用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

航空自衛隊 E-2Dのお話

<編集履歴> 17Sep.2024公開、19Sep.2024見直し更新(第1回目、字句表現等修正)

 

 老朽化したE-2Cの補充および後継機としてE-2Dが選定され、18機を導入する予定だ。2024年4月時点において納入が続けられている機体であり、恐らくは35~40年程度使用することだろう。用廃機が発生するのは2055~60年前後となるものと予想する。このため、”用廃機ハンター”としては魅力に乏しい機体だ(個人的には、ほぼ確実に”死ぬまで見られる機体”だ)。気が向いたら情報をUpdateします(笑)。 

※注:先にE-2Cの話の中でE-2Dについて書き過ぎちゃったので、E-2Dに関する部分だけを独立分離した記事として再構成しました。

写真1 三沢基地航空祭で展示された航空自衛隊のE-2D。(2022年9月11日撮影)

 

<納入の流れ>

 さて、E-2Dの納入にかかる流れをまとめておこう。

 E-2DはFMS (Foreign Militaly Sales/対外有償援助)調達されている。その流れはおおむね次のようになる。

(1) まずは、日米合意が必要だ。日本から米国への購入希望を通知し、米国内での審議が行われる。日本側では、これと同時期に審議可決を見越して予算取得処置などが行われる。

(2) 日米の合意に基づいて、米国海軍省がメーカーのノースロップ・グラマン社に機体を発注する。発注時期は日本側の予算が成立してからが建前だけれど、見越し発注もあるような気がしている(イロイロと突かれそうな内容だけど、詳細は調べていない)。

(3) ノースロップ・グラマン社は機体を製造し、海軍省に納入する。この時点で、米国海軍機となる(Bu.No.が付与される)。

(4) 米国海軍は、機体を日本に移送するが、通常は岩国基地に向け、貨物船を用いて海路搬送している。海路搬送される機体は塩害防止のため、コクーンと呼ばれる白色合成樹脂の保護材に覆われている。

(5) 日本に到着した機体は在日米(海軍)基地で点検・整備を行ったのちに、航空自衛隊に納入される。

(6) 岩国基地では上記(4)と(5)の過程を見ることができる。すなわち、「コクーンに覆われた機体」、「引渡し前に米軍マークを付け、航空自衛隊のS/Nを描いた機体」、「引渡し作業にむけ、米軍マークを落とし、日の丸をつける前の機体」、「日の丸をつけた機体」の4段階の姿を(運が良ければ)見ることができる。

写真2 三沢基地に着陸するE-2D。(2024年7月29日撮影)

 

【個別機体情報】

(1) 91-3471 (Bu.169320) 2017年11月15日にアメリカ/ノースロップ・グラマン社で初飛行。2018年12月に三沢基地に到着。2019年3月29日に航空自衛隊に引き渡された。

 

(2) 91-3472 (Bu.169321) 2024年4月時点ではNAS Norfolkで試験運用中。航空自衛隊に納入されたうえで米国内で試験運用されているのか、それとも未納入機で納入予定年度(2009の"9")を付与しているのか、その詳細は未調査のため不明。

 

(3) 01-3473 (Bu.169322) 

 

(4) 01-3474 (Bu.169323) 

 

(5) 21-3475 (Bu.69991) 31年中期防で9機一括購入された機体の1号機。2023年10月17日に岩国に寄港した「オーシャン・グラディエーター」にて、476号機と共に搬送された。日本国内での初飛行(米軍マーク)は2023年11月2日。11月15日頃引き渡し。

 

(6) 21-3476 (Bu.169992) 31年中期防で9機一括購入された機体の2号機。2023年10月17日に岩国に寄港した「オーシャン・グラディエーター」にて、上記475号機と共に搬送された。日本国内での初飛行(米軍マーク)は2023年11月2日。11月15日頃引き渡し。

 

(7) 41-3477 (Bu.169993) 31年中期防で9機一括購入された機体の3号機。2024年3月19日に岩国に入港した貨物船「オーシャン・ジャイアント」にて478、479と共に到着。21日には陸揚げされていた。2023年度末までに納入予定であったが、納入は2024年度となった。4月17日に米軍マークのままで三沢へ空輸された。

 

(8) 41-3478 (Bu.169994) 31年中期防で9機一括購入された機体の4号機。2024年3月19日に岩国に入港した貨物船「オーシャン・ジャイアント」にて到着。21日には陸揚げされていた。2023年度末までに納入予定であったが、納入は2024年度となった。4月12/15日のいずれかに三沢へ空輸された。

 

(9) 41-3479 (Bu.169995) 31年中期防で9機一括購入された機体の5号機。2024年3月19日に岩国に入港した貨物船「オーシャン・ジャイアント」にて到着。21日には陸揚げされていた。4月5日には胴体に米軍マークを付け、機首と尾翼には航空自衛隊S/Nをつけた機体がエンジンテストを行っていた。2023年度末までに納入予定であったが、納入は2024年度となった。4月12/15日のいずれかに三沢へ空輸された。

 

(10) ?1-3480 (Bu.) 31年中期防で9機一括購入された機体の6号機。2024年度納入予定。

 

(11) ?1-3481 (Bu.) 31年中期防で9機一括購入された機体の7号機。2024年度納入予定。

 

(12) ?1-3482 (Bu.) 31年中期防で9機一括購入された機体の8号機。2024年度納入予定。

 

(13) ?1-3483 (Bu.) 31年中期防で9機一括購入された機体の9号機。2025年度納入予定。

 

(14) ?1-3484 (Bu.) 2023年度予算で一括購入された機体の1号機、2024年4月時点で製造中。

 

(15) ?1-3485 (Bu.) 2023年度予算で一括購入された機体の2号機、2024年4月時点で製造中。

 

(16) ?1-3486 (Bu.) 2023年度予算で一括購入された機体の3号機、2024年4月時点で製造中。

 

(17) ?1-3487 (Bu.) 2023年度予算で一括購入された機体の4号機、2024年4月時点で製造中。

 

(18) ?1-3488 (Bu.) 2023年度予算で一括購入された機体の5号機、2024年4月時点で製造中。

 

【おまけ:E-2CとE-2Dの見分け方】

 E-2Cのプロペラ換装機とE-2Dを見誤るケースがあるようだ。両機種の見分け方を別記事にまとめましたので、ご参照ください。ご参考になれば幸いです。

【雑談】E-2CとE-2Dの見分け方(航空自衛隊の場合) - 用廃機ハンターが行く!

以上