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【千葉県】木更津市の漁港に揚がったB-29の脚柱

<編集履歴> 13Dec.2020公開、02Jan.2022見直し更新(第4回目、揚収物を栃木県の団体へ)

 

 2020年12月4日(注1)に木更津の漁港に航空機の脚柱とタイヤが引き上げられました。 どうやら太平洋戦争中に撃墜されたB-29のものらしい、とTVやネット配信ニュースなどで取り上げられています。この漁港は自宅から約7.5km、自転車で散歩がてらに走って30分ほどのところにありますので12月13日のお昼過ぎに現物を見てきました。

Main gear of B-29(?) was salvaged from Tokyo bay, near Kisarazu, Chiba pref., Japan. These photos are taken on 13 Dec., 2020.

 

注1:毎日新聞12月18日9時31分配信記事による日付では発見・揚収は12月4日。

B29? 墜落した民間機? 千葉・木更津沖に謎の物体、タチウオ漁の網に - 毎日新聞

朝日新聞デジタル12月23日9時配信版によると発見・揚収は11月30日だ。終戦の年、墜落したB29の主脚か 千葉・木更津沖 [戦後75年特集]:朝日新聞デジタル

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写真1 アクアラインに近い漁港に引き上げられたB-29の脚柱とタイヤ。なお左隅の柱の陰にあるのはゴミタイヤであり、本文とは関係ありません。(2020年12月13日撮影)

 

【観察結果】
 メジャー持参でいくつかサイズも測ってきました。
脚柱全長約180cm、脚柱直径約29cm、タイヤ直径約138cm、タイヤの穴の直径約67cm、タイヤ幅は狭いところで46cm、広いところで52cm(少しひしゃげている)。

その他は略。「約」というのは泥や貝殻がこびりついていて、場所によっては数センチ程度の誤差を含みます。上記以外に知りたい寸法があれば質問してください。測ってあればお答えできます。なお英語表記などは一切確認できませんでした。(Twitter投稿にによるとmade in USAなどと書かれた部分数か所に白いテープを張り保護したとのこと。恐らく12月12日に実施。なるほど確かにテープを張られた部分はあったので、その下に記載されていたのだろう。)

 

【結論】

 B-29の主脚柱とタイヤですね。
 こちらにある模型パーツそっくり。

www.hobbyland.jp

 

【背景確認】
Twitter上には1945年8月2日に袖ヶ浦・木更津境の小櫃川付近に墜落した20AAF58BW462BG768BQの44-86344号機ではないかとの投稿があります。乗員12名中1名が戦死し、脱出した1名が漁師に殺されたそうです。(後日談:調べると殺したのは漁師ではなく海軍兵士だという説もでてくる)


 この話(墜落機に関する話)のウラを取りたいのですが、適切なサイトをご存知の方がおられましたら、どうかお教えください。 

 なお東京湾に墜落した機体というと1966年2月4日の19時ごろに墜落したB-727(JA8302)がありますが、こちらは前脚、左右主脚とも回収されていますので関係ありません。(山名正夫著「最後の30秒」朝日新聞社刊(1972)より)

日本航空宇宙学会誌1971 年 19 巻 207 号 p. 155-165に掲載された当該事故の報告書。三脚とも回収された旨が記載されている。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsass1969/19/207/19_207_155/_pdf/-char/ja

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写真2 脚柱とタイヤ(左奥)。右手前のタイヤは国産のゴミタイヤであり、B-29とは関係ありません。(2020年12月13日撮影)

 

【後日談】

 この主脚柱とタイヤは水難救助法の「沈没品」に該当するようで、自治体が管理することになるそうな。そこで木更津市が12月18日午後2時頃に搬出して市クリーンセンターにて保管中とのことです。その後、どうするかは現時点(12月26日)では情報を得ていません。

 海水に浸かっていたいた部品は早急に(可能だったなら漁港にあるうちに)水洗して防錆・腐食防止処置を取らないと表面の刻印など歴史的価値を残すものがドンドン失われていくのですけれどね。恐らく、そういう防食防錆処置はとられていないのだろうなぁ。

【後日談その2】2021年12月29日配信の朝日新聞毎日新聞の記事によると、「落とし主」は現れなかったので本部品の所有権は引き上げた漁業者に移り、その意向により栃木県内の団体に引き渡されたとのこと。「栃木県の団体」とは一般社団法人戦争博物館さんのことでしょうかね。また情報が入りましたら記事をUpdateしていきたいと思います。

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写真3 脚柱とホイール部の接続部を見る。右下のタイヤは国産のゴミタイヤであり、B-29とは関係ありません。(2020年12月13日撮影)

 

【余談】

ネット上の記事のタイトルに「半世紀前のB-29」というものがあった。半世紀前というと「1970年代」のB-29かぁ?これはそれ自体がスゴイぞ!横田基地駐留していたWB-29も1960年代初めごろには姿を消しているのだよね。マスコミの近代ー現代の歴史観は20-30年くらいは誤差なのかいね、と嫌味を言いたくなりました。

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写真4  韓国サチョンの航空宇宙博物館に展示されているB-29。日本から最も近い場所にあるB-29の展示機だ。(2019年10月26日撮影)

以上