用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

航空自衛隊 富士T-7のお話し

<編集履歴> 30Nov.2024公開

 

【概要】

 富士重工業(株)(現SUBARU、※1)製の初等練習機で、初飛行は2002年7月9日。2002年9月に初号機を納入し、最終号機(49号機)の納入は2008年9月11日であった。2024年11月末時点で事故抹消や用廃機は生じていない。大部分の機体は操縦学生の教育のために静浜基地第11飛行教育団と防府北基地第12飛行教育団に配備されている。また、岐阜基地飛行開発実験団(おそらく1機)と浜松基地第1術科学校(おそらく2機)が配備され、テストパイロットコースでの操縦実習や整備員養成教育のために使われている。

※1:富士重工株式会社は2017年4月1日に社名を(株)SUBARUに変更した。本Blogでは原則として社名変更前に発生したイベントには富士(もしくは富士重)と記している。

・参考:SUBARUの最終号機納入のお知らせ;

https://www.subaru.co.jp/news/archives/contents/pdf_46942.pdf

写真1 2035年頃までは確実に見られるT-7。(2023年6月4日、防府北基地にて撮影)

 

【次期初等練習機との置換/用廃機発生時期の予想】

 2024年11月29日、防衛省は「次期初等練習機及び地上教育器材の選定結果について」を公表し、テキストロン・アビエーション・ディフェンス社製T-6(兼松(株)扱い)を選定したことを明らかにした。

防衛省・自衛隊:次期初等練習機及び地上教育器材の選定結果について

 防衛省の公表文書には記載されていないが、報道各社の関連記事によると、T-7は2030年頃より漸次減少/置換されるものとしている。T-3やT-7の例から、5~8年程度で機体更新を終えるものと予想している。すなわちT-7の最終フライトは2035~2038年頃ということだ(まだ、生きている間に、この目で用廃T-7を見られるな・・・>自分)。

 用廃展示機は静浜、防府北/南基地、浜松広報館、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館あたりに展示されるだろうか。大きさが手ごろなので、コクピット見学用として、三沢航空科学館あたりでの展示も良いのではないだろうかなどと考えている。

 まぁ、あと10年ほどしたら(2035年頃に)、見直してみよう。

写真2 航空祭におけるT-7の大編隊航過飛行は、やがて混成編隊(もしくは機種毎の2個小編隊)となり、新機種だけの編隊に変わっていく。天気が良い時ばかりとは限らないので、向こう数年間は静浜/防府北基地航空祭に足繁く通おう。(2010年6月6日、防府北基地にて撮影)

 

【余談】

 前回の新初等練習機選定(現T-7を選定した時、1988年(平成10年)8月)の際には、ピラタスは"PC-7Mk.II"を推したが落選。選定過程が不透明であるとして異議を唱え、再選定となったが、この時(1990年(平成12年)8月)にはダウングレードした"PC-7"を推薦していた。

航空自衛隊の新初等練習機の調達について | 平成12年度決算検査報告 | 会計検査院

今回落選した(株)SUBARU押しの機体はPC-7Mk.Xでしたね。

ここで最大出力(主にWikipediaより)を比較してみると;

T-3: 254kW

T-7: 336kW

PC-7: 410kW

PC-7Mk.II: 522kW

PC-7Mk.X: 410kW

PC-9Mk.II: 708kW

Hurkus: 1,200kW

T-6II (PC-9Mk.II改やね): 820kW

 

 操縦者教育の内容や、機体運用システム/機体の維持管理システム全体との兼ね合いがあることは理解するけれど、T-6IIって、やたらエンジン出力大き過ぎませんかね?一般的にはデカイ出力のエンジンは購入価格も維持管理費用も高いよなぁ。T-7やPC-7系列の倍の出力を出せる機体って、ホントに必要あるのかしらん?とシロウトは思うのであります(対地攻撃基礎訓練や空対空戦闘基礎訓練までを本機で行うとは思ってもいないので)。

以上