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【特集】初号機・最終号機の展示状況(自衛隊機)

<編集履歴> 31May.2021公開、14Nov.2023見直し更新(第9回目、UH-1J遠軽で教材機)

 

 航空自衛隊から2021年3月に引退したF-4EJの初号機(17-8301号機)を引き取ってもらえませんか?という発信が同年3月にイカロス出版Jウイング編集部名であった。

 2022年8月19日時点ではこの機体は”当面岐阜基地内にて保管し、基地祭等で展示する予定”とのことだが、”安住の地”は見つかっていない。

 さて、それでは自衛隊でこれまでに使用されてきた機体の初号機と、ついでに最終号機がどのようになっているだろうか?その現状をまとめてみよう!

【まとめ】

 結論を先に書くと「初号機・最終号機だからといって、展示される機体は少ない」というのが現状だ。初号機が”大切に”屋内保管されているのは三菱F-1、富士T-1(ただし分解保存中)、T-3、陸自AH-1Sだけしかない。このほか数機種が屋外展示として残されているが初号機だからといって特別な扱いがされているワケではない。

 ここいらで「流れを変えて」初号機と最終号機は残して欲しいのだけれどなぁ(もちろん事故等で失われた場合は除く)。

 

【初号機・最終号機の現状一覧】 

注:以下の一覧にて「初」は初号機、「終」は最終号機を示す。

航空自衛隊

<戦闘機>

(1) F-86D 初84-8101:返還(解体)、終14-8222:陸自大津駐屯地 

(2) F-86F 

供与機 初52-7401:RF-86F改修使用後に返還、終72-7580:使用せずに返還

国産機 初62-7701:返還、終12-7000:返還 

(3) F-104J 初26-8501:1965年10月19日事故抹消、終76-8710:中日本航空専門学校に展示 

(4) F-104DJ 初26-5001:Old Car Center KUDANに展示、終46-5020:解体

(5) F-4EJ/EJ改 初17-8301:岐阜基地に保管中(非公開、引き取り先募集中)、

終17-8440:浜松広報館

(6) RF-4E 初47-6901:百里基地雄飛園で展示中、終57-6914:解体 

(7) F-1 初70-8201:入間基地修武台記念館講堂、終70-8277:築城基地 

(8) F-15J 初02-8801:現役、終82-8965:現役 

(9) F-15DJ 初12-8051:現役、終92-8098:現役 

(10) F-2A 初63-8501:現役、終13-8564:現役 

(11) F-2B 初63-8101:現役、終83-8134:現役

写真1 Old Car Center KUDANにあるF-104DJの初号機。(2021年12月11日撮影)

 

<練習機>

(1) T-6 初52-0001:豊川市蒼空ハッスル、終72-0180:返還または解体

(2) T-33A

供与機 初51-5601:奈良基地展示後、岩国基地に前部胴体移設(?情報募集中)、終51-5668:解体

国産機 初61-5201:解体、終91-5410:新田原基地

(3) T-34A

輸入機 初41-0291:解体、終41-0310:解体 

国産機 初41-0311:解体、終:71-0435 福岡県朝倉市黒川の音楽館に前部胴体のみを展示していたが、2022年閉館以降は行方不明。

(4) T-1A/B 初82-5801:岐阜かかみがはら航空宇宙博物館(分解格納、非公開)、終35-5870:埼玉スバル(株)さきたまガーデン

(5) T-2 初19-5101:三菱重工業(株)小牧南工場、終89-5196:新田原基地(”69-5127”と記入) 

(6) T-3 初81-5501:静浜基地保管(保存指定機)、終21-5550:解体 

(7) T-4 初56-5601:現役、終36-5812:現役 

(8) T-7 初26-5901:現役、終86-5949:現役

(9) T-400 初41-5051:現役、終41-5063:現役

 

<輸送機・空中給油機>

(1) C-46 初51-1101:返還(N55792)、終91-1148:解体(手続き上は返還後か?)

(2) YS-11 初52-1151(2021年3月引退、2022年8月17日解体):、終12-1163:現役(YS-11EAに改修)

(3) C-1 初28-1001:現役、終18-1031:現役

(4) C-130H 初35-1071:現役、終85-1086:現役

(5) KC-767 全機現役

(6) KC-46A 全機現役

 

<その他の固定翼機(連絡機、救難機など)>

(1) B-65 初03-3091:解体、終03-3095:那覇基地

(2) MU-2S/A 初73-3201:九州個人宅(前半分のみ)、終73-3229:解体

(3) MU-2J 初53-3271:解体、終93-3274:解体

(4) T-28B 初/終63-0581:浜松基地内に保管

(5) バンパイアT.55 初/終63-5571:浜松基地内に保管

(6) B-747-400 初20-1101:売却、終20-1102:売却

 

<ヘリコプター>

(1) H-19C 初71-4701:解体、終11-4721:解体

(2) H-21B 初02-4751:解体、終02-4760:解体

(3) S-62J 初33-4771:解体、終73-4779:1968年4月25日事故抹消

(4) V107 初74-4801:解体、終04-4852:新田原基地

(5) UH-60J 初18-4551:解体、終:調達中

(6) CH-47J/JA 初67-4471:解体、終:調達中

   

海上自衛隊

<対潜哨戒機・哨戒機>

(1) S2F-1 初4101:返還(N219AK)、終4160:S2F-Uに改修、解体 

(2) P2V-7 初4601:解体、終4664:1975年6月20日事故抹消 

(3) P-2J 初4701:機首部分のみ、東京都江東区の個人宅、終4783:海上自衛隊鹿屋航空基地史料館

(4) P-3C 初5001:解体、終5101:現役 

f:id:Unikun:20210531122321j:plain

写真2 個人宅にあるP-2Jの1号機機首部分。(2017年4月22日撮影)

 

<飛行艇>

(1) PS-1 初5801:1983年4月26日事故抹消、終5823:解体 

(2) US-1/-1A 初9071:US-1A改修後、解体、終9090:岩国航空基地内で保管(岩国市の仮称「飛行艇博物館」構想への対応用、非公開)

※岩国市の博物館建設構想が潰れると解体されちゃいますね、きっと。 

(3) US-2 初9901:現役、終:調達継続中

 

<上記以外の固定翼機>

(1) T-5 初6301:解体、終6366:現役

(2) TC-90 初6801:解体、終6841:現役

(3) LC-90 初9301:現役、終9306:現役

(4) U-36A 初9201:現役、終9206:現役

※次の機種では初号機および最終号機のいずれも現存していない。

SNJ, T-34A, KM-2, JRB-4, B-65, YS-11,

 

<ヘリコプター> 

(1) S-61A 初8181:南極観測船ふじ甲板、終8185:解体

(2) S-61A-1 初8941:鹿屋航空基地史料館(前部胴体のみ)、終8953:解体

(3) OH-6J 初8761:解体、終8763:鹿屋航空基地史料館

(4) HSS-2/A/B 初8001:1967年10月5日事故抹消、終8167:大湊航空基地(”8162”と記入)、なおB型初号機(8084)は三菱重工業(株)小牧南工場に展示

(5) SH-60J 初8201:解体、終8303:現役

(6) UH-60J 初8961:解体、終8978:現役

(7) 次の機種では初号機および最終号機のいずれも現存していない。

Bell47G, S-62J, HSS-1, V-107, OH-6D, OH-6DA, MH-53E

 

陸上自衛隊

(1) AH-1S 初73401:陸上自衛隊広報センターりっくんランド、終73494:現役

(2) OH-6J 初31001:霞ヶ浦駐屯地で教材後に解体、終31117:神町駐屯地展示後、解体 

(3) OH-6D 初31121:北宇都宮駐屯地の訓練機(2022春までに解体撤去か?)、終31313:空自防府北基地内(陸自格納庫脇)

(4) UH-1B 初41501:解体、終41590:釧路駐屯地展示後、撤去 

(6) UH-1H 初41601:北宇都宮駐屯地の教材後に不明、終41733:立川駐屯地に展示

(7) UH-1J  初41801:遠軽駐屯地の教材機、終41930:現役

(8) TH-55J 初61301:解体、終61338:日本航空学園(輪島)で教材後、解体 

(9) V-107 初51701:美幌駐屯地に展示、終51818:くろすらんどおやべに展示 

(10) CH-47J/JA 初52901:朝霞駐屯地訓練機、終:調達継続中 

(11) LR-1 初22001:解体、終22020:木更津駐屯地内に展示

写真3 クロスランドおやべに展示されているV-107最終号機。(2021年10月5日撮影)

  

以上