用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

【全羅南道】高興郡(コフングン)の展示機

<編集履歴> 17Nov.2023公開、22Nov.2023見直し更新(第2回目、見直し実施)

 

<訪問日Visit> 04Nov.2023

<解説General> 

(1) 光州広域市から南東に直線で約70kmの距離にある海岸沿いの小さな地方都市。「地球の歩き方」など国内の観光ガイド本に記載された例はまだ目にしたことが無い。ロケット発射場が近くにあるので「宇宙への街!」という感じのキャンペーンが道路脇にいくつか見られるが、どれも薄汚れていて誰も気にしていない。高興中央文化会館前にF-4Dが置かれている。また、ここから約13km離れた干拓用防潮堤の脇に作られた公園にはF-86DとT-37Cが置かれている。本記事ではこの2か所の展示機について紹介する。町の移動の中心となるのは高興ターミナルだ(34.6073N / 127.810E)だ。ここからのアクセスを中心に記載する。なお高興ターミナルの表通り側には「高興公用停留場(고흥공용 정류장)」とのハングル表示があり、ハングルの一部のサイトでは「高興ターミナル(고흥터미널)」、「高興公用ターミナル(고흥공용터미널)」もしくは「高興公用バスターミナル(고흥공용버스터미널、カカオマップ上での表記)」というハングル表記も見られるが、本記事では「高興ターミナル」という表現に統一する。

(2) 入り江を防潮堤で仕切って造った人口湖「高興湖」の東岸には約1,500mほどの滑走路を持つ韓国航空宇宙研究院高興航空センター(34.6067N / 127.2116E)があるが、こちらには訪問していない。

【高興ターミナルまでの行き方 Access to Goheung Bus Terminal】

(1) 光州市中央バスターミナル(通称U-スクエア)から高興ターミナルまで約2.5時間、16,200W。20分~90分に1本程度の便がある。 

(2) 順天市外バスターミナルから高興ターミナルまで約60分、8,700W。30~80分に1本程度の便がある。

(3) 釜山から高興ターミナルに行く便が1日2便ある。釜山から3,5時間程度。

※光州または順天を基点として訪問すると良さそうだ。

 

【高興中央文化会館前のF-4D】

(1) F-4D (50623, 34.6128N / 127.2965E) 高興ターミナルから北東に直線で約1.6km、道なりでは約2.3kmの高興中央文化会館前に機首を北にして2008年から置かれている。高興ターミナルを発着する市外バスは脇の15号線をすっ飛ばして走るので、車窓からも見ることができる。機体右側は駐車場となっており、駐車中の車両があるとサイドショットは撮りにくい。会館のテラスからは中望遠レンズにて撮影可能だ。高興ターミナルから「文化会館」バス停までは市内バスの便があるが、運行頻度は1~2時間に1本程度かと思う(あまり真剣に調べていない)。歩いても30分程度だが、タクシーなら数分でいける。料金は5,000W未満だ。(私がタクシーを利用した際のハプニングを最後段に記す)。後述の高興湾防潮堤公園を含めた周遊プランでタクシードライバーと話をつけて利用するのが良いだろう。私はジックリ時間をかけて機体を撮りたかったので、タクシーで現地向かったのちに車を返し、復路は徒歩でターミナルへと戻った。

・余談:ファントムの後方数十メートルの道路沿いに直径2mほどの薄汚れた円筒が2本立っていた。工事関連のサイロか何かだろうと気にも留めず、したがって写真も撮らなかった。帰国して航空ファンの記事を読み返すと、どうやら「ロケットを模した町おこしキャンペーン塔」だったようだ。しまった、撮っておけば良かった!

写真1-1, 1-2, 1-3 高興中央文化会館前に展示されているF-4D。バス停の直ぐ後ろにある。なおバス停名称は「文化会館」であって、「高興中央文化会館」ではないので、ハングル初心者の方は注意が必要・・・でしょうかね?窓から表を見ていりゃ、下車すべきバス停は分かるし、そもそもバスは、まず来ない。(2023年11月4日撮影)

 

【高興湾防潮堤公園のF-86DとT-37C】

 高興ターミナルから高興湾防潮堤公園までは直線で約9km、道なりで約13kmだ。ここを通過するバスの便は無く、車で訪問するしかアクセス手段はない。ターミナルからタクシーで往復すると5万W程度(実績として4.8万W)だが、私の場合にはチョイトしたハプニングも生じた。その詳細は最後段に記す。なお航空ファン誌に訪問記事を掲載している大路聡氏が2009年に前述の文化会館とこちらを周遊した際には3万W程度だったとレポートしている。円安の影響もあって、タクシー料金は実質的には倍近くになったと考えて良いだろう。

(1) F-86D (52-022, 34.6475N / 127.1995E) 機首をほぼ西に向けて置かれているため、機体右側面は終日逆光となる。胴体下にはロケット弾(もちろんダミー)の詰まったポッドを吊下している。2008年設置。

写真2-1, 2-2. 2-3 機体右側は終日逆光だ。ポッドに入ったロケット弾(ダミー)は3発が抜け落ちているコトが気になった。ここまでやって来て、ホントにどうでも良いコトなのだが・・・。(2023年11月4日撮影)

 

(2) T-37C (80932, 34.6473E / 127.1990E) こちらは機首をほぼ東に向けて置かれているため、機体左側面は終日逆光となる。2008年に設置された当初からGE-Proの2021年11月7日取得画像まではBlack Eagles塗装であったが、2023年11月訪問時には通常塗装に戻されていた。

写真3-1, 3-2 以前はBlack Eagles塗装だったT-37C。こちらの機体左側は終日逆光だ。(2023年11月4日撮影)

 

【参考文献(日本語)】

(1) 「「韓国の展示機」差分2009編」大路聡、航空ファン2010年1月号No.685, p.81-82

(本記事で紹介した3機に関する国内初のレポートだ)

(2)「韓国のファントムII展示機(前編)」大路聡、航空ファン2021年04月号No.820, p.77

 

【余談】

(1) 高興ターミナルから高興文化会館まではターミナル前からタクシーを利用した。半分程度の道のりを走ったところで、メーターを動かしていないことに気づいた。「しまった!やられた!!」。海外では一般バスやピックアップトラックを利用することが多く、最後にタクシーを利用したのは10年くらい前の中国だったか、シンガポールだったろうか?韓国では20年以上利用していなかったハズで、「メーターを使うことを確認する」という基本注意事項をすっかり忘れていた。到着後に支払ったのは5,000W。メーターなら3,500W程度だろうか。日本円にして200円程度の差だが、余分に取られるのは、やはり悔しいなぁ・・・(小銭をもらうのが面倒で、自らの意思でチップ込みにして5,000Wを渡すのは問題無い)。

(2) 高興文化会館から高興ターミナルへは徒歩で戻り、改めてタクシーを利用して高興湾防潮堤公園へ。ハングル表記を多くするため、カカオマップから作成した地図に、マーカーで道順を記し、ハングルで「高興湾防潮堤公園で飛行機の写真を撮る。30分観光したらターミナルに戻る。」と書いてドライバーに見せたうえで乗車。今度は発車と同時にメーターを作動させたので一安心。約20分後、ドライバーは高興湾防潮堤公園を超えて先に進もうとする。「おい、止まれ!戻れ!飛行機公園はあっちだ!」「いいや、飛行機はあっちだ!」というような言い合いをしながら、1.2kmほど進み、ようやくUターン。おそらくは高興湖の東岸にある飛行場へ行こうとしたのだろう。10数年前にどこかの国でタクシーを利用した際にも、かなり丁寧な地図を作成してドラバーに見せたにも関わらず、しっかりと行先を間違えられた経験がある。「海外のタクシードライバーは地図を読むことができない」「場合によっては現地語で記載した指示すらも読めない(事前に文章を書いた場所を指でなぞって相手に読ませている。ただし、こちらの文法が間違っている可能性はある)」という「原則」を思い出した。

 そんなハプニングもあったが、結果オーライ。料金はターミナル往復で4.8万Wだった。他の都市でのタクシー料金を元に、事前に試算していた額(5.5-6.5万W程度)よりは安く、料金的には問題無かったものと判断している。

以上