<編集履歴> 13Nov.2020 公開(海上自衛隊 回転翼機の展示機より分離独立)、
20Jul.2025見直し更新(第25回目、SH-60J保有機数見直し実施)
海上自衛隊のH-60系統にはSH-60J/K/L、UH-60Jがあるが、ここではSH-60Jに注目して記載する。
【概要】
(1) HSS-2Bの後継機として1986年から103機が導入された哨戒ヘリコプター。
(2) 2019年度予算で2機、2020年度予算で2機の機齢延長実施予算が認められている
(3) 2021年4月1日付の公式Twitterでは館山基地に所属していたSH-60Jの最後の1機が配置換えとなり、第22航空群(大村)に向けて飛び立っていったと発信した。
(3) 2022年11月22日時点では82, 81, 86, 88, 89, 91, 93, 95, 96, 98, 99, 83, 00, 01, 02の13機のうちの12機程度が残っていたが、2024年度末までに7機程度の用廃機が発生し、残る在籍機数が6機(R7防衛白書記載の機数)となった。
(4) 2024年3月19-20日に神戸港で一般公開された護衛艦「さわぎり」甲板ではSH-60J(8299)が搭載展示されていた。また4月8-12日頃に練習艦「かしま」が神戸港に入港した際の「さわぎり」艦上でも8299号機の姿を見ることができた。このことから「2024年度になってからもSH-60Jを運用している」と判断した。
(5) 次の6機は事故で抹消されている。:8209, 8215, 8241, 8279, 8282, 8297

写真1 海霧が地表に残る中でFLT後のSH-60Jの点検整備を行う整備員。(2018年6月30日、大湊航空基地祭にて撮影)
【現役機数の変化と全機退役の予想】
2020年3月末 18機:令和2年(2020年)防衛白書、資料5
2021年3月末 14機:令和3年(2021年)防衛白書、資料5
2022年3月末 12機:令和4年(2022年)防衛白書、資料8
2023年3月末 10機:令和5年(2023年)防衛白書、資料10
2024年3月末 7機:令和6年(2024年)防衛白書の資料6
2025年3月末 6機:令和7年(2025年)防衛白書の資料6
2026年3月末 全廃と予想

写真2 舞鶴クレインブリッジを背景に飛び立つSH-60J。(2012年7月28日、舞鶴航空基地祭にて撮影)
【展示機と訓練機】
2024年3月15日の時点では3機が展示機となり、7機がハンドリング訓練の教材や消火訓練用などの訓練機になっている。訓練機は漸次SH-60Kに更新され、SH-60Jは廃棄されていくものと思われるが、2025年7月20日時点では更新されたという情報は確認していない。以下に展示機や訓練機として確認されている用廃機をS/N順に記す。
(1) 8204 長崎県大村航空基地にて胴体部分を消火訓練に使用。GoogleMapの衛星写真にて2019年11月15日時点で機体を確認できる。Jウイング誌2006年8月号p.93に投稿写真が掲載されている。
(2) 8205 千葉県下総航空基地第3術科学校で教材として使用(2023年9月存在確認)

写真3 下総基地第3術科学校にて整備訓練機となっているSH-60J(8205)。(2012年7月21日、下総基地ちびっ子ヤング大会にて撮影)
(3) 8206 千葉県下総航空基地で第3術科学校で整備教材として使用していたが、2020年度からは横転した状態で設置・固定して陸上救難訓練用航空機となっている。

写真4 機体左側を下にして横転させた状態で固定した訓練機。この画像は教育航空集団の公式Twitter(現X)が2020年10月20日付で発信した投稿より拝借したもの。(海上自衛隊撮影)
(4) 8231 長崎県南島原市 漬物の里ふるさと館前に2008年12月頃から展示中。2010年7月頃よりMAD(AN/ASQ-81)が装着された。

写真5 島原半島の島原よりやや南にある道路沿いの漬物屋に展示されているSH-60J。(2010年09月11日撮影)
(5) 8249 青森県大湊基地ゲート前に2018年公開から2019年公開までの間に設置され現在も展示中。第25航空隊にちなみ”8225”という番号が記載されている。銘板は無いが、機首の”25”の数字の下に”40”もしくは”49”の数字がうっすらと確認されたことと、8249号機が2017年までは第25航空隊に配置されていたことから本機は8249”と思われる。(S/N書き換え情報はインターネット航空雑誌ヒコーキ雲さんの投稿より)

写真6 大湊航空基地に展示されているSH-60J (8249)。S/Nは第25航空隊にちなみ”8225”と記入されている。(2010年09月11日撮影)
(6) 8256 長崎県大村航空基地にて何らかの訓練用途に使用されている雰囲気の画像がTwitterに投稿されていた(2019~、2022年11月存在確認)。
(7) 8268 護衛艦「いずも」の艦上操作訓練機。ネット上では2016年6月12日に撮影されたものが日付の分かる最も古い写真。2022年12月4日に横須賀で公開された際にも格納庫内で確認されている。引退時にはHS-22所属機。
(8) 8272 護衛艦「かが」の艦上操作訓練機。2018年11月18日公開時に確認されている。2025年7月19日に存在確認。
(9) 8273 徳島県小松島基地に展示中。第24航空隊にちなみS/Nを"8224"に変更して記載している。機体後部を黒く塗った機体は2017年のサマーフェスタでエプロン地区で公開されたあと、現在の場所に据え置かれたという。

写真7 小松島航空基地のSH-60J (8273)。第24航空隊にちなみS/Nを”8224”と記入している。(2018年7月15日撮影)
(10) 機番不明 護衛艦「ひゅうが」の艦上操作訓練機。機首には”ひゅうが181”と記載。

写真8 護衛艦ひゅうが艦上の訓練機。”ひゅうが181”と機首に記載されている。(2009年4月11日、横須賀公開時に撮影)
【展示/教材後に撤去】
(1) 8221 館山航空基地に展示されていたが、2024年3月11日午後に解体、撤去された。本機は用廃後に展示機となった最初のSH-60Jであった。


写真9-1, 9-2 かつて館山航空基地の正門ゲート周辺に展示されていたSH-60J(8221)。2024年3月末に解体撤去された。(9-1: 2009年5月31日、9-2: 2024年3月11日撮影)
以上