用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

【ベトナム】A-37Bの展示機まとめ

<編集履歴> 04Feb.2023公開、13Feb.2023見直し更新(第4回目、見直し更新)

 

【概要】

 Wikipedia(日本語版2023年2月13日閲覧)によると、A-37Bは南ベトナム空軍にA-1の後継機として187機が供与されたが、このうち95機が統一後のベトナム空軍に鹵獲、残る92機はタイへ逃亡後にアメリカへ返還されたという(注:187機供与のうち95機が統一ベトナム空軍機となり、92機が返還されたということは抹消0機ということだ。そんなハズはないだろう!これらの数値は本当だろうかという疑問が残る。一方、とある英文記事では254機以上が南ベトナム空軍に供与されたという記述がある)。ベトナムではカンボジア侵攻(1978-79)や中越戦争(1979)の頃まで運用された。

 現在までにベトナム国内に残るA-37Bは20機を確認しているが、このうち11機がHCM市近郊エリアおよびそれよりも南部に展示されている。HCM市近郊に展示機が集中しているが、これ以外の機体分布は南部と北部でそう大きな差は無いので「ベトナム全土で見られる機体」と言っても良いだろう。本Blogのベトナム関連記事の中で「ベトナム戦争展示物御三家」としてF-5/A-37/ UH-1を挙げているが、このうちの2機程度がワンセットで展示されることが多いように思う。

写真1 ハノイの防空・空軍博物館にあるA-37B。(2018年9月30日撮影)

 

【国内展示機Aircrafts】(おおむね北方から南方の順)

(1) A-37B (S/N?, 21.3578N / 106.2618E) ハノイの北東約60km、Kep基地の南約4㎞にある第2軍博物館Bao tang Quan doan 2展示機。隣にUH-1もある。

(2) A-37B (43198, 21.0339N / 105.8406E) ハノイ軍事歴史博物館。青色の屋根があり、撮影には不向き。

(3) A-37B (0475, 21.0000N / 105.8296E) ハノイ防空空軍博物館。2018年に訪問した際には左翼の燃料タンクが大きく凹んでいた。

(4) A-37B (S/N?, 19.8965N /105.4533E)    ハノイの南南西約130km、バイトゥオンBai Thuong空軍基地(トースアンTho Xuan空港)展示機。周囲にはMiG-17, MiG-21やSu-22などもある。

(5) A-37B (693386, 16.8187N / 107.0904E) ダナンの北西約150㎞、クアンチ省tinh Quang Triの省都ドンハDong Haにある省立博物館Bao tag tinh Quang triにUH-1(17096)と共に置かれている。

(6) A-37B (68-7957,16.4440N / 107.5814E) フエの軍事歴史博物館にあった機体を新たに移転した場所(新規名称不明)。本機以外にあったMiG-21、A-1、UH-1などの屋外展示物も全てここに移転している。

(7) A-37B (0475, 16.0497N / 108.2072E) ダナン基地正門のゲートガード群の中の1機。2002年9月以前から存在している機体で、これまでに基地内数か所を転々としている。国内2機目の0475号機だ。

(8) A-37B (10793, 16.0486N / 108.2172E) ダナン軍事博物館(第5軍管区博物館)。68-10793がホントのS/N。

(9) A-37B (S/N?, 11.6445N / 108.9468E) HCM市の北東約240㎞、ニントゥアン省省都ファンラン=タップチャム郊外のファンラン基地Phan Rang(タンソン空港San bay Thanh Son)の北側の一角にある。2010年7月にはすでに展示されており、2019年以降には近隣にMiG-21とSu-22も設置されている。

(10) A-37B (71-822 , 11.5442N / 106.8858E) HCM市の北北東約9km、ビンフォック省立博物館Bao tang tinh Binh PhuocにUH-1と共に展示

(11) A-37B (67-81787, 11.3066N / 106.1061E) HCM市の北西約85km、タイニン省省都タイニン市にある省立博物館Bao tang thin Tay Ninhに2016年2月から2017年1月までの間にUH-1と共に設置された。

(12) A-37B (3734, 10.9301N / 108.0981E) HCM市の東約150km、ビントゥアン省省都ファンティエット市Tp. Phan Thietにある省立博物館Bao tang tinh Binh Thuan展示機。2001年3月以前から10.9278N, 108.1032Eに置かれていた機体を2016年3月15日から同年12月22日までの間に移設した。

(13) A-37B (68-7956, 10.8840N / 106.7431E) HCM市の北1km、ビンズオン/ディーアン地区にある第4軍博物館Bao tang Quan Doan 4にUH-1(70-15704)と共に展示されている。

(14) A-37B (0475, 10.8049N / 106.6609E) HCM市タンソンニャット空港ターミナルの南0.8km西部付近にある南部空軍博物館Bao tang Khong Quan Phia Namに展示されている国内3機目の0475号機

(15) A-37B (67-14821,10.7867N / 106.7042E) HCM市中心部のホーチミン作戦博物館 (Bao tang Chien dich Ho Chi Minh展示機

(16) A-37B (01285, 10.7792N / 106.6923E)  HCM市中心部の戦争証跡博物館 Bao tang Chung Tich Chien Tranh展示機

(17) A-37B (3724, 10.7763N / 106.6999E) HCM市中心部のホーチミン市博物館 Bao tang Thanh Pho Ho Chi Minh展示機。本当のS/Nは68-7945。

(18) A-37B (70-1295, 10.2569N / 105.9713E) HCM市の南西約100km、ヴィンロン省博物館Bao tang tinh Vinh LongにF-5AとUH-1と共に展示。

(19) A-37B (68-10824 / 29, 10.0357N / 105.7852E) カントーにある第9軍管区博物館Bao tang Quan khu 9展示機で機首に”824”の番号を残している。また垂直尾翼にはうっすらと”29”の数字が見える(2"4"ではなく、2"9"のようだ)。

(20) A-37B (67-14806, 9.7931N / 105.4791E) HCM市の南西約170km、カントーの南西約45kmにあるハウザン省tinh Hau Gianの省都ヴィータイン(ビタイン)市Tp. Vi Thanhに2013年頃から整備されていた戦勝記念公園・戦勝記念館エリアKhu di tich chien thang Chuong Thienの一角に2013年1月21日から同年12月26日までの間に設置された。近隣にはCH-47A, A-1G, UH-1も2015年1月25日までに設置されたが、2017年4月14日以前にはそれぞれの展示機の上に屋根が設けられたため、現在では衛星画像による機影確認はできなくなっている。

写真2 ハノイの軍事歴史博物館のA-37B。屋根をつけて雨と直射日光による劣化を抑制するのは歓迎するが、この青色はいただけない。(2018年9月30日撮影)

 

写真3 ヴィンロンのA-37B。(2016年10月9日撮影)

 

【その他】

(1) A-37B (87916)はベトナム政府からポーランドに寄贈され、Krakowのポーランド空軍博物館に展示されている。同時に寄贈されたF-5E(73-00852)も展示されている。

以上