用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

【基礎編】用廃機の発生するところ

【はじめに】

 どこで用廃機が発生するかって?「今までその機体を使っていた基地に決まってんじゃん!」という方は少々間違ってます。

 私自身は防衛関係者ではないので、外から見たコト、聞いたコト、資料等を読んだコトをまとめてみました。情報を得たのは10年以上の長い期間に渡っておりますので現時点での要領や手順とは異なっているかもしれませんが、その辺はお許しください。「ご参考程度」として読んでいただければ幸いです。

 

航空自衛隊

1. 原則として「耐用命数の尽きた(用廃となった)」機体を直前まで運用していた基地で管理します。広報展示機の場合には書類手続き上は基地所属から本省所属へ変更され、これを展示場所に貸し与える形になると思いました(十分に確認できていない事項です)。もともと当該機を運用していた部隊もしくは展示場所に近い同機種の運用部隊に対しては本省からその機体の貸与に際してフォローする旨の業務命令・依頼が発せられる形になるのでしょう。

2. 航空自衛隊の戦闘機を庭先に飾りたい!という場合には、お近くの地方協力本部か本庁の広報担当部署にご相談。話がまとまれば恐らくは申請書提出→本省審査・承認→本省から機体を持っている近隣の基地・部隊への指示→基地側で移送手配→めでたく設置という流れになるハズです(ザックリ説明です)。広報展示を行う場合には「無料で貸し出す」ので機体自体の費用は不要ですが、事前に展示場所の整備費用、基地から展示場所までの移送費用、展示中の管理費用が発生します。また恐らくは「返却時の移送費用」も必要となるハズです。さらに用廃機を貸与されることが決まってから移送するまでに時間がかかる場合には用廃機の地面への投影面積に対して「国有地を借りて置かせてもらっている」状態となるので「土地使用料」が発生します。展示までの準備にかかる費用は機体の大きさや搬送距離にもよりますが1千万円以上(1990年代ごろに聞いた価格)とのこと。現在では人件費などの経費が上がってますし、機体も大きくなっているので数千万円程度と考えておいてよいでしょう。

3. 機体を廃棄してスクラップにする場合には機体を直前まで運用していた基地で必要な部品や機密部品を取り外して「有価物(金属くず)としての売り払い」や「廃棄物(防衛省としては不要かつ保有していても価値のない物品)」という形にしたのち、「有価物の売り払い」や「廃棄物処分をお願いします」という内容の公告を発し、入札を行って処分業者を決めます。公告は各基地の調達情報で見ることができます。事故機を処分する場合も同様です。また廃棄処分の際の条件として「二度と飛べないように」、「コクピット後部から主翼前縁の間」、「胴体と翼」「垂直尾翼の前、主翼後縁辺り」、「胴体と垂直尾翼」を切断することが求められます。これは公園などに永らく展示されていた古い機体についても適用されます。

4. 永らく近隣の公園等に貸与展示し、ボロボロになった機体を処分する場合には展示場所側と取り決めの上、現地で解体して廃棄物業者に搬送するか、解体後に一旦基地に搬入してから、改めて処分するかのどちらかとなるハズです。現地解体、基地もしくは処分場への搬送、その後の処分などは状況に応じた形で入札を行い、業者を定めて実施します。「貸与」した機体は一度防衛省(基地)に「返却」したのち、所有者である防衛省(基地)が処分を行う(上述の廃棄物処分の公告を出す)という流れが基本だと思いますが、これを律義に行うと移送費がかさみますね。書類上の手続きだけで済ますなど、やり方の見直しがあることでしょう。(詳細は知りませんので「無駄がありそうだな~」という疑問提起程度にしておきます。)

f:id:Unikun:20121021121012j:plain

写真1 動翼など使用可能な部品を外され解体を待つRF-4EJの用廃機群。(2012年10月21日航空祭にて撮影)

 

陸上自衛隊

1. 陸上自衛隊の機体の場合、現地で教育用に使用するとか駐屯地の近隣で広報展示するなどの特別な理由が無い場合は最後に霞ヶ浦駐屯地の関東補給処航空部に飛来して航空機としての生涯を終えます(冒頭で「今まで使っていた基地で用廃になるワケではない」と書いた理由です)。ここで使える部品や機密部品を取り外して保管し、必要に応じて部隊に供給したり、一括して廃棄するための諸手続きを行っているのですね。

 このため倉庫の中でUH-1、OH-6、AH-1などの用廃機がズラリと並んでいる様子が公開日に見られることがあります(近年は管理が厳しくなって見られないことが多い)。またネット上には用廃となったAH-1が並んでいる様子などがありますので、興味ある方は検索してみてください。

2. 陸上自衛隊機を展示したい!という場合の手続きは航空自衛隊と同じです。関東補給処に一度運び込んでから展示用に搬送すると費用が嵩む場合がありますので、なるべく早めに相談して、近くの基地から搬送できるようにしましょう。

3. 貸与・展示された機体を処分する場合は航空自衛隊機と同様ですが、感覚的には駐屯地に持ち帰らず現地で解体して廃棄物業者に直接搬送する例が多いように思います。駐屯地の廃棄物置き場に置かれている元展示機の目撃例が少ないだけかもしれませんが・・・。

f:id:Unikun:20151011153113j:plain

写真2 広報展示予定機や教材用機は用廃となった後も駐屯地内に残されている。(2015年10月11日木更津駐屯地祭にて撮影)

  

海上自衛隊

1.海上自衛隊の機体の扱いは原則として航空自衛隊同様です。ただし舞鶴航空基地および硫黄島基地の所属機は用途廃止となる1~2年くらい前にはその他の基地に移籍させます。その基地で用廃としたあと、管理・保管・廃棄物としての処分を行うようです。恐らくは近隣に適切な解体処分業者がいないための処置でしょう。

f:id:Unikun:20050529124514j:plain

写真2 必要な部品を外し解体を待つHSS-2B。(2005年6月30日下総基地祭にて撮影)

 

以上

編集履歴

04Mar.2020 公開

24Jan.2021 見直し更新(第2回目、なんちゃって講座風に書き直し)