用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

【茨城県】陸自 霞ヶ浦駐屯地の展示機

<編集履歴> 07Dec.2023公開

 

<場所 Place> 〒300-0837 茨城県土浦市右籾2410 陸上自衛隊 霞ヶ浦駐屯地
(連絡先は関東補給処総務部広報班)

霞ヶ浦駐屯地ホームページ

<座標 Location>  36.0383N, 140.1907E

<訪問日Visit>  20May2012, 17May2015ほか

<行き方 Access> 

(1) JR常磐線荒川沖駅より約2.5km、徒歩約30分。基地公開の際には無料シャトルバスが運行され、10分程度で駐屯地正門まで行くことができるが、近年では来訪者が増えたために30分程度は並ぶようだ。状況を見て、バスを待つか、歩くかを考えよう。

 

<解説General>

(1) 陸上自衛隊の装備品の部品等を集積・保管する関東補給処と航空整備員を養成する航空学校霞ヶ浦校が主たる駐留部隊だが、首都防空を担う航空自衛隊第1高射群第3高射隊も存在する。例年5月中旬頃から6月中旬頃にかけて一般公開行事が行われる。広報センター脇に3機ノヘリコプターが展示されている。

(2) 陸上自衛隊のヘリコプターは原則として本駐屯地に飛来して用廃となり、必要な部品は外されて関東補給処で保管される。部品を外し終えた機体は年に2~3回程度の入札により解体され、有価物として売却される。気になる方は調達情報を定期的に確認しよう。また用廃機を貸し出す場合も本駐屯地に集められた機体を「発送」することが多い(飛べないので、当然陸送だ)。

・参考:【基礎編】用廃機の発生するところ - 用廃機ハンターが行く!

(2) 広報センターにある展示物(展示機や展示車両を含む)は訪問する3日前まで(土日祝日含まず)に連絡すれば見学可能だ。もちろん「何事もない場合」に限るワケだが。とにかく、思い立ったら広報に電話してみよう。

【教材機 Aircrafts for education】

霞ヶ浦航空学校では次の2機を整備員教育用に用いている。

(1) ビーチキングエア350機(S/N ?、23050と記入) LR-2の整備訓練用として民間中古機を米国から購入し、LR-2同様の塗装を施して”23050"という番号を記入している。2001年4月15日の公開時に初めて確認された(JW誌2001年6月号p.7参照)。

(2) ベル412 (JA6714, cn.36053)  2021年11月12日付で登録抹消され、同日付で防衛省に所管換えとなった機体。構造の同じUH-2の整備訓練機として使用されている(※)。塗装から元海保機と分かるが、JAナンバーと愛称は消されていて、外観からでは詳細は分からない。

航空ファン誌2023年1月号No.841p.77「陸上自衛隊航空機整備員育成の「総本山」航空学校霞ヶ浦校の現状を分校長、教官、学生の姿にみる」数馬康裕

 

【展示機 Displayed Aircrafts】

(1) OH-6D (31311) 公式Twitter2021年8月12日付の投稿写真にて、31311号機が「置かれている」ことは確認されていた。2021年10月には以前の31265号機と「交換されていた」との情報あり。

写真1 未撮影(2024年末までに訪問して貼り付ける予定)

 

(2) UH-1H (41685) 2008年5月の公開時以降、存在している。

写真2-1, 2-2 2012年5月に訪問した際にはかなり褪色していたが、その後、塗り直されている。そろそろUH-1Jと置換されるのだろうか。(2-1: 2012年5月20日、2-2: 2015年5月17日撮影)

 

(3) V-107A (51815) 機首にウエザーレーダー、胴体両脇に大型スポンソンを取り付けた”沖縄仕様機”だ。

写真3-1, 3-2 その辺のV-107とは少々違うぞ。(3-1: 2012年5月20日、3-2: 2015年5月17日撮影)

 

【展示後に撤去】

(1) OH-6D (31187) 2008年5月~2012年5月存在、2013年5月の公開日以前に31212号機と置換された。

写真4 31212号機と置換されて撤去された31187号機。(2012年5月20日撮影)

 

(2) OH-6D (31212) 2013年5月の公開日に確認、2018年5月公開時には31265号機に置換されており、すでに無くなっていた。

写真5 31265号機と置換されて撤去された31212号機。この時には後方にTH-55Jが置かれていた。(2015年5月17日撮影)

 

(3) OH-6D (31265) 2018年5月26日公開時より存在するも2021年10月には31311号機に交換されていたとの情報あり。なお公式Twitter2021年8月12日付の投稿写真にて、31311号機が「置かれている」ことは確認されていたが、この時点で31265号機と「交換されていた」かどうかは確認できなかった。本機の写真は撮影していない。

 

(4) TH-55J (61326) 2002年9月から2013年5月の間に写真にて存在が確認されている。その後、数年間にわたり写真記録が見つかっていないが、2019年に撤去されたとのこと。

写真6 アスベスト対策のために消えて行ったTH-55J。(2012年5月20日撮影)

 

【その他】

 広報センター館内にはイラク派遣時に使われたUAVがある。また屋外には60式自走迫撃砲61式戦車、73式装甲車、74式戦車、74式105mm自走榴弾砲、砲側弾薬車(B)、JTPS-P5 対空レーダー装置、JMPQ-P7 対砲レーダー装置、各種ミサイルなどが展示されている。

写真7 館内に展示されたUAV。(2015年5月17日撮影)

 

写真8 陸自展示車両の定番、61式戦車。(2015年5月17日撮影)

 

写真9 こちらも陸自展示車両の定番、74式戦車。(2015年5月17日撮影)

 

写真9 霞ヶ浦に行ったら、まずこれを見ろ!といわれる超スーパーレア車両「側弾薬車(B)」。73式けん引車を改造した87式砲側弾薬車の試作車だが、新造車両である「側弾薬車(A)」とのコンペで敗れたため、量産には至らなかった。(2015年5月17日撮影)

 

写真11 ミサイル各種。64式対戦車誘導弾(左手前。型式名ATM-1、通称”MAT”)、81式短距離地対空誘導弾(中央)、基本ホーク(右奥)。(2015年5月17日撮影)

 

(2) 駐屯地内の航空自衛隊第3高射群庁舎の脇にはナイキJの弾頭部分がモニュメントとして置かれている。駐屯地公開時の開放エリア設定によっては見ることができないが、訪問したら行けるところまでは行ってみよう。

 

【駐屯地公開】

(1) かつては霞ヶ浦校のAH-64Dや北宇都宮駐屯地のスカイホーネットがデモフライトを行ったこともあったが、近年では整備訓練用の機体を並べる程度となっている模様。

(2) 上述の通り、全国から用廃となる機体が集められている。運が良ければ、倉庫内にズラリと並んだ機体を見ることができる。またLR-2の整備訓練用として使われているビーチキングエアや海上保安庁から移管されたベル412などを見ることができるかもしれない。

以上