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【ベトナム】アメリカ製軍用機(希少種)の展示機まとめ

<編集履歴> 08Feb.2023公開、03Mar.2023見直し更新(第8回目、見直し実施)

 

【注意事項】

 本Blogでは機体全長のおおむね半分以下の大きさとなった残骸・破片は原則として取り上げないことにする。また複数の機体が存在する場合には原則として北から南の順に紹介する。

 

【概要】

(1) ベトナムに展示されているアメリカ製の軍用機の大部分は元南ベトナム空軍機(本記事ではSVAFと略す)だ。このうちF-5シリーズ、A-1シリーズ、A-37B、U-17シリーズおよびUH-1については別記事でまとめているが、これらを除くと「アメリカ製軍用機」は7機種程度で、それぞれが1~数機程度しか展示されていない。本記事ではこれらを一括してまとめてみよう。

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(2) 元南ベトナム空軍機の一部(大部分?)は統一後にはベトナム空軍機として使用されていた。しかし私自身は全ての機種が使用されたのかとか、いつまで使用されていたのかということは調べていない。

(3) 海外サイトや文献を見ると「**(機種名)がある」という記述もあるが、全て残骸というよりも”破片”にすぎない。そして上述した通り本Blogでは”破片”は原則として取り上げない。

 

【B-52】

 「機体半分以下の残骸・破片は取り上げない」と書いた直後ではあるが、ハノイにあるB-52戦勝記念館とフュティエップ池のB-52の残骸だけは観光名所となっているので紹介しておこう。ただし詳細は別記事参照のこと。

【ハノイ】B-52戦勝博物館 - 用廃機ハンターが行く!

【ハノイ】フュティエップ池に沈んだB-52 - 用廃機ハンターが行く!

撃墜されたB-52の残骸・破片は全国各地の博物館等でも展示されている。

写真1 ハノイのB-52戦勝記念館に展示されたB-52の残骸。写っているのは主翼より前方付近のもの。尾翼前の中後半部の胴体部分はフュティエップ池に沈んでいるようだ。(2018年9月30日撮影)

 

【C-130A】

 国内に2機が展示されている。いずれも1990年代頃にはHCM市のタンソンニャット空港に放置されていたSVAF機であり、観光目的のためにそれぞれ移設したものだ。私自身は両展示場を訪問しているが、その時にはまだ展示されていなかったので写真は無い。2018年にはケサン戦闘基地博物館を再訪して撮影してくる予定であったが、悪天候のために現地ツアーは催行を取りやめてしまった。

(1) C-130A (56-0532/004/SVAF, 16.6548N / 106.7263E) ケサン戦闘基地博物館(Ta Con空港跡地)に2011年9月初旬ごろに設置された(2011年9月24日には再組立が終わっている)。アメリカのマークが記入されている(されていた)がSVAFの004号機だ。2011年8月26日に本機を4台のトラックに分散させてHCM市からQuang Triに移送する途中の道路では大渋滞を引き起こし(途中の検問所・料金所を通過できなかった模様)、警察が調査したところいずれも超過重量・超過サイズであったことが判明したという。詳細を伝える記事が無いが、どうやら特別許可を発行して輸送させた模様。

(2) C-130A (56-0476/005/SVAF, 11.1424N / 106.4625E) HCM市近郊にある2つのクチトンネルのうち国内観光者向けのBen Duocトンネルの観光エリア内に2018年1月から11月までの間に設置された。こちらはSVAFの005号機。

 

【C-123】

 国内にあるC-123は1機のみ。

(1) C-123B or K (4955168, 11.8506N / 106.9992E) HCM市の北方約130㎞、ビンフォック省フックロンの戦勝記念塔Tuong dai chien thang Phuoc Long前にある小さな歴史博物館Nha Truyen Thongの前庭に両主翼の無い本機が置かれている。S/Nは適当に書き直したもののようだ。 敷地内にはF-5Aも展示されている。

 

【F-4】

 戦争中~後半にかけて活躍したファントムだが、ベトナム国内に展示されているのはハノイにある一機だけ。ベトナム戦争中にSVAFで運用されたF-5A/Eを除く当時の「アメリカ製の(アメリカ軍の)」戦闘機は破片しか残っていない。

(1) F-4N (Bu.153001, NH201 / VF-114, 20.9997N / 105.8290E) ハノイの防空空軍博物館 

写真2 F-4Nほぼ1機分の残骸。ハノイ防空・空軍博物館の目玉展示。なおコクピット前席に載っているキャノピー枠はF-105のものだ。(2018年10月1日撮影)

 

【O-1】

 セスナ170の軍用型。ベトナム戦争初期から投入されていたが、空軍ではやがてO-2やOV-10に機種更新された。陸軍では公式には1974年まで偵察任務で使用されたという(Wikipedia英語版2023年2月26日閲覧)。ベトナム戦争への投入数は不明だが469機(空軍179機、海軍7機、陸軍と南ベトナム軍で284機)が撃墜されたり事故等で失われたという。現在残るのは残骸レベルの一機のみだ。

(1) O-1(O-1E?) (S/N?, 10.0358N / 105.7850E) HCM市の南西約130km、カントーの第9軍管区博物館Bao tang Quan Khu 9展示機。BoB OgdenのS/N本(第2版)にはU-17Aと記載されているが明らかに間違っている。垂直尾翼の両側をジックリと眺めると"12723" の数字が読み取れるが、該当しそうな”65-12723”というS/Nは偽番号で本当のS/Nは不明とされる。エンジンおよび主脚車輪は付いていない。

写真3 カントーの第9軍管区博物館にあるO-1。エンジン、主車輪は無い。(2016年10月19日撮影)

 

【T-41D】

(1) T-41D (772, 12.2343N / 109.1929E) ニャチャンの空軍大学付属の展示場Bao Tang Khong quan Nha Trangに置かれている。国内に唯一残るT-41Dだが、一般公開はされていない。ここにある機体の一部は道路から見ることが出来るが、本機は建物の影になっており機影を確認することができない。

 

【CH-47A】

国内に4機が残されている。偽番号もあるが全て元南ベトナム空軍機だろう。

(1) CH-47A (19082, 21.0337N / 105.8406E) ハノイ軍事歴史博物館、S/Nは偽番号

(2) CH-47A (68-025, 16.6537N / 106.7248E) ケサン戦闘基地博物館。ケサン開放35周年記念事業として公園が整備され、2003年に展示されたという。

(3) CH-47A (66-0086, 10.7793N / 106.6927E) HCM市戦争証跡博物館、機体には”6086”と記載されている。

(4) CH-47A (135-03, 9.7928N / 105.4794E) HCM市の南西約170km、カントーの南西約45kmにあるハウザン省tinh Hau Gianの省都ヴィータイン(ビタイン)市Tp. Vi Thanhに2013年頃から整備されていた戦勝記念公園・戦勝記念館エリアKhu di tich chien thang Chuong Thienの一角に2013年1月21日から同年12月26日までの間に設置された。機首に”03”、後部エンジンマウント部に"135-03"と記入されているが本当のS/Nは不明。近隣にはA-1E, A-37B, UH-1も2015年1月25日までに設置されたが、2017年4月14日以前にはそれぞれの展示機の上に屋根が設けられたため、現在では衛星画像による機影確認はできなくなっている。

写真5-1 ケサン戦闘基地博物館のCH-47A。(2006年5月3日撮影)

 

写真5-2 HCM市の戦争証跡博物館に置かれたCH-47A。(2014年11月1日撮影)

 

【CH-53】

 2010年前後にラオスかタイ国境付近のホーチミンルートをバイクで走破した海外の旅行者が山の中の道路わきで見つけた残骸だが、かなり原型をとどめていた。正確な場所は不明なうえ、その記事を再度見つけることができない。こんなモノもあるという程度の記録として記載しておく。

 

【おまけ:残骸をいくつか】

写真6 ハイフォン博物館のMiG-17の脇に転がるA-6の左主翼。右上にはひしゃげたエンジンも転がっている。(2018年9月29日撮影)

以上