用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

【埼玉県】空自 熊谷基地の展示機

<編集履歴> 27Mar.2021公開、13Dec.2024見直し更新(第7回目、T-4B.I.写真追加)

 

<場所 Place>    〒360-8580 埼玉県熊谷市拾六間839 航空自衛隊熊谷基地

航空自衛隊熊谷基地

<座標 Location>  36.1687N, 139.3113E 

<訪問日Visit>  14Apr.2019, 24Mar.2024ほか

<行き方 Access> JR高崎線籠原駅南口より道なりに基地正門まで約1.8kmを歩く。展示機はさらに約200m先だ。

<解説General>

(1) 航空自衛隊入隊者の初期教育を行う基地で、滑走路は無いが、基地内にF-86D/F, F-1, T-33Aの4機の用廃機が展示されている(5機目としてT-4B.I.が2024年度末までに展示される予定)。例年4月上旬に「さくら祭り」と称する基地公開行事が行われており、この時が展示機を撮影するチャンスだ。この公開の際には1~3機程度のヘリコプターがグラウンドに飛来して展示される。C-1などが上空をフライパスを行うこともある。過去には入間基地から飛び立ったブルーインパルスがリモートショーを行ったこともある。

(2) さくら祭りの日程と桜の開花時期がズレた場合には「桜の通り抜け」というイベントが開催される場合がある(2023年3月28-29日の午後に実施)。正門から基地売店までの道路わきの桜を眺めることができるイベントだが、この際にはF-86D/FおよびT-33Aを撮影することができる。F-1の近くまでが公開エリアになるかどうかは微妙なトコロだ。「さくら祭り」より人出は少ないハズなので、「人を入れずに機体だけを撮りたい」方にはお薦めのイベントだろう(注:私自身はこのイベント時に訪問したことは無く”推測”で書いている)。

(3) 2021年2月15日~3月31日の間にF-86FとT-33Aの再塗装が行われた(公告より2021年1月26日入札)。2022年8月24日の盆踊りの際に撮影された写真を見ると両機ともキャノピーを黒く塗られている。おそらくは再塗装の際に塗りつぶされたのだろう。なおF-86Fについては2019年春の公開時にはすでに薄く遮光シートを貼ったようになっていたが、完全に塗りつぶされている。F-86DとF-1については2022年8月公開時の写真を見つけていないので判らない。

(4) 展示されていたF-104JとT-6Gは2021年1月15日~2月12日の間に解体撤去された(基地調達情報の公告より、2021年1月15日入札)。 GE-Proの2021年11月撮影画像にて撤去された後の様子が分かる。

 

【展示機 Displayed aircrafts】  

1. F-1 (60-8273) 2003~2005年頃に用廃となった機体。

f:id:Unikun:20210327132508j:plain

写真1 桜に囲まれているF-1。2024年3月24日の公開時にはウインドシールドは劣化して白濁していたので、次回の再塗装時には黒色化されるのではないだろうか。(2019年4月14日撮影)

 

2. F-86D (84-8128) 1968年2月17日に第3航空団第102飛行隊で用廃となったとされる(ヒコーキ雲さんより)が第102飛行隊は前年末の1967年12月1日付で廃止されている。このため「68年2月17日付の第102飛行隊」は存在しないハズだ。おそらくは飛行隊廃止と共に飛行停止となり、書類上2月17日付で用途廃止になったものだろう。1973年4月1日には既に展示機となっていた。2019年4月14日公開日の時点でキャノピーは黒色化されており、操縦席見学用の台座は意味をなさないものになっていた(その後、台座は撤去されている)。

f:id:Unikun:20210327131718j:plain

写真2-1, 2-2 F-86D。写真に写る機体左側の見学用台座は2022年8月24日の納涼祭公開時には撤去されており、機体をキレイに撮れるようになっていた。2024年3月24日の公開日の際には機体右側にあった植樹が伐採されており、機体右側面をキレイに撮影できるようになっていた。(2-1: 2019年4月14日、2-2: 2024年3月24日撮影)

 

3. F-86F (82-7849) ヒコーキ雲さんによると本機は1961年8月26日に爆発事故を起こし、翌1962年4月30日に第1航空団で用廃となった。1963年3月16日から5月31日まで東京の二子玉川園で開催された「春の航空博」で展示されたのち、1963年秋~1964年春ごろには熊谷基地に搬入されて展示された。(この搬入時期については2022年11月7日にFacebook上に投稿された関係者による写真が元となって確認された)。その一方で航空情報別冊「JASDFセイバースペシャル」(1983)には1974年1月用廃と記載されている機体。1984年4月の公開時までは第1航空団の黄色と黒のチェッカーマークを垂直尾翼に描いていたが、いつの頃からか入間の総体司令部飛行隊のマークに変わっている。2021年2月頃には再塗装された。2021年3月頃の再塗装の際にキャノピーが黒色化されたものと思われる(推定)。

f:id:Unikun:20210327131653j:plain

写真3 F-86F。入間基地総隊司令部飛行隊(当時)のマークが書き入れられているが、入間基地に配備された記録は無さそうだ。(2019年4月14日撮影)

 

4. T-33A (51-5609) 1964年10月12日に第一術科学校で用廃となり、1965年3月には既に展示されていた(ヒコーキ雲さんより)。2021年2月頃に再塗装された。

f:id:Unikun:20210327132601j:plain

写真4 T-33A。後ろに見えるT-6Gは2021年3月頃に撤去された。写真では見にくいが撮影時には機体左側にはコクピット見学用の台座があったが、この台座は2022年8月24日の納涼祭公開時には撤去されていた。(2019年4月14日撮影)

 

5. T-4 (46-5729) 元ブルーインパルス機。2024年10月7日に搬入され、即日、組立作業が始まった。組立て後に一度、設置された向きを変更している。また、搬入/組み立て直後にはノーズコーンが取り付けられていなかったが、10月30日になって、ようやく取付けられた。マニア的には”何があったのか”知りたいところではある。なお、本機は2018年3月27日以降に用廃となった機体。ノーズコーンを含む”使える部品”は他機に譲り渡していたことと思う。展示が決まり、他機で使用していたノーズコーンの”不用品”が発生するのを待っていた(そして、それが通常機のものであれば、再塗装を実施)か、無くなっていたために”模造品を新たに製作した”かの、どちらかだろうと思っている。搬入時のポジションNo.は4号機であったが、将来的には変更される可能性がある。また、屋根のない屋外展示機なので、機体や塗装が痛む前に早めに訪問して撮影しておこう。

写真5 熊谷基地のT-4 Blue Implse機をバス停脇の外周から見る。訪問時、機体周辺は造成工事中で、年度末頃に”正式なお披露目”となる予定だ。(2024年12月13日撮影)

 

【その他】

1.  F-1展示機近くにF-1(10-8255号機)の垂直尾翼を用いたモニュメントが設置されている。 

 f:id:Unikun:20191105101622j:plain

f:id:Unikun:20191105101806j:plain

写真6-1, 6-2 F-1展示機近くにある10-8255号機の垂直尾翼を使ったモニュメント。(2019年4月14日撮影)

 

2. 例年4月上旬に開催される桜まつりでは陸海空自衛隊のヘリコプターが展示されることが多い。桜が満開の時期と公開日が重なれば最高だ。

 

 

f:id:Unikun:20210327132626j:plain

写真7 状況次第では満開の桜を背景にしたショットが得られる。(2019年4月14日撮影)

 

【展示後に撤去された機体】

1. F-104J (76-8704) は1984年1月25日に第204飛行隊で用廃になったとされるが、同年4月には第204飛行隊のマークを付けたままで展示されていた(ヒコーキ雲さんより)。その後、いつの頃かは不明だが第207飛行隊のマークとなり、またインテイク脇に「マルヨンブラザース」のマーク(1980年頃の戦競参加機が描いていたもの)が描かれていた。2021年1月15日~2月12日の間に解体撤去された。 

f:id:Unikun:20210118182033j:plain

写真8 このF-104Jは2021年2月頃に撤去された。(2019年4月14日撮影)

 

2. T-6G (52-0128)  1965年5月17日に搬入され、5月24日に組立が終わったとされる(ヒコーキ雲さんより)。本機は約55年間展示されたのち、上記F-104Jと共に2021年1月15日~2月12日の間に解体撤去された。 

f:id:Unikun:20210118182101j:plain

写真9 このT-6Gは2021年2月頃に撤去された。(2019年4月14日撮影)

以上