<編集履歴> 20Jul.2019公開、21Oct.2025見直し更新(第10回目、F-4Eの記述見直し実施)
<場所 Place> 済州航空博物館
<座標 Location> 33.3042N / 126.2998E
<機体 Aircraft> 全40機(屋外展示15機、屋内床上展示10機、屋内吊下展示15機)
<訪問日Visit> 26Mar.2016, 24 and 25Jun.2025

写真1 F-4D/E, RF-4Cの三機種を一度に見ることができる。なお屋外展示場所は、建物から離れるにつれて低くなる、ごく緩い坂になっている。この作例では機体左後方(向かって右側)が低くなっているので、水平にカメラを構えると(垂直尾翼脇に見える監視カメラの塔が垂直)、ノーズアップ気味の落ち着かない感じの絵になってしまう。後方に垂直な建造物がほぼ無いので、若干カメラを傾けて撮影した方が、のちのち見やすい写真になると思う。(2016年3月26日15時ごろ撮影、作例では2.5度ほど左側が低くなるように傾けてある。)
<行き方 Access>
(1) 済州空港よりNo.151のバスで約70分、오설록(オスロック)下車。4,000ウォン。下車後に博物館まで約1.6kmを歩く。空港発の時間は0630, 0720, 0800, 0835, 0910, 1000, 1100など(2025年4月時点)。 帰りのバス(15時ごろから18時ごろの時間帯)は約1時間1本程度の頻度で走っている。
(2) 空港近辺からタクシーで4~50,000ウォン程度、所要3-40分。

写真2 多くの機体が天井から吊り下げられている。 (2016年3月26日撮影)
<解説General>
(1) 済州空港の南西約30kmにある2014年4月24日に開館した韓国内最大規模の航空宇宙博物館。展示機数は40機(レプリカ2機を含む)で歴代韓国空軍使用機の八割程度は見ることができる。開館は0900-1800(入場券販売終了は1700)、毎月第3月曜日休館。入場料10,000ウォン。
(2) 休館日はゲートが閉じられるため、外周展示機の撮影はできない。
(3)バスを利用する場合は済州バスターミナル/空港/오설록オスロックを結ぶNo.151バスに乗車する。運行間隔は40~60分程度、所要時間は70分程度だ。オスロックは「お茶博物館」で有名だが、バス停は小さなもの。下車するとお茶畑のはるか向こうに航空宇宙博物館が見える。歩き出す前に反対側に渡り、帰りのバスの時間を確認しておこう。経由地のため、通過時刻は多少前後するが、おおむね1526, 1611, 1636, 1706, 1746ごろ。(2025年4月時点)
(4) 博物館内は外光を多く取り入れられるようになっているが、着色ガラスのために機体の色が若干変色する。日陰側とのコントラストが強く、イロイロな意味で写真を撮りづらい。
(5) 屋外展示機は博物館の建物から離れるほど低くなる緩い坂に展示されており、カメラを水平にして撮影すると”そこそこに傾いた絵”となる。機体毎に傾き方がいくらか異なるので、「こうしなさい」という”正解”はないけれど、適宜カメラを傾けて撮影したほうがよいと思う。写真1で紹介したファントムが並んだショットは、カメラを水平にして撮影すると機体左後ろ側(画面の右側)が沈んでしまうので、左側が低くなるように約2.5度傾けてみたものだ。背景に「垂直なもの」が無い場合には、思い切ってカメラを傾けても、それほど違和感は無いと思う。
(5) 何でこんな所に作ったかねぇ?と思うような場所にあり、見学者は比較的少ない。
(6) やろうと思えば、週末だけの弾丸ツアーで訪問することが可能だ。
【屋外展示機】
(1) F-4D (50-582)
展示当初はオリジナル塗装(に近い塗装)だったが、2010年代にブラックイーグルス風塗装となった。それも訪問時には褪色して、機体全体が白っぽくなっていた。


写真3-1, 3-2 F-4Dの塗装の変遷。(3-1: 2016年3月26日、3-2: 2025年6月25日撮影)
(2) F-4E (80514, 68-0514, cn.3706, 33.3031N / 126.2993E)
垂直尾翼のS/Nはほとんど読めなくなっていた。前脚柱の油圧が完全に抜けているので、何か違う機体のように見える。前述した通り、緩い坂に左後ろが下がる形で置かれているので、補正するために脚柱を短くしたのだろうか?

写真4 F-4E(その1)。(2025年6月25日15時30分ごろ撮影)
(3) F-4E (80358, 68-0358, cn.3421, 33.3032N / 126.2995E)
2機並べてあるF-4Eの2番機。こちらも垂直尾翼のS/Nはほとんど読めなくなっていた。そろそろ再塗装されることだろう。

写真5 F-4E(その2)。(2025年6月25日17時ごろ撮影)
(4) RF-4C (60-429)
展示当初は韓国内初のRF-4C展示機だったが、現在では数か所に展示されている。機首下面にはプリズム型の張り出しがあるのが特徴。


写真6-1, 6-2 RF-4Cの機首下面。右から二番目のカメラ窓がプリズム型となっている。航空自衛隊のRF-4Eとは外見上で最も異なる部分だ。(2025年6月25日16時ごろ撮影)
(5) F-86D (28-445)
ロケット弾ポッドを見せるでなく、尾翼にマークを書き込むこともなく、コレと言った特徴の無いフツーのF-86Dですね。胴体にはハングルで「大韓民国空軍」と描かれている。かつてソウルの顕忠院で展示されていた機体とのことだが、当館での展示に際して翼下の増槽タンクは外されている。
【ソウル】国立ソウル顕忠院(撤去済、記録) - 用廃機ハンターが行く!

写真7 コレといった特徴の無いF-86D。(2025年6月25日16時ごろ撮影)
(6) F-86F (50-582)
胴体にはハングルで「大韓民国空軍」と描かれている。

写真8 F-86Dのコクピット見学用台座の上から撮影したF-86F。(2025年6月25日16時ごろ撮影)
(7) C-54E-1-DO (44-9047, cn.27273)
垂直尾翼には"D-72740"と描かれているが、これは偽番号。コクピット後方には「C54-E, AAF44-9047」と打刻された錆びだらけの銘板が残る。以前はソウル城南基地に置かれていた迷彩機だ。


写真9-1, 9-2 晴れた日の午前中のショットと錆びだらけの銘板。(2016年3月26日10時30分ごろ、2025年6月24日9時30分ごろ撮影)
(8) C-123K (54-509 / AF55-4509, MSN20170)
機内の銘板には「C-123B MSN.20170, S/N 54-509」(一部表記を省略)と残る。元ベトナム空軍機で韓国空軍に引き渡された後の1998年に引退した。


写真10-1, 10-2(2025年6月24日9時45分ごろ撮影)
(9) T-28A (17816)

写真11 (2016年3月26日11時00分ごろ撮影)
(10) O-1G (12255)
主翼両端の上面にピーンとアンテナを立てている。このアンテナの先端までを画面にいれて機体を撮ると間の抜けた絵になることが多い。撮影時には適当なところでアンテナを切って、機体を引き立てる構図も考えてみよう。

写真12 (2025年6月25日15時30分ごろ撮影)
(11) A-37B (96-433)
FOD防止用のカバーは外されていた。

写真13 A-37Bの後ろに見えるのはUH-1B。2025年訪問時には迷彩ながらもオモチャっぽい塗装になっていた。(2016年3月26日11時30分ごろ撮影)
(12) UH-1B (38-560)
機内(キャビン部)に搭乗できるよう、機体右側ドアは開けている。計器盤にラジオコールは確認できず、また銘板も見つけられなかった。

写真14 (2025年6月25日15時30分ごろ撮影)
(13) Republic RC-3 SeeBee (HL0825)

写真15 民間小型飛行艇RC-3。(2025年6月24日15時30分ごろ撮影)
【屋内展示機】
<1階床上展示>
(1) TF-51D (030/K, Original S/N ?, cn.? )
1990年代半ばごろまではソウル市内の反共会館(現ジェイグリーンハウス)に展示され、その後は務安のホダム航空宇宙展示場(現ミリタリーテーマパーク)に置かれていた機体。S/Nやcn.は判明していない。複座型のキャノピーは修復されて形状が変わっている(これを"修復”というのだろうか?)。

写真16 済州航空宇宙博物館のTF-51D。紫外線防止の着色ガラスのため、カラーバランスが酷いことになっている。(2016年3月26日撮影)
(2) F-86F (24-759)

写真17 (2025年6月24日12時30分ごろ撮影)
(3) F-5A (68-151)

写真18 (2025年6月24日15時30分ごろ撮影)
(4) F-5E
外皮を剥ぎ取ったスケルトン仕様で展示されている。機首のRWRの取付部分などは個人的には興味のあるところ。開館当初は反対側を向けていたが、2016年訪問後に180度回頭して、現在のようになっている。また開館当初は機銃口前の発射ガス拡散用デフレクターも立てていたのだが、こちらは2016年訪問時には閉じられていた。このデフレクターを立てた状態で展示しているのは、ベトナムHCM市の統一会堂に展示されているF-5Aくらいだろう。


写真19-1, 19-2 スケルトン仕様で展示されているF-5E。 (2025年6月24日13時30分ごろ撮影)
(5) F-4D

写真20 (2025年6月24日14時45分ごろ撮影)
(6) T-37C (66-0903)
子供の記念撮影用としてT-37CにBlack Eagle塗装を施し、射出座席の上にさらに台座を設けて、子供が座るとコクピット上に顔が出るようにしてある。また、見ての通り、キャノピーは取り外してある。

写真21 Black Eagles塗装を施した”お子様記念撮影”用のT-37C。 (2025年6月24日13時15分ごろ撮影)
(7) MiG-19 (JZ-6, 3283)
1986年2月21日に中国から飛来した亡命機だが、何故か北朝鮮マークを描いている。当博物館に搬入される以前には晋州の空軍航空科学高校に保管されていたが、その当時から「こうなっていた」といわれている。
・本Blogでの関連記事;
【特集】行こう、逝こう!韓国へ!!(亡命機一覧) - 用廃機ハンターが行く!

写真22 (2025年6月24日15時30分ごろ撮影)
(8) マーフィー・レネゲード(Murphy Renegade, N1210)
カナダのハンググライダー設計者Darryl Murphyさんが、(航空機事故とは関係なく)4か月入院している際に発想を得て、開発した単座の超軽量機を複座型にしたもの。Murphy Aviationという会社を造り、2011年までに590機を販売したそうな。なおカナダではウルトラライトのカテゴリーだけど、アメリカではエクスペリメンタル・アマチュア・ビルトのカテゴリーで登録されているのだそうな(Wikipedia英語版より)。

写真23 エントランスホールに置かれているホームビルトの複座機。(2025年6月24日15時30分ごろ撮影)
(9)ゼニスSTOL CH-701

写真24 (2025年6月24日13時30分ごろ撮影)
(10) ライトフライヤー(レプリカ)

写真25 (2025年6月24日12時00分ごろ撮影)
<館内吊下展示>
(1) F-5A (21180 / FA-180)
当館が開館した2014年には、この銀色塗装で展示されたF-5Aは本機だけだったが、2020年前後にソウルの戦争記念館展示機も同様な塗装(ただしメタリックシルバー塗装)となった。

写真26 (2025年6月24日15時ごろ撮影)
(2) F-5B

写真27 (2025年6月24日14時30分ごろ撮影)
(3) RF-5A (10278)
韓国空軍では偵察機RF-5Aを8機調達し、さらにタイに脱出した元南ベトナム空軍機1機を加えた合計9機を運用していた。展示機の機首のカメラ部はよく見えるが、 展示位置はガラス壁面に近く、順光側は見上げる位置でしか撮影できない。

写真28 機首にカメラ窓があるRF-5A。(2025年6月24日15時20分ごろ撮影)
(4) T-6G

写真29 (2025年6月24日14時10分ごろ撮影)
(5) T-41B (15069, 67-15069, cn.R1720070)
韓国空軍は1973年に18機のT-41Bを導入して飛行訓練に使用した。その後、9機を追加購入し、合計27機を2006年11月まで、無事故で運用したという。


写真30-1, 30-2 (2025年6月24日12時50分~13時40分ごろ撮影)
(6) T-28A

写真31 (2025年6月24日13時00分ごろ撮影)
(7) T-33A

写真32 (年月日時分ごろ撮影)
(8) A-37B (797)
元Black Eagles所属機だが、展示された当初から右側排気口のスモークパイプは外されていた。またFOD防止柵も外されていた。

写真33 元Black Eagles所属機A-37B。(2025年6月24日15時ごろ撮影)
(9) T-37C
写真34 (年月日時分ごろ撮影)
(10) T-59 Hawk

写真35 韓国空軍での使用期間は短かったHawk T-59。(2016年3月26日撮影)
(11) O-1G (12786)

写真36 (2025年6月24日12時40分ごろ撮影)
(12) 復活号(レプリカ)

写真37 済州航空宇宙博物館の復活号。(2016年3月26日14時40分ごろ撮影)
(13) パズマニーPL-2 (HL-1074)
HLで始まる民間機登録記号を有するが韓国空軍機だ。

写真38 (2025年6月24日撮影)
(14) ミュドリCAP10B (HL1503, cn.281)
HLで始まる民間機登録記号を有するが韓国空軍機だ。韓国空軍士官学校の実習機として2機が購入されたが、実は特殊任務部隊の訓練に使われていたという話が残る。

写真39 (2025年6月24日撮影)
(15) Let. L-23 "Super Blanik" (910622)
博物館内唯一のグライダー展示機。

写真40 (2025年6月24日撮影)
【その他】
済州島に行ったらなら、次の場所も訪問してみよう。
(1) 耽羅自由会館:F-86Fがある市内の施設。70~100ミリ程度の中望遠レンズがあれば、開館時間の前後であっても外周から撮影可能。
【済州島】耽羅自由会館(統一館)のF-86F - 用廃機ハンターが行く!
(2) 済州国際大学:構内にF-5Eが置かれている。済州バスターミナルから1.5~2時間程度で往復し、撮影することができる。
【済州島】済州国際大学のF-5E - 用廃機ハンターが行く!
【余談】
(1) 東京からは金曜深夜(早朝)発のLCCで仁川に行き、金浦空港から済州島に飛び、現地を見学。夕刻の便で金浦空港に戻り、仁川を深夜に発つ便で東京に戻る(日曜日は骨休め)という弾丸ツアーが可能。時期を選べば、ソウル往復が約3~4万円、金浦-済州島往復が1.5万円、国内移動費を含めて約5~6万円程度だ。弾丸旅行を繰り返して経験値を積み重ねるのも良いが、ADEXソウルエアショーや烏山エアパワーディなどの訪問と合わせるなど、ジックリ訪問計画を立てて、コスパ良く訪問しよう。
<弾丸格安旅行(0泊3日)の旅程例(2025年4月時点)>
羽田発0210-(Peach深夜便)-0440仁川国際空港着ー(深夜バスで移動約40分)-松亭駅(ソンジョン、金浦空港の隣の駅)-(深夜バスか徒歩約15分)ー金浦空港0710-0830済州国際空港0910-(バス70分、徒歩20分)-1040博物館(4時間20分)1500-(徒歩20分、バス70分)-1740済州国際空港1835-1950金浦空港-(空港鉄道30分)-2045仁川国際空港2235-(Peach深夜便)-0055羽田空港(ベンチで仮眠)-帰宅
(2) 弾丸旅行を考えていたところ、成田から清州経由便で往復2.5万円というチケットを見つけた。往路は清州で6時間ほどの乗換時間があるが、これなら清州の展示機も訪問できる。これに決めた!結果として往路は清州ランド(撤去済)、清州芸術大展示機を訪問。復路はターミナルからF-35A/F-15K/F-5E/FA-50の離着陸をボ~と眺めながら約4時間を過ごし、戻ってきました。(2025年6月28日記)
以上