用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

【静岡県】静岡航空資料館

<編集履歴> 08Dec.2023公開、23Dec.2023見直し更新(第3回目、加筆、写真追加)

 

There are some interesting collections at this aero-museum of Shizuoka Institute of Science and Technology (SIST), located near Shizuoka airport, Shizuoka pref.. Open 1000-1600, Wed. and Thu. only, and need reservation via its HP.

 

<場所 Place> 〒421-0411 静岡県牧之原市坂口2053-01 静岡航空資料館

航空資料館 | 静岡理工科大学グループ

<座標 Location> 34.7861N / 138.1826E  

<訪問日Visit> 20Dec.2023

<行き方 Access> 

(1) JR藤枝駅南口から藤枝市富士山静岡空港アクセスバスに乗車し、「空港南」で下車。

所要約30分で、運賃は片道500円、往復券800円。資料館見学に利用できるバスは一日4本程度なので、運行時間をよく確認して利用しよう。

富士山静岡空港アクセスバス/藤枝市ホームページ

(2) 原則として車で訪問し、周辺の観光地等を巡るとよい。

 

<解説General>

(1) 静岡理工科大学の航空工学関係の実習を行う坂口実験場の一角に実習設備を兼ねて2013年11月(平成25年)に設立された資料館。静岡県の航空に関する歴史や県内の航空関連の物品等を展示する。現在では教育カリキュラムが変わったために学生達がここで実習を行うことは無く、大学付属の資料展示館としての位置づけだという。

(2) 訪問に際しては上記HPより事前申込みが必要となる。おそらく人が常駐しておらず、見学希望のあった時に、担当者を現地に派遣する仕組みなのだろう。見学可能な日時は原則として毎週水曜日、木曜日の10:00~16:00だ。臨時休館日もあるので、申し込む際にはHPにて開館日をよく確認すること。当日の見学は受け付けていないので注意すること(上述のように人が常駐していないために対応できない)。入場料は無料だ。

(3) 館内にはT-33Aの前部胴体、固定翼機2機、グライダー3機、自作機1機が置かれている。またJR西日本が管轄していた交通科学博物館(大阪 弁天町、閉館)に展示されていた航空機やエンジン等を借用して2016年初めから展示している。エンジンはピストンエンジン11基(当館所蔵エンジン1基を含む)、ジェットエンジン3基、そしてロケットエンジン2基がある。

(3) 当資料館収蔵品は主に次の5つのルートで入手されている;

 1) 東京にあった交通博物館(2006年に閉館した後は鉄道博物館所有物)の展示物

 2) 大阪にあった交通科学博物館(2014年に閉館後はJR西日本所有物)の展示物

 3) 東京の交通博物館閉館後に大阪の交通科学博物館で展示されていたもの(所蔵者は鉄道博物館

 4) TOPクラス(鈴与)の人脈

 5) 個人・団体等からの寄贈

 ※上記1)2)3)の関係が複雑だ。展示物一つ一つについて、より緻密にお話を伺う必要がある。

【展示機 Displayed Aircrafts】

(1) T-33A (71-5323) 前部胴体部分のみを保管。2004年ごろには浜松市南区の個人所有物であったが、2015年ごろに寄贈された。その経緯は以下のブログに掲載されている。

元愛機が余生を静岡理工科大学航空資料館でおくる事に・・・ | tujimonのブログ

写真1 かつては個人所蔵品だったT-33Aの機首部。(2023年12月20日撮影)

 

(2) セスナ172M (JA3767, cn. 17267442) 実習用に使用されていた。

写真2-1, 2-2(2023年12月20日撮影)

 

(3) エアロコマンダー680F (JA5075, cn. 1001-40) 大阪の交通科学館に展示されていた機体で、現在は写真を見ての通り、主翼と尾翼が外されているが、外されたパーツ類は機体脇に置かれている。本機を引き取ってくれるなら、他の展示物(エンジンや模型等)も貸し出すという条件だったので、一式借りてきたとかナントカ。少しづつ修復しているそうです。

写真3(2023年12月20日撮影)

 

(4) 三田3改1 (JA2103, cn. 69-17) グライダー三代展示のうち、最も古い鋼管羽布張りの機体。

写真4-1,4-2(2023年12月20日撮影)

 

(5) レット・ナドニー・ポドニク・クノビーチェL-23スーパーブラニク (JA2480, cn. 90-7622) グライダー三代展示のうち、全金属製のもの。

写真5-1, 5-2(2023年12月20日撮影)

 

(6) グローブ・スピード・アスティアーII (JA2249, cn. 4001) グライダー三代展示のうち、最近の主にプラスチック成型品でできたもの。三田3改からは「かなり洗練されて進化した」という様子が判る。日本国内にグライダーを展示してある場所は意外に少なく、まして古いグライダーから新しいグライダーへの変遷をマジマジと見られる場所となると、実は国内では本館だけだったりする。

【まとめ】民間機の展示機(グライダー編) - 用廃機ハンターが行く!

写真6-1, 6-2(2023年12月20日撮影)

 

(7) 超軽量飛行機 (S/Nなし) 国内の個人がドイツのBu131に似せて製作し、2006年に完成した超軽量航空機。浜北滑空場でジャンプ飛行に成功した。その後、浜松科学館に展示されていたが、同館のリニューアル事業にて不要となり、2019年3月に寄贈された。

写真7-1, 7-2 個人が製作した超軽量飛行機。(2023年12月20日撮影)

 

【エンジン Engines】

エンジンはピストンエンジン11基(当館所蔵エンジン1基を含む)、ジェットエンジン3基、そしてロケットエンジン2基があるという。詳細は未調査だ。

(1) マイバッハ HSLu型(鉄道博物館所蔵)

(2)  ル・ローンC型(鉄道博物館所蔵)

(3) ベンツ

(4) イスパノスイザ(鉄道博物館所蔵)

(5) カーチス R3350 ライトサイクロン1B

(5) P&WツインワスプR1830 (旧交通博物館JR西日本

(6) ハ-45(誉)(鉄道博物館所蔵)

(7) コンチネンタルIO-470L(鉄道博物館所蔵)

(8) コンチネンタル O-470-11

(9) エアリサーチ TPE331-1-15A

(10) ライカミング ITO-540-R2AD

(11) R.R.ダーウェント5(鉄道博物館所蔵)

(12) アリソンJ35

(13) JO-1(鉄道博物館所蔵)

(14) HWK109-503A メッサーシュミットMe163Bのロケットエンジン。説明板が二つあり、一つには503A-1、もうひとつには503A-2rと書かれている。どちらが本当かは未調査のため不明。

(15) XLR-11-RM-5 ベルX-1に搭載されたロケットエンジン

写真 Me163Bのエンジン、HWK109-503A。(2023年12月20日撮影)

 

【その他Others】

 写真を撮影してきた範囲でザッと紹介する。他にもイロイロ面白いモノがあるので、自ら訪問して確認しよう。私は現地に2時間滞在したが、正直いって時間が足りなかった(笑)。暖かくなったら、再訪したいと思っている。

(1) 航空機模型展示室(タミヤコーナー)

 静岡県のプラモメーカー(株)タミヤより、2014年11月から航空機プラモデル(1/32~1/48)の寄贈を受けて展示している。当初は90機程度だったが、適宜追加されて現在は100機程度とのこと。県内にはアオシマやハセガワというメーカーもあるが、(株)タミヤから寄贈を受けたのはTopレベルの関係者の人的繋がりによるものだそうな。

写真 約100機の(株)タミヤ製の航空機プラモデルが展示されている。(2023年12月20日撮影)

 

(2) フライトシミュレーター室

 大型画面を使ったシミュレーター3台(あれ?写真に写る2台だけだったっけ?)、パソコン画面のみの簡易版が2~3台ある。

写真 シミュレーター室の様子(2023年12月20日撮影)

 

(3) 別館

 本館裏手にあるもう一つの建物。かつて大阪にあった交通博物館にて展示されていた模型や寄贈品、絵画などが展示されている。

写真 館内中央に置かれているのは三田3型グライダーの主翼(だったハズ)(2023年12月20日撮影)

 

(4) 図書資料

 個人的に興味のある「博物館の図書スペース」設置状況。もともとは大学での実習設備ということもあり、教科書的な冊子が書棚の一角を占める。雑誌類はやや古いものが多い。図書スペースの在り方に関する私個人の見解は別記事にまとめるので、興味ある方はご参照ください。

【雑談】航空博物館の図書スペースについて - 用廃機ハンターが行く!

写真 シミュレーター室の一角にある書棚。(2023年12月20日撮影)

以上