政の縮図を見ているような気がするネ。「ワレ関セズ」という姿勢、ステキです♪
写真3 記念館前のC-46D。お腹にはレドームを取り去った跡と思われる円形のパネルラインが残る。本機は所沢航空発祥記念館の管理物件ではなく、所沢市(航空公園)の管理物件だ。(2013年1月20日撮影)
写真4 機首上部に残る小さな黒いレドームは電子戦機EC-46であったことの名残の一つ。その直前(写真では右側)にあるのは天測用の半球形窓を取り外したあとの台座部分だろう。右端の細長いアンテナは機体によって若干形状等が異なるものの全ての機体にあったものだ。(2022年2月18日撮影)
<屋内>
(1) T-1B (25-5856)、航空自衛隊機、空自の無償貸与機。垂直尾翼には第五術科学校(小牧基地)のマークを描いている。
写真5 国内で自衛隊機のジェット機を「上から眺められる」場所は数えるほどしかない。(2021年4月15日撮影)
(2) T-6G (52-0099)、航空自衛隊機 、空自の無償貸与機ではない。入手経路不明。
(3) KAL-2 (20001)、陸上自衛隊機。国内唯一の展示機。1982年頃には陸上自衛隊木更津駐屯地に置かれていた。元はOD色だったがT-34A、H-19C、OH-6J、UH-1B、V-44と「暗い色の機体ばかり集めた」ので、UH-1B以外の吊り下げて展示する機体は「明るい色」に塗り直したという逸話が残る。歴史的考察も何もあったものではないが、これが我が国の航空機展示施設の実態だ。
写真6 国内に唯一残るKAL-1。(2018年8月22日撮影)
(4) L-5E (S/N: 不明)、陸上自衛隊機、L-5GのS/N: "535025"を記載。国内唯一の展示機。
(5) L-21B (12032)、陸上自衛隊機としては国内唯一の展示機。民間登録形式はPiper PA-18-135だが、国内残存機は調べていない(民間小型機については調べる予定はない)。
写真7 天井から吊り下げられた各種の機体。L-21B(中央の黄色い機体)、UH-1B(L-21Bの影になるヘリコプター)、T-34A(左手のオレンジ色の機体)など。(2021年4月15日撮影)
(6) T-34A (60508)、陸上自衛隊機、塗装変更して展示
(7) H-19C (40001)、陸上自衛隊機、まともな展示機としては国内唯一の機体だが、リニューアル構想では廃棄予定となっている。国内には残骸同様の機体が河口湖自動車博物館の航空館バックヤードに残っている。2021年にV-44Aと共に本機を解体する旨の公告文書(2020年末発行)が存在していたことが発覚。貴重な機体を撤去するのか!という失望の声が多く聞かれるが、予算が無いことを理解し、かつファンデイングを実施しても維持継続費用を賄えるだけの資金が集まりそうにない(鉄道保存でも困難)ことを知っているからか、保存活動自体は実質的には存在しないように思える。
(8) OH-6J (31065)、陸上自衛隊機、塗装変更して展示
(9) UH-1B (41547)、陸上自衛隊機 リニューアル構想では廃棄予定となっている。国内には同型機が10数機が残されているが、全て屋外展示機だ。屋内に展示され、退役当時の綺麗な姿のまま残された機体は本機だけなので、廃棄予定とされたことは誠に残念だ。
(10) V-44A (50002)、陸上自衛隊機が2機導入したうちの2号機で、陸自としては国内唯一の展示機だが、リニューアル構想では廃棄予定となっている。なお同型機は航空自衛隊浜松広報館(一般公開、屋外展示)と岐阜基地(非公開、屋内保管)にある。2021年にH-19Cと共に本機を解体する旨の公告文書(2020年末発行)が存在していたことが発覚。貴重な機体を撤去するのか!という失望の声が多く聞かれるが、予算が無いことを理解し、かつファンドをやっても維持継続費用を賄えるだけの資金が集まりそうにない(鉄道保存でも困難)ことを知っているからか、こちらも保存活動自体は実質的には存在しないようだ。
(11) ニューポール81E2、機首部のフレームとエンジンのみ。後述するが、レプリカも展示されている。
(12) 中島91式戦闘機(二型) 1933年(昭和8年)1月に製造された製造番号(c/n.)237号機の胴体のみを展示。日本航空協会認定「重要航空遺産」、経済産業省「近代化産業遺産(平成20年度)」
写真8 中島91式戦闘機(二型)の胴体。(2022年2月18日撮影)
(13) 霧ヶ峰式はとK-14型プライマリーグライダー (JA0148)
写真9 (2021年4月15日撮影)
(14) セスナT310P JA5170、右翼を外した操縦席見学用・構造紹介用機
(15) ハンググライダー
(16) 富士ベル204B-2(JA6027) 朝日航洋株式会社から貸し出され、2022年7月14日より一般公開されていた動態保存展示機。しかし、2024年8月29日に訪問した際には館内には置かれていなかったので、私自身は未撮影の機体だ。
【レプリカ】
(R1) 会式1号航空機のレプリカ エントランスホールに吊り下げられている。
(R2) ニューポール81E2のレプリカ 脇に骨組みだけ・機首部分だけのホンモノがある。見るならホンモノをジックリ観察しよう。
【その他】
(模型1) グラーデ単葉機 2010年に千葉県の航空科学館が企画展「日本の初飛行100年」の際に制作した80%模型。2021年3月30日から2022年3月31日まで開催されている「所沢飛行場110周年記念特別展 所澤飛行場空を拓くものがたり~第二章~二人の空の開拓者 発明家 日野熊蔵 と 航空人 徳川好敏」にて展示されている。
写真9 グラーデ単葉機の80%模型。(2022年2月18日撮影)
【保管庫】
(1) F-86D (84-8102)、航空自衛隊機(開館当初は屋内に展示されていた)、空自の無償貸付機ではないとのこと。入手経路不明。
写真10 保管庫内のF-86D。左上には人力飛行機が見える。(2019年4月6日撮影)
(2) 川崎ベル47D-1 (H-13E) (30003、陸上自衛隊機
(3) V-107A (51734 / KV-107II-4)、陸上自衛隊機
(4) TH-55J (61328)、陸上自衛隊機
(5) UH-1B (41560)、陸上自衛隊機
(6) Mi-8PA (JA9549)、元朝日航洋使用機(過去の一時期展示)
写真11 保管庫内に眠るMi-8。(2019年4月6日撮影)
(7) Piper J-3C-65 カブ (JA3925)
(8) 人力飛行機
【レプリカ】
(R1) Fokker D VIIIのレプリカ (4253/18)
※かつてはセスナ150L (N1794Q)、セスナ170B (JA3052)、FA-200-180 (JA3751)、ASW-15B(JA2150)および中島97式戦闘機(キ-27のレプリカ、後述)も存在したが、その後の確認はされていない。
【過去に展示された機体】
(1) ゼロ戦52型 (NX46770)、尾翼には"61-120"と記載したアメリカはプレーンズオブフェイムの所有機。1978年と1995年にも来日したことのある”栄”エンジンで飛ぶ機体。2012年12月1日~2013年3月31日展示。
(2) Extra EA-300S (JA11DB) エアレース展に合わせて実機が展示された。
写真13 エアレース展で展示されたExtra300S。(2018年8月22日撮影)
(3) 中島97式戦闘機(キ-27)のレプリカ。2015年8月16日にテレビ朝日系で放映されたテレビドラマ「妻と飛んだ特攻兵」撮影に使われた機体で2016年4月19日より展示開始。展示終了日のアナウンスは見つからないが、恐らくはアンリファルマン機を展示する際(2019年8月1日展示開始)に保管庫に移したか、あるいは所有者に返却したものと考えている。
写真14 中島97式戦闘機(キ-27)のレプリカ。(2018年8月22日撮影)
(4) アンリ・ファルマン機(1910年型)。1910年12月19日に国内初の動力飛行を行った由緒正しき機体。かつて神田にあった交通博物館に展示されたあと、入間基地修武台記念館にて展示されていた機体だ。フランス航空教育団来日100周年記念事業の一環として2019年7月より埼玉県が航空自衛隊からの無償貸与を受け、同年8月1日より展示された。当初は2019年12月までの特別展であったが、2020年3月まで延長となり、最終的には2022年3月27日(日)まで延長して一般に公開された。一般公開終了後は一週間ほどかけて分解梱包して(航空自衛隊入間基地へ)返却された。現在は入間基地内の修武台記念館にあり、月二回ほど催される一般見学ツアー(無料、詳細は入間基地HP参照)の際に見ることができる。
写真15 アンリ・ファルマン機は2019年8月1日から2022年2月27日(日)まで展示された。(2021年4月15日撮影)
【委譲・廃棄された機体】
(1) 川崎ベル47G-3B-KH4(H-13KH)(JA30213)、 2008年頃に日本大学に移譲された。正確には陸上自衛隊に返却後、陸上自衛隊から日大へ貸与された形だが、機体は日大生産工学部津田沼キャンパスに直送されている。残念ながら本機は2021年2月19日に解体撤去されてしまった。
【千葉県】日本大学生産工学部のH-13KH(KH4)(撤去済、記録) - 用廃機ハンターが行く!
以上