用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

航空自衛隊 E-2Cの用廃機

<編集履歴> 13Jul.2021「【短報】3機用廃となったE-2C」として公開、16Jan.2022「航空自衛隊E-2Cの用廃機」に改題して内容を全面的に更新、見直し更新(第0回目)、17Dec.2023見直し更新(第6回目、見直し実施)

 

 MiG-25亡命事件をきっかけにして1983年から13機が導入された早期警戒機E-2C。2023年には無事故で運用40周年を迎えている。一方、2020年には岐阜基地第二補給処の建物前にてシートに包まれた機体が確認されており、2021年7月13日に公開された令和3年度防衛白書の資料5により、2020年度末(2021年3月末日)までにE-2Cの保有機数が13機から10機に減耗していることが明らかになった。

防衛省・自衛隊|令和3年版防衛白書|PDFの閲覧

 老朽化したE-2Cの補充および後継機としてE-2Dが選定され、初号機は2018年12月に三沢基地に到着。2019年3月に航空自衛隊に引き渡されている。2023年11月15日時点では最新の5号機が引き渡されたようだ(岩国基地にて米軍マークを描いて試験飛行を行っていた5号機だが、11月14日ごろには日の丸に書き換えられていた)。

本記事ではE-2Cの用廃機発生状況をまとめてみよう。

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写真1 三沢基地にアプローチする452号機。地表に積もった雪の照り返しで機体下面が綺麗に浮かび上がる。(2019年2月5日撮影)

 

【機体の状況】(2023年11月14日確認)

もともと13機しか導入していないので全機の状況を以下に記す。

(01) 34-3451 (Bu.161400) 運用中(動向注視)

(02) 34-3452 (Bu.161401) 運用中(動向注視)

(03) 34-3453 (Bu.161402) 運用中(動向注視)

(04) 34-3454 (Bu.161403) 運用中

(05) 54-3455 (Bu.161786) 2020年度中に用廃か?Flyteamさん掲載写真の最終撮影日は2015年9月14日。2023年11月の岐阜基地祭当日には格納庫内にて確認とのX投稿情報あり。主翼垂直尾翼レドームは外された状態であった。

(06) 54-3456 (Bu.161787) 2020年度中に用廃、Flyteamさん掲載写真の最終撮影日2017年1月31日。2023年11月の岐阜基地祭当日には南側でシートに包まれて放置されていた。

(07) 54-3457 (Bu.161788) 2020年度中に用廃、Flyteamさん掲載写真の最終撮影日は2017年5月22日。2023年11月の岐阜基地祭当日にはBu.16187とBu.16189の間にシートに包まれて放置されていた。(ただしこれは、現用機と飛行を確認できない機体情報より、消去法にて54-3457 (Bu.161788)と推定したもの)

(08) 54-3458 (Bu.161789) 2020年度中に用廃か?Flyteamさん掲載写真の最終撮影日は2018年10月12日。2023年11月の岐阜基地祭当日には岐阜基地南側でシートに包まれて放置されていた。

(09) 34-3459 (Bu.164621) 2017年12月初旬ごろにプロペラを八翅のNP2000に換装(換装1号機)

(10) 34-3460 (Bu.164622) プロペラを八翅のNP2000に換装して2021年3月3日に岐阜で飛行、換装3号機。2021年(令和3年)1月26日付の契約で契約金額は184,503,000円也。

(11) 34-3461 (Bu.164623) プロペラ換装するか?(2023年12月時点では4翅プロペラ)

(12) 44-3462 (Bu.164624) プロペラ換装するか?(2023年12月時点では4翅プロペラ)

(13) 44-3463 (Bu.164625) プロペラを八翅のNP2000に換装して2021年3月3日に岐阜で飛行、換装2号機。2020年(令和2年)2月20日付の契約で契約金額は282,997,000円也。

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写真2 2009年7月30日に10万時間安全飛行を達成した記念塗装を施した457号機。この機体は用廃となった。(2009年10月12日岐阜基地祭帰投時に撮影)

 

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写真3 航空自衛隊のE-2Cで初めてNP2000プロペラに換装したのは34-3459号機だった。(2019年9月8日、三沢基地祭にて撮影)

 

【E-2C用廃に関する年表】

2015年09月14日 54-3455の最終撮影日(Flyteamさん掲載写真より)

2017年01月31日 54-3456の最終撮影日(Flyteamさん掲載写真より)

2017年05月22日 54-3457の最終撮影日(Flyteamさん掲載写真より)

2018年03月05日 第二補給処の公告の調達情報提出期限(3月5日)の中に「E-2C 54-3455号の維持整備等に関する作業」「E-2C 54-3456号の維持整備等に関する作業」「E-2C 54-3457号の維持整備等に関する作業」が存在。

2018年10月08日 川崎重工エリア内に2機のE-2Cが置かれていることをGE-Pro画像で確認できる。(35.3969N, 136.8800E)

2018年10月12日 54-3458の最終撮影日(Flyteamさん掲載写真より)

※私自身は54-3458号機の「維持整備等に関する作業」については公告を確認していない。防衛白書に掲載された保有機一覧より、飛行していない455,456,457,458号機の4機のうち、3機までは2020年度末までに用廃となっている。残る1機は2022年度末時点において飛行は確認されていないものの、書類上は「生きている」状態にある。用廃となった3機とは「維持整備等に関する作業」に記された3機だろうと考えていたが、2023年11月の基地祭時にシートに包まれた機体の中に54-3458号機が含まれていることが確認されたため、この説をひっくり返すことになった。455号機が格納庫内にあったとのことから、この機体が「(書類上は)生きている」可能性がある。

2019年12月23日 「E-2C航空機の屋外保管に際しての防護作業」を船山株式会社が2,250万円で落札

2020年04月09日 第二補給処建屋前に3機のE-2Cが置かれていることをGE-Pro画像で確認できる。(35.3916N, 136.8549E)

2020年06月21日  航空ファン誌2020年8月号(No.812)p.109下段に岐阜基地外周から撮影された第二補給処建屋前に置かれたシートに包まれた3機のE-2Cの写真が掲載された。

2021年03月31日 国有財産台帳にE-2C3機分が存在せず。(2021年7月13日公開の令和3年度防衛白書資料5より)

2022年11月13日 岐阜基地祭において南側第二補給処前にシートをかけられ、レドームを外した状態の3機が並んでいた。一番西側の機体はBu.161787(54-3456号機)だった。

2023年11月12日 岐阜基地祭において、上述3機のほかに、格納庫内に一機(455号機)が存在していたとの投稿がX上にあった。なお上述3機は東側よりBu.16189(写真判定)、Bu.161788(消去法による推定)、Bu.161787(写真判定)の3機であった。

写真4 岐阜基地南側にシートをかけられて並ぶ3機のE-2C。(2023年11月12日撮影)

※注:私自身は2022年11月の基地祭時に3機のE-2Cを撮影していたが、撮影場所を鑑み、その画像公開を自主規制していた。しかし2023年11月の岐阜基地祭では「南側撮影エリア」として拡張開放された場所から、存分に撮影できる環境となっていたため、自主規制を解除することにした。

 

【参考:ネットのどこを見るとプロペラ換装の契約や契約金額が見られるのか?】

1. 次のように進んでください。

防衛装備庁のHP > (画面右側の「お知らせ」内)中央調達のトップページ > 調達情報の公表 >契約に係る情報の公表(中央調達分) > 年度別に「月別契約情報」というExcelファイルを見ることができます。

2. 「月別契約情報」には「競争」(入札を行うもの)と「随意契約」(入札を行わないもの)があります。またそれぞれに「基準以上」(様々な条件が厳しいもの)と「基準未満」(様々な条件が容易なもの)があります。ここでは「随意契約(基準以上)」を参照しましょう。機体などの購入、IRAN予定数量などにかかる契約相手先と金額を知ることができます。

3.ほかの項目になりますが、調達予定品目などの情報があり、本年度は何機IRANに入るかな?などの情報を得ることができます。ま、一度HPを覗いてみてくださいな。

防衛装備庁HPのURL; https://www.mod.go.jp/atla/choutatsu.html

 

【おまけ】

 E-2Cのプロペラ換装機とE-2Dを見誤るケースがあるようなので、両機種の見分け方を別記事に記す。ご参考になれば幸いです。

【雑談】E-2CとE-2Dの見分け方(航空自衛隊の場合) - 用廃機ハンターが行く!

以上