<編集履歴> 16Mar.2019公開、23Feb.2023見直し更新(第7回目、見直し実施)
【本Blogにおける表記上の注意】
1. 本BlogではVietNamの表記を「ヴィエトナム」ではなく「ベトナム」とします。その他のベトナム国内地名の表記は原則として「地球の歩き方」あるいはWikipedia日本語版にて記載されている表記を使用します。ただし「V」で始まる地名は状況に応じて「バビブベボ」あるいは「ヴァヴィヴゥヴェヴォ」を適宜使用します。
2. 本Blogにてベトナム語表記を行う場合には、入力時の煩雑さからアルファベット文字のみとして各種の音声記号は記載しません。このアルファベットのみをコピーして検索した場合でも、まず間違いなくベトナム語表記の文字の検索結果が現れるので、実用上の問題は無いと考えています。
3. 本Blogでは「ホーチミン」を「HCM」と略します。例:HCM博物館、HCM市など。
4. 本Blogではベトナムの防空を担う組織の名称を「ベトナム防空空軍」と表記します。2023年2月時点におけるベトナム国防省の組織図(添付URL参照)には”Air Defence-Air Force”と記されていますので、この直訳です。Wikipediaによると一時期は空軍が防空軍と空軍に分離し、再び防空空軍として統合された経緯があるようです。「”一国の防空を担う組織”は全て”空軍”でよくね?」という考えもありますが、そこは”私の気分”です(「日本国空軍」とは書きたくない・・・)。
蛇足ながらベトナム国防省の組織図に従えば「ベトナム陸軍」は存在せず、「軍師団」「武装隊」「国境警備隊」「兵団」という異なる組織の統合運用になるようですが・・・。この辺りはもう少し勉強したら書き直したいと思います。
【展示機の概要と特徴】
1. ベトナム国内約100か所に約240機の展示機がある。民間旅客機が10機程度あるが、セスナとかパイパーなどの小型機やジェネアビ機の展示は無く、ほぼ全てが軍用機だ。
2. ベトナム戦争当時の戦跡地に各種の展示物があるが、観光客にウケのよい塗装が施されていることが多い。特にハノイおよびHCM都市部の展示機のほぼ全ては観光客ウケするような色合・迷彩に塗り直されており、史料的価値は失われている。一方、地方都市にはまだオリジナル塗装の機体が残っている場合がある。
3. MiG-21は全国に約70機あり、機種別(型式分類をしない場合)で最も多い。展示場所は北部に多く、南部には少ないという分布傾向がある。一方で展示機数としてはMiG-21に次いで多いUH-1Hは全国に39機があるものの南部エリアに多く、北部には少ない傾向がある。
4. 現用機Su-22系の展示はまだ少ないが、今後は退役機が各地に展示されるものと思われる。2025年あたりまでは新規展示場所を確認する必要がありそうだ。またL-39CもL-39NGとの置換が始まる。こちらも展示するには手ごろな大きさの機体であるため、展示機となるものが増えると予想している。
5. ベトナム戦争当時の事案については公式記録が残っていないため、例えばMiG-21の供給機数や爆撃の日時や被害規模など「正しい数値」が判らない事案が多い。ベトナム戦争に関する書籍等は数多く出版されているが、調べに調べた挙句「判らないということが判った」という事例が頻繁に存在する。このため本Blogに限らず、表記が断定的になっていたとしても眉に唾つけて読んで下さい。日時や数値など引用する場合には引用元を記載すると良いでしょう。
6. ベトナムは急速に発展する時期にあり、ハノイやHCM市内やその近郊などではバス路線の大幅な増加や改廃が頻繁に行われている。地方都市内の交通も(飛躍的に)良くなってきており、本Blogではフォローしきれないケースが多い。本Blogの「01_【必読】利用上の注意」でも記載しているが、大都市周辺都市や地方都市を訪問する前には各自で最新のアクセス情報を十分に確認したうえで訪問してください。
【主な展示場所】
(1) ハノイ市周辺:防空空軍博物館、軍事歴史博物館、B52戦勝記念館など
(2) HCM市周辺:南部空軍博物、戦争証跡博物館、HCM市博物館、HCM作戦博物館、統一会堂など
(3) 国内58省の省立博物館のうち25か所程度に展示機がある。2016年前後から改築・移転や展示物の更新を行う博物館が多いように見受けられる。観光需要拡大を見込んだ政策だろうか。2027年頃までは展示物の変更も多いと思われるので訪問の際には最新情報を確認して欲しい。
(4) 国内の各軍管区の保有する博物館(4か所に展示機あり)
(5) ベトナム戦争関連の記念施設(戦勝記念公園や戦闘記念塔など)
【航空ショー】
1. 一般人が実機を間近に見ることのできるイベントは現在までに行われたという記録は見つかっていない。国際航空ショー、基地祭など一般公開イベントは存在しないものと考えている。一方で編隊フライバイやヘリコプターが大きな旗を吊り下げて飛んでいく姿は何回か目撃されている。
2. 商業目的のデェフェンスショーは何度か開催されているが、現用機の展示は行われていない。パネル・模型・構成要素(部品等)の展示にとどまっている。
【スポッティング】
厳禁だがネット上には外撮り画像が公開されている。明らかに「基地内から」「中の人が」撮影したものも含まれているので、よく確認しよう。
【参考文献(日本語)】
「変わりゆく、戦争の証人たち・・・ ベトナム戦争の航空機展示事情」山本晋介、航空ファン1998年10月号p.128-131
「ベトナム ホーチミン市周辺の展示機」山本晋介、航空情報2015年7月号p.26-27
「ハノイの航空機展示施設(前編) ベトナム防空・空軍博物館」大路聡、航空ファン2018年5月号p.68-73
「ハノイの航空機展示施設(後編)ベトナム軍事歴史博物館とハノイの展示機」大路聡、航空ファン2018年6月号p.58-63
「ホーチミンシティ(旧サイゴン)の展示機」大路聡、航空ファン2018年9月号p.74-79
「タンソンニャット国際空港の元南ベトナム空軍機」大路聡、航空ファン2018年11月号p.60-61
「韓国戦争記念館で解くベトナム「B52池」の謎」大路聡、航空ファン2019年7月号p.70-73
【参考サイト】
airliners.netやjetphotos.com、spottingmode.comなどへの投稿画像や位置情報を参照する。なお私がみつけた場所は全てspottingmode.comに登録している。
【その他の雑学】
1. 省立博物館(Bao tang tinh ****)
ベトナムの地方行政区画は大きく5つの直轄市と58の省(tinh)に分かれているが、各省には省立の博物館(Bao tang tinh ****)が存在する。****で表した部分に省の名前が入る訳だ。検索(Google mapでの検索を含む)の際に「Bao tang thin」と入力して58省を次々に入力していくと25か所ほどには展示機がある。戦車だけとか1m四方未満の撃墜機の破片だけでもOKなどの条件を加えるとさらに展示場所は増える。
2. 軍管区博物館について
ベトナム軍はいくつかの「軍管区(直訳では"軍区"のようだ)」に分かれており(自衛隊の方面隊のようなもの)、それぞれの軍管区ごとに展示館を保有している。本Blogでは原則として「【都市名】第*軍管区博物館(都市名軍事博物館)」と表現する。この展示館の規模はマチマチであり、戦車や航空機を展示しているところもあれば建物の一角にパネルを展示しているだけのところもある。2023年2月時点での状況は次の通り;
第1軍管区博物館 Thai Nguyeni, ハノイの北約50km 、MiG-21展示あり。
第2軍管区博物館 Phu Tho, Tp. Viet Tri、ハノイの北西約60km。機体展示なし。
第3軍管区博物館 Hai Phong、 ハノイの西。MiG-17展示あり。
第4軍管区博物館 存在しない
第5軍管区博物館 Da Nang、ベトナム中央部。MiG-21ほかの展示あり。第6軍管区を合併吸収した。
第6軍管区博物館 第6軍管区は第5軍管区に合併吸収され、存在しない。
第7軍管区博物館 HCM市、機体展示なし。撃墜機のエンジンや破片などあり。
第8軍管区博物館 第8軍管区そのものが存在しない。
第9軍管区博物館 Can Tho、HCM市の南西、A-37ほかの展示あり。
3. 軍駐屯地の展示機の探し方
3-1. 航空基地周辺
ベトナムの航空基地は攻撃による被害を防ぐために、基地施設を広範囲に分散させた作りになっていることが多い。中には滑走路から2㎞近く離れた場所にも整備支援設備らしき構造物が建てられていたりすることもある。その中枢部周辺には展示機が置かれている場合がある。Google Earthなどで衛星画像を眺める場合には滑走路周辺数キロ程度までは見渡すようにして確認してみよう。
3-2. 街中の駐屯地
ベトナム軍の構成単位として「Sư đoàn」がある。「師団」と訳すことが多く、「Sư đoàn 361」などと表記するが、この駐屯地内に機体や展示物がある場合がある。「Su doan ***」と入力して片っ端から画像検索をかけてみよう。「思わぬ発見」があるかもしれない。
3-3. Spottingmode.comの利用
前述の通り、私が見つけた場所は全てSpottingmode.comに登録している。あれこれ考えて検索するよりも、まずはこちらを参照するとよいだろう。
4. 車両のナンバープレートの色について
軍関係の車両のナンバープレートは赤色。政府関係車両のナンバープレートは緑色とのこと。現地では注意願う。
以上