<編集履歴> 11Jun.2020公開、31Aug.2024見直し更新(第10回目、見直し実施)
<はじめに、の前に(2022年9月23日記)>
「ブルーインパルスを飛ばすのにいくらかかるのか?」というこの記事は、本Blogの中でもアクセス数の多い記事だ。本Blogの記事のアクセス数は、その時々のニュースやTV番組などの影響を大きく受けているが、常に安定してアクセス数の上位に位置している。ちなみにファントム引退フィーバーが去ったあと、2022年頃からは「ゼロ戦を見に行こう」「大戦機を見に行こう」「ブルーインパルス関連(F-86F、T-2およびT-4)」の記事へのアクセスが安定して上位を占めている。この辺りが一般読者の興味の範疇なのだろう。
さて本題の「いくらかかるか?」については、計算のやり方の基本(考え方)は読者の皆さんが自家用車を維持して運用しているものと変わりはない。燃費がどのくらいで何キロ(あるいは何時間)飛ぶかということと、運用・維持にどれくらいの人と時間と部品交換や”車検”に相当する金額がかかるかということを積算していけばよい。
それぞれの費用(例えば燃料代)などは”時価”であるため、価格を求めるためのヒントを紹介する。この記事の内容だけ(すなわち東京上空で飛んだ時の話だけ)を引用した発言がネット上にいくつか見られるが、あくまで算出例を示しているだけなので、各自が興味を持つ「ドコソコで飛んだ時の費用」は、「最新の価格情報」を元にして「現在の費用」を算出してみて欲しいと思う。この記事は「ブルーインパルスが東京上空を飛行」した時のモノではなく、ブルーインパルス以外の機体であっても運用コストを試算するためのヒントを込めて書いているつもりだ。ネット上で「いくらかかるんだ?!(私は計算できないよ)」と声高に宣言して、そこで思考停止している人を一人でも減らし、次の段階での議論へと促すことができれば幸いに思う。
<はじめに>(以下、本文です)
2020年5月29日に行われた東京上空でのブルーインパルス(以下、B.I.と略すことがあります)のフライトにかかる費用は約360万円だったそうな。その内容を確認してみたので記しておこう。 用廃機の事を取り上げる本Blogの趣旨とはかけ離れているのだけれど、Facebook以外に他に残しておくネット上の場所がないので「雑談」として残しておこう。確認した内容は次の通りだ;
<直接的な費用>
(1) 東京上空フライトにかかる燃料代
(2) スモーク発生にかかる費用
<間接的な費用>
(1) 松島基地ー入間基地往復にかかる燃料代
(2) 浜松基地のT-4を借りたときの燃料代
(3) T-4の機体償却金額(仮)
(4) C-1による整備員と支援機材の輸送にかかる燃料代
(5) C-1の機体償却金額(仮)
<人件費>
上記に加えて人件費がかかるが、本Blogでは省略する。
理由は「東京上空を飛んだ40分ほどに限定」するか、「地上での直接支援」、「地上での間接支援」や「イベント準備に関与した人員」など、関係した人員をどこまで入れるかで10倍以上も差が生ずるからだ。もう少し詳しく書けば「T-4を飛ばした操縦者は7名」「安全監視のために後席に同乗しているパイロット2-4名」「入間基地で機体の送り迎えをする列線整備員2-3名/機」、「この日のためにエンジンや電子機器などを整備していた松島基地の専門部署の整備員数十名」「支援の輸送機の操縦者、搭乗者、整備員など数十名」「このイベントの企画や調整に携わる自衛官数十名」が存在する。のべ作業時間で1時間未満しか関与しない者もいれば、数十時間(数カ月間)関与した方もおられるだろう。どこまでをカウントするかは、各個人の興味の範囲次第だ。
ザックリとパイロットと列線整備員だけの人件費としてもよいだろう。一つの目安として読者の皆さんや、その周囲におられる方々の月給や年収から、パイロットや整備員一人当たり一日にいくらかかるかを想定し、加算してみてください。日当で考えるか、時給で考えるか(このイベント自体は1時間とはかかっていない)、支給総額で考えるか、手取り額で考えるかによっても、試算額は大きく異なるぞ。
なお、自衛隊員の給与について、より詳細に試算したい方は「防衛省の職員の給与等に関する法律施行令」を参照するとよいだろう。
防衛省の職員の給与等に関する法律施行令 | e-Gov法令検索
写真 入間基地祭で飛ぶブルーインパルス。(2017年11月3日撮影)
1.ブルーインパルスが消費した燃料の費用について
1-1.東京上空フライトに要した燃料費の確認
<T-4B.I.機の搭載燃料の確認>
そもそもT-4という機体にはどのくらいの燃料を搭載できるのかをネット情報やマニア本を用いて確認しよう。通常のT-4の機内燃料タンクの総容量は600gal(本記事では1USgal =3.785 Lとしておく。600USガロン=2,271 Lだ)だが、B.I.改修機はNo.3タンク(約85gal = 322 L)をスモークオイル専用にしている。よって機内搭載燃料量は515 gal (= 600 gal - 85 gal = 1,959 L)だ。
今回のフライトでは120galドロップタンクを2本つけているので両翼で240gal。
搭載燃料の合計は最大で755gal (=515 gal + 240 gal = 2,858 L)となる。
上述したことを繰り返すが、本記事では1gal =3.785 Lとしておく。またジェット燃料の比重(密度を読み替え)を1L = 0.8kgとしておく(以下、同様)。本記事は考え方を伝えることが目的なので、細かい数値が欲しい方は各自で調べ、好きな数値を用いてくれればよい。
・燃料の量を容量(L)で表すと:755gal = 755 gal × 3.785L/gal = 2,857.675 L ≒ 2,858 L
・燃料の量を重量(kg)で表すと: 2,858 L × 0.8 kg/L = 2,286.4 kg ≒ 2,286 kg
<ジェット燃料のお値段>
ジェット燃料のお値段は防衛装備庁の「契約にかかる情報の公表(中央調達分)」の「月別契約情報 競争(基準以上)」もしくは「月別契約情報 随契(基準以上)」の契約結果(注:後述あり)から求める。しかし時々の変動が大きいので本記事では50円/Lとしておく。燃料の量と単位当たりの価格が分かれば搭載する燃料代が分かる。
一機あたりの燃料価格: 2,858 L/機 × 50円/L = 142,900 円/機
東京上空飛行では通常の6機編隊に加えて監視役の「全般統制機」の合計7機が飛んだので7倍して1,000,300 円となるが、これは7機が、それぞれ燃料を目いっぱい搭載した場合の燃料代だ。
これでも十分な試算はできるが、次項では実際に消費した燃料を計算してみよう。
【参考】
(1) 正確な燃料代を知りたい場合はこちらを読んで応用を利かせてください。
(2) 燃料の密度(比重)などの正確な値を知りたい場合は「JIS K 2209 航空タービン燃料油」を参照してください。https://www.jisc.go.jp/
<参考/注意>
本記事を書いたころ、すなわち2019-2020年ごろのジェット燃料の契約単価は41-48円/Lくらいだったが、2023年6月頃のジェット燃料A-1の単価契約は118円/L程度になっており、さらに円安が進んだ2024年6月頃には144円/L程度となっていた!本記事では「計算する際の考え方」を伝えることが目的なので、「50円/L」という試算値は変更しないが、「このくらいの変動があるもの」ということを知っておいていただきたい。
<消費した燃料量>
さて、今度は実際に使用した燃料代を燃費から求めてみる。
「中等練習機(XT-4)の開発」(日本航空宇宙学会誌第38巻第434号、1990年3月p.111-23)の「第3表 XF-3-30エンジンの性能表」に記された数値を用いて計算してみよう。
用いる数値は次の通りとする:XF-3-30の燃費は0.679kg/h/kgf。最大推力は1,670kgfだ。最大推力の80%で離陸から着陸までをこなし、飛行時間は12:35から13:15の40分間(40/60h)としておこう(注2);
一機あたりの燃料消費量は0.679 kg/h/kgf ×40/60 hrs × 0.8 ×1,670 kgf×2基=1,210 kg/機 =1,513 L/機。
残燃料は2,286 kg - 1,210 kg=1,076 kg/機(燃費より約35分の余裕、注参照)
お値段的には1,513 L/機 × 50円/L = 75,650 円/機
実際に使った燃料は7機で飛んでいるので、7倍して約53万円也。
(注1)航空機は目的地の滑走路が使えなくなった場合、代替空港まで飛行して着陸するまでの分の燃料を予備として積んでいる(硫黄島などの例外あり)。入間基地が使えなくなった場合、横田基地や厚木基地、あるいは羽田空港などに着陸しても良いが、通常は百里基地か浜松基地まで飛んでいく。民間空港、米空軍基地や海上自衛隊基地など、管轄が異なる場所に着陸すると後処理が大変面倒なコトになるからだ。各自が燃料搭載量の計算をする場合には、代替空港をどこにして、そこまで飛んで行くのにどのくらいの燃料を消費するかを計算して、通常飛行の燃料使用量に加算するとよいだろう。
(注2)ここでは計算が面倒なので、発進から帰投まで一律にエンジン出力を80%として計算しているが、実際には次のような運用の段階ごとにエンジン出力が変わることは明白だ。細かく計算したい方は、それぞれの段階で、エンジン出力をどの程度とするかを想定し、その段階が何分間続くか仮定して積算して行けばよい。「それぞれの段階が何分続くかなんて、わからないよ!」などと言うでない。youtubeなどの動画を見れば、ブルーインパルスの演技の動画がゴマンと投稿されているので、これを見て必要な時間を測ればよい。
<航空機運用における試算段階の例>
エンジン始動/暖機運転/地上滑走/離陸滑走から所定高度までの上昇/所定高度で速度を維持した航過飛行/着陸のための降下飛行と接地までの減速/所定位置までの地上滑走
写真 入間基地に着陸する増槽タンク付きのブルーインパルス機。2015年10月18日撮影。
1-2.松島ー入間基地間の往復フライトに要した燃料費の確認
松島基地ー入間基地間は直線で約320km(Google Mapによる)だが、多少の大回りをするだろうから400kmとしておく。この距離を最大推力の80%、速度650km/Hで飛んで37分(実際の離陸時間と着陸時間をTwitter発言で調べようとしたけれど、東京上空飛行のコメントであふれていてみつけられなかった)。
往復の消費燃料量は0.679 × 37/60 ×2工程 × 0.8 × 1,670 × 2基 = 2,238 kg/機 = 2, 798 L/機。
消費燃料の費用は2,798 L/機 × 50円/L = 139,900 円/機
7機で移動しているので往復の燃料代は約98万円也。
1-3. 全般統制機を浜松基地から借り、また返した際の燃料費の確認
今回は全般統制機を浜松基地から借りてきて使用しているので、これを受け取りに行った時と、返却時の燃料も計算しておこう。行程は次のようになる。
1)松島基地から1機のT-4B.I.機に二人が乗り、浜松基地に行く
2)浜松基地で機体を借り、二機にそれぞれパイロット1名が乗って松島基地に戻る。
3)松島基地から二機にそれぞれパイロット1名が乗って浜松基地に行き、機体を返却。
4)浜松基地から1機のT-4B.I.機に二人が乗り、松島基地に戻る。
松島基地ー浜松基地間は直線で約510km。多少回り道をして600kmとする。この距離を最大推力の80%、速度650km/Hで飛んで55分。単機片道の消費燃料量は0.679 × 55/60 × 0.8 × 1,670 × 2基 = 1,663 kg = 2,079 L/機。
燃料費は片道2,079 L × 50円/L = 103,950 円
都合単機で6行程分なので6倍して燃料代は約62万円だ。
(注1)T-4B.I.は松島から浜松へはクリーン形態で飛べる。すなわち機内燃料の515Gal ( =1,950 L)で余裕をもって飛べるのだ。上記の計算式において、必要量は片道 2,079 Lとしているので10%程度は多めに見積もっていることになる。まぁシロウト計算で誤差10%ならイイところかね?と自己評価。
(注2)2020年7月7日、移動訓練のためにD2形態(ドロップタンク2本を付けた形態)で松島基地を13:10ごろ離陸した1番機の浜松基地到着時刻は14:14ごろだったとのこと。所要64分。上記の計算では55分としているが、そこそこ良い値だったろうと思っている。(2020年7月7日追記)
1-4. スモークのお値段
ブルーインパルスが国内の展示飛行(今回の東京上空飛行も同様)で噴出するスモークは、通常のスピンドルオイルをエンジン排気口に導き、不完全燃焼させたものだ。スピンドルオイルの調達価格を80円/Lとしておこうか。これを前述した容量約85gal(=85gal × 3,785 L/gal ≒ 322 L)のNo.3タンクに搭載するので、1機あたりのお値段は80円/L × 322 L =25,760 円。6機分なので、6倍して154,560円也。
なおオリンピックの際に使用したカラースモークはその開発費を含めて数千万円~数億円程度と言われている。仮に数億円だとすると1機あたり1億円程度の開発費が費やされたことになる。1億円/機として単純に白色スモークの25,760円/機で割り返せば、概ね3,900倍のコストがかかったことになる。実際に使用したオイルで計算しても一機あたり100万円程度かと思う(一回限りの特注ですからね)。だいたい40倍くらいですか。
1-5.まとめ
東京上空飛行時のブルーインパルスT-4の燃料費とスモーク代をまとると次のようになる。
東京上空飛行の燃料代 53万円
松島基地往復の燃料代 98万円
浜松のT-4レンタルに要した燃料代 62万円
スモーク油代 15万円
合計 228万円
写真 2009年10月12日岐阜基地にて撮影
2.支援したC-1が消費した燃料費について
整備員や支援資材を松島基地から入間基地に空輸した際に用いたC-1の燃料費について確認してみよう。ただし適切な算出根拠となる数値が無かったので、ネット上のアチコチにある都合の良い数値を組み合わせて算出を試みた。
<使用した燃料代の計算>
C-1は6.5tの貨物輸送時に最大燃料での航続距離は1,200 nmとのこと。機内燃料は15,708 Lとすると燃費は1200nm×1.852m/nm /15,708 L =0.141 km/L。ほほう!
入間基地ー松島基地400㎞を送迎のために二往復している。使用燃料量を求めると;
400km ×4 / 0.141 km/L=11,348 L。
燃料代は50円/Lから11,348 L ×50円/L = 567,400円となる。
T-4の燃料代と合わせると、ここまでの合計は285万円だ。大臣発表の「約360万円」との差額はこの段階で75万円だ。
写真 入間基地祭で撮影したC-1。(2018年11月3日撮影)
3.参考計算、T-4B.I.のショー一回当りの機体償却金額
国有財産であるT-4の償却金額の計算は所定の方法(注)がある。新車を購入して1年で売却する場合と、5年乗ってから売却する場合では査定額に差が生ずることから分かるように「新しいほど金額は高い」。さらに車検の残る車両と車検切れの車両の値段に差があるように、3年に一度の定期点検修理(IRAN : Inspection and Repair As Necessary)を終えた直後の評価額は高くなり、IRAN直前の機体の評価額は下がる。
注)国有財産台帳の価格改定に関する評価要領について
https://www.mof.go.jp/about_mof/act/kokuji_tsuutatsu/tsuutatsu/TU-20111012-4670-14.pdf
だけど計算がメンドウなので、ここでは以下に記す数値を元にした「均等割価格((機体購入価格プラス定期点検費用)/使用時間で求めた飛行時間あたりの価格)」で考えてみよう。
<計算の根拠となる数値>
(1) T-4B.I.の機体価格は約23億円だ(調達年度により数億円程度の差あり)。これを約24年間使用するので、割り返せば9600万円/年だ。
(2) 3年に1度は車検に相当する定期点検修理(IRAN : Inspection and Repair As Necessary)が行われる。1回あたりの費用は約1.1億円かかる。機体が用廃となるまでに7回(≒ 24年 / 3年)のIRANを実施するので、これを7倍して7.7億円かかることになる。これを24年で割り返すと約3200万円/年だ。
(3) 年間当たりの「機体価格+定期点検整備費」の合計は上記(1)+(2)で1億2800万円。1日2回、年180日飛んだとして年間飛行回数360回、飛行1回あたりの金額(イコール償却金額)とすると約36万円/機/回になる。今回は7機飛んだので7倍して252万円だ。ただし、この金額は大臣発表の「360万円」には入っていませんね。大臣発表の金額はあくまで「直接経費」だけなのでしょう。
3.参考計算、C-1の償却金額
T-4と同様にして整備員や支援機材の送迎に使用したC-1の償却金額を「均等割」で考えてみる。計算に使った諸条件は次の通りだ。まずC-1の機体価格は約30億円。3年に1度、約2億円の定期整備を引退までに14回やるとすると、機体プラス定期点検整備代の総額58億円。引退までの総飛行時間は過去に引退した機体の実績より17,800時間としよう(本Blog「航空自衛隊 C-1の用廃機」参照)。
飛行一時間当たりの経費は58億円/ 17,800時間 =325,842円/時間となる。
入間ー松島間の飛行時間を片道1時間として二往復4時間で約130万円だ。
<おわりに>
さて、いかがだったでしょうか。シロウトのザックリ計算ですが、根拠となる数値さえ得られれば、それなりに計算できるということが判れば良いかな~と思っています。計算根拠を知るということは、どのように運用されているか/どこでどのような費用が生じているかを知ることとなり、それは自衛隊業務の理解へと繋がります。また社会一般の各種事業の遂行にかかる経費を理解することにも繋がります。結果として、今の社会そのものを理解することに繋がるのではないでしょうか。
「計算にはこの数値や、この計算式を用いるべし!」「この項目も算出すべし!」という事項がありましたら、お教えいただければ幸いです。
【参考までに】
ブルーインパルスの燃料代を看護従事者や自然災害被災者に支給せよという意見がある。仮に支給対象者を1万人として、一人あたり5千円を支給する場合にかかるコスト(投入される税金)をザックリ計算してみよう。
・支給金額: 5千円*1万人=5千万円
・通知にかかる郵送費: 事業用郵便の割引で73円/通として1万通で73万円
・通知書と封筒(返信用含む)、印刷代:合計で10円/件として、1万通で10万円
・振込先連絡などの返信用通信費:1万通でもう一度、73万円
・事務処理(企画まとめ、通知発送/返信受領、振込処理)にかかる人件費:合計10分/件として10万分=1667時間。時給1,000円(アルバイト)に丸投げしても166万7千円。
ここまでで投入される税金は支給金額5千万円と諸経費322万7千円だ。試算での話だが、諸経費分とブルーインパルス1回の東京飛行分の経費がほぼ同額であることに注目されたい(嘘だ!という方は、キチンと算出根拠を公開してから、発言してネ)。
支給金額や支給対象者数によって使われる税金の総額は変動するが、「すでに保有している資産であるブルーインパルスを飛ばすよりも、新たに一定額の給付金を支給せよ」、という場合には「ブルーインパルスよりもはるかに多い税金を投入せよ」と言っていることになる。
「自衛隊に反対」「税金は1円たりとも無駄に使うな」という意見は理解するが、(ブルーインパルスの燃料代を関係者に支給するという意見は)「より多くの税金を投入する施策を推進するよう、訴えている」というコトであると自覚したうえで発言した方がよいと思う。その税金を新たに我々から徴収するのか、既存事業や既存サービスの質を落としてお金をやりくりし、その金額を充当するするのかまで発言できれば、「一つ先の段階」で議論が進むことだろう。
【余談】
ブルーインパルスの飛行に反対する方の意見の中に「一回の飛行に1.1億円もかかるなんて、言語道断!」というものがある。反対意見自体には口をはさむつもりは無いが、一体どこから「一回1.1億円」などという具体的な数値がでてくるのだろう?
調べてみたところ、この記事だと判明した(爆笑)。
上記「3.参考計算、T-4B.I.のショー一回当りの償却金額」の中で「定期点検修理(IRAN)にかかる費用は1回あたり約1.1億円」と記述しているのだが、この部分を引用しているのだな。じつはGoogleで「ブルーインパルス」+「費用」などの単語で検索すると、検索条件によっては、問いに対して「1回あたり約1.1億円」という、答えを欲しがっている方には、そのものズバリの回答が抽出されて表示されるのだ。このことを知って私自身も少々驚いたのだが、Googleの検索結果というものは、そういうものだと覚えておこう。
もちろん「読者各位が自らの手でキチンと計算できるように解説したつもり」である本記事の、本題とは関係ない場所の一文だけを拾って自身の意見にするような方の発言なんぞ、まともに取り上げるつもりは全くないが、「こういう事例もある」ということだけは紹介しておく。
以上