用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

政策を読もう

【この項でのポイント】

 目的は政策関連文書(詳細は後述)を読み、用廃機が発生する時期を知るスキルを身につけること。

 本Blogにおいては新機種導入計画とか新たな部隊創設予定などはどうでもイイ。「用廃機がいつ頃発生するか」という点が大事なのだ。これを読んだ皆様が政策関連文書を深読みすることで他人より早く・深く用廃機発生に関するアンテナを張っておくことができるようになり、根も葉もないウワサに惑わされない立派な「用廃機ハンター」になることを願って・・・書いてみます(笑)。

 

【概要】

 政策関連文書には「〇年頃には減耗が始まる」「×年からの運用を目指す」などの言葉が今後の予定の話の中に含まれることがある。すなわち「〇年頃から用廃機が生ずる」「×年ごろには現用機種が新機種に交換されるので、現用機種については用廃機が生ずる」と書かれているワケだ。この文言がどんなところにあるのか紹介してみたい。

 

【政策関連文書とは?】

1. 本Blogでは以下の文書を日本の「政策関連文書」として話を進める。ただし「日本国憲法(第9条)」と「国家安全保障戦略」は用廃機の発生に関しては直接的な記述が存在しないので、本項で深く取り上げることはしない。各自で一度は目を通しておいて欲しい。

<本Blogで取り上げる政策関連文書(上位のものから順に)>

1) 日本国憲法(第9条)

2) 国家安全保障戦略

3) 防衛大綱

4) 中期防衛力整備計画

5) 政策評価

6) 防衛白書

2. 本項では日本の事に限定して話を進めるが、国防政策(国防方針)を策定する際の文書体系や決定までの流れはどこの国でも概ね同じと考えてよいだろう。国防政策をHPなどで公開している国もあるので、必要に応じてそれらも参考にして各国の用廃機発生状況を掴んで欲しい。

 

日本国憲法(第9条)】

日本国憲法第9条>

第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
② 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

(以上)

 上述の通り、日本国憲法(第9条)には用廃機の発生に関しては直接的な記述が存在しないので、本項で深く取り上げることはしない。なお第9条と日本の防衛に関する見解は防衛白書に記載されているので、興味ある方はそちらを読んで欲しい。

日本国憲法 | e-Gov法令検索

防衛省・自衛隊|令和2年版防衛白書|➊ 憲法と自衛権

防衛省・自衛隊|令和2年版防衛白書|➋ 憲法第9条の趣旨についての政府見解

 

【 国家安全保障戦略

https://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/guideline/pdf/security_strategy.pdf

 憲法にて「陸海空その他の戦力は、これを保持しない」と定めているが「自衛のための戦力は保持できる」と解釈し、自衛のための基本方針・指針を定めている。これが「国家安全保障戦略」だ(この説明には相当な意訳があるので、詳しく知りたい方はそれなりの成書を参照してください)。前述の通り、「国家安全保障戦略」には用廃機の発生に関しては直接的な記述が存在しないので、本項で深く取り上げることはしない。各自で一度は目を通しておいて欲しい。

 

【防衛大綱】

防衛省・自衛隊:「平成31年度以降に係る防衛計画の大綱について」及び「中期防衛力整備計画(平成31年度~平成35年度)について」

 「国家安全保障戦略」をうけ、おおむね10年に一度程度改訂される大筋の防衛計画。正式には「防衛計画の大綱」といい、略称は「大綱」だ。10年スパンの大きな流れの中でどのような体制を整えていくかを述べた文書なので、飛行隊を増やすとか、従来にない性能・役務を有した部隊を創設するなどの話が書かれている。「この部隊はむこう10年くらいでなくなるなぁ・・・だんだん保有機が減るなぁ・用廃機が増えるなぁ」というレベルの情報を得るために目を通しておく(いうまでもなく用廃機ハンター目線です)。第501飛行隊の解隊や救難ヘリコプターの業務を航空自衛隊に統合するという方向性などは大綱や次に述べる中期防衛力整備計画から読み取る。ただし8番目のF-15戦闘飛行隊を作る計画のように立ち切れとなる場合もあるので、常にフォローが必要だ。

参考:「平成26年度以降に係る防衛計画の大綱」(平成25年12月17日閣議決定)の別表にて偵察航空隊が無くなることと戦闘飛行隊を12個飛行隊から13個飛行隊にすることが示されていた。その後、第501飛行隊は2020年3月に解隊となったが、13個戦闘飛行隊の計画は立ち切れとなった。

 

【中期防衛力整備計画】

防衛省・自衛隊:「平成31年度以降に係る防衛計画の大綱について」及び「中期防衛力整備計画(平成31年度~平成35年度)について」

 防衛大綱を受けて、概ね5年程度の予定を記したもので略称は「中期防」。どのくらいの装備(本Blog的に言えば”機体”に限定)をいくらくらいで購入したいと思っているよ、という情報が記載されている。当然、その代わりに旧型機が引退するワケで、用廃機発生の裏付けとなる記述が多く含まれる。「大綱」が10年計画なのに対して「中期防」は5年程度のスパンなので、より具体的な記述が多い。

 

政策評価

防衛省・自衛隊:政策評価・行政効率化

 予算をどのように使うか(事前の政策評価)、予算をどのように使ってきたか(事後の政策評価)の2つの評価があるが、用廃機ハンターは特に「事前の事業評価」に注目する。「事前の事業評価」には「××年頃には減勢が始まるため、これに対処するために*億円で**事業を行う。」というような記述があることが多い。本Blog的には「××年頃から減勢が始まる(すなわち××年頃から用廃機が発生する)」という情報が入手できる文書だ。

 例として令和2年度の事前の政策評価を見てみよう。

 事業名「次期電子情報収集機の樹報収集システムの研究」の「3(1)事業の概要」には「令和13年度頃から減勢予定の多用機EP-3の後継機(次期電子情報収集機)の開発に先立ち・・・」という文言がある。これにより海上自衛隊のEP-3は令和13年頃までは現有の5機を運用し、それ以降に用廃機が生ずるのだろうな、と考えることができる。まぁ、10年も先のことなどはどうでもよいとも言えるが、現用機ファンならこれを知って計画的に岩国基地に遠征して撮影しておくか、数年後に慌てふためいて撮りにいくか考える材料にはなるだろう。

参考:政策評価書(事前の事業評価:事業名「次期電子情報収集機の樹報収集システムの研究」)https://www.mod.go.jp/j/approach/hyouka/seisaku/2020/pdf/jizen_03_honbun.pdf

 

防衛白書

防衛省・自衛隊:防衛白書

毎年7~9月頃に発行される、前年度までの状況を総括的にまとめた白書。

 上述した文書の総括的なまとめが記載されているほか、巻末にある資料編には前年度末(発行年の3月31日)の主要な装備の保有数が記されているため、毎年チェックしていると「昨年度は〇機が用廃になった」ということが判る。

 ただし記載された機数が明らかにおかしいこともある。また「3月31日時点で発生した事案であっても国有財産台帳に記載される前」の機数は判らないので、目の前に用廃機があっても数字上にはカウントされないことがある。

 例えば3月30日に墜落してバラバラになった機体があったとしても、この機体の情報が国有財産台帳から抹消されるまでは「保有」していることになる(事故の翌日に台帳を修正することは実務上不可能だ)。機数の変遷を防衛白書から引用する場合には(執筆者としての立場を守るために)「*年度版防衛白書より」などと出典を明確に記載しておいた方が無難だろう。

 なお防衛白書の「資料 主要な航空機」の機数の変遷をみるとF-4と航空自衛隊のCH-47Jにおいては明らかにおかしなことになっている。これらについては本Blogでも取り上げているので、興味ある方は一読ください。

参考;

おかしいぞ?防衛白書のファントム保有機数 - 用廃機ハンターが行く!

航空自衛隊 CH-47JおよびCH-47J/LRの用廃機 - 用廃機ハンターが行く!

 

さぁ、これでキミも用廃機の発生時期が予測できるようになる・・・ぞ?

 

以上

編集履歴

24Jan.2021 公開

26Jan.2021 見直し更新(第2回目、リンク追加、文言修正。とりあえず「正式版」とする)