<編集履歴> 25Mar.2024公開、22May.2024見直し更新(第6回目、見直し実施)
【はじめに】別記事参照願います。
陸自の用廃装備品の展示場所について - 用廃機ハンターが行く!
【概要】
(1) アメリカ製の地対空ミサイルでアメリカでの名称はMIM-23。HAWKは"Homing All the Way Killer"の略。(アメリカはこういうこじつけ造語が好きだねぇ!)。ミサイル本体(弾体)のほか、発射機(ランチャー)、移送用トラクター/移送用ラック、発射機への搭載ローダー、目標追尾レーダー、電源、操作部などワンセットで”ホークシステム”を構成している。 このホークシステムは開発時期(導入時期)により、「基本ホーク」と「改良ホーク」に大別され、「改良ホーク」はさらにHAWK/HIP, HAWK-PIP(Phase I), HAWK-PIP(Phase II), HAWK-PIP(Phase III)の四段階に分類される。陸上自衛隊ではPIP-IIIまで装備しており、2024年3月末時点でも現役で、大部分は北海道に配備されている(東北の八戸や九州の飯塚にも配備部隊あり)。
(2) あれこれ一式揃ったホーク"システム"だが、「ホークの用廃展示」という場合には、原則として「ミサイル本体(弾体)の展示」のことを意味する。1本だけがモニュメントとして残されていたり、三連ランチャーに載せられて展示されていたりする。ミサイル本体(弾体)自体はMIM-23A~Lあたりまで、仕様の異なるものが多数開発されているけれど、陸上自衛隊が購入・使用したものや展示された弾体が何型であるかは、まだ調べていない。また、誘導装置や運搬車など「弾体以外の”ホークシステム”構成品」の用廃装備展示は、恐らくは存在しないでしょう(注:下志津駐屯地には搭載時に用いる(?)ラックがランチャー脇に置かれている)。
(3) 用廃装備の展示は少ないものの、現役の装備品であり、かつ移動展開が比較的容易なために、各地の駐屯地祭では(三連ランチャーに載せられた弾体だけだが)比較的よく目にしている装備のように思う。
(5) 例によって、詳しいことはWikipediaや、そのスジのマニアサイトを読んでくださいまし。
【展示場所】
2023年4月15日時点では10駐屯地11か所に弾体が展示されている(庁舎玄関脇の左右に各1本ずつ展示している場合には1か所とする)。
(1) 北海道 島松駐屯地 (42.9130N/141.5585E) 弾体3基付三連ランチャー。弾体は改良ホーク。2010年頃には弾体の先端から1/5程度はやや黒めのOD色に塗られていた。
(2) 青森県 八戸駐屯地 (40.5559N/141.4520E) 白色弾体1本のみ。2024年4月13日の駐屯地祭に現地を訪問しているが、この際に私自身は存在に気づいておらず、見ていない。建物一つ分”非公開エリア”だったようだ。
(3) 茨城県 霞ヶ浦駐屯地 (36.0384N/140.1909E) 基本ホークの弾体1本だけが展示されている。(モニュメント台座部分に「地対空誘導弾 基本ホーク」と記されている)
写真1 霞ヶ浦駐屯地の広報センター脇に展示されている基本ホークの弾体。(2015年5月17日撮影)
(4) 千葉県 下志津駐屯地 (35.6530N/140.1517E)
弾体3基付三連ランチャー。弾体は2024年3月末時点では白色、フィンはOD色の改良ホーク。弾体の銘板には”MTM-23B-JII”と記されている。なお広報史料館前のホークは2014年4月29日公開時と2017年4月29日公開時には弾体全てがOD色であった。また、ランチャーの脇には移設時に使う三連装ラックが置かれている。衛星画像やネットに公開された写真から、2006年2月1日から2008年2月1日の間はランチャーにミサイルを装備せず、このラックに3基のOD色の弾体を載せた状態で展示されていた。
写真2-1, 2-2 下志津駐屯地のホークミサイル(左)と移設時に使用するラック(右)。2017年4月の公開以後、2024年3月の公開までの間に弾体はOD色一色から白色弾体へと変わっている。なおOD色の弾体を隣のラックに装着した状態で展示していた時もあった。(2024年3月31日撮影)
(5) 千葉県 松戸駐屯地 (35.7877N/139.9741E) OD色の弾体3基付三連ランチャー。
(6) 兵庫県 青野原駐屯地 (34.9120N/134.9159E) OD色の弾体3基付三連ランチャー。
(7) 福岡県 飯塚駐屯地 (33.6788N/130.6766E) 白色弾体3基付三連ランチャー。
(8) 福岡県 飯塚駐屯地 (33.6775N/130.6768E) 白色弾体1本のみ展示。地上での写真が見つからず、詳細不明。
(9) 沖縄県 白川分屯地 (26.3651N/127.7986Eおよび26.3650N/127.7983E) 庁舎前に1本ずつの弾体をモニュメントとして計2本展示
(10) 沖縄県 知念分屯地 (26.1655N/127.8121E) OD色の弾体3基付三連ランチャー
(11) 沖縄県 南与座分屯地 (26.1177N/127.7143Eおよび26.1177N/127.7142E) 庁舎前に1本ずつの弾体をモニュメントとして計2本展示
【展示後に撤去もしくは現状不明】
(1) 沖縄県 八重瀬分屯地 (26.1298N/127.7210E) 庁舎裏手に弾体3基付三連ランチャーがあったが、2020年4月16日から2023年4月までの間に撤去。
【余談】
(1) くどいようだが、私は陸自装備品については疎い。本記事を書いたあとで、確認のために2024年3月31日に下志津駐屯地を訪問して、広報史料館前のホーク(上述)を見るまでは「白い弾体は基本ホーク」「OD色の弾体は改良ホーク」だと思っていた。ところが、説明板には「地対空誘導弾改良ホーク」と記されており、弾体の銘板には「改良ホーク擬製ミサイル」と記されているではないか!各地で展示されているホークについては、それぞれしっかりと確認しないと「基本ホーク」なのか「改良ホーク」なのかは分からないのだ、ということが判った瞬間であった。
(2) そもそも論として、1980年代初頭ごろには姿を消していたはずの「基本ホーク」は本当に残っているのだろうか?(霞ヶ浦駐屯地に展示されている弾体の前には、2015年訪問時には「基本ホーク」との説明板があった)
(3) さらには、弾体を塗り替えたか、あるいは他の弾体と交換する例があるということが判った。本Blogにおける一連の陸自装備品の展示場所紹介記事は、主に皆様のネット投稿写真から、常設展示されている装備の存在を確認している。このうち下志津駐屯地のホークは、2014年4月29日公開時と2017年4月29日公開時には弾体全てがOD色であったが、2024年3月31日の桜公開時には白色弾体にフィンは黒色となっていた。再塗装して色合いを替えたのか、あるいは他の訓練弾と入れ替えを行ったのだろう。こうなると公開時には銘板を毎回確認して、その部品番号が常に一致しているかどうかを確認することが必要になってくる。ヤだなぁ、そこまでマニアになりたくないなぁ・・・。
写真3 下志津駐屯地に展示されている3基のホークミサイル(弾体)のうちの1基の銘板。(2024年3月31日撮影)
以上