<編集履歴> 08Jul.2025公開、09Jul.2025見直し更新(第1回目、見直し実施)
【概要】
(1) 韓国では1976年9月1日から2001年3月31日の間、28~38機程度のS-2”トラッカー”シリーズを運用していた。タイプ別で言えば、S-2A(10機)、S-2D(1機、Bu.149244)、S-2E(25機)、US-2C(2機)あたりなのだが、部品取り用として購入した機体もあったようで、本当の運用機数は「わからない」。なお、導入当初は海軍での航空部隊運用準備が間に合わず、しばらくは「空軍機」として運用を続けた後に「海軍機」となった経緯がある。
(2) 韓国軍のトラッカーは垂直尾翼に米海軍Bu.No.の下4桁を描く。また水平尾翼下部にBu.No.を描くが、これらの番号がマトモに見える運用当時の写真は極めて少ない。そして機首とかエンジンナセルなどには機番は描かれていない。よって、残されている写真から機番を判別するのは極めて困難な状態となっている。
(3) 運用期間中に複数の機体が墜落/抹消されている。最も詳しいのはScrambleのデータベースだろうか。ただ、全てを確認したわけではないが、その記述は他のサイトと異なっているものもあるようだ。(データベースは読者の指摘により、都度更新される。何年何月何日何時時点でこうだった、という確認/記述をしないと、修正されることがあるので注意)
(4) 現在では14機が各地に展示されている。仮に31機を運用していたとすると、ほぼ半数の機体が残存していることになる。このうちの7機は一般人が訪問可能な場所にある。
【展示機】(Bu.No.順にしてみた)
(1) US-2C (3376, Bu.133376, cn. N48, 34.7651N / 126.3903E)
全羅南道木浦市の第3艦隊司令部敷地内に展示。空路木浦空港入りすると見える「らしい」。(ただし、軍用基地に着陸する際にはブラインドを下ろすように言われる)
(2) US-2C (3385, Bu.133385, cn. N57, 36.8904N / 126.8249E)
忠清南道唐津市の挿橋湖艦上公園で展示されている。機体左側面は核機雷搭載のために大きく膨らんでいるのが特徴だ。

写真 挿橋湖艦上公園のUS-2。機体左下側の膨らみに注目!(2009年5月2日12時ごろ撮影)
(3) S-2A (6595, Bu.136595, cn. G-504, 37.5366N / 126.9783E)
ソウル龍山区の戦争記念館屋外に展示されている。

写真 ソウル戦争記念館のS-2A。(2023年10月20日16時ごろ撮影)
(4) S-2E (9257, Bu.149257, cn.101C, 35.1735N / 128.9924E)
釜山広域市沙上区の釜山航空高等学校入口の警備所裏手(元は駐車場)に展示されている。鎮海海軍基地の博物館脇に2022年末ごろまで置かれていた機体を移設したもので、現時点のGoogle Mapでは移設前の様子しか見ることができない。
【釜山】釜山航空高等学校のS-2E - 用廃機ハンターが行く!

写真 釜山航空高校のS-2E。(2025年6月7日14時ごろ撮影)
(5) S-2E (9258, Bu.149258, cn.102C, 33.5108N / 126.5012E)
京義道金浦市金浦艦上公園に展示されている。かつて国立ソウル顕忠院に展示されていた機体を2009年秋~2010年秋ごろの間に移設・設置した。
【京畿道】金浦艦上公園のS-2E - 用廃機ハンターが行く!
写真 公園にあるLST艦上から見下ろしたS-2E。(2014年3月23日13時ごろ撮影)
(6) S-2E (9267, Bu.149267, cn.111C, 36.3660N / 127.2978E)
大田広域市儒城区の大田顕忠院(国立墓地)内に展示されている。
【デジョン(大田)】国立大田顕忠院の展示機 - 用廃機ハンターが行く!

写真 大田顕忠院に展示されているS-2E。(2025年5月8日13時ごろ撮影)
(7) S-2E (9847, Bu.149847, cn.122C, 36.3088N / 127.2252E)
忠清南道鶏龍市鶏龍台(三軍統合本部)敷地内に展示。公開イベントがある場合には撮影できることもある。
(8) S-2E (9851, Bu.149851, cn.126C, 35.1489N / 128.6822E)
慶尚南道昌原市。鎮海の海軍基地内、海軍基礎軍事教育団エリアに展示されている。4月に行われる鎮海桜祭(クンハセ/軍港祭)の際には基地の一角が開放されるが、この展示エリアは開放されない「ようだ」。
(9) S-2E (9871, Bu.149871, cn.146C, 36.413N / 127.3501E)
大田広域市儒城区、紫雲台(国軍教育施設)にある。
(10) S-2E (2373, Bu.152373, cn.260C (?), 36.7704N / 127.6226E)
忠清北道曽坪郡の韓国交通大学曽坪キャンパス駐車場に置かれている。2025年7月8日時点ではGoogle Mapの該当エリアの写真集で、その様子を確認することができる。
(11) S-2E (2819, Bu.152819, cn.288C, 33.5107N / 126.5012E)
済州島済州市、海軍済州航空基地内にある。外周から「置いてあるな」程度には確認できる。2010年3月10日以降、2011年10月4日までの間に基地敷地の拡張工事が行われており、その際にどこからか搬入された。
(12) S-2E (2834, Bu.152834, cn.303C, 35.9950N / 129.4118E)
【慶尚北道】ポハン(浦項)の海軍航空歴史館 - 用廃機ハンターが行く!

写真 浦項のE-2E。ロケット弾ポッドを吊下している。(2019年8月28日10時ごろ撮影)
(13) S-2E (2839, Bu.152839, cn. 308C, 36.9976N / 126.8132E)
京義道平澤市の第2艦隊司令部敷地内に展示。
(14) S-2 (型式、S/N、cn.などは一切不明。35.9796N / 129.4211E)
慶尚北道浦項市の浦項海軍航空基地内展示機。この機体は写真を一枚も見つけていない。
【展示後に撤去・移設】
(1) S-2E (9258, Bu.149258, cn.102C)
ソウル市内、地下鉄銅雀駅近くのソウル顕忠院(国立墓地)には2009年頃まで航空機や戦闘車両などが展示されていた。ここのS-2Eは上述した金浦艦上公園に移設された。
【ソウル】国立ソウル顕忠院(撤去済、記録) - 用廃機ハンターが行く!

写真 ソウル顕忠院に展示されていたS-2E。(2009年10月26日9時40分ごろ撮影)
【参考】
・韓国人マニアによる調査結果をまとめたブログを添付する。結果として、私の調べたコトと同じことを言っており、「本記事は彼のブログ内容を丸写しした」のと同じ内容になっている、なお、彼の方が詳しく記述しているので、そのうち日本語に訳して、この記事に転記するつもりだ(笑)。また同じ問題について「判らないことが判った」とボヤいており、リサーチャーとして、とても親近感があるのだな。:
以上