<編集履歴> 24Apr.2021公開、07Mar.2023見直し更新(第4回目、BK117搬入)
【はじめに】
本記事では岐阜かかみがはら航空宇宙博物館に関する三部構成の記事の第一部として本博物館の概要と屋外展示機について紹介する。その他の機体等については別記事を参照されたい。
・大ホールにある戦後の機体についてはこちら:
【岐阜県】岐阜かかみがはら航空宇宙博物館(その2、屋内展示の戦後の機体) - 用廃機ハンターが行く!
・戦前の機体や非公開の収蔵機、その他についてはこちら:
【岐阜県】岐阜かかみがはら航空宇宙博物館(その3、戦前の機体や収蔵機、その他) - 用廃機ハンターが行く!
【概要】
<場所 Place>〒504-0924 各務原市下切町5丁目1番地 岐阜かかみがはら航空宇宙博物館【空宙博】岐阜かかみがはら航空宇宙博物館公式ウェブサイト
<座標Location> 35.3881N, 136.8619E
<訪問日Visit> 03Jan.2008, 08Oct.2017, 19Aug.2018, 11Nov.2019, 16Dec.2020ほか
写真1 展示ホールには大型機を含めて約20機が並ぶ。(2019年11月11日撮影)
<行き方 Access>
(1) 名鉄各務ヶ原線、各務ヶ原市役所前駅からルートの異なる2系統バスの便あり所要時間は10分~30分程度。平均して2時間に1本なので事前によく時間を確認すること。
(2) 名鉄各務ヶ原線、各務ヶ原市役所前から徒歩で4.0㎞程度、約50分。
(3) 名鉄各務ヶ原線、二十軒駅から基地の外周を時計回りに約4.2㎞、徒歩で約55分、空の森公園から約3.0㎞、徒歩で約40分。
【解説General】
(1) 国内最大の規模を誇る航空博物館。1996年3月23日にオープンした当時は「かかみがはら航空宇宙博物館」であったが、2005年4月からは「かかみがはら航空宇宙科学館」に改称、さらに2016年から2018年3月まで閉館してリニューアル工事を行い、3月24日からは岐阜県と各務ヶ原市の共同所有・共同運営形態となり「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館」に再度改称している。略称は「空宙博(そらはく)」。
(2) 開館時間は平日1000-1700(入場は1630まで)、週末・祝日は1000-1800(入場は1730まで)、毎月第一火曜日および12月28~1月2日は休館。定期休館日以外にも臨時休館日があるので訪問前には必ずHPで確認すること。入場料大人800円。
(3) 屋外に4機、展示大ホールに20機(モックアップ含む)、その他レプリカを含む数機の合計約30機が展示されているほか、非公開の保管庫にも数機が収蔵されている。
(4) 千葉県成田空港脇の航空科学館は博物館法上の「登録博物館」だが、こちらは規模はより大きいもののワンランク格下の「博物館に相当する施設」だ。あえて「登録博物館」としていないこともあるかもしれないが、おそらくは専門の「学芸員」の確保が出来ていないからではないだろうか(博物館法の定義から「学芸員」はいないが「学芸員相当の職員」がいるハズだ)。 まぁ、きちんと運営されていれば登録だろうが非登録だろうが構わないというのが私の立場だ。法的に「ハクがつく」よりも実質的な中身で勝負して欲しいと思っている。
(5) 横山晋太郎著「航空機を後世に遺す 歴史に刻まれた国産機を展示する博物館づくり」(グランプリ出版、2018年)には本館の設立趣旨や展示物にまつわる様々な裏話や抱える問題点などが述べられている。ヒコーキを自宅に飾りたいなと考えた方で、もう一歩踏み出そうという気持ちがあれば一読することをお薦めします。
(6) 本館のボランティア小山氏のサイト。裏話も多数ありますので訪問してみてください。こやまの航空宇宙博物館雑記帳
【屋外展示機】
(1) V-107A (51804) 陸上自衛隊が沖縄で運用していたV-107Aには白/オレンジ/黒の塗装が施されており”沖縄塗装”などと呼ばれていた。(V-107Aの運用末期には通常迷彩機も配備されていた)。本機は国内に残る唯一の沖縄塗装機だがローター上面には迷彩が残っている。本機の運用末期には通常機のローターを取り付けていたのか、それとも展示に際して程度のより良い通常機のローターを取り付けたのかは不明だ。なお一般には川崎重工の製品名であるKV107II-4と記述されることが多いが、本BlogではV-107Aと記述する。
写真2 陸上自衛隊が沖縄で運用していた当時の塗装を残したV-107A。(2019年11月11日撮影)
(2) P-2J (4782) 米軍から供与され、のちには川崎航空機(後の川崎重工)でも製造された対潜哨戒機P2V-7を日本で独自に改良した対潜哨戒機。事故を起こすことも無く全83機(UP-2Jへの改造4機を含む)が無事に退役した。なお原型となったP2V-7は鹿児島県鹿屋基地の航空史料館に1機だけが残されている。屋外展示で老朽化も激しいので、撤去される前に早めに訪問して両機を見比べておこう。
写真3 屋外にある対潜哨戒機P-2J。派手さは無いが通好みの機体だ。(2019年11月11日撮影)
(3) US-1A (9078) 戦後の国産飛行艇開発はUF-XS(データ取得用の実験機、屋内に展示)→PS-1 →US-1(→US-1A)→US-2と進化してきた。洋上での離着水しかできなかった対潜哨戒機PS-1に頑丈な主脚を取り付け、滑走路に離着陸できるようにしたことが外形的な特徴か。US-1のエンジンをパワーアップしたものがUS-1Aだ。「飛行艇」の特徴である船のような機体下部全体や本機の特徴である主脚を折りたたむギアの部分は間近に見られるのでジックリと観察して欲しい。1995年12月12日に岩国基地から岐阜基地にフェリーされた。2022年9月6日から12月末までの間に再塗装と補修工事を実施している。
写真4 救難飛行艇US-1A。屋内にあるUF-XSがどのように進化したのか確認してみよう。(2019年11月11日撮影)
(4) YS-11A-500R (JA8731) 元エアーニッポン機。言わずと知れた戦後初の国産旅客機。国内では旅客機としての運用はすでに終わっているが、エンジンを換装した特殊用途機が航空自衛隊で2027年ごろまで使われる見通しだ。
写真5 ときどき機内公開を行っているYS-11。(2019年11月11日撮影)
(5) BK117A-4 (6001/ATLA) 2023年2月23日に一旦は大ホールに収められた元防衛装備庁の機体。博物館の当初予定では屋外に乗降用の台座を設けて「体験搭乗用」とするハズなので、こちらに掲載する。2023年3月25日にお披露目式典が行われる予定だが、それまでには設置場所が定まっていることだろう。
【展示後に撤去】
(1) SA.316B アルエットIII (JA9023) 元名古屋消防局の機体。本館の趣旨に合わないとして撤去されたという。現在はヘリコプター歴史保存協会が保有すると聞いたことがあるが、確認したことはない。
写真6 開館から数年間は展示されていたが撤去されたアルエットIII。(2008年1月3日撮影)
以上