用廃機ハンターが行く!

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【ハノイ】防空空軍博物館

<編集履歴> 22Apr.2019公開、28Feb.2023見直し実施(第11回目、見直し実施、写真追加)

<場所 Place>       防空空軍博物館 Bao Tang Phong Khong Khong Quan

<座標Location>       20.9995N, 105.8292E

<訪問日 Visit>  29Jul.1997, 08Jan.2012 and 30Sep.2018

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写真1 隣接するショッピングモール「アルテミス」の5階から窓越しに撮影した展示機の一部。(2018年9月30日撮影)

 

<行き方 Access>

(1) ハノイ市内にあり、市バス(No.16, 19, 24)あるいはタクシーを利用。

<解説General> 

(1) ハノイ駅の南西に直線で3kmほどの場所にあるベトナム国内で最大の航空機展示場。残骸も含みS/Nを確認できる機体が27機展示されている。かつての基地跡には空軍博物館とこれに隣接する防空博物館の二つの博物館があった。1997年訪問時には空軍博物館は見学可能だったが、外国人は防空博物館に入場できなかった。その後、外国人でも防空博物館の見学ができるようになったが、2000年頃には両博物館が統合され、また敷地が整備されて現在の防空空軍博物館となった。なお別記事「ベトナムの展示機概要」で述べているが、ベトナム空軍の現地語直訳は「防空-空軍」だ。本Blogでは「ベトナム防空・空軍博物館」と記載していたが、2023年2月28日以降はベトナム国内の話なので「ベトナム」をタイトルから外すとともに「防空空軍博物館」と記すことにした。

(2) 開館時間は土曜日~木曜日の0800~1100、1300~1600(土日祝は1630)、金曜日閉館(グループ見学のみ)で入場料 は30,000VND(2018年9月30日時点)。

(3) 博物館の向かい側に建つ「Altemis(アルテミス)」ショッピングセンタービルの5階あたりから屋外展示機を俯瞰して撮影できるが、窓が汚れているために良質な写真は望めない。本Blog掲載写真は画像ソフトでかなりコントラストを高め、また色調を修正してある。

【展示機 Aircrafts】

(1) MiG-17F(2011, 2047) ベトナム防空空軍はソ連製MiG-17Fと中国製のJ-5を使用したが、ここにあるの2機はソ連製のMiG-17Fだ。2011号機はかつて緑色系のまだら迷彩塗装だったが、訪問時にはほぼ銀色になるまで退色が進んでいた。2047号機は翼下に爆弾を懸吊している。主翼下面と爆弾の間の隙間(距離・間隔)が狭いので、ホントに上手く分離・投弾できたのだろうかと思う。

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写真2 2機のMiG-17。2047号機は翼下に爆弾を吊るしている。(2018年9月30日、「アルテミス」の5階から撮影)

 

(2) J-6C (6058,cn. J6-6436) 中国製MiG-19S。右主脚カバーに”歼6-6436”という番号が残る。

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写真3 ベトナム戦争(およびそれ以後)にはJ-6(中国製MiG-19)も使用された。(2018年9月30日撮影)

 

(3) MiG-21PF (4326)とMiG-21MF(5121) 4326号機の機首には13個の撃墜マークが描かれている。機体各部の注意書きはキリル文字ではなくベトナム語になっている。ベトナム防空空軍はF-13/PF/PFM/MF/bisの五型式のMiG-21(単座)を使用してきたが、このうち三型式が展示されているのでジックリと違いを見比べてみよう。

【ベトナム】ベトナムにあるMiG-21の識別法 - 用廃機ハンターが行く!

写真4 手前の5121号機はMiG-21MF、奥の4326号機はMiG-21PFだ。アチコチ異なっているが、とりあえずはキャノピーから垂直尾翼前縁にかけてのドーサル部の形状や垂直尾翼の面積などに注目してみよう。(2018年9月30日、「アルテミス」の5階から撮影)

 

(4) MiG-21PFM (5020) 機首に12個の撃墜マークを描いている。

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写真5 博物館の建物前に展示されたMiG-21PFM。(2018年9月30日撮影)

 

(5) Su-22M3 (5821, 5831) ベトナム空軍のSu-22は2020年頃に全機が退役と言われていたが、2023年1月時点でもまだ運用している。国内にあるSu-22の展示機の詳細については別項のまとめ記事を参照いただきたい。

【ベトナム】Su-22の展示機まとめ - 用廃機ハンターが行く!

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写真6 本博物館内での”最新鋭機”Su-22M3。展示されている2機に目立った差異は無さそうだ。(2018年9月30日、「アルテミス」の5階から撮影)

 

(6) F-4N (Bu.153001, NH201 / VF-114) 本博物館の目玉となる展示物。当時、北ベトナム側は「撃墜した」と言い、脱出して捕虜となったパイロットは発射したロケット弾の跳弾かその破片を吸い込んで両エンジンが止まったためと証言している。なお後席乗員は死亡した。近くにはデコイとして用いられた「竹編み」の対空ミサイルSA-2が展示されている。 1997年に訪問した時には外国人が入場することのできない防空博物館の中庭に展示されており、外周から見えた尾部の写真は機体番号を特定する貴重な情報源となっていた。

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写真7 F-4B墜落機の周囲にはF-5AやU-17の残骸、各種のエンジンも集められてる。(2018年9月30日撮影)

 

(7) F-5A (7579) ”65-10547, cn.N6208”といわれているが、”65-10497, cn.N6158”じゃないかというがBobOgdenのS/N本(第2版)の説だ。ベトナム防空空軍のマークを入れているが、鹵獲されて実際に飛行していた機体なのか、それとも展示のために(南から)持ってきてマークを描いただけのものかは確認していない。

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写真8 ベトナム戦争記念物の定番、F-5A。(2018年9月30日撮影)

 

(8) A-37B (0475, 68-7931) ベトナム戦争の航空機展示の3点セット(F-5A、A-37B、UH-1H)の一つ。さほど珍しくないが、この機体もベトナム防空空軍のマークを入れている。F-5同様に鹵獲されて実際に飛行していた機体なのか、展示のために南部から持ってきてマークを描いて展示したのかは確認していない。

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写真9 ベトナム戦争記念物の定番、A-37B。(2018年9月30日撮影)

 

(9) UH-1H (027, 68-15632) 胴体には"UH1A"と描かれている。

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写真10 ベトナム戦争記念物の定番、UH-1H。(2018年9月30日撮影)

 

(10) A-1H (AD6, Bu.139723) プロペラが無いとなんとなく間抜けな顔つきに見える。A-1Hはベトナム国内に4機ほどが残されているようだ。機首に”AD6”という改称前の本機の機種名が描かれている。

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写真11 屋外トイレ(かなり汚い)の前にあるA-1H。(2018年9月30日撮影)

 

(11) Aero L-29 Delfin (743) ベトナム空軍で使用されていた練習機。

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写真12 1997年に訪問した時には塗装が剥がれて一見ボロボロだった機体。機体の入替は行われていないようだ。(2018年9月30日撮影)

 

(12) TL-1 (01) ベトナム空軍技術研究所がフランスのRaely220をベースに製造した偵察機ベトナム初の自主開発動力機だったハズ。1980年9月25日に初飛行し、13回102分のテスト飛行で運用は終了した。

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写真13 (2018年9月30日撮影)

 

(13)HL-1 (84-11) TL-1に続いてベトナム空軍技術研究所が開発した機体。訪問時には機首右側には”84-02”と書かれていたが”2”の下に”1”が見えていた。機首左側には”84-02”となっていたが”2”だけはやたら退色して薄くなっていた。

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写真14 (2018年9月30日撮影)

 

(14) HL-2 (87-03) TL-1、HL-1に続いてベトナム空軍技術研究所が開発した機体だが、1987年頃には財政状況が悪化して開発プログラムは中断された。

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写真15 (2018年9月30日撮影)

 

(15) VNS-41 (401) Aircraft Repairing Factory(修理廠)製の水上機。詳細は未確認。

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写真16 (2018年9月30日撮影) 

 

(16) U-17A (764) 国内には本機を含めて7機が各地に展示されている。HCM市にはもう一機の”764”号機が存在している。別記事も参照ください。

【ベトナム】U-17シリーズの展示機 - 用廃機ハンターが行く!

 

(17) Zlin Z-226 Trener 6 (101-A)

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写真17 Zlin(左)とU-17A(右)。(2018年9月30日撮影)

 

(18) AN-2TD (02103) ベトナム防空空軍での運用詳細は不明だが、2013年にザーラム基地に着陸する機体の写真がJETPHOTOS.comに投稿されている。

写真18 国内に2機残されているAn-2のうちの1機。(2018年9月30日撮影)

 

(19) Mi-4S (5951D) 台座の上に展示されているので、それなりに展示に力を入れるべき存在の機体なのだろうが訪問時にはボロボロだった。テイルブームに記載されたS/Nは2012年1月8日訪問時には"151D"、2018年9月30日訪問時には"5951D"となっていた。

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写真19 Mi-4S。(2018年9月30日撮影)

 

(20) Mi-6A (7609) 博物館の裏手に展示されている。機体周囲にはいつでも駐車車両があるので邪魔になり撮りづらい。

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写真20 裏庭にある超大型ヘリMi-6。周囲に車を停められることが多いため、機体だけの写真は撮りづらい。 (2018年9月30日撮影)

 

(21) Mi-24A (7430) 国内に7機が展示されているが、一般公開されているのは本機とHCM市の南部空軍博物館の機体の2機だけだ。

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写真21 攻撃ヘリMi-24A。 (2018年9月30日撮影)

 

(22) Ka-25BSh (7511) 国内に3機存在しているが、一般見学ができるのは本機とハイフォンの海軍博物館にある機体の2機だけ。3機目はカムラン基地内に置かれている。

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写真22 カモフKa-25BShとMi-24Aが並ぶ。(2018年9月30日撮影)

以上