用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

航空自衛隊 F-4ファントムIIの展示機

<編集履歴>10Aug.2018Mixiにて公開、18Feb.2019はてなブログにて公開、06Mar.2022 見直し更新(第49回目、岐阜の2機解体、431号機は2022年度中に博物館へ)

【一般】

 航空自衛隊第7航空団第301飛行隊では2020年12月10日(木)にF-4EJ改(07-8436、”青蛙塗装機”)による最終フライトを行い、14日(月)に第301飛行隊の移動に伴う部隊改編行事を実施した。これにより戦闘部隊としてのファントム飛行隊は幕を閉じたことになる。翌15日(火)には三沢基地にて第301飛行隊新編行事が行われF-35Aによる飛行隊が生まれた。また岐阜基地で運用している機体は2021年3月17日に最終飛行を行い、これをもって航空自衛隊からファントムは全て引退した。

 航空自衛隊ではF-4EJ、F-4EJ改、RF-4E、RF-4EJという四種の異なるタイプを運用していたが2022年1月24日の時点ではF-4EJが1機、「改」が10機、RF-4Eが1機、そしてRF-4EJが1機の合計13機が全機展示機(機体丸ごとの展示)として各地に展示されている。これに加えて2022年中には1機の通常型F-4EJが築城基地に展示され、EJ改1機が博物館に展示される予定となっている。

 これらのほかにも福島県のオールドカーセンタークダンにはRF-4EJの機首部が展示されている。また千葉県内のサバイバルゲーム場にファントム3機分が置かれている。百里基地広報展示館内には87-8408号機の前席コクピット部分があるほか、百里基地新田原基地には合計4機分の垂直尾翼がモニュメントとして存在している。これらをまとめて紹介しよう。

<まとめ:航空自衛隊のファントムシリーズの全機および部分展示機数一覧>

機種  全機展示機数   機首部分展示機数   垂直尾翼展示機数

F-4EJ    1         0          0

F-4EJ改         10         3          1

RF-4E      1                              0                             1

RF-4EJ             1         1                             2

合計      13                         4                             4

岐阜基地のEJ301号機、EJ改431号機、築城基地のEJ429号機を含まず)

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写真1 ゆいレール車窓から見た那覇基地のF-4EJ改。(2020年3月13日撮影)

 

さて国内のF-4ファントムIIの展示機を以下に紹介しよう。機種別におおむね北から南の順に記す。
【F-4EJの展示機】 

 現時点では能力向上改修計画に基づく改修を実施しなかった納入当時のままの形態を残す機体は岐阜基地に展示された87-8409号機のみが存在している。ただし築城基地には07-8429号機が飛来して用廃となっており、公式Twitterより今後展示される予定となっている。また岐阜基地には17-8301号機が保管されている。このため「ブログ紹介は3機、カウント上は1機存在」としておく。

(1) 17-8301 岐阜県 岐阜基地 展示場所の定まっていない「保管機」の状態 

(2) 87-8409 岐阜県 岐阜基地 航空機展示場(緑色系の特別塗装)

(3) 07-8429 福岡県 築城基地 2022年度中に展示予定

 

【F-4EJ改の展示機 】 

 以下の10機が展示・公開されている。
(1) 47-8345 北海道 千歳基地

(2) 57-8375 青森県 県立三沢航空科学館、無償貸付機*1

(3) 17-8437 茨城県 百里基地

(4) 37-8319 茨城県 茨城空港、無償貸付機*1

(5) 17-8440 静岡県 浜松広報館 航空自衛隊最終納入機かつ世界中で最後に製造された機体。

(6) 87-8404 石川県 小松基地 垂直尾翼の左右でマークが異なる。

(7) 17-8439    鳥取県 美保基地

(8) 87-8415 福岡県 メタセの杜、無償貸付機*2

(9) 57-8360 宮崎県 新田原基地

(10) 37-8321 沖縄県 那覇基地

*1 Jウイング誌2021年8月号付録より

*2 Jウイング誌2021年10月号p.30より

※現在は岐阜基地にあり、2022年度中に岐阜かかみがはら航空宇宙博物館に展示される予定の431号機は含んでいない。

<展示後廃棄>

(1) 17-8302 茨城県 百里基地 雄飛園展示後、2022年1月17日解体。

<F-4EJ改の部分展示その1>

 千葉県山武市サバイバルゲーム場「サバゲーパラダイス」に3機分のファントムの機首部分が置かれている。

(1) 97-8421(? )(35.6579N / 140.3391E) 駐車場からフィールドに行く坂の途中にある

(2) 97-8427 (35.6584N / 140.3389E) 坂の脇の屋根付展示場にある

(3) 97-8425(?) (35.6585N / 140.3384E) フィールド内にある。

参考URL:

【千葉県】サバゲーパラダイスのファントム他 - 用廃機ハンターが行く!

HOME│サバゲーパラダイス

 

<F-4EJ改の部分展示その2>

 春日基地に所在する西部防空管制群では2020年10月2日に「F-4戦闘機の退役にあたり、西の空の守りを担い一時代を共に歩んだ戦闘機部隊と春日防空司令所の歴史を繋ぎ、飛行の安全を堅く誓う象徴として、機体の一部が付設された記念碑」の完成除幕を行った(公式ツイッターより)。これ以前に百里基地裏手に置かれていた用廃機57-8353号機の垂直尾翼左側、部隊マーク付近の外板が切り取られ、中の構造材が露出している写真が撮影されTwitter上に投稿されていたことから、これが記念碑に使われた可能性がある。

<F-4EJ改の部分展示その3>

 百里基地広報展示館内には87-8408号機の前席コクピット部分が存在する。造り物の「機首部分」に”408”と描かれているので、SNSなどではこの機番のことを言っているのだろうと思っていたが、見学者の写真から実際の408号機の計器盤が使われていることが判明した(2021年6月)。

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写真2 青森県立三沢航空科学館のF-4EJ改。(2014年2月1日撮影)

【展示機:RF-4E】

 機首にフィルムカメラを装着した偵察機RF-4Eは14機を輸入して運用し、2020年3月9日に最後のフライトを行い全機が引退した。運用期間中に510号機と511号機の2機を事故で失っている。国内にある全機展示機は初号機(47-6901)の1機のみ。2022年1月24日に設置された際には青色の洋上迷彩にファイナルイヤーの特別塗装であったが、1月25日付の公式Twitterにて歴史ある緑色迷彩に戻されることが発表されている。

(1) 47-6901 百里基地

<展示後廃棄>

(1) 57-6906 百里基地、雄飛園展示後、2022年1月17日解体


【展示機: RF-4EJ】 

 能力向上改修を行わない戦闘機F-4EJを改修して、胴体下に偵察ポッドを運用できるようにした偵察機RF-4EJは試改修機1機(のちに量産改修型へ改修)、限定改修型7機、量産改修機7機が存在した。限定改修機は2012年ごろには全機が引退した。量産改修機はRF-4Eとともに2020年3月9日に最後のフライトを行い全機が引退した。2022年1月11日の時点では限定改修型の全機展示機が1機、同じく限定改修型の機首部分のみの展示機が1機存在するが、量産改修機および試改修機は残されていない。

(1) 87-6412 茨城県 茨城空港、無償貸付機( Jウイング誌2021年8月号付録より)。

 第三駐車場の利用時間(0530-2200)に見学可能(茨城航空公園の開場時間は0900-1700とのネット情報もあり)。2019年9月の台風15号により、後席キャノピーが吹き飛ばされたが約一か月後に修復された。

<RF-4EJの部分展示>

(1) 57-6376 福島県 オールドカーセンタークダン。

 スクラップ業者から入手したと思われるコクピット後方までの機首部のみを展示中。2018年10月28日に訪問者が確認したのが恐らくネット上で最初の報告例だ。機首左側には新谷かおるのコミック「ファントム無頼」登場機にちなんで#680と記入されている。機体番号の詳細は以下の記事をください。

【福島県】オールドカーセンター・クダンの展示機 - 用廃機ハンターが行く! 

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写真3 オールドカーセンタークダンにあるRF-4EJ(57-6376)の機首。機体左側S/Nは680とされていた。(2019年08月24日撮影)

  

【RF-4EJ余談:BDR課程訓練機となった47-6347】

RF-4EJ量産改修機47-6347は2006年9月29日に百里から浜松への最終飛行を行い航空機としては用途廃止となった。その後は術科校でBDR訓練機となっていたが、使用後には廃棄されたようだ。なおBDRとは Battle Damge Repair(戦時損傷修理)の略で、対空火器などにより軽微な損傷を受けた機体を(整備工場ではなく)前線で修理すること。訓練では機体に物理的に小さな損傷を作ったうえで、この損傷部分を補強したり、ヒビ割れの広がりを止めるための修理を行う。修理後の機体はパッチだらけになる。一術校ではツルハシで傷をつけ、その脇に傷をつけた年月日と誰がやったのか氏名を書き込んでいたという。この機体は浜松基地見学時には見ることができたようで、「浜松基地」「見学」の単語でGoogle 検索を行うとその写真を見つけられる。

参考までにURLを貼りつけておく。https://livedoor.blogimg.jp/tabinozasshi/imgs/d/3/d35bb1f7.JPG 

また2020年10月12日時点ではInstagram上に一枚の写真が投稿されている。

ついでに言うとソウルの戦争博物館に展示されているF-4CもBDR訓練機であり、あちらこちらにパッチの跡を見ることができる。



垂直尾翼のモニュメント】

 ファントムの垂直尾翼を用いたモニュメントは以下の4機分が存在していたが、このうち2機分は現状が分からない。コロナ騒動が収まり、基地祭が再開され、確認できるようになることを望んでいる。

(1) 27-8305 F-4EJ改 新田原基地301飛行隊マーキングとなっていたが2020年9月8日時点で現状不明。写真は無い。

(2) 57-8373 RF-4EJ 百里基地302飛行隊マーキング。RWRが付いていないRF-4EJ限定改修型の用廃機から作成されたものなので、厳密には「57-6373」と記載すべきものなのだろう。

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写真4-1 百里基地内にある373号機の垂直尾翼のモニュメント。RF-4EJ限定改修機の垂直尾翼から作られたためRWRアンテナが無い。(2019年12月1日撮影)

 

(3) 97-8418 RF-4EJ 百里基地305飛行隊マーキング。2020年11月29日には残っていた尾翼端のカラーチップおよび梅組マークが翌11月30日には消されていることが視認された。ナンバーも消されているようだ。その後の状況は不明だ。RWRが付いていないRF-4EJ限定改修型の用廃機から作成されたものなので、厳密には「97-6418」と記載すべきものなのだろう。

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写真4-2 百里基地内にある418号機の垂直尾翼のモニュメント。こちらもRF-4EJ限定改修機の垂直尾翼から作られたため、RWRアンテナが無い。2020年11月30日にはカラーチップ、梅組マークが消されていることが視認された。ナンバーも消されているようだ。(2019年12月1日撮影)

 

(4) 47-6902 RF-4E 百里基地501飛行隊マーキング

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写真4-3 百里基地内にある902号機の垂直尾翼のモニュメント。かつて青色をベースとした洋上迷彩塗装とされていた時期もあった(2019年11月撮影)

 

在日米軍のファントム展示機】

 在日米軍に目を向けると三沢基地にF-4Cが1機、厚木基地にF-4Sが1機、そして嘉手納基地にF-4Cが1機の合計3機が展示されている。

(1) F-4C  40679  三沢基地  基地司令部前にある40679(64-0679)号機は基地祭の時に撮影可能であったが、2019年度にはその展示機エリアは非公開となっていた。今後は撮影できないかもしれない。 

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写真5 三沢基地のF-4C。(2015年9月13日撮影)

 

(2) F-4S  155807  厚木基地  一般公開時に撮影可能。厚木駐留部隊のマーキングを施していたが固定翼部隊が2018年に岩国に移転したため、今後はどのようになるのか楽しみである。 

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写真6 厚木基地のF-4S。(2018年4月21日撮影)

 

(3) F-4C  37433(63-7433)  嘉手納基地 一般非公開のため詳細は不明だが、本当のS/Nは64-0913と言われている。本物の63-7433は嘉手納基地でBDR訓練に使用されたあと糸満でスクラップになったという。 

 

【今後の予想と願望】  

 2022年3月6日時点で国内に残されている機体は岐阜基地にある4機です。このうち2機は年度末までに解体される予定であり、1機は博物館、残る1機は当面は基地内に保管される予定です。

(1) 17-8301:初号機。「引取り手はないか?」とJウイング編集部が2021年3月18日付でTweetしたものの、結局は引受先が決まらず「当面は岐阜基地で保管」となった模様。

(2) 47-8336:岐阜の通常型、2022年3月31日までに解体予定

(3) 77-8393:岐阜の通常型、2022年3月31日までに解体予定

(4) 07-8431:試改修機、2022年度中に岐阜かかみがはら航空宇宙博物館に展示予定

※37-8318と47-8327(岐阜の通常型)は2022年1月31日ごろに解体された。

 

 ファントムは内翼と胴体下面が一体構造なので、分解するのも、運ぶのも、再組立てするのも大変とのことで、あえて手間をかけて分解し、陸送してまで展示をすることはナイだろうという見解があります。(ちなみに韓国では80機以上のファントムが展示機やデコイとなっており、ヤル気があれば可能であることを証明していますネ♪)

 あいち航空ミュージアムや石川県立航空プラザ、その他民間企業等が入手を検討したものの輸送費・維持費などの予算がつかずに断念したというウワサがあります。現実的に適切な展示場所を確保し、輸送費および展示後の維持管理費を工面し、場合によっては地元との調整(自衛隊機・戦闘機を展示するということに対する反対派との調整)を行うなど、相当な困難が予想されます。

 今後は301号機の動きに関するニュースに期待したいと思います。 

以上