用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

【鹿児島県】海自 鹿屋航空基地史料館

<編集履歴> 08Apr.2021公開、29Sep2022見直し実施(第4回目、ゼロ戦に関する参考文献追加)

<場所 Place> 〒893-8510 鹿児島県鹿屋市西原3-11-2 海上自衛隊鹿屋航空基地史料館

史料館

<座標Location> 31.3810N, 130.8369E

<訪問日Visit>  17May.2008, 16May.2009, 10Mar.2020, 20Jan.2022ほか

<行き方 Access> 

(1) 鹿児島空港から鹿屋方面行バスにて鹿屋ターミナル下車、約2kmを歩く(少数ながらバスの便あり、タクシー利用可)。

(2) 垂水港からバス、航空隊前下車徒歩3分。

 <解説General>

(1) 海上自衛隊鹿屋航空基地正門ゲート前に設けられた展示エリアに15機、展示館に3機の合計18機が展示されている。その多くが「国内唯一」や「国内に2機程度あるうちの1機」などお宝モノの展示機だ。中でも二式大艇は世界で唯一残る貴重な機体だが屋外で風雨にさらされている。展示館内にはゼロ戦も展示されている。開館は12/29-1/3を除く毎日0900-1700(入場は1630まで)、入場料は無料、駐車場あり。展示館が閉館している時でも数機の屋外展示機は比較的間近に見ることが可能だ。

(2) 屋外展示機の多くは北西-南東方向に置かれているため、お昼ごろから訪問すると比較的良い光線条件で撮影ができる。北西方向を向けて置かれた機体は快晴時より曇天時の方が(機体右側を)撮影しやすいと思う。

【屋外展示機 Outdoor Aircrafts】

(1) 二式大艇 (T-31) 東京・晴海の船の科学館で展示された後、2004年4月からはこの地で展示されている世界に唯一残された機体。台風の勢力の強い鹿児島で20年近くも屋外に置かれているので、おそらくは見た目以上に傷んでいると思う。 鹿児島県の観光業界を挙げて資金を集め、屋内保存にして観光資源として残すようにしたらよいのにと思う。

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 写真1 地球上に唯一残る二式大艇 。(2020年3月10日撮影)

 

(2) B-65 (6714)  徳島基地で練習機として使用されていた機体。2020年3月の時点でラダーと左翼エルロンが無くなっていた。

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写真2 ラダーの欠損が目立つB-65。写真では見えないが左翼のエルロンも無くなっている。(2022年1月20日撮影)

 

(3) KM-2 (6263) 小月基地で練習機として使用されていた機体。

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写真3 KM-2。(2022年1月20日撮影)

 

(4) P2V-7 (4618) 国内に残る唯一の機体だ。隣に置いてあるP-2Jとどこが違うのか現地で確認してみよう。

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 写真4 国内に残る唯一のP2V-7 。(2009年5月16日撮影)

 

(5) P-2J (4771) 83機が生産され、事故等で抹消することなく全機が無事引退した。鹿屋以外では岐阜かかみがはら航空宇宙博物館で展示されている。またP2V-7の4637号機を改造したP-2Jの初号機(4701)の機首部分が東京都江東区の個人宅に存在する。

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写真5 退色が激しいP-2J。(2022年1月20日撮影)

 

(6) P-2J (4783) 屋外に展示された2機目のP-2J。生産最終号機だ。

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 写真6 P-2J最終号機。2022年訪問時には4771号機同様に退色していた。(2008年5月17日撮影) 

 

(7)  R4D-6Q (9023) ダグラスDC-3/C-47シリーズのうち米海軍向けのC-47BをR4D-6と称していた(米海軍ではのちにC-47Jに改称)。その電子戦訓練機には最後に”Q”を付けてR4D-6Qという(米海軍ではのちにEC-47Jに改称)。機首やお腹にレドームを増設した特異的な姿が特徴だ。海上自衛隊ではR4D-6Qのまま使用していた。国内に唯一残る形式で、DC-3/C-47シリーズという目で見ても全機展示となっている機体は浜名湖畔にある機体と本機しか残っていない(機首部分のみは青森県内の旅館が保有)。さらに国内で電子戦機形態で展示されている機体は本機だけだ(入間や所沢の元EC-46はレドームを取り外し。元の輸送機形態に戻して展示されている)。

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 写真7 国内に残る唯一のR4D-6Q。(2020年3月10日撮影)

 

(8)  S2F-1 (4131) 国内に2機が残る機体のうちの1機。もう一機は海上自衛隊徳島基地に展示されている。

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写真8 S2F-1。主翼の下にKM-2が見える。(2020年3月10日撮影)

 

(9)  JRB-4 (6434) 千葉県の下総航空基地京都府舞鶴にあるメイホウゴルフガーデンにも同型機が展示されている。SNBの呼称もあるが、本BlogではJRB-4を用いる。

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 写真9 国内には3機が残るJRB-4のうちの1機。(2020年3月10日撮影)

 

(10)  T-34A (9012) 2004年ごろに先代9006号機と入れ替えて展示された。T-34Aは陸海空の三自衛隊で使用されていたが海上自衛隊機で国内に残るのは本機と小月基地展示機の2機のみだ。

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 写真10 T-34Aは陸海空の三自衛隊で使用されていた。(2020年3月10日撮影)

 

(11) US-1A (9076) もともとはUS-1として製造され、のちに改修されてUS-1Aとなった機体。2008年5月17日に訪問した際にはラダーと左翼フラップが無くなっていたが、その後は外見が元と同じに見えるように金属板で整形されている。2022年1月時点においてUS-1Aは岐阜かがみがはら航空宇宙博物館にて1機が展示されているほか、岩国基地内に1機が遺されている。

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 写真11 訪問時にはラダーとフラップが無くなっていたUS-1A。現在は金属板で整形されている。(2009年5月16日撮影)  

 

(12) ベル47G-2A (8753) 国内にある海上自衛隊のベル47G-2Aは本機のみ。

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 写真12 国内に残る唯一のベル47G-2Aと国内に2機が残るKV-107IIA-3。(2020年3月10日撮影) 

 

(13)  KV-107IIA-3 (8608) 下総基地第111飛行隊で掃海任務に就いていた機体。このため下総基地にも1機が展示されている。

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写真13 色褪せてきたKV-107II。(2020年3月10日撮影)

 

(14)  HSS-2A (8074)  海上自衛隊ではHSS-2/-2A/-2Bの三形式を使用してきたが-2は残されておらず、-2Aも現存するのは本機だけだ。-2Bは8機が国内各地に展示されている。

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 写真14 国内に唯一残るHSS-2A 。(2020年3月10日撮影)

 

(15) OH-6J (8763) 海上自衛隊ではOH-6J/D/DAを訓練用に使用してきたが本機だけが遺されており、OH-6D/DAは現存しない。

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 写真15 海上自衛隊で唯一残されている訓練用ヘリコプターOH-6J。(2020年3月10日撮影) 

 

【展示館内展示機 Indoor Aircrafts】

(16) P-2J (4770)  機首部分のみを展示

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写真16 P-2Jの機首部が館内に展示されている。(2022年1月20日撮影) 

 

(17) S-61AH (8941) 前部胴体のみ。というかキャビン部後部にて尾部を切り落として展示している。

写真17 S-62AHの前半部が館内に展示されている。YS-11のエンジンやプロペラも脇にある。(2022年1月20日撮影) 

 

(18) ゼロ戦52型  1992年に錦江湾吹上浜から引き揚げた21型と52型丙を使い、「52型」として復元した機体だ。

・参考文献:「零戦、かく戦かえり!」(零戦搭乗員会編、文春ネスコ2004。タイトルの”零”は”ゼロ”と読む)のp.553-565に「零式艦上戦闘機の復元」(平山助成(ひらやますけなり)氏)という章があり、引き揚げから復元までの話が掲載されている。この本は零戦搭乗員会の会誌掲載の投稿文章をテーマごとにまとめたものであり、「零式艦上戦闘機の復元」は平成6年(1994年)5月20日号に掲載されたものだ。

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 写真18 揚収した形式の異なる2機を組み合わせて52型として復元した機体 。(2008年5月17日撮影)

 

【かつて展示されていた機体】

(1) T-34A (9006) 2004年ごろに現在の9012号機に差替えられ廃棄された。

(2)  SNJ-5 (6180) 2019年9月に兵庫県加西市鶉野飛行場跡へ移設した。

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 写真19 写真記録の残る1977年以降は日の丸もS/Nもない状態で展示されていたSNJ 。現在は兵庫県の鶉野飛行場跡に展示されている。(2008年5月17日撮影)

以上