用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

航空自衛隊 川崎C-1の用廃機

<編集履歴>27Aug.2018MixiにてC-46,YS-11,C-1をまとめた記事として公開

21Feb.2019はてなブログに公開、30Dec.2021見直し更新(第28回目、見直し実施)

 

1. 総製造機数

 川崎重工(株)製C-1輸送機は1972年から1981年にかけて合計31機が納入された。なお胴体部の形状が良く似たSTOL実験機「飛鳥」(岐阜かがみがはら航空宇宙博物館収蔵)は通産省(当時)の別予算で作られた新造機であり、「32機目のC-1」との表現は当てはまらない。

 

2. 現用機の状況

(1) 初号機はフライングテストベッドとなって各種機材の搭載試験に使われていたが、2019年末の時点では特に試験に使用される予定はなく、テストパイロットコース(TPC)における評価用機材として用いられている。部隊では”銀ちゃん”と呼ばれているそうだ(JW誌2019年9月より)。2021年1月度にIRANを終えた際には機首の標準ピトー管が外されていた。

(2) 021号機は電子戦訓練機に改造されている。C-2を母体にした新たなスタンド・オフ電子戦機の開発が2020年度から始まっているので、開発が終了する2027年頃までは使い続けることだろう。

(3) 残る機体の全ては入間基地第402飛行隊で運用されている。C-2やKC-46A配備の兼ね合いがあるが、おそらくは2025-2027年ごろまでは使用されることだろう。

(4)これまでに墜落や離陸失敗により4機が抹消されている。

(5) 私自身が予測するC-1の用廃予定を別稿に記す。

C-1の用廃機発生の予想 - 用廃機ハンターが行く!

 (6) 入間基地のC-1解体に係る公告の情報を別項に記す。

C-1の解体 - 用廃機ハンターが行く!

 

3. 用廃機の発生状況

(1) 2021年12月30日までに31機中24機が事故抹消および用途廃止となっている。 

・現役  6機(FTB/001号機およびEC-1/021号機を含む。輸送型は4機)

・用廃 20機

・現役か用廃か不明 1機(031号機)

・墜落/事故抹消 4機(009、010、015、027号機)

・合計 31機

(3) 2012年(平成24年)4月4日に初のC-1退役機(005号機)が生じた。

(4) 2018年5月末ごろから美保基地に38-1003号機が展示された。本機は2021年4月の時点で国内唯一のC-1用廃展示機だ。

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写真1 美保基地東南部の道路わきに展示されているC-1。(2021年3月31日撮影) 

 

4. 用廃機発生状況の詳細(2021年12月30日時点)

 C-1は31機しか存在しないので全機の機体番号と現状を以下に列挙する。用廃日を明確に記したものは主として基地内新聞の記事や広報用写真の説明書きによるもの。「以後」としたものは主にFlyTeamさんもしくはTwitterへの投稿写真の最終撮影日に基づく私個人の判断結果を示しています。

(1) 28-1001 現役 1970年8月24日ロールアウト、9月7日報道公開。11月12日午前10時1分より10時28分まで初飛行。以後、各種の試験を行い、現在ではADTWにてTPC課程の訓練機として使用中。なお初飛行当時のS/Nは18-1001であった。2021年1月にIRANを終え、試験飛行を行った際には標準ピトー管を外していた。

(2) 28-1002 現役 1971年1月16日初飛行した機体だが、永らく岐阜基地に配属されており、飛行時間が残っているのであろう。現在も現役で第402飛行隊で活躍中。

(3) 38-1003 2016年03月16日用廃。美保基地に展示

(4) 48-1004 2016年03月30日以後に岐阜基地にて用廃

(5) 48-1005 2012年04月04日用廃、用廃初号機。先駆管理機(LTF / Lead The Forced program)として量産機の中でもより多くの飛行を行っていた機体。先駆管理機は他機に比べてより多く飛行させることにより、この機体に生ずる事象はのちに他の機体でも起こりうるという観点でのデータ取得用の機体であった。

(6) 58-1006 2016年09月22日以後に用廃

(7) 58-1007 2016年09月以後に用廃

(8) 58-1008 2017年04月25日以後に用廃 迷彩塗装とされた初号機

(9) 58-1009 1983年04月19日、三重県菅島に墜落抹消

(10) 58-1010 1986年02月18日、入間基地で離陸失敗し、胴体離断中破。抹消。

(11) 58-1011 2018年02月09日以後に403sqnにて用廃(飛行時間17,880時間 )

(12) 58-1012 2018年4月2日以後に用廃(Flyteamさんには”2020/6/20撮影”の画像があるが背景には雪に覆われた富士山が写っており、撮影日は明らかに間違い。フィルムをスキャンした日だと思われる)

(13) 58-1013 2018年2月21日以後に用廃

(14) 68-1014 2019年5月7日最終フライト(Twitter情報より)

(15) 68-1015 1983年04月19日、三重県菅島に墜落抹消

(16) 68-1016 2014年05月28日用廃

(17) 68-1017 2015年01月27日用廃

(18) 68-1018 2019年7月10日以後に用廃、2021年2月4日解体

(19) 68-1019 現役 本Blogでは以前”2019年2月18日以後に用廃”と記載していたが実際にはIRAN中であった。2020年10月14日にキレイな姿になって目撃され、その後は用廃となった24号機に代わりADTW所属となった。2021年1月28日にはC-1 001のIRAN終了に伴い、第402飛行隊に配置替えとなり入間基地に戻ってきた。

(20) 68-1020 2020年7月30日以後に用廃、2021年9月6日ごろ解体

(21) 78-1021 現役、EC-1に改造(2021年9-10月度にIRAN明け試験飛行、10月30日ごろ入間に戻る)

(22) 78-1022 2015年05月11日に402sqn.にて用廃(総飛行時間17,780時間)

(23) 78-1023 2016年2月10日以後に用廃

(24) 78-1024 2020年9月15日以後にADTW所属のままで用廃。ただしヒコーキ雲さんではIRAN中だという説を取る。

(25) 78-1025 2020年11月4日がラストフライト”らしい”とのTwitter情報あり、2021年9月9日ごろに解体された。

(26) 78-1026 用廃 2021年4月3日に三沢に降りる姿がFlyteamさんへの最後の投稿写真。

(27) 88-1027 2000年06月28日試験飛行中に隠岐島付近で墜落抹消

(28) 88-1028 用廃 2021年11月2日午後にラストフライト実施

(29) 98-1029 現役

(30) 08-1030 現役 2019年11月19日付の写真がFlyteamさんに投稿されたあと、1年11か月ほどの間は消息不明であったが、2021年10月5日に岐阜基地にて綺麗に塗り直されたIRAN明けのフライトが目撃され、10月26日にはADTWのマークを入れて飛行する姿が確認された。しばらくは岐阜基地所属かと思いきや11月11日には入間にノーマークでフェリーされてきた。わずか2週間、ADTWのマークを入れてから2~3回程度の飛行で所属替えとなるのも例が無いことだろう。(2021年11月11日記)

(31) 18-1031 現役?用廃? 2021年7月26日に岐阜基地に飛来。直前まではさんざん飛び回っており、かつ以後の目撃報告が無かったのでIRANかと考えていたのだが9月24日には402sqn.のマークを付けたままで右エンジンを外した機体が岐阜基地のエプロン奥にある画像がTwitterに投稿された。状況からIRANとは異なるように思える。Jウイング誌2021年12月号p.91には「用廃と思われる」との記述があるが、ここ数年のIRAN契約の状況と突き合わせると「まだ用廃ではない」というのが私の個人的見解だ。021号機(EC-1)および030号機に部品を供与した(共食いした)可能性はあり得ると考えている。(2021年10月31日記)

031号機は11月12日にもエプロンに引き出されている姿がTwitterに投稿されている。相変わらず右エンジンは外されたままで、左前のウインドシールドに目張りがされているように見える(用廃機であるなら目張りをする必要は無い)。その他の部品は取られたようには見えなかった。例えば001号機のエンジン1基がオーバーホールとなり、031号機からエンジンを外して001号機に提供。031号機は岐阜で保管状態となっている、ということはないだろうか。IRANの契約状況から考えると当初予定の納期には間に合わなくなる。IRAN契約の納期を変更したのか、あるいはホントに用廃になったのではないかと頭の片隅では思い始めている。(2021年11月15日記)

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写真2 用廃となり解体を待つC-1(58-1017)(2017年5月28日、美保基地にて撮影)

  

5. その他

(1) 強度試験用に作られた0-1号機の胴体部が陸上自衛隊習志野駐屯地(37.7083N, 140.0543E)にあり、搭乗・降下の訓練に用いられている。また松戸駐屯地(35.7833N, 139.9763E)には全機疲労試験に用いられた0-2号機がある。松戸駐屯地には関東補給処松戸支所落下傘部があるので、落下傘の状態確認などに使われているのだろうか。

参考:C-1開発に関する論文

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsass1969/20/224/20_224_476/_pdf

 

(2) 月島冬二氏のコミック「US-2 救難飛行艇開発物語」(小学館)の第2巻p.125にはC-1輸送機の全機疲労強度試験時に生じた胴体の破壊の様子が描かれています。これの元ネタ写真は以下にリンクを貼り付けた日本航空宇宙学会誌の「<解説>中型輸送機(C-1)疲労試験の概要と考察」に掲載された第19図ですね。破壊でめくれた構造材や構図がそっくりです。もちろん取材の過程で月島氏が破壊の様子を撮影したオリジナル写真や原図を見たのかもしれませんが。

参考:疲労試験の結果に関する論文 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsass1969/24/267/24_267_153/_pdf

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写真3 松戸駐屯地の02号機。くぬぎ山駅の脇にあり、いつでも見られる。左隅にはUH-1も見える。(2020年5月30日撮影)

以上