用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

【石川県】空自 小松基地の展示機

<編集履歴> 14Apr.2021公開、23Dec.2023見直し更新(第5回目、F4再塗装)

 

<場所 Place> 〒923-8586 石川県小松市向本折町戊267番地 航空自衛隊小松基地

小松基地|防衛省 [JASDF] 航空自衛隊

 <訪問日Visit> 23Sep.2012, 17Sep.2018, 07Oct.2023ほか

<行き方 Access> 

(1) JR北陸線小松駅から正門までは基地北東部を走る国道360号線沿いに歩いて約4.9km、駅から小松市営墓地の脇を抜けるコースで約4.6km。航空祭の時にはシャトルバスに乗るために約90分程度は余裕で並ぶので、通常ならば往復とも歩いた方がやや早い。タクシーなら10分程度か。(2023年度航空祭ではシャトルバスは表示番号から約80台が投入されたようで、「例年よりスムーズだった」との評価がある。一方、ブルーインパルスの参加が無く、「約5万人の入場者」だったからとの評価もある)

(2) 空港から正門までは約3.3km。徒歩約40分。

<解説General>

(1) 第6航空団の基地でメインは第303飛行隊と第306飛行隊のF-15J/DJ。国内最大の訓練空域Gエリアに近いためにミサイル実射訓練(支援含む)も多いが、一般的に話題に上がるのは実弾やターゲット装着機よりも同居している飛行教導群(アグレッサー)のカラフルなF-15J/DJだ。例年9月中旬ごろに航空祭が行われている。(ただし2020年および2021年は新型コロナウイルス感染防止のために中止)

(2) 基地正門入って直ぐにF-4EJ改、正門から道なりに350mほど北東に5機、合計6機の展示機がある。

(3) 2023年10月7日に開催された航空祭の時には5機の用廃展示機エリアの機体そばには近寄れないようになっていたため、機体左側は撮影できなかった。一方、F-4EJ改ファントムは触り放題であった。

【展示機】

(1) F-4EJ改 (87-8404) 2020年4月21日に百里基地第301飛行隊からフェリーされた後に用廃となった。同年6月29日には垂直尾翼右側に306飛行隊マーク、左側に303飛行隊のマークを入れた姿でトーイングされている様子がTwitter(現在のX、以下同様)上に投稿された。10月6日に本機を用いて擱座機撤去訓練が行われ、翌10月7日にゲート脇の展示場所に設置された。 小松基地公式Twitterにて設置作業の様子が2021年4月12日から動画で配信されている。Twitterの投稿を見る限りでは本機は正門で一言断れば門から(入場しないで)撮らせてもらえるようだ。コロナウイルス感染予防対策のために基地祭が中止となっていたため、一般人へのお披露目は2022年9月19日の航空祭となった。2023年12月初旬ごろに洗浄と再塗装を行っている(12月4日完了)。

写真1-1, 1-2, 1-3 ゲートガードのF-4EJ改。Top写真はゲート前から中望遠レンズで狙ったもの。見学申請しない場合にはゲート前からはこの程度しか撮れないという見本だ。どうにもストレスが溜まる絵になるので、やはり基地祭の時か正規に見学申請をして中に入れてもらった際に撮らせてもらう方がよいだろう。尾翼の飛行隊マークは左右で異なるため、両側を忘れずに記録しておこう。(2023年10月7日撮影)

 

(2) F-86D (14-8217) かつて千歳基地に駐留していた第103飛行隊のマークを垂直尾翼に遺している(2023年訪問時)。本機の特徴にして唯一の武装であるロケット弾ポッドは下げておらず、また増槽タンクも無いのでスッキリとした感じがある。

写真2-1, 2-2 本機の特徴であるロケット弾ポッドは吊り下げていない。(2023年10月7日撮影)

 

(3) F-86F-25 (52-7408) 主翼上面に境界層板がある初期タイプのF-86Fだ。2023年10月時点で国内には35機のF-86Fが展示されているが、境界層板を付けた機体は本機を含めて5機しかない。国内では比較的珍しい部類に入るので、基地訪問時には忘れずに見ておきたい。

 撮影に際しては早朝の時間帯でないと機体右側に光が当たらず、11時半ごろにはほぼトップライトとなる。航空祭ではこの時間帯にはF-15が乱舞していることが多く、それを見捨ててコチラを撮影するには強い意志が必要だ。13時を過ぎると機体右側に光が回るようになるが、(季節によるが)14時半ごろからは手前の桜の樹の影が機首にかかるようになる。13-14時ごろというと大抵はブルーインパルスが舞っている時間帯だ。

結論:基地祭当日にこのF-86Fのキレイな写真を撮る場合には午前中のF-15のフライトと午後1番のブルーインパルスのフライトを捨てなくてはならない。・・・真の用廃機ハンターを目指す者ならば、このぐらいの覚悟は必要だろう(笑)。

写真3-1. 3-2, 3-3 3-1は12:30頃、3-2/-3は15:15頃撮影。3-3は主翼上面にある境界層板だ。(2023年10月7日撮影)

 

(4) F-104J (46-8646) インテークの後ろには第一期の第205飛行隊マーク、垂直尾翼には第二期の205飛行隊マークが記されている。いづれも第6航空団の"6"をデザインしたもの。機体右側面を写した以下の作例では分かりづらいが、機体左側面を見ると、なんとなく"6"に見えるハズだ。機体右側面は植樹があるので全景は事実上撮影できない。

写真4-1, 4-2, 4-3 キャノピーはほぼ真っ白に劣化している。近い将来には黒く塗り潰されるのだろうか。(2023年10月7日撮影)

 

(5) T-33A (81-5379) 2023年10月時点では垂直尾翼右側には第306飛行隊マークを付けていた。反対側は見ることができなかったので、303飛行隊マークなのか、306飛行隊マークなのか、それとも別なマーキングが施されているのかは分からなかった。

写真5-1 これと言った特徴は無いT-33A。(2023年10月7日撮影)

 

(6) T-34A (61-0402) 機首のエンジン吸気孔/空冷用インテイクが塞がれている。2023年10月時点で垂直尾翼にマークは記入されていなかった。

写真6-1, 6-2 かなり色褪せてきたT-34A。プロペラスピンナー両側の吸気孔と下部の冷却用空気取入口は塞がれている。(2023年10月7日撮影)

 

【展示後廃棄】

(1) T-6G (52-0082) 基地内南西部の掩体エリアに行く途中に旧軍の掩体壕があり、この中に旧軍迷彩風の塗装が施されて置かれていたが、2021年4月1日付のTwitter情報によると本機は無くなっていたとのこと。また2020年3月には「2年前(編注:2018年)に脚の折れたテキサンが掩体壕の中にあった、捨てられたという話もある」とのTweetも存在する。基地内に保管されているのか廃棄されてしまったのかは不明だが、本Blogでは存在が確認されるまでは廃棄されたものとして扱う。

 

【余談】

(1) 小松基地祭には1980年代から何度か訪れており、用廃展示機の写真をポジやネガでは撮影しているがデジタルでは撮影していなかった。そこで2020年秋に撮影訪問するつもりであったがその年(および翌2021年)はコロナ感染予防対策のため基地祭は中止となってしまった。2022年9月19日の航空祭は事前応募制となり、運よく当選していたものの台風14号が接近。帰宅時間帯と台風接近時間が重なると予想されたので訪問を中止した。2023年度になってようやく訪問し、デジタル撮影することができたのだった。

(2) 第6航空団の広報発信は伝統的に他航空団に比べて「上手い」と感じてます。そう、1980年代ごろから。広報担当幹部なんて2年程度で代わるハズなのに面白いものだと思っています。

(3) 小松基地では全国で唯一、ミサイル実射訓練用の標的を配備して運用している。2018年9月17日には「空対空用小型標的」を見たいがために基地祭を訪問したが、この年は新旧ターゲットの展示は行われなかった。もぉ~!ガッカリ!!私にとってはアグレッサーなんてど~でもイイのだっ!

 2022年9月19日の基地祭では新型標的は展示されたが、旧型標的(J/AQM-1B)は展示されていなかったようだ。そして2023年10月7日の航空祭にて、ようやく新型標的を見ることができたのだった。

・参考(新型標的):https://www.khi.co.jp/rd/magazine/pdf/179/n17905.pdf

写真7 先代のミサイル標的J/AQM-1B。2012年訪問時には新たに配備された小型標的も見られるかと期待して訪問したのだが、J/AQM-1Bしか展示されていなかった。そしてこれがJ/AQM-1Bを見た最後の機会となった。左下に写るオレンジ色の物体は赤外線発生型の曳航標的(名称未確認)の一部。(2012年9月23日撮影)

 

写真9 現在のミサイル標的「空対空用小型標的」。(2023年10月7日撮影)

以上