用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

自衛隊機用廃予想(2024年8月版)

<編集履歴> 31Aug.2024公開、02Sep.2024見直し更新(第2回目、見直し実施)

 

 8月30日に防衛省令和7年度概算要求の内容が公開されたことで、ミリタリー界隈はざわついております(そっかー、74式戦車を保管するんだ!焦点はソコじゃない?)が、本日は8月19日の「第3回人的基盤の抜本的強化に関する検討委員会(中間報告)」に注目してみましょう。ここに用廃情報がいくつか記載されています。

 

【委員会資料とその概要】

 まずは防衛省HP>防衛政策>防衛省の政策>審議会・検討会等>委員会・検討会等>人的基盤の抜本的強化に関する検討委員会>委員会資料(第3回)へと進んでください。そして第3回委員会の会議資料pdfを開き、「4-2 高度化に係る取組の状況~部隊の見直し、装備品用途廃止~」(pdfの23ページ目)を参照します。

・会議資料はこちら;

https://www.mod.go.jp/j/policy/agenda/meeting/human_resource/pdf/siryo03_01.pdf

航空機関連の情報を抜粋しますと、以下のようになります;

陸上自衛隊:令和5年度、令和6年度予算/AH-1Sの用途廃止により190名人員削減

令和7年度要求/方面航空隊の改編により250名人員削減

海上自衛隊:令和5年度、令和6年度予算/U-36Aの用途廃止により40名人員削減

航空自衛隊:令和5年度、令和6年度予算/YS-11EA,EC-1の用途廃止により70名人員削減

令和7年度要求/C-1の用途廃止により30名人員削減、U-125A用途廃止により30名人員削減

 

【所感】

1.陸上自衛隊AH-1S

 陸上自衛隊AH-1Sは2024年3月末日時点で40機が帯広、八戸、木更津、明野(および霞ヶ浦?)に残されていました。防衛装備庁の入札情報をみると、AH-1SのIRANに関する契約が2024年8月になされる”予定”となっており、その納期は令和8年(2026年)1月(すなわち令和7年度末/2025年度末)です。

https://www.mod.go.jp/atla/souhon/pdf_choutatsuyotei/10_koukuu_r06.pdf

 輸入調達官扱いのAH-1S用の整備用部品も、令和8年(2026年)1月(すなわち令和7年度末/2025年度末)の納期で入札を行う”予定”となっていましたね。

https://www.mod.go.jp/atla/souhon/pdf_choutatsuyotei/13_yuchou_r06.pdf

この契約が行われたのかどうかは現時点では判りませんが、もしかしたらキャンセルされているのかもしれません。2か月ほど経過した後に、契約情報が公開されたらチェックしてみましょう。

 そして、この資料の内容が本当だとすれば、今年度末には40機分が一気に用廃となりますネ。このような航空機の大量一斉用途廃止は自衛隊始まって以来のコトとなります。強いていうならば、供与されたものの使わなかったF-86F格納機の返還や、F-86D運用終了時における2飛行隊分の大量抹消以来ということになるでしょうか。(注:”装備”でいうなら、昨年度末の74式戦車や空自のVADSの全廃などの例はある)

<追記>

 デーリー東北は2024年8月30日配信記事にて、八戸駐屯地の第二対戦車ヘリコプター隊を2025年度末(令和7年度末)に廃止し、新たに第110飛行隊(仮称)を新編する旨を報じている。この時点で上述した会議資料の「令和5年度、令和6年度予算/AH-1Sの用途廃止」の記述内容とは廃止時期が異なっている。

 

2.陸自方面航空隊の改編

 先の防衛力整備計画(pdfの34/39ページ)にて師団・旅団の飛行隊を廃止し、各方面隊にヘリコプター機能を集約する方針が示されていたので、驚くことではない。所属を示す記号などが変更される可能性があるので、撮れるものは撮って記録に残しておこう。

https://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/guideline/plan/pdf/plan.pdf

政策(安保3文書)を読もう - 用廃機ハンターが行く!

 

3.海上自衛隊のU-36A用途廃止

 昨年度後半あたりから、各地の航空祭にて展示されたU-36Aのクルーらの話から、今年度末までに全機用廃との話が伝わっていたので(もちろん、それ以前に公式文書があるけれど)、みんなが知っている事項だと思う。

 艦艇への支援業務は民間に委託するという方針だけれど、どの会社が、どう対処するの?というのが知りたい所。入札ですか?随契ですか?厚木にいるハンターを、もっと飛ばさせましょうよ・・・?

 

4.YS-11EA/EC-1の用廃

 これもハナシとしては皆さんご存じだと思うので、いまさらコメントすることはない。入間基地以外の基地祭にEC-1を展示して欲しい!と、この場でリクエストしておきます。

EC-1、2024年度末までに退役 - 用廃機ハンターが行く!

 なお「YS-11EBはどうした?」という方のために書いておきますと、本年11月にYS-11のIRANを契約する”予定”であります(納期は令和8年/2026年2月)。

https://www.mod.go.jp/atla/souhon/pdf_choutatsuyotei/10_koukuu_r06.pdf

 

5.C-1用途廃止は令和7年度

 入間のC-1を来年度まで残すのかな?今年度末で入間のC-1を用廃にして、来年度は岐阜基地のC-1初号機(銀ちゃん)を用廃にしてお終いじゃないかしらん?(あくまで個人予想)

 

6.U-125Aの用途廃止

 28機を調達したけれど、東日本大震災津波にのまれて2機を喪失したので、保有機数は26機。千歳、秋田、松島、新潟、百里、浜松、小松、小牧、芦屋、新田原、那覇にそれぞれ約2機が配備されてます。令和7年度で、全てを一気に退役させるのであれば、AH-1S同様、”前例のない大鉈をふるう”というハナシになりますね。その割に削減人員が30名と”意外に少ない”コトが気になります。配置転換だけでなく、「数年次に渡って用廃を行う」という意味なのかな・・・?

 

 AH-1SとU-125Aについては「え~!一気に全てを退役させちゃうのぉ?!」という気もするのですが、来年度予算が確定した際(来年3月頃)には、もう少し詳しい話が出てくることでしょう。そのうちリーク話も出てくることでしょうし・・・。

 と、言うことで、今秋の航空ショーシーズンでは、これらの機体を見たら必撮でありまスよ!

写真 もう見ることはできないAH-1Sの7機編隊。(木更津駐屯地航空祭、2012年10月13日)

 

以上