<編集履歴> **Aug.2018Mixiにて公開、17Feb.2019はてなBlog公開、25Jul.2023見直し更新(第14回目、福江島分屯基地のF-1について追記)
三菱F-1は1977年6月16日に初飛行した(注1)戦後初の国産ジェット戦闘機で77機が生産された(プロトタイプであるT-2特別仕様機2機を含まず)。三沢基地第3飛行隊、第8飛行隊、築城基地第6飛行隊で運用された(注2:F-2に機種更新され、しばらくしてから第3飛行隊は百里基地へ、第8飛行隊は築城基地へと移動している)。このほか1~2機程度が浜松基地の第一術科学校にて整備訓練機として使用されていた。2006年3月9日に築城基地第6飛行隊にて最終フライトを行い引退するまでの29年間に4件の大事故が発生し、5機が抹消されている。
【残存する機体】
2023年6月初旬において国内には25機(機首部のみを含む)が展示されている。このうち21機(垂直尾翼のみのモニュメントを除く)は自衛隊関連施設で展示されている。唯一陸上自衛隊の駐屯地(大津駐屯地)に展示されている機体は一度は築城基地に展示された後に移設されるという経緯を有している。民間・公共施設での展示は三沢航空科学館、旧レーシングパレス、ミツ精機(株)3か所のみだ。かつて浜松の喫茶飛行場に212号機の機首部分が展示されていたが、個人収集家に譲渡され、2012~2013年頃には無くなっていた。
<機体残存率>
(1)「残存機中の展示機化率」は34.7%
(残存機中の展示機化率(%) = 25機/(生産77機-減耗5機) ×100=34.7(%))
(2) 「生産機に対する展示機化率」は32.5%
(生産機に対する展示機化率(%) = 25機/生産77機 × 100=32.5(%))
【注1:初飛行日に関する私の意見】
2023年6月初旬ごろ、「F-1の初飛行日は1975年6月3日」とするネット記事配信された(2023年6月5日朝閲覧)。この日付については大いに反論するところである。その内容は別記事としてまとめたので、興味ある方は参照していただければ幸いだ。
【雑談】三菱F-1の初飛行日は1977年6月16日 - 用廃機ハンターが行く!
写真1 東京の府中基地に展示されているF-1 275号機を外周の金網越しに中望遠レンズで撮る。(2018年04月08日撮影)
【展示機リスト】
全国に展示されている機体をS/N順に列挙する。
(1) 70-8201 埼玉県 入間基地修武台記念館、製造初号機で保存指定機(2006年2月27日指定*1)
(2) 70-8207 兵庫県 淡路市 ミツ精機(株)本社、無償貸付機*2
(3) 80-8219 福岡県 芦屋基地(消火訓練用)
(4) 80-8223 青森県 三沢基地 1998年設置、2020年6月10日前後に再塗装
(5) 90-8225 静岡県 浜松広報館(外板を外して展示)
(6) 90-8227 静岡県 浜松広報館
(7) 90-8231 静岡県 御殿場市 旧レーシングパレス、無償貸付機*2(博物館自体は閉鎖されているが、屋外にある機体は2020年12月時点で撮影可能。)
(8) 90-8232 滋賀県 陸上自衛隊大津駐屯地(35.0363, 135.8673)。元は福岡県築城基地に垂直尾翼を黒く塗った特別塗装機として展示されていたが移設。2007年5月の大津駐屯地祭開催時には存在していた。
(9) 90-8234 福岡県 春日基地
(10) 00-8241 青森県 三沢基地広報館、機首部分のみ。機首番号は233だが計器パネルに00-8241と記載されており、機首番号を書換えたものと思われる。
(11) 00-8242 北海道 襟裳分屯基地、2009年公開時以降存在
(13) 00-8247 青森県 三沢航空科学館、無償貸付機*2、退役時の特別塗装をまとう
(16) 10-8257 長崎県 福江分屯基地。2014年夏ごろに開庁60周年を記念して上面ダークシーブルー、下面ライトグレーに塗装変更。2020年前後に全体をライトグレーに塗装したうえでキャノピーと風防を黒く塗りつぶす。
(18) 20-8263 神奈川県 防衛大学校 国内で唯一ロケット弾ポッド付
(19) 30-8268 東京都 横田基地 一般見学は事実上不可能
(21) 60-8273 埼玉県 熊谷基地 2008年4月頃設置
(22) 60-8274 茨城県 百里基地 2022年3月よりキャノピーを黒塗装
(23) 60-8275 東京都 府中基地
(24) 70-8276 奈良県 奈良基地 2008年4月頃設置
(25) 70-8277 福岡県 築城基地、製造最終号機であり、築城基地では#232に続く二代目の展示機
*1 基地広報に問い合わせて確認した。
*2 JW誌2021年8月号別冊付録より
写真2 淡路島のミツ精機(株)に展示されている207号機。保存状態は極めて良い。(2019年10月7日撮影)
写真3 福岡県春日基地のF-1 234号機は外周道路から中望遠レンズでいつでも撮影できる。2020年前後に再塗装され色合いが変わっている。(2016年09月10日撮影)
【尾翼のみのモニュメント】
上述した全機展示機(一機丸ごとの展示機)あるいは機首部分のみの展示機のほかに埼玉県熊谷基地には10-8255号機の垂直尾翼を用いたモニュメントがある。基地内の道路から見える左側には「負けじ魂」という銘が書かれているが、右側(建物側)は元の塗装のままになっている。
写真4-1, 4-2 航空自衛隊熊谷基地にあるF-1の尾翼を利用したモニュメント。右側は元の塗装が残されている。(2019年4月14日撮影)
【行方不明の機体】
次の一機が展示後に行方不明(笑)となっている。
(1) 80-8212 1997年3月31日用途廃止(ヒコーキ雲さんより)。静岡県の喫茶飛行場(閉店)に機首部のみが2004年3月20日には展示されていた。これは2012年7月にも存在が確認されているが、2013年7月に訪問された方のBlog記事ではすでに撤去されていた。伝え聞いた話ではコレクター氏に譲渡したとのこと。非公開の個人所蔵機なので、外部から見える状態するなど所有者が大っぴらにしない限りは、譲渡後の話は記載しない。国内に残っているということだけを記しておく。私自身はスライドで撮影しているが、これをデジタル化する予定は当面ない。
写真5 生産機数の三分の二はスクラップとなった。神奈川県の廃棄物業者のヤードには一時期切断されたF-1の機首や胴体などが置かれていた。(1998年4月29日撮影)
以上