<編集履歴> 17May.2021公開、01Dec.2024見直し更新(第6回目、写真追加)
<場所 Place> 〒277-0931 千葉県柏市藤ケ谷1641
<訪問日Visit> 26sep.2015, 31Mar, 2024ほか
<行き方 Access>
(1) 東武鉄道野田線「高柳」駅より正門まで約3km、徒歩約40分。
(2) 航空祭時には例年だと新鎌ヶ谷駅脇(イオン前のロータリ)よりシャトルバスが運行される。 詳細については訪問前にHPで最新情報を確認すること。
<解説General>
(1) 海上自衛隊P-3Cの訓練基地。2023年度末から2024年度ごろにはP-1も配備される予定。近年では9~10月頃に開庁記念が行われている。7~8月にサマーフェスタなどの名称で小規模の開放行事を行うこともある。(ただし2020~2021年は新型コロナウイルス感染防止のために中止、2022年は規模縮小して応募制にして実施)
(2) 基地正門から約250m入ったところに4機の展示機がある。
(3) 基地北部にスクラップヤードがあり、基地公開時に用廃機が見られる時がある。
(4) タキシーウエイ北東部のP-3C定置場に用廃となったP-3Cが 置かれている時がある。
(5) 航空機関係の機体や機器の教育を行う第3術科学校があるため、用廃となった機体数機を教材として保有している。これらは夏の小規模公開の際に展示されることがある。
【展示機】
(1) V-107A (8607) 陸海空三自衛隊で使われたV-107Aだが、海上自衛隊では第111航空隊(当時は下総基地所属)で掃海任務に使用された。国内に残るのは本機と鹿屋航空基地史料館の2機のみ。機体前方左右下側の窓から見える範囲で銘板の存在は確認できておらず(見落としている可能性もあるが)、「銘板に記された機種名」は不明だ。
・参考記事:自衛隊バートルの型式名称は? - 用廃機ハンターが行く!
写真1 この年の公開では再塗装された後の綺麗な姿となっていた。(2009年10月11日撮影)
(2) B-65 (6718) 徳島航空基地で操縦訓練に使われていた。
写真2 B-65。(2008年7月19日撮影)
(3) SNJ-5 (6175) 自衛隊発足時に米軍から供与され、操縦訓練に使われていた。
写真3 SNJ-5。(2013年7月20日撮影)
(4) JRB-4 (6428) 米軍から35機(注:一部タイプが異なる)が供与され操縦訓練に使われていた機体。本機種は鹿屋航空基地史料館と舞鶴のゴルフ場脇にも展示されている。
写真4 JRB-4。(2009年10月11日撮影)
【第三術科学校教材機】
下総基地には航空機搭乗員、航空機整備員、航空機に対する救難員などの教育を行う第三術科学校が置かれている。英語ではMSDF 3rd. Service Schoolというが略称は”M3SS”ではなく、”3MSS”だ。
http://www.clearing.mod.go.jp/kunrei_data/e_fd/1975/ez19750813_03614_000.pdf
(1) P-3C (5020) 2013年ごろに用廃となり、3術科校(3MSS)のマークを付けて基地北部に置かれていたが、一般公開されたのは恐らく2015年9月26日が初めてのことだ。機体からの乗員救出訓練に使われるほか、機体内部の電子機器は現役時の状態を維持しているので機上での整備教育にも使われるという。外観の特徴としてはラダーは外されている。基地祭時に新鎌ヶ谷駅からのシャトルバスを利用するとバス降車場から基地内へのルートの途中で見られる可能性がある。
写真5 3MSSのP-3C。(2015年9月26日撮影)
(2) SH-60J (8205) 2機保有するSH-60J教材機のうちの1機。これまでの公開ではロータ(MR)を付けたままで展示されていた。
写真6 SH-60J (8205)はMR付で使用。(2012年7月21日撮影)
(3) SH-60J (8206) 2機保有するSH-60J教材機のうちの1機だが、2020年度中に地上救難訓練用航空機として基地内35.7980N, 140.0222Eに機首を東に向け左側を下に、右側を上に90度横倒しにした形で設置された。2020年12月以降のGE-Pro画像で確認できるほか、2020年10月22日発信の教育航空集団の公式Twitterで写真が公開されている。地上救難訓練用航空機として横倒しに設置した際に折畳式の尾翼部分は外されたようだ。残念ながら基地公開時の公開エリアからは外れているため、一般の観客が目にすることは無いだろう。
https://mobile.twitter.com/jmsdf_atrc/status/1319035784838606849/photo/3
写真7-1 SH-60J (8206)はローターを外して使用されていたが、2020年度中に地上救難訓練用航空機として横倒しした形で基地内に設置された。(2013年7月20日撮影)
写真7-2 機体左側を下にして横転させた状態で固定した訓練機。この画像は上述した2020年10月20日付発信の教育航空集団の公式Twitter(現X)より拝借したもの。
【展示後撤去・教材使用廃棄ほか】
用廃となった機体や周辺各地に展示されていた機体が搬送され、ここでスクラップとされることが多い。ここでは下総基地内で展示機や教材として使用されたのちに廃棄された機体のみを紹介する。(各地に展示されたあとでスクラップとするために一時的に搬入された機体は含まない)
(1) P-2J (4774) 本機は1991年度(平成3年度)に用廃となり、1992年度(平成4年)に訓練機に改修された。主な改修点は下総の格納庫の高さに合わせて垂直尾翼先端をカットし、胴体下のレドームや翼端タンク、そのほかアンテナ類などの不要な突起物は外してある。さらに本機は機体が擱座した際の撤去作業の訓練(事故機収容訓練)に用いられていたため、脚ドアなど不要な部品を取り外し、脚回りを支柱等で強化して「擱座したと想定した機体を移動させるために無理やり引き回す」ことが実習としてできるようにしてある。2018年度(平成)に本機を用いた訓練は終了したが、2023年夏の時点では機体はまだ格納庫内に存在しており、廃棄関連手続きが終わるのを待つ状態だ。本Blogでは廃棄済の扱いとしておく。
写真8 本機は垂直尾翼先端をカットされていたが、作例ではそれをあえて隠したショットを選んでみた。胴体下のレドームや翼端タンクが無いのでかなりスリムな感じを受ける。(2008年7月19日撮影)
【その他】
厚生センター内には広報展示スペースが設けられており、ここに”体験搭乗用”に造られたYS-11の操縦席部分が置かれている。これは縦横2m程度、高さ50cm程度の台座の上にYS-11の操縦盤(正面からシート左右付近まで)を乗せ、操縦席(シート)を取り付けたものだ。計器盤のRadioCallは”9041”となっているが、右席後方には「YS-11T-A S/N 2180(注:海自S/N6905号機のこと)」の銘板が残る。操縦輪に”YS-11T-A TOMBOY”と描かれたプレート(チャート押さえ用のプレート)が取り付けられているために「YS-11Tのコクピット」と称されることが多いが、上述の通り”9041”のRadioCallが残る計器盤も使われていることから、「YS-11T-Aの6905号機とYS-11Mの9041号機の部品を利用した操縦席模型」というのが正しい表現だろう。いつから設置されたのかは明らかではないが、コロナ禍による公開中止が続いた後の2022年10月22日に行われた下総航空基地開設63周年記念行事の際に、初めて「こんなモノを見た」という投稿がX上にあった。
なお海上自衛隊最後のYS-11となったYS-11Mの2機(9041号機を含む。もう1機は9042と9043のどちらかなのかは不明)は2014年12月24日午前に厚木から下総へのフライトをもって除籍(用途廃止)となっている。
写真9 厚生センターに置かれた”体験搭乗用”のYS-11の操縦席部分。(2024年3月31日、お花見公開時に撮影)
以上