用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

【全羅南道】務安のミリタリーテーマパーク

<編集履歴> 18Jul.2019公開、22Nov.2023見直し更新(第7回目、見直し実施)

 

<場所 Place> ミリタリーテーマパーク     

https://tour.muan.go.kr/tour/travel/5tour/air_display

<座標 Location>     34.9654N, 126.5165E

<訪問日Visit>       04 May.2009, 3Nov.2023ほか

<解説General> 

(1) かつては退役将軍が私費を投じて故郷に作った私設博物館「ホダム(昊潭)航空宇宙展示場」であったが、将軍の没後に土地と機体はムアングン(務安郡、以下、本記事ではムアンを漢字表記の務安とする)が管理している(寄贈されたのか購入したのかは未調査)。務安郡は隣接する土地(元は小学校だった、らしい)を含めてミリタリーテーマパークとして再整備し、2018年5月1日に再オープンした。現在では11機の展示機の他、数台の戦闘用車両やナイキミサイルなどが展示されている。開館は0900-1700(3月から10月は1800まで)。休館日は月曜日、旧正月、秋夕。入場料2,000ウォン。一部の屋外展示機は休館日でも中望遠レンズを使えば外周から何とか撮影することはできる。

(2) 「ホダム(昊潭)航空宇宙展示場」時代の展示機と現在の「ミリタリーテーマパーク」となってからの展示機は同じであるため、本記事では両時代の機体の写真を掲載する。写真下段の注意書きに記した撮影日に注意して見ていただきたい。

<行き方 Access>

(1) Korail 務安駅より約500m、徒歩で7分程度だ。務安駅には一日上下各6本のムグンファ号が停車するが、見学のために利用可能なムグンファ号は日中3本程度なので事前に時刻表をよく確認しよう。

<時刻表(参考:2019年7月時点)>

木浦発0850/0930-0911/0954務安着。務安発1207/1235-1257木浦着。

(2) 務安バスターミナル(34.9872, 126.4776)からモッポ(木浦)を結ぶ800番のバスに乗り、務安駅近くの”サチャン(社倉)”バス停で下車する。展示場はバス停から300m程度だ。

注1:利用前にはGoogleMapなどでバス停の位置をよく確認しておくこと。

注2:800番バスは木浦駅のチョイ先から務安バスターミナルのチョイ先までを結ぶ路線で、日中は30分に1本、始発基準で毎時0分と30分に発車している(2023年10月調査時)。往復で155分とのことなので木浦からは”サチャン(社倉)”バス停までは50~60分程度だろう。

注3:務安バスターミナルから”サチャン(社倉)”バス停13~15分程度だが、いくつかのトラップ(初心者殺し)が存在する。まず第一に、バス停は務安ターミナルを背に、車道を前にして、右手方向に車道を約100m進み、郵便局を過ぎた場所にある。2023年11月時点のGoogleMapには「ターミナル前」にバス停があるような表示があるが、「ターミナル前」にバス停は存在しない。

 第二に800番バスはバスターミナル前では一方通行だ。バスは常にターミナルを背にして左手からやって来て、右手に走り去るが、その後は務安の街中を時計回りに回ってから、木浦に向かう(途中で務安での”終点”バス停があり、時間調整をする。乗客は乗車したままでよい)。務安バスターミナル前を右手(草堂大学方面)から左手(ミリタリーパークへと続く道のある方向)に走る800番バスおよびそのバス停は存在しない。私はこれに気づくまでに30分に1本しかない貴重なバスを逃すことになった。

 第三に務安のような田舎のバス停でも、主要なバス停にはバス接近情報表示板が設置されているのだが、表示板に表示されないバスが存在する(!)。例えば、次のバスは15分後と表示されているのに、目の前にバスが接近していることがある。通信機器の故障なのだろうか。

 第四には、これとは逆に「あと10分」、「あと5分」、「あと2分」・・・(バスは通り過ぎない)・・・「次のバスは20分後・・・」などと表示されることがある。「ステルスバス」だな。トラックなどが発する違法電波(異常発信電波)を拾っているのだろうか?表示板のバス接近情報を信じるか、信じないかはアナタ次第だ。

注4:務安バスターミナルから乗車した場合、”サチャン(社倉)”バス停の周辺には目印となるものが少ない。務安から乗車して右側を眺め、池(貯水池)が途切れた直後、道がほぼ90度右に曲がる場所がバス停だ。なお、この場所の左側にミリタリーテーマパーク方面に行く道があるので実際には三叉路なのだが、とにかくバスは道なりではあるが急激に右に曲がる。ここが下車ポイントだ。GPS連動の地図アプリで現在位置を確認しながら進むか、ある程度ハングルを聞きこなし、車内アナウンスを聞いて、適切なバス停で下車しよう。なお韓国のバス停案内は「今度は〇〇、(その)次は✕✕」という。にわか仕込みのハングルで「次は✕✕」だけを聞いて下車するとバス停一つ分を歩くことになる。私は何度間違えたことか(一向に覚えない)。

 以上、初心者ならではの失敗談を含めた注意事項を長々と記したが、「慣れてしまえば光州/木浦からの往復は簡単」な場所でもある。臆せずに訪問してみよう。

【展示機 Aircrafts】

(1) F-4D (65-0589) 展示後に何度か塗り直されているのだろう。色調や記載事項等にはもはや資料的価値はない。

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写真1-1, 1-2 (1-1: 2009年5月4日16時ごろ、1-2: 2023年11月3日12時45分ごろ撮影)

 

(2) F-5A (66-9146) この機体も何度か塗り直されており、色調や記載事項等に資料的価値はない。以下、ここにある全ての展示機について同じことが言える。

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写真2 F-5A。(2-1: 2009年5月4日16時ごろ、2-2: 2023年11月3日12時30分ごろ撮影)

 

(3) F-86F (52-5115 → 25-122(右側)/122-25(左側)) 航空ファン2019年12月号No. 804, p.60-67に紹介されたS/Nは書き換えられている。5桁数字を並べると「25122もしくは12225」という異なったS/Nのように見えるが、「垂直尾翼に大きく描かれた3桁番号は"122"」、「ラダー部に描かれた小さな2桁数字は”25”」ということだ。操縦席のラジオコールは手書きで"25122"と記されているそうだが、私は確認してくるのを忘れた。

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写真3-1, 3-2 S/Nを書き換えられ、銀地塗装からグレイ塗装となったF-86F。(3-1: 2009年5月4日15時30分ごろ、3-2: 2023年11月3日12時45分ごろ撮影)

 

(4) O-1G (51-12529?) 2009年訪問時、機体には”239”と書かれているが"51-12529"が正しいようだ。2023年訪問時には"12-529"となっていた。

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写真4 S/Nが書き換えられていたO-1G。(4-1: 2009年5月4日15時45分ごろ、4-2: 2023年11月3日13時15分ごろ撮影)

 

(5) T-6G (202→163)  この機体も胴体の番号が”202”から”163”へと書き換えられていた。

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写真5 S/Nを書き換えられたT-6G。(5-1: 2009年5月4日15時50分ごろ、5-2: 2023年11月3日12時30分ごろ撮影)

 

(6) T-28A (51-7826)

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写真6-1, 6-2 T-28A(6-1: 2009年5月4日15時30分ごろ、6-2: 2023年11月3日13時45分ごろ撮影)

 

(7) T-33A (56-1706)

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写真7-1, 7-2 T-33A(7-1: 2009年5月4日15時45分ごろ、7-2: 2023年11月3日13時45分ごろ撮影)

 

(8) C-123K (54-0687)

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写真8-1, 8-2 塗色がややおかしい様な気がするがケンチャナヨ!(8-1: 2009年5月4日15時50分ごろ、8-2: 2023年11月3日13時45分ごろ撮影)

 

(9) UH-1H (66-16891)

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写真9-1, 9-2 UH-1H(9-1: 2009年5月4日15時50分ごろ、9-2: 2023年11月3日13時45分ごろ撮影)

 

(10) Y-5 (18132) 中国製のAn-2。亡命機。1990年代半ば頃まではソウル市内の反共会館(別稿参照)に展示されていた。

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写真10-1, 10-2 Y-5(10-1: 2009年5月4日15時50分ごろ、10-2: 2023年11月3日13時45分ごろ撮影)

 

(11) MiG-15 (339) 亡命機。上記のY-5と共に1990年代半ば頃まではソウル市内の反共会館(別稿参照)に展示されていた機体。機首のガンカメラの穴になんちゃってピトー管が取り付けられている。

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写真11-1, 11-2 機首におかしなピトー管を取り付けてしまったMiG-15。(11-1: 2009年5月4日、11-2: 2023年11月3日13時10分ごろ撮影)

 

【展示後移転】

(1) TF-51D 上述のY-5やMiG-15と共に1990年代半ば頃まではソウル市内の反共会館(別稿参照)に展示されていた機体。2009年にホダム展示場を訪問した際に唯一まともに撮影しなかった機体であり、このことを悔やんでいる。本機は済州島の航空宇宙博物館の展示物として移転され、2014年の開館時より現地にて展示されている。

 

【参考文献】

(1) 「個人宅の庭先に並ぶ韓国空軍機」山本晋介、Jウイング2002年04月号p.69

(2)  「韓国の展示機ガイド第4回 務安昊潭航空宇宙展示場と韓国西部の展示機編」大路聡、航空ファン2008年10月号No.670, p.70-73

(3) 「「一泊二日で訪ねる」務安ミリタリーテーマパークと近郊の展示機」大路聡、航空ファン2019年12月号No. 804, p.60-67

以上