<編集履歴> 04Feb.2024公開、02May.2024見直し更新(第2回目、見直し実施)
ブルーインパルスの特集本には公式飛行回数が記されていることがある。
これを見ると、何年何月何日に、どこで、どんなイベントがあったのかが、一応は判るため、ブルーインパルスに関する歴史調査を行う際の基礎資料として活用している。
だけど、「展示飛行のために移動し、予行で飛んだけれど、当日は天候不良のために飛べずにホームベースに戻った」という場合には、当然ながら「公式飛行」の回数にはカウントされないのだな。すなわち「ブルーインパルスの公式飛行回数の記録」を見ただけでは、「ブルーインパルス参加イベント」はわからないのだ。
「基地祭のために飛来したけれど、展示飛行を行っていない」とか「イベントでのフライバイのために予行でフライトしたけれど、天候等の理由により本番ではフライトを行っていない」事例があるため、後年「公式飛行回数」の記録だけを見て、「この年、**基地航空祭にはブルーインパルスは飛来しなかった」などと書こうものなら、足元をすくわれることになる。
一例として1985年9月29日の岐阜基地航空祭を紹介しよう。
ネット上の個人ブログには、前日にブルーインパルスが飛来して、着陸する際の写真が掲載されているが、航空祭当日は終日雨となり、フライトはキャンセルされている。
当時の雑誌記事には「悪天候のため、予定されていたフライトはキャンセルとなり、帰投するブルーインパルス」という内容のキャプションと離陸時の写真が残されている(エアワールド誌)。この日、「ブルーインパルスが離陸するところ」を見た人は大勢いるハズだけど「公式展示飛行ではない」ため、公式記録にはブルーインパルスが岐阜基地に来たことすらも残っていない。後年、調査のために公式記録を見ただけでは、この日に岐阜基地祭に「ブルーインパルスが参加していた」ということはわからないのだな。
この件は「公式記録は、必ずしも歴史的事実を全て反映しているとは限らない」という、「歴史調査あるある話」の一つだ。ブルーインパルスの場合はファンが多く、その歴史や活動実績を調べている方が多数いると思われるので、注意喚起として書き残しておく。
写真 松島基地にあるT-2ブルーインパルス使用機。航空自衛隊の保存指定機だ。(2023年8月27日松島基地航空祭にて撮影)
【余談】
ブルーインパルスの歴史上で、本番イベントが流れてしまった事案として最も有名なものは、2011年3月12日に予定されていた九州新幹線全通イベント(博多駅上空フライバイ)だろう。前日11日に予行フライトを終え、展開先の芦屋基地に戻ったあとで、東日本大震災が発生。イベントフライトは中止となりました。
当時、私は博多を拠点とする営業マン。大分の客先から博多に戻る途中で高速に入った直後だった。「大変なことが起こりました!」という同僚からの電話が入り、一瞬「ブルーインパルスの予行の際に福岡市内に墜落したか?」と思ってしまった。慌ててラジオを入れ、最寄りのパーキングエリアに車を停めて施設内のTVを大勢の客と共に眺めると、津波が街を飲み込んでいくところでした。
以上