<編集履歴> 04Ju.2021公開、20Jun.2022見直し更新(第3回目、写真追加)
ここでは観光資源となる展示機、展示物およびその調達や手配について検討する。
1. 基本方針
現在、航空自衛隊美保基地内および陸上自衛隊米子駐屯地内に展示されている機体を一般観光客が何時でも見学可能な施設に移転・管理することにより、長期に渡る観光資源とする。これを可能とするために次の事項を検討する。
(1) 航空自衛隊美保基地の既存展示機を自治体側に無償貸与とし、移動して展示することを基本に考える。根拠とする法規制等は「防衛省所管に属する物品の無償貸付及び譲与等に関する省令」とする。貸与先は県になるのか地元自治体あるいは関連団体(協議会など)になるのかは、ここでは触れないことにする。
(2) 陸上自衛隊米子駐屯地の既存展示機を自治体側に無償貸与とし、移動して展示することを検討する。根拠とする法規制等は「防衛省所管に属する物品の無償貸付及び譲与等に関する省令」とする。貸与先は県になるのか地元自治体あるいは関連団体(協議会など)になるのかは、ここでは触れないことにする。
(3) 「防衛省所管に属する物品の無償貸付及び譲与等に関する省令」に従い、新たな機体の入手を検討する。
(4) 海上保安庁、県防災航空隊、ANAなど空港乗入れ航空会社に展示物の協力を要請する。
(5) 個人所有機の用廃機など、コクピットに入れる機体をそろえて「体験型」施設とするなど、「一味違った」場所にする。
(6) 竹島問題と防衛について展示物として取り上げる。
竹島はお隣「島根県の問題」なので「鳥取県は関知しない」の一言でも構わないし、「その件には目をつぶって韓国からの旅行客を増やす(お金を落としてもらうという経済行為を優先させる)」という現実論をかざしても構わないが、鳥取県の立場を表明し、観光客にアピールする。
1-2. 検討すべき事項
防衛省・自衛隊・海上保安庁等の関係部署と連携し、各種の航空機や展示資料等の貸与・贈与を受けられるよう交渉する必要がある。また次項に述べる機体の運搬や設置の手段および費用について、様々な協力をいただけるよう、お願いすることが必要になるものと思われます。
2. 展示物に関する検討
航空自衛隊美保基地展示機、陸上自衛隊米子基地展示機、無償貸与の対象となり得る自衛隊機、入手可能な官用機および民間機について以下に記す。
現在、航空自衛隊美保基地には11機が展示されている。この機数は全国航空自衛隊基地の中で最大の機数を誇るが、見学のためには事前手続きを要するなど、一般観光客へに対して提供できる観光資源とはなっていないのが現状だ。「空の広場(仮称)」構想では、これらを観光資源として最大限活用することを提案する。
(1) カ-ティスC-46D 航空自衛隊創設当初の輸送機。
写真1 C-46D。(2007年5月27日撮影)
(2) 三菱F-1 戦後初の国産戦闘機。
写真2 三菱F-1。(2014年6月8日撮影)
(3) F-86D 航空自衛隊創設当初に米軍から供与された全天候戦闘機。
写真3 F-86D。(2007年5月27日撮影)
(4) F-104J 航空自衛隊初の超音速戦闘機。
写真4 F-104J。(2014年6月8日撮影)
(5) T-1B 国産初のジェット練習機
写真5 T-1B。(2017年5月28日撮影)
(6) T-3 国産初の初等練習機
写真6 T-3。(2012年5月27日撮影)
(7) T-33A 航空自衛隊創設時に米軍から供与されたほか、国内でも生産を行ったジェット練習機
(8) S-62 救難任務に使用されたヘリコプター
写真8 S-62救難ヘリコプター。(2007年5月27日撮影)
(9) C-1 初の国産中型ジェット輸送機。本機が展示されているのは全国でも美保基地だけであることを強調したい。
写真9 本機は国内唯一のC-1用廃展示機だ。(2021年4月1日撮影)
(10) YS-11P 国産初の旅客機の自衛隊型。かつては貨物型であったため、機体左後部に貨物ドアの名残がある「国内では珍しい形式」だ。
写真10 貨物搭載型YS-11Cを人員輸送型YS-11Pに改造したが、機体左側後部に貨物ドアが残る。(2021年4月1日撮影)
(11) F-4EJ改 半世紀に渡り国防の最前線で使用された戦闘機。欧米諸国や韓国、中東諸国でも5,000機以上が使用されていたため、知名度は高い。2021年度内に基地内に展示予定。
写真11 2022年1月から公開されているF-4EJ。あえて金網の写る写真を掲載した。せっかく「見せよう」としているのだから、「見られる」ように展示環境を整備して欲しいと思う。(2022年1月8日撮影)
2-2. 陸上自衛隊米子駐屯地の展示機
現在、陸上自衛隊米子駐屯地には3機のヘリコプターが展示されている。道路脇から眺めることができるものの、晴れていれば逆光で真っ黒にしか見えない。正規に見学するためには駐屯地に対して事前手続きを要するなど、一般観光客がフラリと訪れて見学できるような観光資源とはなっていないのが現状だ。「空の広場(仮称)」構想では、これらも観光資源として最大限活用することを提案する。
(1) OH-6D 尾翼の形が異なるOH-6Jを含めた延べ機数では300機以上が陸上自衛隊で使用されていた連絡・観測ヘリコプタ-。
写真12 OH-6D。(2021年3月31日午後2時30分ごろ撮影)
(2) UH-1H 中型ヘリコプターと言えばこの機体、というくらいに世界中で使用されたUH-1シリーズ(民間型ベル204/214シリーズ)のうちの一形式。
写真13 UH-1H。(2021年3月31日午後2時30分ごろ撮影)
(3) KV-107II-4 ローターが前後に二つついたヘリコプターの種類は数えるほどしか存在しないが、本機はそのうちの一つ。
写真14 KV-107II-4。(2021年3月31日午後2時30分ごろ撮影)
2-3. 無償貸与の対象となり得る自衛隊機
自衛隊には機体等の無償貸付制度がある。詳細は「防衛省所管に属する物品の無償貸付および譲与等に関する省令」を参照していただくが、2021年7月提案時には次の機体を入手して展示することが可能と思われる。
<航空自衛隊機>
・UH-60J 救難ヘリコプター 本機は展示されれば「国内唯一の展示機」となり宣伝効果は高まる。
<陸上自衛隊>
・CH-47J 輸送ヘリコプター 本機は展示されれば「国内唯一の展示機」となり宣伝効果は高まる。
・AH-1S 戦闘ヘリコプター 本機は東京・朝霞の陸上自衛隊広報センタに初期型が1機展示されているだけであり、展示されれば「一般施設としては国内唯一の展示機」「量産型としては国内唯一の展示機」となり宣伝効果は高まる。
<海上自衛隊>
・P-3C 哨戒機 本機を展示が出来れば「国内唯一の展示機」となり宣伝効果は高まる。ただし米海軍の人員輸送型は既に青森県立三沢航空科学館に展示されており、「本当の国内唯一機種」とは言い難い。本機は米子空港までは空輸することが前提となる。
・SH-60J 対潜ヘリコプター 長崎県島原市の民間業者が店舗前に展示しており、「基地外の展示としては2機目」となる。
・UH-60J 救難ヘリコプター 本機は展示されれば「国内唯一の展示機」となり宣伝効果は高まる。
2-4. 入手可能な官用機および民間機
1) 鳥取県防災ヘリコプター 引退した後に機体を展示可能
2) 東京・名古屋・大阪・福岡等の消防局で使用し引退した機体
鳥取県との直接的な関係は無いが、関係自治体との協議により無償あるいは低価格で入手可能と思われる。(運送費は別途発生)
3) 個人所有の軽飛行機等 引退後に個別協議により入手可能と思われる。
3.展示方法の提案
ここでは航空機展示場所と資料等の展示場所の二種類について検討する。
3-1. 航空機展示館(展示格納庫)
1)機体は冬季および荒天時にも観光できるように館内展示を原則とする。これにより雨、雪、日照等の天候による劣化を極力抑え、将来にわたる維持管理費用を軽減する効果が得られます。
2)建屋はプレハブあるいはテント屋根でも可。可能な限りは壁を設け、前述の通り「冬季あるいは荒天時の観光客に配慮する」(いつでも観光ができる施設とする)が、状況/試算の結果次第では冬季休館など思い切った費用削減に努めても良い。
3-2. 資料等展示館
1)建屋は第一期ではプレハブ建屋で可。可能な限りは壁を設け、前述の通り「冬季あるいは荒天時の観光客に配慮する」(いつでも観光ができる施設とする)が、状況/試算の結果次第では冬季休館など思い切った費用削減に努めても良い。
【費用】
それぞれの費用を見積り、事業としての概算金額を弾き出す。
・積算に関する知見なし。経験なし。
・予想集客利益の10年分から15年分ならペイする(事業として採算に乗る)ものとして考える。借入金の利子は考えないことにする。
・機体の展示にかかる費用の予算化
・美保基地内展示機の移動にかかる費用
・新規に貸与あるいは譲渡された機体の移動にかかる費用
・展示機の維持管理にかかる費用
・展示施設の建設費用
・展示施設の維持管理費用
・駐車場整備およびトイレ、保育室は必須
・商業施設は当初数年間はプレハブで対応可。東北の震災後の「元気村」的な集合体を頭に描く。
・空港隣接地のため、恐らくは建築物の高さ制限あり。
以上