<編集履歴> 11Oct.2019公開、09Sep.2025見直し更新(第7回目、A300関連解説見直し修正)
<場所 Place> 한국항공대학교 항공우주박물관(ハングク ハンゴン デハッキョ ハンゴンウチュ パンムルグァン/韓国航空大学校航空宇宙博物館)
http://college.kau.ac.kr/web/pages/gc65756h.do
<座標 Location> 37.5995N/126.8653E
<訪問日Visit> 03May.2009 and 19Oct.2023
<行き方 Access>
(1) ソウル地下鉄京義・中央線ファジョン(花田)駅下車、No.2出口から徒歩5分程度。
(2) ソウル地下鉄デジタルメディアシティ駅の北側道路を通過するNo.7726バスに乗車すると約20分で韓国航空大学校(東門前)に到着する。
<解説General>
(1) 金浦空港の北東に直線で約7kmほど離れた場所にある航空専門大学校。正門に近い校舎の1階が航空宇宙博物館となっており、有料だが、一般に開放されている。開館時間は火~日曜日の1000-1700。入場料は3,000W(現金不可、カード支払いのみ)。月曜日、祭日、正月、ソルラル、チュソクは休館。2025年5月に訪問された方の話によると、日曜日にチケットを購入して見学したところ、屋外のエアバスの機内も見学入場可能だったとのこと。通年なのか、期間/曜日限定なのかは確認していないが、訪問されたら、機内立ち入りが可能かどうか尋ねてみよう。一般論だが、高齢者は日本語を話すことが出来るが、若い方々は日本語を話せない代わりに、英語は十分に通じる。
(2) 博物館内にはパネル展示や模型展示が主体で1機のUAV以外に実機はないが、隣接する敷地に10機が屋外に展示されている。大学で試作した機体は要チェックだ。私が訪問した際には大学敷地内への立入りは自由で、屋外展示機は朝から夕方まで、いつでも撮影できた。休校期間(土日地祝日など)の入場可否は分からないので、迷ったら訪問してみよう。一般論として土日休日を返上して実験などの作業をする学生/研究者がいるので、大抵は入ることができるハズだ。
(3) ファジョン駅はデジタルメディアシティ駅の北西二つ先の駅。京義・中央線は清涼里駅方面から龍山駅、デジタルメディアシティ駅を経由してムンサンに向かう。一時間に4本以上の頻度で運行されているが、ファチョンには龍山からの急行列車とソウル駅からの急行列車は停車しないので各駅停車を利用すること。なおソウル駅ーデジタルメディアシティ駅間は一日に数本しか走っていないので、「乗り鉄」(ソウル地下鉄乗り潰しという目的を持つ方)でない限りは利用しないほうが良い(他の地下鉄路線を使ってデジタルメディアシティ駅に行き、乗換えることを強くお薦めする)。なお、それでもソウル駅発着の列車を利用したい場合には、事前に運行時間をよ~く確認しておくこと。
(4) 2009年に訪問した際にはファジョン駅と大学を結ぶ2番出口はなく(2番出口がオープンしたのは2011年1月17日)、下車後に線路に沿って約700m北西まで行き、線路下をくぐる道路で反対側に渡り、また700mを戻るコースしかなかった。工事中などで2番出口が使えない場合はこれが最短コースとなるので、念のため覚えておこう。
【屋外展示機 Out door displays】
(1) F-5B (63-8449)
垂直尾翼には"63-449"と記されている。見てのとおり、機体左側(順光側)にはコクピット見学用の台座が設けられている。2009年訪問時には制空迷彩に近いグレイだったが、2023年訪問時には渋い銀色に塗装されていた。



写真1-1, 1-2, 1-3 航空宇宙博物館脇に展示されているF-5B。(1-1/-2: 2009年5月3日15時ごろ、1-3: 2023年10月19日15時ごろ撮影 )
(2) T-37C (31694)
晴れていれば機体左側は逆光となる。Black Eagles塗装にされたT-37Cも多い中で、オリジナルの色合いに近い塗装が施されているが、細かな注意書きなどは、ほぼ全てが無くなっている。本校には、上述のF-5B、本T-37C、後述のT-41Bの3機の軍用雨季が展示されている。


写真2-1, 2-2 晴れていれば機体左側は終日逆光となる。下はF-5Bのコクピット見学用台座の上から撮影したもの。(2-1: 2009年5月3日15時ごろ、2-2: 2023年10月19日15時ごろ撮影)
(3) FA-200-180 (HL-1041)
いうまでもなく日本の富士重工製の軽飛行機だ。良い機体だろ?


写真3-1, 3-2 展示機の中には日本製のFA-200もある。(3-1: 2009年5月3日15時ごろ、3-2: 2023年10月19日15時ごろ撮影)
(4) Aeronca L-16A Champion (HL1001)


写真4 2009年撮影時に比べるといくらか塗装が剥がれてきた。(4-1: 2009年5月3日15時ごろ、4-2: 2023年10月19日15時ごろ撮影)
(5) KARI パンディ (S/N ?)
韓国航空宇宙研究院(KARI)がVelocity 173 Elite FGに改良(?)を加えた先尾翼機。2001年9月21日に初飛行し、2004年まで試験が行われた。


写真5-1, 5-2 (5-1: 2009年5月3日15時ごろ、5-2: 2023年10月19日15時ごろ撮影)
(6) 試作機X-4(S/Nなし)
航空大学で試作した低翼単葉機。大学の研究室の記録とか、韓国国内の航空関連の文献を漁れば、そこそこの情報は得られると思うが、そこまでヤル気も無いので、”詳しいことは判らない”の一言で済ませておく。



写真6-1, 6-2, 6-3 アメリカで製作されたヒコーキアニメに出てきそうな形態をした低翼単葉の大学試作機。隣には高翼単葉の大学試作機X-5も展示されている。(6-1/-2: 2009年5月3日15時ごろ、6-3: 2023年10月19日15時ごろ撮影 )
(7) 試作機X-5(S/Nなし)
こちらも航空大学で試作した高翼単葉機。2009年訪問時にはプロペラは付いていなかったが、2023年訪問時にはあった。ただし「とってつけたような」感じがしてならない。本機も「調べる気があれば、そこそこのデータが残っているに違いない(が、私はソコまで調べる気は無いヨ)」案件だ。


写真7 大学での試作機X-5。(7-1: 2009年5月3日15時ごろ、7-2: 2023年10月19日15時ごろ撮影)
(8) T-41B (15051 / 67-15051)
Cessna R172E (172F) の軍用型。2009年訪問時には確認できなかった。


写真8-1, 8-2 2010年以降に展示されたと推定されるT-41B(2023年10月19日15時ごろ撮影)
(9) Airbus A300B4-622R (HL7240, cn.631)
大韓航空にて1992年から2014年まで運行されていた機体。本学開校70周年に際し、訓練用施設として寄贈された。機体左後方にはB-777系列のエンジンPW4098が置かれている。A300B4-600シリーズにはいくつかのタイプのエンジンが搭載されているが、大韓航空HL7240に搭載されたエンジンはPW4158であり、展示機と展示されたエンジンの間には直接の関係は無い(両者とも大韓航空から寄贈されたというくらいか)。




写真9-1~9-4 実習用の教室としても利用されているA300B4-622Rと、脇に置かれているB-777系列で使用されたPW4098ジェットエンジン。機体の真横撮影には24mm未満の超広角レンズが必要だ。(2023年10月19日15時ごろ撮影)
(10) 大韓航空チャンゴン91A1 (HL1078)
1991年に初飛行した実質的に韓国の純国産機第1号となる重要な機体(注)。2025年初頭頃に済州島東部にある大韓虚空の広報私設「静石航空館」から移設されたとする説(PLANESPOTTERS.NETの解説文)があるが、本校HPでは「校内のコンテナから発見された2号機の胴体を復元した」と解説している。復元に際して「静石航空館」の機体の一部を流用しているのかもしれない(2025年5月13日にGE-Pro衛星写真を確認したが、最新の画像取得日が2023年11月23日であり、現時点で静石の機体が撤去されたかどうかは判らない)。いずれにせよ、3月6日付で本校にて撮影された展示機の画像がPLANESPOTTERS.NETに投稿されている。
蛇足的な解説だが、機体名の「チャンゴン창공」とは「蒼空」の意味で、Google翻訳にて「青空」で調べると異なるハングルの単語が表示される。確認するときには「蒼空」で入力しよう(2025年5月13日確認)。さらに文献等により「蒼空」を意訳して「青空」とか「ブルースカイ(カナ/英語)」と表記されることもある。それぞれの文献の作者が「音」を伝えているのか、それとも「意味」を伝えているのか、その意図を察して使い分けよう。
注:航空ファン誌2008年11月号No.671「静石飛行場のコニーと済州島の展示機+α編」大路聡p.70の記述より引用。なお、一般的には「復活」号が韓国国産第一号機とされている。
【航空宇宙博物館内展示】
館内には模型や小さな部品などの展示が多い。エンジンのカットモデルもいくつかあるが、どちらかというと宇宙関連の展示が多いように思う。

写真10 館内の様子。(2023年10月19日16時ごろ撮影)

写真11 大学で試作したUAV。着陸はスキッド方式。(2023年10月19日16時ごろ撮影)
【参考文献(日本語)】
(1)「静石飛行場のコニーと済州島の展示機+α編」大路聡、航空ファン2008年11月号No.671, p.71
(2)「韓国首都圏の学校の展示機」大路聡、航空ファン2023年9月号No.849, p.72-74
以上