用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

【雑談・メモ】解体後の機体の行方

<編集履歴> 2022年11月29日公開

 

 用廃機を巨大なハサミで切り崩し、トラックに載せてどこかに運ばれてしまったあとのことにスポットを当ててみる。

 ・・・などと冒頭に書いてはみるが、これから廃掃法だのマテリアルリサイクル関連の本やら文献、説明サイトなどを読みながらUpdateしていこうという下書き記事だ。いや、記事にもならないメモですな。

 別記事でバーチャルに米子に博物館を建てちまおうとブチかまし、そこで必要な法律や建築に関する基準や規則などを調べようとしているが、門外漢の自分ではちっとも話が進まない。まぁ、裏では少しは勉強していてそれなりに知識は得られてはいるのだが、他人様にお伝えするほどの進歩は無い。この記事も同様だろうと強く確信しているので、一度目を通したら5年ぐらいしてから見返してみてください。きっと立派な記事に仕上がっていることでしょう(願望)。

 

【処理フローの確認】

さて用廃機の処理の流れを確認しておこう。

(1) 最終フライト: いつもと変わらないミッションですが、最後に一発かますこともありますね。

(2) 記念撮影:関係者そろって「**号機退役記念」の写真撮影をしたりしなかったり。

(3) 国有財産登録簿からの抹消手続き:書類上から抹消します。これで「航空機」ではなくなり、単なる「物品/金属塊」の扱いとなるハズです。

(4) 部品どり:書類処理と並行して、もしくは「航空機」でなくなったあとに使える部品や秘密の詰まった部品、後で処分の厄介な部品など取り外します。必要に応じてこの時点でリサイクル可能なものなども取り外します。

(5) 解体処分と売却の公告発出: ガランドウとなった機体を解体して、金属くずとして売り払います。

(6) 解体と運搬: 基地内の所定場所で機体を切り刻み、運搬できるサイズにしてトラックに積み込み、業者のヤード(廃品置き場)に搬送します。

ここからが本記事のお題であります。

 一般論で概略を話すと、業者のヤードに運ばれた「金属くず」は、モノによっては電磁石を使って鉄とそれ以外の金属(非鉄金属)に分別され、鉄は鉄鋼メーカー(製鉄所など)へ、非鉄金属はさらに分類されてそれぞれの素材メーカー(あるいは素材加工メーカー)へと売却されます。各メーカーでは基本的には高温の炉で溶かして素材となる金属塊を作り、さらに高度な加工のための原材料とします。

 細かいことを書き出すとキリがないし、真剣に書くと一冊くらい専門書ができてしまうくらいに奥が深いのですが、ここはサラリと概要をまとめる程度にします。

 

【分別と材料別の処分方法】

現時点で発生している用廃機の機体の大部分はアルミ合金ですが、今後はF-15の非MSIP機のようにチタン合金が多く含まれている機体や、F-2のようにCFRPを多用した機体が処分対象となります。これらの処分方法について簡単にまとめてみましょう。

1.アルミ合金の処分

 他のアルミ合金と共に高温の炉で溶かしてアルミ地金にします。細かいことは調べていませんが、リサイクル手段がほぼ確立しているように思えます。

・参考URL:

航空機リサイクル事業 – 豊富産業

航空機もリサイクルされる時代 | 時事オピニオン | 情報・知識&オピニオン imidas - イミダス

 

2.チタン合金の処分

 F-15やエンジンの主要部品に多用されているチタン合金。結構な高温で中間原材料としてのスポンジチタンを作り、これを使ってチタン合金を作っていくようですが、これを行うことができる会社は世界に十社ほど、国内に2社しかないようで・・・(以下、勉強不足のためそのうち追記します)。

・参考URL:

https://www.meti.go.jp/policy/nonferrous_metal/strategy/titanium02.pdf

https://www.nstec.nipponsteel.com/tsushin/pdf/2017/97_2s.pdf

・参考の参考:航空機エンジンのお話の中に素材割合を示した表がある。

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000816259.pdf

 

3.CFRPの処分

・現状では有効なリサイクル手順がない。

・含侵した樹脂も含めて元は炭素なので、燃やして熱回収すればイイじゃね?と思うが、燃やす際に細かな繊維が飛び散って燃焼炉のフィルターを目詰まりさせるとか、その繊維が核となって他の炉の熱で気化した揮発成分を固まらせ(クリンカーを作る)、炉の内部に悪さをする原因になるなど、現在の燃焼設備では対応が困難。→燃焼炉のメーカーさんにはこれから頑張ってもらおうという状況のようです。

・一部で試験的に樹脂と炭素繊維を分離し、その炭素繊維を他の用途に転用するする試みが行われており、「リサイクルできた!」という記事が氾濫しているが、既に使われて廃棄されたもの全てをリサイクルできるような流れにはなっていない。あくまで実験設備ではとか、トライアルではという話で、ビジネスとして成り立つにはまだまだの状態だ。結局のところ、大部分は埋め立て処分されている。

・参考URL:

http://www.iadf.or.jp/document/pdf/r1-3.pdf

・ということでF-2A/Bは原則として埋め立て処分することになりますね。環境負荷を少しでも減らすため展示機を多くして処分する機体を減らしましょう!(これが言いたい・・・違)

 

4.その他

 用廃機をそのまま埋め立ててしまうことがあります。オーストラリア空軍ではF-111Cの運用を終了したあと、その機体を砂漠に埋めちゃいました。チョイト検索すると写真や記事が出てきますね。古い航空機に使われている石綿の処理がメンドウなど、処分のトータルコストを考えたうえでの処置でしょうけれどネ。

以上