用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

【京畿道】ソウルエアショー

<編集履歴> 02Jun.2019公開、18Nov.2023見直し更新(第5回目、見直し実施)

 

 ソウルエアショーに初めて行こうと考える方を対象として、「一般論」としての簡単なガイドを記しておこう(直近のショーガイドではないことに注意!)。開催時期、入場時間、入場券入手方法、最寄駅からのアクセス方法や展示機動向などは随時変更される可能性がある。訪問する際には、かならず当該年のエアショー特設サイトにて諸事項の確認を自ら行うコト。

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写真1 韓国軍機を撮影出来る数少ない機会だ。作例は朝一番に入場し、70-200mmレンズで撮影。(2017年10月撮影) 

 

1.名称

 正式な英語表記はSeoul International Aerospace & Defense Exhibitionだ。通常は「ソウルエアショー20XX」とか「ソウルADEX 20XX」と称している。

 

2.開催場所

 通常はソウルの南東部ある京畿道ソンナム(城南)市のソンナム空軍基地(37.4397N, 127.1149)にて行われる。 公式サイトではSeoul Airportと記載されているが、ソウル基地と記載する日本語サイトも存在する。2013年10月のショーは清州空港で行われたが、これはソンナム基地が滑走路工事により使えなくなっていたための処置らしい(未確認情報)。個人的な見解だが人の移動や警備上の問題があったように思われるので、恐らくは二度と清州空港ではやらないだろう。

 

3.開催時期、時間、入場券

(1) 西暦奇数年の10月中旬、火曜日から日曜日にかけて行われる。

(2) 初日火曜日の午前中に大統領が出席してオープニングセレモニーが行われる。このために一般人の入場はできない。オープニングセレモニー中に空軍機の編隊飛行が実施される。スモークを引いた編隊を撮影できる唯一の機会だ(ただし外周から)。2019年は空軍創立70周年にあたり、土曜日にフライバイを実施した。

(3) 月曜日には周辺学校の生徒達を招いて事前公開が行われる場合がある。

(4) 初日午後~金曜日はビジネスデー、 土曜日と日曜日がパブリックデーとなる。入場時間は例年は9時30分から17時までだが、訪問前に特設HPで確認すること。

(5) 入場券はオンライン事前購入を推奨しているが、現地入場ゲート脇で購入可能。ビジネスデーで25,000W程度。パブリックデーの当日券で15,000W程度。

(6) ネット上の一部の個人サイトに「ビジネスデーは入場不可」という書込みがあるが、そんなことはない。特設サイトの案内(ハングルか英語)に従って事前登録し、パブリックデーよりも高い入場料を支払う必要があるが、要領に従ってコトを進めれば問題なく入場できる。職業は当たり障りの無いもの(軍事ライターとか航空機用部品製造業など)にしておけば良いだろう。 

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写真2 展示機や装備品の展示方法は毎回少しずつ変わる。入場したら会場を見渡し、撮影の優先順位を定めよう。(2009年10月撮影)

 

4. アクセス

(1) 地下鉄モラン(牡丹、K225)駅またはテピョン(太平、K224)駅から会場入口近くまで無料シャトルバスが頻繁に出ている。(2023年はモラン駅からだけになった模様)

(2) 地下鉄駅には「シャトルバスこっち」、「エアショーこっち」と張り紙がされているが、全てハングル。少しは読めるようにハングルを勉強しておくとよい。

(3) バスは会場ーモラン駅―テピョン駅―会場と循環している。本Blogを眺める日本人の皆さまの場合は朝一番で入場しようとするだろうが、朝のバスはモラン駅で乗客を一杯に詰め込まないので、テピョン駅からでも十分に乗車できる。テピョンからの乗車時間は7分程度。下車後は橋を渡り、入場ゲートまでは約5分だ。

(4) モラン駅から会場ゲートまでは歩いても20分程度なので、少しでも早くゲート前に行きたい方は歩いた方が精神衛生上よろしい。

(5) ソウル市内中心部からは地下鉄4号線に乗り、スソ(水西、349/K221)駅で唐盆線に乗換え、テピョンまたは次のモランで降りると比較的楽に乗換えができる。他にもルートはあるが、路線の組合わせは無数にあるので省略する。市内からはモラン・テピョンまでは1.5時間程度を見込んでおけばよいだろう。

(6) 仁川国際空港からはモラン行のバスを利用しても行けるが便数は数が少なく、また降車場所はモラン駅から2~3ブロック離れた繁華街の一角。初心者には少々判りにくいのでお薦めしない。空港からの所要時間は80分程度。12,000Wだ。空港からバスを使うならばソウル駅、明洞、高速バスターミナル、南部バスターミナルのいずれかに向かい、あとは地下鉄を利用した方が早くて確実のように思える。さらに言うなら空港列車A'REXを利用し、金浦空港で地下鉄9号線に乗換え、高速バスターミナル駅で4号線に乗換えた方が恐らく早い。

(7) 東京・羽田からであれば金曜日の深夜に出発して早朝に仁川着、ショーを見て深夜の便で帰国し、日曜日は一日身体を休めるという弾丸ツアーが十分に可能だ。

   

5. ショーの内容

(1) 航空機地上展示の傾向

1) 韓国陸海空軍機を一通り見ることができる。

2) 在韓・在日米軍機も参加する。F-22AやB-1Bなどの常時駐留していない機体はその時々の情勢に応じて展示されることがある。

3) トレードショー参加機は金曜日午後には帰ってしまうことが多い。当面はFXもTXも無いので、上記1)2)以外の戦闘機や練習機を見られる可能性はきわめて低い。

 

(2) 航空機飛行展示の傾向

1) ブラックイーグルス :パブリックデーは一日2回のフライトが期待できる。

2) 韓国空軍機: F-15K, KF-16, T-50, KT-1など。C-130からのパラシュート降下がある。これら以外に輸送機、輸送ヘリ、特殊機などによる用務飛行がある。F-35Aの配備が始まったので、早ければ2019年からは展示が始まることだろう。

3) 米軍機: F-16デモチーム。政治状況等に応じてU-2やB-1のフライパス、A-10やF-22Aのデモが行われたこともある。

4) 民間アクロチーム:ピッツやエクストラなどを用いたチームが招待され、参加することがある。

5) 近年はCSARデモがある。参加機はOA-1、KF-16、A-10、HH-60など

6) その他:売込み中の機体があればビジネスデーに飛ぶ可能性がある。

 

(3) 戦闘車両展示

戦車やミサイルキャリアなど。実動展示あり。

 

(4) 各種武器・装備・システム等(ドローン含む)

主として展示館内に展示される。

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写真3 米軍機は毎回参加するが、F-22Aが来るとは限らない。なお、この撮影ポイントは場所取り合戦が激しいゾ。(2017年10月撮影) 

 

  (5) 各種の施設等

1) 仮設トイレは十分にある。

2) 軽食・飲料販売店も多いが、昼食時には混雑するうえ基本はハングル語でのやり取りになる。飲料・食品は持込み禁止アイテムに入っているが、事前にコンビニ等でおにぎりや菓子パンなどを二つ三つ購入し、隠し持って入場する。この程度であれば見つかって没収されてもアキラメがつくし、お目こぼしもあるかもしれない。会場内で販売されるお弁当は7,000~12,000ウォン程度だ。白飯、キムチ、揚げ物などのセットが基本で数種類あるがハングルが読め、その意味を理解できないと開けてみるまで中身は判らないゾ。

3)  記念品、模型、オモチャ、地元物産品など各種の土産物が販売されているが、日本人好みのパッチ販売は少ない(米軍が個別に販売することがある)。

 

6.撮影ガイド

(1) 地上展示機はR/W 01-19上に主として機首を東西いずれかに向けて展示される。すなわち会期中、片側のみは終日順光サイドで撮れるが、反対側は逆光となる。

(2) 飛行展示(およびいくらかの用務飛行)を撮影する場合、滑走路は 02‐20を使用して行われる。入場エリアは滑走路の東側にあるために午前中は順光だが、午後には逆光となる。会場の北に行くほど滑走路と会場の間は狭まるが、地表にフェンスが張られるため、着陸滑走シーンの撮影はできない。このため滑走路上の機体をクリアに撮影できるのは会場と滑走路を結ぶタキシーウエイ部分のみとなる。その結果、この部分を撮影可能な会場エリア周辺は他の場所に比べて異様なまでに外国人カメラマン(日本人を含む)の密度が高く、また場所取り合戦も熾烈を極めるが、数メートル外れると飛行展示直前まではガラガラだ。滑走路上にあるF-16クラスの真横を画面いっぱいに撮ろうとするとフルサイズで500mm以上(600mm程度か?)が必要だろう。

(3) R/W 02‐20の西側は基地エリアなので、外周道路から撮影しようとすると注意される。それでも注意されない「周辺」から撮る方もおられます・・・。

(4) 開催時期の日曜日の午前中には周辺の学校で試験が行われる場合がある。この時には飛行展示が行われない。したがってパブリックデー初日、土曜日の午前中が確実に順光でデモフライトを撮影できるチャンスである。

(5) ヘイズというか中国からのPM2.5の影響で、スッキリした青空にはなりにくい。一方、光が散乱するするために日没間際には空がオレンジ色に見えるなど、独特の夕暮れ風景を撮ることができる可能性がある。

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 写真3 会場からは午前のフライトの最後には半逆光状態となり、午後のフライト時には完全に逆光となる。会場から午後のトリを受け持つブラックイーグルスAPS-C機+70-200mmレンズにて。(2017年10月撮影)     

 

7.宿

 モラン駅およびテピョン駅近くにモーテルやヨインスク(旅人宿)が数軒あるが、慣れない人にはお薦めしない。モーテルは一泊6万W程度。事前に予約サイトを通じてソウル市内に宿を予約したほうが安い。

 

8.そのほか

(1) 会場内へのエアバンドラジオ持込みは禁止。現実には聞いている人もいるが、没収されたり、拘束・強制退場されても文句は言わないこと。まぁ文句を言っても相手は聞く耳を持っていないと思うけど。

(2) かつてモラン駅から会場方面に行く途中には韓国国内三大犬市場の一つであるモラン市場があったが、犬肉反対の世論を受けて2018年末には市場内の全ての犬肉処理場が撤去されたという。周辺に犬肉料理店も何軒かあり、標準的なポシンタンで12,000~17,000W程度だったが、これらの店も消えていったようだ。蛇足ながら三大犬市場の1つ、釜山(プサン)亀浦(クポ)市場は2019年7月に市場内の家畜市場を廃業した。残る一つはテグ(大邱)の大邱チルソン市場だそうで、こちらは2023年4月時点でも犬肉を扱っているという。

以上