<編集履歴> 04Jun2019公開、02Nov.2024見直し更新(第10回目、現地再訪につき、見直し実施)
【注意】
本記事は次回のショー案内ではなく、ここ数年の状況をまとめたものです。実際に訪問される方は、当該年の特設HPを参照して、最新の情報を確認してください。なお、私自身は2018年10月、2019年10月、2024年10月に訪問しています。
写真1 2024年のショーで展示されたKF-21(002号機)。最終日は午前10時半には片づけられてしまったので、その年の「目玉」展示機には注意が必要だ。(2024年10月26日撮影)
【概要】
西暦偶数年の10月最終週末ごろにサチョン(泗川)基地の一角で行わる基地祭規模のエアショー。西暦奇数年には「サチョン市のどこか」で小規模な「催し」を実施する。いずれも日本から弾丸ツアーで行くことも可能だ。普段は撮れない韓国軍機をゲットできる貴重な機会をモノにしようじゃないか。
【名称】
(1)「サチョンエアショー」というが、「20**サチョンエアショー」であったり「サチョンエアショー20**」となったりして、定まっていない。現地では「サチョンエアショー」で通じる。なおハングル語では長音が無いので発音は「エアショっ」となる。
(2) 2004年第1回から2018年第15回までは「キョンナム サチョン ハンコン ウチュ エキスポ(慶南泗川航空宇宙エキスポ)」と称していた。なおメインタイトルとしてSacheon Air Show with ROKAFに相当するハングルを用いていたことがある。
写真2 2024年のショーで展示されたF-35AとRQ-4B。地上展示機は滑走路と90度の角度を持って置かれることが多く、快晴の場合には午後2時ごろから左側面に良い光が回るようになる。(2024年10月26日撮影)
【開催時期、時間、入場料】
(1) 西暦偶数年10月の最終週末の木曜日から日曜日の四日間に開催される。西暦奇数年にはサチョン市内の「どこか」で週末の二日間程度、「ブラックイーグルス以外に空軍が協力しない小さな催し」が開催される。2023年10月にはサンチョンポ(三千浦)の大橋公園にて開催された。
(2) 時間は午前9時から16時まで(実質的には午前8時30分ごろから17時30分ごろまで)。
(3) 入場料は無料。
(4) 2024年開催時(10月24日から27日)には事前登録制度が導入された。登録は9月9日9時から10月27日14時まで(要するに入場直前まで)であり、一人につき4名迄登録することができたが、入場に際しては登録の有無はノーチェックであった。次回、2026年のエアショーに際しては、確実に登録方法が変更されるものと思っている。
写真3 コクピットを開放する機体が多く、見学用梯子の無い側しか、マトモには撮れなかったのだが、2024年ショーでコクピットを開放したのはF-5E(用廃機)と2機のKT-1だけになっていた。担当者を減らすための方策だろうか?。(2018年10月撮影)
【開催場所】
(1) 西暦偶数年の会場は慶尚南道のサチョン基地・空港の滑走路を挟んだ反対側だ。基地内なので徒歩での入場はできない。2024年開催時の様子は別基地を参照ください;
サチョンエアショー2024(記録) - 用廃機ハンターが行く!
(2) 奇数年の開催場所は固定していない。2023年はサンチョンポ(三千浦)の大橋公園で行われた。その時の様子は別記事を参照願います;
【慶尚南道】サチョンエアショ―(サンチョンポ大橋公園会場)撮影ガイド - 用廃機ハンターが行く!
※ 空軍が全面的に協力するエアショーは、西暦奇数年にはADEXソウルエアショー、西暦偶数年は南部でのサチョンエアショーということなのだろう。
【現地周辺のアクセス】
(1) サチョン基地内会場へは次の路線の無料シャトルバスが設定される。
1) サチョン市外バスターミナル(以下、バスターミナルをBTと略)と会場を結ぶ路線(一系統程度)
2) 周辺数ヶ所の駐車場と会場を結ぶ路線(二系統程度)。開催年ごとに駐車場やルートが若干変更されるので、特設HPで訪問時に利用可能な路線と停留所を確認すること。
※ 駐車場行のシャトルバス利用者は市外バスターミナル行シャトルバスの数倍から10倍程度はいる。午後のブラックイーグルスの演技が終わると、会場中ほどまでシャトルバス待ちの列が伸びることもあるが、その時でも市外バスターミナル行の列は十数人しか並んでいないこともある。「どこ行のバス待ちの列の最後か」を、よ~く確認して並ぼう。
【周辺都市などからサチョンへのアクセス】
(1) ソウルの金浦空港からサチョン空港までは一日2~3便あるが、空港前からのシャトルバスは無い。空路やって来た場合には基地ゲート前(ブラックイーグルス塗装のT-37Cが3機並んで展示されているところ)まで行き、やって来たシャトルバスに頼み込んで乗せてもらう。ダメなら市外バスターミナルまで行くしかない。退場時に空港に行く場合には、バス乗車時に空港にいくのでゲートで降ろしてほしい旨をハングルで運転手に告げて、交渉してみよう。これもダメな場合には市外バスターミナルまで行き、タクシーで空港に戻る。英語や日本語は通じないので、事前に依頼事項を翻訳ソフトなどを使って紙に書いておき、これを見せるとよいだろう。
(注:私自身は現時点では音声変換アプリは信用していない。「空港」「下車(または停車)」「正門」などの単語を書いて見せてボディランゲージでやり取りする方が、まだ正確だと思っている)
(2) ソウル南部ターミナルからサチョンBTを経由して巨済島に行くバスが一日24本程度ある。所用4時間程度だが、渋滞にハマると1~2時間程度遅れることがある。特に週末夕方には行楽帰りの渋滞が各地で発生し、バス発着に大きな乱れが生ずるので、十分余裕を見て利用すること。
(3) 釜山西部BT(沙上)とサチョン市外BTを結ぶバスが、午前6時から、おおむね45分おきに午後8時頃まで、一日22往復ほど走っている。所要1.5時間で運賃は8,500W(一般バス)~11,000W(優等バス)。釜山空港からならば、待ち時間無しで会場まで、最短3時間程度で行くことができる。釜山に宿を取って日帰り往復を繰り返すことも可能だ。なお2022年10月22日(土)の午前便はほぼ満席となり、土曜日早朝にバスチケットを購入しようとした訪問者は、早くて11時発のものしか入手できなかったという(会場到着は14時ごろ)。彼はサチョン到着後、直ちに帰路の便を購入したので19時ごろ発車する便のチケットを入手できたという。認知度が高まるにつれ、今後も韓国国内各地からの訪問者が増えていくものと予想する。詳しくは調べていないが、バスの事前予約システムがあるようなので、これに挑戦してバスチケットを確実に入手しよう。
(4) チンジュ(晋州)市外BTとサチョンBTを経由してサンチョンポ(三千浦)を結ぶ直行バスと各駅停車のバスが20~40分に一本程度の割合で走っている。直行バスの運行間隔は60~90分に一本程度だ。いずれも晋州高速BTを経由してサチョンに向かう。渋滞が無ければ各駅停車のバスでも晋州からサチョンまで30分程度で行くことができるが、週末夕方となる戻りの場合には渋滞に巻き込まれて60分程度はかかる。
(5) ソウル高速BTより晋州高速BTに行き、サチョンへのローカルバスに乗り換えることも可能だ。ちなみ晋州市外BTと晋州高速BTの間はローカルバスで10分程度。市外バスと高速バスは登録先機関が異なるので名称が異なるが、実質的な運行形態、所要時間、運賃は同じと考えてよい。ローカルバスへの乗換えを考えると上記(4)の晋州市外BTを利用する方が使い易いと思われる。
(6) ソウルや釜山から晋州まで鉄道で来て、ローカルバスに乗換えてサチョンに行くことも可能だが、本数が少ないうえ、駅からローカルバスのバス停までやや離れていて判りづらいので、ここでは取り上げない。(サチョンへはKTXの便もある。)
写真4 CSARデモの一部。滑走路反対側は基地なので撮影禁止。・・・なのだが誰もが撮影している。基地部分は公開しなけりゃイイのだろうと解釈。(2018年10月撮影)
【内容】
(1) 地上展示:韓国陸海空軍機、KAI協賛展示、消防・警察ヘリ、民間小型機など
(2) 飛行展示:韓国空軍機、Black Eagles(週末二日は一日2回)、CSARデモ
(3) 体験搭乗:事前応募の当選者のみ。空軍輸送機(CN235もしくはC130)、空軍ヘリコプター(CH47)および民間軽飛行機(各種)により一日に二回ほど行われる。
(4) その他: 軍関連の展示館、地元物産館、土産物店、軽食や飲料の屋台や特設のテント食堂などがある。
【航空機撮影状況】
(1) R/W 06/24の北西側が会場なので午後2時頃までは滑走路側は逆光となる。滑走路に直交する形で配置された地上展示機は午前10時半頃にはトップライトとなる。地上展示は午後13時半ごろから機体西側面に光が回り始める。すなわち午前10時半ごろから13時半頃までは撮影には向かない。飛行展示は15時過ぎになってようやく光が回り込む程度だ。
(2) 滑走路反対側は軍事基地のため撮影禁止との立札があるが、皆さん撮影されている。撮影した写真の基地部分はカットして自身のサイトに掲載したり、基地部分の写った写真や映像の投稿は控えるなど、あまり刺激しない方が「なぁなぁ」で撮れる状態を維持できることだろう。(注:台湾の基地祭が外国人事前登録制となったのは日本人(中国人説もあり)が基地内の様子を中国誌に投稿したことが発端だといわれる。公になれば対応しなくてはならない事柄もあるが、逆を言えば公にならなければ目をつむってくれることもある。そのあたりは”長く、うまく”おつきあいできるようにしたいと考えます。)
(3) コクピット公開する地上展示が多いため撮影アングルは限定される。
(4) 航空博物館から午前のフライトは順光で撮影できるがやや遠く、編隊で400~600mm程度のレンズが欲しい。
(5) 市外バスターミナル前の大通りを基地方面に真っすぐ約1.7kmほど進んだ川にかかる橋の付近から編隊を300mm程度で狙える。ショーセンターの反対側に近く、午前のフライト時にはおススメの場所だ。
写真5 滑走路方向は午後2時頃までは逆光となる。
【宿泊】
(1) サチョンの市外バスターミナル近くにはホテルやモーテルが少ない(とはいえ、旧道周辺に10軒以上はある)ので部屋が無ければ晋州に宿を取るとよい。2023年秋の一泊料金は4.5万~7.5万ウォン程度。
(2) 晋州市外バスターミナル周辺にモーテルが数軒ある。予約は不要で直接窓口に行って空室を確認する。一泊4.5万~6.0万W程度だ。また500mほど北東に行った辺りにもモーテル街があるが、バスターミナル周辺に比べるとやや高い気がする(4.5~7.5万ウォン程度)。合計で15軒近くあり、中には日本で予約できる所もある。一般のホテルは市内数か所にある。
(3) アクセスの項で述べたが釜山西部バスターミナルからサチョンバスターミナルまでは1.5時間。釜山市内に宿を取れば、宿から会場まで3時間程度なので、通えないことはない。
写真6 順光でタキシングを狙えるポイントがあるかどうかは、その年の会場レイアウト次第。2018年にこの写真を撮影したポイントは2019年には設置されなかった。
【歴史】
2004年から2018年までは「サチョンエアエキスポ」の名称で開催されていた。その第一回は開催時にはライトプレーンと軽飛行機が展示の主体だったようだ。近年では韓国陸海空軍機などの軍用機が約20機種のべ30機程度が参加するほか、体験搭乗用の小型民間機も10機程度が参加するイベントとなっている。
2016年以降には、敷地内にあるKAIの工場から出荷前の外国ユーザー向けのT-50系統の機体が展示されるケースが生じている。
2018年には米軍オーサン基地所属のA-10Cが参加した。
2019年10月からはイベント名称を「20**サチョンエアショー」に変更しているが、2019年向けの開催準備期間中に名称変更を行ったものらしく、招待した曲技チームのサイトや約1年前からのイベント紹介サイトの一部などには「エアエキスポ」の名称が残されている。
2022年10月にはKF-21(003号機)が初展示された。
2023年にはサチョン基地でのエアショ-は西暦偶数年だけの隔年開催とすることが発表された。
写真7 2016年以降にはKAIから輸出前の機体が展示されている。2016、2017、2018年にはイラク向けT-50IQが展示された。(2018年10月撮影)
【その他】
(1) ショー期間中にKAI工場の裏手にあるサチョン航空宇宙博物館に行く場合には会場から博物館近くの駐車場行のシャトルバスを利用して行くことができる。2019年の場合、KAI工場裏手の駐車場(A1バス停)から徒歩5分、その他の駐車場近くのバス停からでもおおむね1km程度であった。
(2) KAIからの展示実績は次の通り。
2016年 : T-50IQ IQF5003 / S/N不明
2017年 : T-50IQ IQF5024/ S/N不明
2018年 : T-50IQ IQFNo.不明 / 17-0019
2019年 : T-50TH タイ空軍No.不明 / 20-0010
2022年: KF-21(003号機)
2024年: KF-21(002号機、フライトは001号機または006号機)
※2026年頃にはポーランド向けの機体やKF-21量産型機が展示される可能性がある。
以上