用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

【四川省】成都市郊外の建川博物館聚楽

<編集履歴> 12Mar.2019公開、24Nov.2021見直し更新(第1回目、体裁を全面的に見直し)

<場所 Place>   四川省成都市中心部から南西に60kmほどの大邑県安仁鎮にある建川博物館聚楽内の航空博物館の周辺

<訪問日 Visit>    19 Mar.2017

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写真1 博物館の入口に置かれたJJ-5。(2017年3月19日撮影)

 

<行き方 Access>

(1) 成都市北東部にある茶店子バスターミナルから一時間に1~2本程度の頻度で発車するバスに乗車し、高速道経由で安仁バスターミナルまで約1時間(15元)。到着後は約1.5kmを歩くか運行頻度不明の域内バスを利用して博物館入口まで行く。

(2) 成都市石羊場バスターミナルからも安仁経由で大邑に行くバスが20分に一本程度の割合で頻繁に発着している。しかし一般道を通るために時間がかかるうえ、安仁の街の中心部は通過せず、街を迂回する形で先に進む。このため街はずれの外周道路脇が降車場所となり、博物館まで約2kmの田舎道を歩かなくてはならない。このルートはお薦めしない。 

<解説General>

(1) 「建川博物館聚楽」は中国最大の民間博物館と称されている(もちろんホントかかどうかは不明)。「抗日戦争」「民俗」「革命時代」「四川地震の震災救助」の四つのテーマに沿った20あまりの小さな博物館(展示館)が並ぶ博物館の「集落」だ。域内入場料を含め、各博物館の入場料を都度支払うと合計で200元以上かかるが、100元程度で販売される8館見学券や、一日券・二日券など数種類の割引チケットが販売されてるので見学時間と目的にあったものを購入しよう。ちなみに民俗系展示館以外ではどこかで見たことのあるレプリカや写真の展示物が多いので予め「騙されたと思って」見物しよう。

(2) 展示機は入口にJJ-5が置かれているほか、博物館集落のうちの一つである「中航工業航空三綫博物館」の周囲に4機と「国防兵器館」の裏手にJ-8Iが1機の合計6機がある。  

(3) これらのうちJ-6, Q-5, H-5, Z-5の4機と2018年に解体撤去されたJ-5とJ-7はかつて成都市南部の国防楽園に永らく展示されていたものだ。GE-Pro画像より国防楽園から2012年12月5日以降2013年1月15日までの間に搬出され、建川博物館聚楽内には2013年1月24日の間に搬入・設置されたものと思われる(中国の記事によると搬出は1月15日午前)。しかし国防楽園搬出時には相当痛んでいた機体であったため、いくつかの機体は軍から新たに払下げられたものと交換しているのではないかと個人的には考えているが、その証拠は得られていない。なお国防楽園に展示されていた頃にはJ-5(9958), J-6(9955), J-7(9957), H-5(9959), Q-5(9956)という”99**"という番号が記載されていた。またZ-5は中国民航機塗装であった。

(4) 敷地内には飛虎奇兵館(フライングタイガース展示館)もあるが、模型と写真展示のみだった。

<機体 Aircraftと座標 Location>

(1) JJ-5 (950133, 30.5036N / 103.6198E) 博物館開館に際してどこからか入手した機体で博物館入場門に置かれている。コクピット脇には青字で見にくいが「中航工業成飛」、胴体には"CAC0133"と記載されている。垂直尾翼の"FT-5"はJJ-5(殲教5)の英語訳であるFighter Trainer-5のこと。GE-Pro画像によると2010年3月13日から2012年5月9日の間に設置されている。

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写真2 入場門に置かれたJJ-5。(2017年3月19日撮影)

 

(2) J-6 (9956, 30.5034N / 103.6144E) 2013年1月まで成都の国防楽園に展示されていた機体で、その当時からS/Nは"9955"だった。

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写真3 「中航工業航空三綫博物館」の館内から撮影したJ-6。(2017年3月19日撮影)

 

(3) J-8I (201224, 30.5023N / 103.6144E) J-8Iは中国の独自設計によりJ-7(中国製Mig-21)を双発・大型化した戦闘機。GE-Pro画像より2013年1月24日から2015年2月4日の間に国防兵器館の裏手に搬入・設置された。2018年5月以降に覆いが作られたようで、衛星画像からその姿を確認することが出来なくなっている。機首左側には「中国人民解放軍 空軍贈」と書かれているが右側には機番も何も書かれていない。垂直尾翼の国籍マークの下には”201224”の番号が消えかけていた。各地で展示されている機体の多くには機体各所に4桁番号が小さく記されている(部品識別のための機体製造番号と思われる)が、本機では確認できなかった。

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写真4 「国防兵器館」にあるJ-8I。(2017年3月19日撮影)

 

(4) Q-5 (10167, 30.5027N / 103.6148E) J-6(MiG-19の中国生産機)から中国が独自に開発/改修した攻撃機。2013年1月までは成都の国防楽園に展示されていた機体と思われるが、当時のS/Nは”9956”。国防楽園搬出時は痛みが激しく、ノーズコーンの先端とピトー管は無くなっていた。機体が交換されているのではないかと考えているが証拠はない。

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写真5(2017年3月19日撮影)

 

(5) H-5 (1402, 30.5029N / 103.6148E) Il-28の中国生産機で、2013年1月まで成都の国防楽園に展示されていた機体と思われる。国防楽園搬出時は痛みが激しく、機首やコクピットの風防。キャノピーは大部分が欠落していた。機体が交換されているのではないかと考えているが証拠はない。国防楽園に展示されていた頃はエンジンナセルにS/Nは"9959"と記入していた。

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写真6(2017年3月19日撮影)

 

(6) Z-5 (3729, 30.5032N / 103.6143E) かつて成都の国防楽園に展示されていた時には中国民航機塗装だった。国防楽園搬出時は痛みが激しく、風防はほぼ全てが無くなり、左側面の乗降ドアも無くなっていた。コクピット部分がかなり補修されている。また移設後の展示に際しては前脚が無くなった(荷重に耐えられなくなったので外した?)ため台枠の上に置かれている。

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写真7(2017年3月19日撮影)

 

【展示後に解体廃棄】

(1) J-5 (9958) 中国製MiG-17。かつて成都の国防楽園に展示されていた機体で、当時からS/Nは”9958”。GE-Proを見ると2018年4月3日取得画像では展示場から移動されており、5月13日取得画像では機影が確認できるが11月24日取得画像では無くなっていた。2013年1月頃に設置された機体なので5年ほどで廃棄されたことになる。

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写真8 「中航工業航空三綫博物館」の館内から撮影したJ-5。(2017年3月19日撮影)

 

(2) J-7I (9955) 中国製MiG021F-13。2013年1月までは成都の国防楽園に展示されていた機体で、当時のS/Nは"9957"。国防楽園搬出時は痛みが激しく、機体が交換されているのではないかと考えているが証拠はない。GE-Proを見ると2018年4月3日取得画像では展示場から移動され、かつ左翼を外されており、5月13日取得画像では両翼を外され胴体と水平尾翼だけの姿が確認できる。そして11月24日取得画像では機影が無くなっていた。この機体も2013年1月頃に設置された機体なので5年ほどで廃棄されたことになる。

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写真9(2017年3月19日撮影)

 

以上