用廃機ハンターが行く!

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【ベトナム】UH-1の展示機まとめ

<編集履歴> 05Feb.2023公開、20Feb.2023見直し更新(第6回目、見直し更新)

 

 例によって詳しいことはまだ何も調べてはいないがユルユルとUpdateしていこうと思う。

【概要】

(1) ベトナム戦争で米軍は大量のヘリコプターを投入して兵力を送り込む「ヘリボーン」という概念を作り出した(ヘリコプターによる「兵力投入」自体は朝鮮戦争末期には行われている。より大量かつシステマチックに、というところか)。その主役は今日でいう「中型ヘリ」の元祖となるUH-1だ。一説によると約7,000機が投入され、うち約3,300機が撃墜・撃破されたという(米軍の損失4,869機、うち陸軍機2,591機という説もある。真偽及び出典不明)。そのうちの大部分がH型であったが、少数のB/C/D/M型も投入されたようだ(なおD型はのちにH型にアップデート、M型はC型のガンシップとのこと)。

(2) ベトナム戦争後は元米軍機・元南ベトナム空軍機がベトナム空軍で使用された(されている?)。その運用状況は不明だが、2014年にタンソンニャット空港で撮影された飛行中の機体の写真がJETPHOTOS.com投稿されている。

(3) 国内には約40機のUH-1Hが展示されているが、H型以外の型式の機体は残されていない。また展示機のうち、おおむね2/3はダナンより南のエリアに展示されている。MiG-21が北部に多く展示されているのとは対照的な展示場所分布の様相を呈している。

(4) 本Blogのベトナム関連記事の中で「ベトナム戦争展示物御三家」としてF-5,A-37, UH-1を挙げているが、このうちの2機程度がワンセットで展示されることが比較的多いように思う。機体が小さく、モニュメントにしやすいこともあり、街角や戦闘地の小さな記念塔周辺に展示されることが多そうな機体だ。過去の経験上、国自体が若く、観光客を多く受けいれようとする国では新たな観光場所が次々に造成されることが多いように感じている。2023年2月に確認したGE-Pro画像ではビエンホア基地にまだ数機が放置されているような状態だったので、今後も数機程度は各地で展示機となったり、既存の場所からより集客の見込める場所へと移転される可能性は大いにあるかと思う。数年に一度くらいは展示場所を確認する必要がありそうだ。

(5) 過去に発行されたS/N本やデータベースサイトでは撃墜された機体の破片だけであっても「展示されている」と記載されることが多いが、本Blogでは原則としてキャビン部があれば記載するが、テールブーム等のパーツだけの場合には取り上げないことにする。

写真1 外枠だけが残っているようなカントーの軍事博物館にあるUH-1H。(2006年5月6日撮影)

 

【国内展示機Aircrafts】(おおむね北から南の順)

(1) UH-1H (S/N?, 21.3578N / 106.2616E) ハノイの北東約60km、Kep基地の南約4㎞にある第2軍博物館Bao tang Quan doan 2展示機。隣にA-37Bもある。

(2) UH-1H (7903, 21.0983N / 105.4840E) ハノイの北西約35㎞、Son Tayにある防空空軍士官学校敷地を2014年7月4日から2015年5月29日の間に整備して展示機数機を設置した。他にMiG-21やSu-22などが置かれている。

(3) UH-1H (67-17651, 21.0327N / 105.8400E) ハノイの軍事歴史博物館

(4) UH-1H (68-15632 / 027, 20.9990N / 105.8288E) ハノイ防空・空軍博物館。2018年訪問時には胴体に大きく”UH1A”と描かれていた。ホントのS/Nは68-15632。

(5) UH-1H (66-17096, 16.8186N / 107.0905E) ダナンの北西約150㎞、クアンチ省tinh Quang Triの省都ドンハDong Haにある省立博物館Bao tag tinh Quang triにA-37Bと共に置かれている。

(6) UH-1H (69-15883, 16.6538N / 106.7244E) フエの北西約95km、ケサン戦闘基地博物館bao tang Chien thang Khe Sanh展示機。ケサン開放35周年記念事業として公園が整備され、2003年に展示されたという。テイルフィンに”20115”と書かれた撃墜機(?)のテイルブームだけのモニュメントもある。またC-130A、CH-47Aも展示されている。フエから日帰りツアーが催行されているが、山間部のため悪天候で中止になることが時々ある。

(7) UH-1H (69-15955, 16.4440N / 107.5810E) フエ軍事歴史博物館(移転後)

(8) UH-1H (69-15734, 16.2746N / 107.2346E) フエ市から南西に約45㎞、トゥアッティエン・フエ省ア・ルオイの街にある少数民族コミュニティ文化活動センターTrung tam shih hoat Van hoa cong dong cac dan toc thieu so A Luoiにある

(9) UH-1H (17555 / 375, 16.0759N / 108.2223E) ダナン博物館。旧ダナン博物館を移転・新築した際に機体も移転した。テイルフィンに”17555”、テイルブームに”375”と描かれている。 

(10) UH-1H (69-15130 / 780, 16.0486N / 108.2173E) ダナン軍事博物館(第5軍管区博物館)。テイルフィンに”69-15130”、テイルブームに”780”と描かれている。 

(11) UH-1H (69-15300 / 390, 16.0484N / 108.2074E) ダナン基地ゲートガード群のうちの1機

(12) UH-1H (S/N?, 15.5714N / 108.4682E) ダナンの南東約60kmにあるクアンナム省tinh Quan NamタムキTam kyの街の軍事博物館Bao tang quan doi tinh Quang Nam展示機。敷地内にはMiG-21もある

(13) UH-1H (66-16737, 14.0162N / 107.9929E) HCM市の北東約370km、ザライ省Tỉnh Gia Laiの省都Pleiku市にある軍事博物館Bao tang Luc Luong vu Trang doi Gia Lai (Bao tang LLVTと略すことが多い) の展示機。2011年11月には設置されていた。敷地内にはMiG-21も展示されている。

(14) UH-1H (69-15479, 13.0943N / 109.3020E) HCMの北東約530km、トゥイホアTuy Hoaの博物館Bao tang Phu Yen展示機。敷地内にはMiG-21も展示されている。また館内には”612”という番号の残るUH-1Hのテイルブームが展示されている。

(15) UH-1H (475, 12.2343N / 109.1933E) ニャチャンの空軍大学付属の展示場Bao Tang Khong quan Nha Trangの道路沿いに置かれている。

(16) UH-1H (70-15834, 11.9451N / 108.4702E) HCM市の北東約230km、ラムドン省tinh Lam DongダラットTp. Da Latにあるバオダイ宮殿Dinh I Bao Dai裏手に”非常時の逃亡用ヘリ”として展示されている。なお近隣に別荘Dinh III Bao Daiがあるので間違えないように(Dinh IIはダラットには存在しないようだ)。

(17) UH-1H (S/N? , 11.5442N / 106.8859E) HCM市の北北東約90km、ビンフォック省立博物館Bao tang tinh Binh PhuocにA-37Bと共に展示

(18) UH-1H (68-15755, 11.3064N / 106.1059E) HCM市の北西約85km、タイニン省省都タイニン市の省立博物館Bao tang tinh Tay NinhにA-37Bと共に2016年2月から2017年1月の間に設置された。

(19) UH-1H (S/N?, 11.0620N / 106.5286E) HCM市近郊のクチトンネル(二つあるトンネルのうち主に国外観光者向けのBen dinhトンネル・日本人観光客が多く訪問するトンネル)の観光コースに置かれている。

(20) UH-1H (66-16837, 11.1424N / 106.4627E) HCM市近郊のクチトンネル(二つあるトンネルのうち主に国内観光者向けのBen Duocトンネル)のビジターセンター近くにC-130Aと共に置かれている。2018年1月から11月までの間に設置された。かろうじて読める”837”の数字より”66-16837”であろうとされている。ビジターセンター前にもMiG-17、MiG-21、UH-1が展示されている。

(21) UH-1H (68-15728, 11.1416N / 106.4620E) HCM市近郊のクチトンネル(二つあるトンネルのうち主に国内観光者向けのBen Duocトンネル)のビジターセンター前の広場に2014年10月にMiG-17, MiG-21と共に展示されている。近隣にはC-130Aと別のUH-1Hもある。

(22) UH-1H (388, 10.9893N / 106.6626E) HCM市の北約20kmにあるビンズオン省立博物館Bao tang tinh Binh Duongの裏手に展示されている。2019年頃に屋根が造られたため、衛星画像で確認することはできない

(23) UH-1H (S/N?, 10.9693N / 106.8288E) ビエンホア基地内にMiG-21/Mi-8と共に2019年1月頃から置かれている。

(24) UH-1H (70-15831 / 831, 10.9590N / 106.8296E) ビエンホアのドンナイ省立博物館。以前はテイルフィンに”68-15831”、テイルブームに”831”と描かれていたが、2020年頃に再塗装され、様相がいく分変わっている(テイルフィンにはArmy831と記入され、テイルブームのNo.は消されている)。ホントのS/Nは”68-”ではなく”70-15831”らしい(未確認)。

(25) UH-1H (S/N?, 10.9292N / 108.1008E) HCM市の東約160km、ビントゥアン省省都ファンティエット市にある人民軍博物館Nha Truyen Thong Luc Luong Vu Trang Nhan Dan Tinh Binh Thuanに2010年末ごろから置かれていた展示機。Google mapでは隣接するホテルの紹介写真の中に複数の機体写真が混じっているので、こちらを参照する。表通りから植樹越しに見ることができる。

(26) UH-1H (70-15704, 10.8842N / 106.7428E) HCM市の北13km、ビンズオン/ディーアン地区にある第4軍博物館Bao tang Quan Doan 4にA-37Bと共に展示されている。

(27) UH-1H (70-15740 / 0372, 10.8050N / 106.6608E) HCM市南部空軍博物館。S/Nや胴体に書かれた番号はほぼ消えており読めない。

(28) UH-1H (S/N?, 10.8022N / 106.6494E) HCM市空港近くの軍の駐屯地入口脇に置かれている。フェンスの隙間から植樹越しに眺める程度なら可能。

(29) UH-1H (69-15753, 10.7790N / 106.6924E) HCM市戦争証跡博物館ミニガン装備形態で展示。テイルブームは別の機体(c/n. 15125)からの移設とされる。

(30) UH-1H (S/N?, 10.7781N / 106.6772E) HCM市のど真ん中にある第7軍区司令部および関連施設(軍事学校、軍関係者の幼稚園など)の敷地内に置かれている。大通りから衛門を通り150mほど入った場所にあるので、一般日本人は訪問不可。Jetphotos.comでは隣接するLan Anh Tennis clubの展示機として写真が掲載されている。

(31) UH-1H (69-15445 / 445, 10.7769N / 106.6953E) HCM市統一会堂、テイルフィンに”69-15445”、テイルブームに”445”と描かれている。

(32) UH-1H (68-15510 / 541, 10.7763N / 106.6999E) HCM市博物館、テイルブームに”541”と描かれているがS/Nは消えている。

(33) UH-1H (S/N?, 10.4527N / 105.6327E) HCM市の南西約120km、ドンタップ省カオラインにある博物館Bao tang Dong Thap展示機。隣にはMiG-17もある。

(34) UH-1H (780, 10.4380N / 106.1960E) HCM市の南西約70km、農村の真っただ中にあるアプバク戦勝記念館Khu Di tich Chien thang Ap Bac。裏手の屋根の下にかなり朽ちかけたUH-1(機首に"780"が残る)が展示されている。”1963年1月2日戦勝記念塔”というモニュメントもある。この日、アメリカ側はここでヘリ5機が撃墜されたうえ、救出に向かったM113も3両が撃破されてしまい、ベトナム戦争に本格介入するきっかけとなった。

(35) UH-1H (68-15323 / 779, 10.2568N / 105.9714E) HCM市の南西約100km、ヴィンロン省博物館。機首に”779”、テイルフィンに”323”の番号が残る。

(36) UH-1H (S/N?, 10.0860N / 105.7245E)) HCM市の南西約135km、カントー空港の軍事基地エリアにMi-8,およびMi-24と共に2021年初めごろから置かれている。GE-Pro画像で確認できるのは2021年10月1日取得画像から。

(37) UH-1H (S/N? / 521, 10.0358N / 105.7851E) HCM市の南西約130km、カントーCan Thoの軍事博物館。テイルブームに”521”の番号が残る。

(38) UH-1H (67-17346, 9.9843N / 106.3297E) HCM市の南南西約100km、メコンデルタのチャビン市Tp. Tra Vinhの郊外にあるホーチミン寺院Den Tho Chu tich Ho Chi Minhの敷地内の屋根の下に置かれている。市の中心部から3km程度離れており、個人が単独で訪問するのは難しいようにみえる。

(39) UH-1H (69-15452, 9.7927N / 105.4795E) HCM市の南西約170km、カントーの南西約45kmにあるハウザン省tinh Hau Gianの省都ヴィータイン(ビタイン)市Tp. Vi Thanhに2013年頃から整備されていた戦勝記念公園・戦勝記念館エリアKhu di tich chien thang Chuong Thienの一角に2013年1月21日から同年12月26日までの間に設置された。近隣にはA-37B、CH-47A, A-1Gも2015年1月25日までに設置されたが、2017年4月14日以前にはそれぞれの展示機の上に屋根が設けられたため、現在では衛星画像による機影確認はできなくなっている。

写真2 ビエンホアのドンナイ省立博物館にあるUH-1H。(2015年4月12日撮影)

 

以上