<編集履歴> 24Dec.2022公開(「海上自衛隊固定翼哨戒機の展示機(??Aug.2018Mixiにて公開、21Feb.2019はてなBlogに移設)」より分離独立)、01Apr.2025見直し更新(第1回目、見直し実施)
【概要】
(1) 海上自衛隊では2000年前後ごろから任務内容が「潜水艦の哨戒」から「広義の哨戒」となったため「対潜哨戒機」の呼称をやめ、「哨戒機」としている。このため本Blogでは原則としてP-3C以前を「対潜哨戒機」、P-3Cおよび以降の機種を「哨戒機」と記載する。
(2) 海上自衛隊では米軍から60機の対潜哨戒機S2F-1(4101~4160)の供与を受け主に近海哨戒任務用として運用していた。なお、同時期に供与されたP2V-7とその後のP-2Jは主として外洋哨戒、対潜哨戒ヘリコプターは海峡や内湾での哨戒任務を主としていた。60機のS2F-1のうち2機が輸送機S2F-C(9061~9062)、4機が標的曳航機S2F-U(9151~9154)に改造され、S2Fシリーズとしては1983年度末まで運用していた。
S2F-CとS2F-Uの元のS/Nは次の通りだ;
・S2F-C (9061) ex. 4110
・S2F-C (9062) ex. 4105
・S2F-U (9151) ex.4160
・S2F-U (9152) ex.4159
・S2F-U (9153) ex.4137
・S2F-U (9154) ex.4158
(3) 海上自衛隊から除籍された機体はアメリカに返還された。アメリカ国内の空港の一角にズラリと並ぶ姿が撮影されている。これらの機体のうちのいくつかは、その後、森林火災消火用のウォーターボマーに改造されて1990年代後半ごろまで活躍していた。現在の残存機数は確認していないが、恐らくは全機が「二度目の退役」をしている頃だろう。
(4) 約40年前に退役した本機種のうち2025年4月1日時点で国内に残るのは2機のS2F-1全機展示機と1機の機首部分だけだ。いずれも屋外に野ざらしの状態なので、早めに訪問して記録として残しておこう。
【展示機 Displayed Aircrafts】
(1) 4111 (Bu.136660)
河口湖自動車博物館飛行舘のバックヤードに機首部分のみが置かれている。例年8月だけの公開時にしか見ることはできない。アメリカ返還後にN215AKというレジで登録されたが、結局は「輸出」されずに、国内で解体されたのだろう。

写真1 河口湖自動車博物館飛行舘にあるS2F-1(4111)の機首部分。(2019年8月20日撮影)
(2) 4131 (Bu. 136722)
鹿屋基地航空史料館に主翼を展張して展示している。


写真2-1, 2-2 鹿屋基地航空史料館のS2F-1(4131)。この写真を撮影した当時は塗装直後だったが、2022年1月に再度訪問した際には褪色し、かなり汚れていた。(上:2008年5月17日、下:2009年5月16日撮影)
(3) 4150 (Bu.144700)
徳島航空基地に主翼を折りたたんだ形で展示している。以前は千葉県木更津駐屯地(当時敷地内にあった海上自衛隊管轄の倉庫脇)に展示されていた機体だが、1980年頃に徳島に移設した。


写真3-1,3-2 徳島航空基地のS2F-1(4150)。褪色して「白い機体」のように見える。(2022年10月1日撮影)
【余談】
1979年8月8日、当時高校1年生だった私は中学校時代の友人から135mmレンズとカメラを借りて、厚木基地の北端に行った。これが私の厚木基地外撮りデビューだったのだが、その日はネズミ色/黄色/オレンジ色のS2F-UがT&Gを繰り返していた。この時の写真にマトモなものはなく、さらにカメラのシャッターが壊れていて、フレームの半分が暗くなっていたために、マトモにプリントをしていてない。この時のネガ(当時使っていたのは白黒フィルムだよ)は現存しているが、ビネガーシンドロームを起こしてベタベタになっている。あれこれ対策をせず、遠い日の記憶だけを残しておこうかね・・・。
以上