<編集履歴> 10Oct.2022公開
<場所 Place> 鹿児島県南さつま市加世田高橋1955-3 万世(ばんせい)特攻平和祈念館
https://kanko-minamisatsuma.jp/spot/7570/
<座標 Location> 31.4373N, 130.2954E
<機体 Aircraft> 愛知航空機 零式水上偵察機(製造番号:九飛41116号)、本記事では零三座水偵と略す。
<訪問日Visit> 27Mar.2011, 07Sep.2017 and 09Mar.2020
写真1 海底に着底した状態で展示されている零三座水偵。フルサイズで28mm程度で撮影したもの。現在は左右から垂直尾翼上を跨ぐ”橋”が設置されている。(2017年9月7日撮影)
<行き方 Access>
(1) 鹿児島(天文館あるいは鹿児島中央駅など)から加世田バスターミナルまで行き、地域バスに乗り換える。加世田バスターミナルからのバスの便は少ないのでタクシーを使うか徒歩で行く。バスターミナルからは北西方向に道なりに約3.8kmなので徒歩でも1時間ほどで行ける。
(2) 基本は車で訪問する場所だ。
<解説General>
(1) こじんまりとした2階建ての博物館で1階に零三座水偵を海底に着底した状態で展示してある。1階は撮影可能だが、特攻関連の展示物がある2階は撮影禁止となっている。開館時間は0900-1700(入場は1630まで)、閉館は12月31日と1月1日のみだが、台風の接近時などは都度問い合わせよう。入館料は大人310円。ごく簡単ながら図書コーナーがあり、関連資料を眺めることができる。
(2) 零三座水偵は1945年6月4日、沖縄方面の夜間偵察の帰路に燃料不足となり不時着水した偵察302飛行隊所属機で乗員3名は脱出している。1992年8月22日に吹上浜沖合約600m、水深5mの海底から引揚げられた。日本航空協会より重要航空遺産に認定されている。
(3) HPなどには「国内唯一の機体」と書かれているが、じつは不完全な残骸ではあるものの、もう一機が存在している。その残骸は永らく岐阜基地に展示されていたが、2021年3月ごろに芙蓉博物館(建設中)に貸与された。(ただし2022年10月初旬の時点で芙蓉博物館のHPが無くなっており、先行きを心配しているところだ)
(4) 機体の撮影は可能だが撮影条件はあまり良くない。機体の周囲は下がることができないため、フルサイズで20mm程度以下の画角を持つ超広角レンズを持参すると良い。また展示場所は非常に暗くISO1600でf=7.1、SS=1/30秒程度の条件を必要とする。本Blogで紹介した写真はカメラの色温度設定を色々と変えている。自動設定で撮影しても構わないが、自分の好みの色になるように色温度設定をいぢくってみよう。
(5) 2021年4月頃に垂直尾翼後方に機体左右をつなぐ”橋”が設置され、機体上部を後方から見ることができるようになった。私自身は”橋”設置後には訪問していないが、翼の左右端までを納めるには10mm台の超広角レンズが必要となるハズだ。
(6) この博物館は陸軍最後の特攻基地「万世(ばんせい)飛行場」の跡地に作られている。この基地は昭和18年夏から19年末にかけて吹上浜に建設され、わずか4ヶ月しか使用されなかったが、200人近い特攻隊員が沖縄の空へと飛び立っていったという。
(7) 鹿児島から一般バスと徒歩で訪問する場合でも、なんとか知覧特攻平和祈念館とともに一日で回ることが可能だが、見学時間はほとんど取ることができない。車(バイクを含む)で訪問することを強くお薦めする。
写真2 日の丸が残る胴体部分。フルサイズ21mm程度で撮影したもの。(2011年3月27日撮影)
写真3 こちらはフルサイズで28mm程度で撮影したもの。現在は左右から垂直尾翼上を跨ぐ”橋”が設置されている。(2020年3月9日撮影)
【参考】
(1) 「日本航空機大図鑑(1910-1945)解説・索引」(国書刊行会1993)によると連合コードネームはJake、通称名称は零三座水偵、制式名称は零式水上戦闘機、試作名称はE13Aとのこと。
(2)「零戦、かく戦かえり!」(零戦搭乗員会編、文春ネスコ2004。タイトルの”零”は”ゼロ”と読む)のp.553-565に「零式艦上戦闘機の復元」(平山助成(ひらやますけなり)氏)という章があり、本機の引き揚げから展示までの話が掲載されている。この本は零戦搭乗員会の会誌掲載の投稿文章をテーマごとにまとめたものであり、「零式艦上戦闘機の復元」は平成6年(1994年)5月20日号に掲載されたものだ。
【余談】
加世田バスターミナルには1984年に廃線となった南薩鉄道の資料を展示した記念館がある。またバスターミナル周辺にはSLやDLが展示されている。
写真4-1, 4-2 加世田バスターミナルに展示されている南薩鉄道の車両。現在は塗り直されて綺麗な姿となっているが、ここでは敢えて”味のある"頃の写真を掲載しておく。(2011年3月27日撮影)
以上