【ベトナム】F-5シリーズの展示機まとめ

<編集履歴>　04Feb.2023公開、02May.2023見直し更新（第2回目、見直し更新）

　【概要】

　ベトナム戦争中にアメリカが既に供与していた韓国・台湾・イランあたりから機体をかき集め、当時の南ベトナムに供与して使用した。戦争末期ごろからは当時の北ベトナムに向けて逃げ出し、そのまま北ベトナム空軍機として使われたり、鹵獲されて北ベトナム空軍機となったりした機体だ。本Blogのベトナム関連記事の中で「ベトナム戦争展示物御三家」としてF-5,A-37, UH-1を挙げているが、現在ベトナム国内に残るF-5シリーズはF-5Aが10機とF-5Eが1機の合計11機であり、これらの展示場所は南部に偏っている。偵察型のRF-5Aや複座型のF-5B/Fは残されていない。また唯一のE型はダナン基地ゲートガードとなっており、一般には非公開なので私たちが目にすることはまずないだろう。

写真1　機首に"IIAF"の文字が残るビンロンのF-5A。（2016年10月9日撮影）

【F-5A国内展示機Aircrafts】（おおむね北部から南部の順）

(1) F-5A (71-0266, 21.0323N/105.8401E)　ハノイの軍事歴史博物館 Bao Tang Lich su Quan su Viet Nam展示機。描かれた”71-0266”は偽の番号だが、本当のS/Nは不明とされている。

(2) F-5A (7579, 20.9995N/105.8292E)　ハノイの防空・空軍博物館Bao Tang Phong Khong Khong Quan展示機。本機は”65-10547, cn.N6208”といわれているが、”65-10497, cn.N6158”じゃないかというのがBobOgdenのS/N本（第2版）の説だ。

(3) F-5A (67-21153, 11.8506N/106.9992E) HCM市の北方約130km、ビンフォック省フックロンの戦勝記念塔Tuong dai chien thang Phuoc Long前にある小さな歴史博物館Nha Truyen Thongの前庭に本機と両主翼の無いC-123(4955168)が置かれている。いずれもS/Nは適当に書き直したもののようだ（ネット上の写真で番号を確認済）。

(4) F-5A (67-21153, 10.9609N/106.8157E)　ビエンホア基地内を整備して展示された。GE-Proの2022年11月28日取得画像以降に機影を確認できる。隣にMiG-21も置かれている。S/Nは67-21153（フォックロンの機体と同じ番号）と言われているが、私自身はその根拠となる画像をみつけていない。掲載者あるいは投稿者がフォックロンの機体と混同したS/Nを記載したのではないかと考えている。

(5) F-5A (7579, 10.8049N/106.6609E)　HCM市タンソンニャット空港ターミナルの南0.8km西部付近にある南部空軍博物館Bao tang Khong Quan Phia Nam展示機。

(6) F-5A (71-0272,10.7867N/106.7042E)　HCM市中心部のホーチミン作戦博物館 (Bao tang Chien dich Ho Chi Minh展示機。

(7) F-5A (66-9170, 10.7792N/106.6923E)　 HCM市中心部の戦争証跡博物館 Bao Tang Chung Tich Chien Tranhにある元イラン空軍の"172"号機だが、観光客ウケする塗装になっている。

(8) F-5A (01638, 10.7783N/106.6949E)　HCM市中心部にある統一会堂 Dinh Thong Nhat敷地内展示機。大通りから建物を見て右手の林の中にある。その説明板には「F-5"E"」と書かれているため、観光客の投稿写真の説明には「F-5"E"があった」と書かれる原因となっている。

(9) F-5A (71-0271, 10.7763N/106.6999E)　HCM市中心部のホーチミン市博物館 Bao Tng Thanh Pho Ho Chi Minh展示機。ベトナム国内で唯一迷彩系ではなく、銀塗装となっている機体。

(10) F-5A (68-9060, 10.2568N/105.9712E) HCM市の南西約100km、ヴィンロン省博物館Bao tang tinh Vinh Longにある元イラン空軍3-457号機。展示後に再塗装されたことが無いようでベトナム国内のF-5の中では史料的価値が最も高い機体。