用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

【特集】飛行艇を見に行こう!(2021年11月改訂版)

 【はじめに】
 月島冬二氏のコミック「US-2救難飛行艇開発物語」(小学館ビックコミック増刊号に2020年中まで連載)の最終巻(第4巻)が2021年2月3日に発売された。本Blogではコミック中で描かれてきた過去の飛行艇3機種(二式大艇、UF-XS、US-1A。もちろん用廃機)を間近に見ることのできる場所をまとめて紹介しよう。さらに現用機US-2が見られる場所も紹介する。この機会にじっくりと見てやろうじゃないか。(注:戦後初めて開発されたPS-1対潜飛行艇は1機現存していますが、一般人は見学できません)

飛行艇の展示場所】
コミック中で描かれていた4機種のうちPS-1を除く3機種の展示場所は次のとおりだ。それぞれの展示場所へのアクセス等は、各自にて検索して確認して欲しい(他力本願モード)。

1.岐阜かかみがはら航空宇宙博物館(岐阜県
 戦後開発された対潜飛行艇PS-1を設計する以前に必要な試験データを取得するため、米軍からアルバトロス飛行艇の供与を受けた。これを徹底的に改造した試験機UF-XSが展示されている。また先代の救難飛行艇US-1Aが展示されている。

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写真1 岐阜かかみがはら航空宇宙博物館にあるUF-XS。(2019年11月11日撮影)

 

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写真2 岐阜かかみがはら航空宇宙博物館の屋外にあるUS-1A。溝型波消し装置など独特の構造をジックリと観察しよう。(2019年11月11日撮影)

 

2.米軍岩国基地山口県
 基地内にUS-1(A)の原型となった対潜飛行艇PS-1が屋外展示されており、滑走路端の河口の堤防からはるかに遠望できる。しかし一般人は入れない場所にあるため、ここでは取り上げない。岩国市に飛行艇博物館を建設する構想があるので、実現した場合には見ることができるようになるかもしれない。

 

3.海上自衛隊鹿屋基地航空資料館(鹿児島県)
 第二次世界大戦中に開発された二式大艇と先代の救難飛行艇US-1A(US-1として進空したが、その後の定期点検時にエンジンを換装してA型になった機体)が展示されている。年末年始を除き、いつでも見られる。アクセスは鹿児島空港から鹿屋バスターミナル(リナシティ)までバスで75~100分。そこからタクシーで数分程度、徒歩なら20分くらい。鹿児島市内からは鴨池港から垂水港にフェリーで渡り、鹿屋方面へのバスを利用する(「航空隊前」下車)。このバスは2時間に一本程度なので、事前に出発時間をよく調べておこう。

 US-1Aは2008年5月17日訪問時には台風被害により方向舵とフラップが無くなっていたが、2020年3月11日に訪問した際には方向舵は修復されていた。この時には新型コロナウイルス感染予防対策として史料館は閉鎖されており、機体に近づけなかったためフラップの状態までは確認できなかった。

 二式大艇の前方には植樹があり、前方象限からの撮影は事実上不可能な状態となっている。

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写真3 鹿屋基地史料館の二式大艇。(2005年5月14日撮影) 

 

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写真4 鹿屋基地史料館のUS-1。撮影時にはフラップと方向舵が無かったが、2020年3月時点では方向舵は修復されている。(2008年5月17日)

 

【現役機US-2を見ることのできる場所】
 コミックのテーマである救難飛行艇US-2は9905号機が事故で抹消されているが、残る全機は現役で活躍中だ。実機を見るには全国各地の自衛隊航空基地(滑走路のある基地)のイベントに足を運ぼう。自衛隊航空基地では原則として年に一回は「航空祭」、「航空ショー」、「開庁記念祭」などの名称で公開日を設けており、US-2だけでなく各種のホンモノの航空機を間近に見ることができる。開催日は各基地のホームぺージや各県の地方協力本部のサイトなどで確認しよう。なおモロモロの事情によってUS-2が必ず見られるワケではない。本Blogでは”見られる可能性”のある基地を紹介しておく。

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写真7 航空自衛隊築城基地航空祭に展示されたUS-2。(2019年12月8日撮影)

 

1.毎年見ることができる基地
 US-2を運用する第71航空隊のある山口県岩国基地では例年5月5日に米軍と共に基地公開を行うが、その際には必ず展示される。

2.かなり高い確率で見られる基地
 海上自衛隊大村航空基地長崎県、5月中旬頃)、海上自衛隊鹿屋基地(鹿児島県、4月末頃)、海上自衛隊徳島基地(徳島県、9月後半頃)

3.2~3年に一度くらいの確率で見られる基地
 厚木基地(神奈川県、米軍側、4月~5月頃)、海上自衛隊下総基地(千葉県、9月頃)、海上自衛隊八戸基地(青森県、9月頃)

4.US-1時代を含めて展示実績のある基地(運が良ければ見られる基地)
 海上自衛隊小月基地、全国の滑走路を有する航空自衛隊の基地

5.展示されたことがない(と思われる)基地(行っても多分見られない基地)
陸上自衛隊の駐屯地、海上自衛隊大湊航空基地(青森県)、海上自衛隊館山航空基地(千葉県)、海上自衛隊舞鶴航空基地京都府)、海上自衛隊小松島航空基地(徳島県)。なお小松島基地には揚陸用のスベリ(滑り台)があるため、PS-1が沖合に着水したのち揚陸して展示されたことがある(Flyteamさん投稿写真より1976年3月8日)が、PS-1引退後は(スベリの保守点検の都合か)US-1/US-2の揚陸は行われていない。

6.その他
 自衛隊が主催あるいは協力する海上イベントに参加することがある。過去には観艦式、各地で行われる体験航海、レッドブルエアレース2019、能登半島輪島沖や九州佐伯沖でのイベントなどにUS-1AやUS-2が参加している。思わぬイベントで離着水を間近に見られることがあるので基地・駐屯地・地方協力本部のサイトのイベント情報をこまめに確認しておこう。なお小笠原の父島では急患搬送の実任務や訓練のため月一度くらいの頻度でUS-2が飛来する。機体は海上に着水して揚陸するので、これを狙うのも良いが一般の旅行客が行く場合には東京港から小笠原まで船で片道24時間、往復で6日ほどかかる。

7.試験飛行

 新明和の工場がある神戸では新造機の試験飛行や、定期点検整備のためにやってくる現用機を見ることができる。ただし新造機の製造は年に1機未満、定期点検整備の頻度は年に1~2回程度。それぞれ試験飛行は3~5回程度なので、年間で見られる日数は多くても10日間程度だ。そのうえ機体の調子を確認する「試験」なので、事前のチェックで不具合が見つかれば飛行は中止される。その場を見ることは相当に困難なので、仕事を何日も休んで現地に通い詰める覚悟が必要だ。

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写真8 US-1Aと並んでタキシングするUS-2の2号機。(2009年10月4日、岩国基地祭で撮影)

 

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写真9 神戸港周辺では試験飛行を行うUS-2を見られることがある。(2020年11月4日撮影)

 

 以上

編集履歴

24Feb.2020 公開

17Nov.2021 見直し更新(第12回目、周防大島のPS-1解体により見直し実施)