用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

【山口県】海自 小月航空基地の展示機

<編集履歴> 07May.2021公開、04Oct.2022見直し更新(第4回目、余談その2追加)

 

<場所 Place> 〒750-1124 山口県下関市松屋本町3-2-1

海上自衛隊小月航空基地

<座標 Location>  34.0483N, 131.0568E 

<訪問日Visit> 24Jul.2010, 17Oct.2010, 30Oct.2022ほか

<行き方 Access> 

(1) JR山陽本線小月駅より宇部中央行あるいは小野田行のサンデン交通バスに乗車して約8分、松屋で下車して徒歩約4分。1時間に1本程度頻度でバスが運行されているが2021年4月時点では午前9時台には運行されていない。なお小月駅からは道なりに約4㎞、徒歩約50分だ。

(2) JR山陽本線埴生駅より道なりに約3.4km、徒歩約45分。

<解説General>

(1) 海上自衛隊パイロット養成基地で第201教育航空隊に練習機T-5が配備されている。用廃展示機は屋外に4機、搭乗員教育史料講堂に1機の合計5機がある。例年7月末頃に小規模な基地公開を行い、10月頃に「スウェルフェスタ」と称する航空祭を開催している(2020年度と2021年度はコロナのために中止)。廃棄物置き場に用廃となったT-5が置かれていることもある。

(2) 2022年10月30日に開催されたスウェルフェスタでは用廃機展示場所は一般公開されなかったが、4機の屋外展示機は残されていることを確認してきた。これらの用廃機を撮影するために現地に行く人は私以外には居ないと思うが、気になる方は事前に確認してから訪問しよう。

(3) 小月方面からバスで行く場合には「松屋」の次が「小月基地前」のバス停となる。正門はその中間点付近にあり、Goole Mapで測ったところ数十メートル程度「松屋」の方が近い。

【展示機 Displayed aircrafts】

1. SNJ-5 (6164) 米軍からSNJ-5とSNJ-6を合わせて52機が海上自衛隊に供与され使われたが、現存するのは6機。ほぼ同じ形状の航空自衛隊のT-6練習機が全国に17機程度残されているので、「どこかで見た黄色いプロペラ機」として馴染み深いのではないだろうか。

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写真1 やや色あせたSNJ-5。展示機は時々塗り直されている。(2010年10月17日撮影)

 

2. T-34A (9005) 陸海空三自衛隊で使用された練習・連絡機。海上自衛隊機では最大20機程度が運用されていたが、残っているのは本機(9005号機)と鹿屋の9006号機のみ。

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写真2-1 国内に2機が残る”海上自衛隊のT-34A”の1機。(2010年10月17日撮影)

 

写真2-2 2022年公開時には近寄ることができなかったが、機体が存在していることを確認できた。(2022年10月30日撮影)

 

3. T-5 (6334) 1989年から運用されている現行の初等練習機。2015年3月までに66機が調達され生産を終了した。2022年10月末時点では納入された機体のほぼ半数程度(36号機あたりまで)が用廃となっている。用廃後に展示された機体はこの6334号機のみで、2015年10月から展示されている。Flyteamさんへの投稿写真を見ると2018年10月21日の公開時には通常塗装であったが、2019年10月20日の公開時には明治維新150周年記念祭のスペシャルマーキングを施されていた。具体的には機首に「明治維新150周年 やまぐち幕末ISHIN祭」の文字を描き、日の丸部分を「2018 明治150年」の記念のエンブレムとしたうえで垂直尾翼高杉晋作のキャラクターを描いている。この塗装は2018年10月21日のスウェルフェスタ当日には6341号機に施されてエプロンで展示されていたものだが、スウェルフェスタ終了後に同じパターンを恒久的な展示機である本機(6334号機)にも施したのだろう(したがって2019年10月20日が6334号機特別塗装の一般初公開となる)。この特別塗装は2022年10月公開時にも残されていたが、展示機エリアが一般公開されなかったため、間近に確認することはできなかった。

写真3-1, 3-2 特別塗装を施された用廃展示機6334号機。コロナ明けの2022年10月に開催されたスウェルフェスタでは展示機エリアは公開されておらず、仕方なく基地内道路から望遠で機体を狙った。(2022年10月30日撮影)

  

5. KM-2 (6292) SNJ/T-34に続く世代の練習機、現用のT-5の前の世代の練習機。1998年3月に引退したあと、しばらくは基地内に数機が残されており、基地公開時に観客を乗せてエプロンをトーイングするなどアトラクション用として使われていた。本機は小月基地の屋外展示としては二代目のKM-2だ。

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写真3 屋外に展示されているKM-2。(2010年7月24日撮影)

 

5. KM-2 (6293) 搭乗員教育史料講堂にも一機のKM-2が展示されている。引退後の航空祭(1997年5月24日)では花電車ならぬ「花飛行機」として観客を乗せて会場をトーイングされていた機体だ。元は陸上自衛隊のTL-1初号機(81001)だった機体で、TL-1の運用中止によりTL-1の2号機(81002、後の海上自衛隊6294)と共に海上自衛隊に移管されたもの。”IRAN記録の銘板”には「TL-1 81001」の打刻が残る(注:空自と陸自では定期点検修理をIRANと称し、海自ではPARと称する。厳密には意味合いも異なっているのだが、それについては略す。とにかく"IRAN記録の銘板"自体が海自には存在しないのだな)。

写真4 搭乗員教育史料講堂内のKM-2。その脇にはT-5(6316号機)の垂直尾翼も置かれている。(2022年10月30日撮影)

  

【展示後撤去された機体】

1. KM-2 (6282) KM-2の初代屋外展示機で1993年7月に展示が確認されている。1999年10月の公開時にはプロペラや翼端が取り外された状態になっていた。その後、現在の6292号機と交換された。

 

【余談】

 2018年10月に第201教育航空隊の操縦教官たちによる特別曲技飛行チーム「ホワイトアローズ」が発足した。そのルーツは1990年代後半から操縦学生教育のための教官技量の向上を主目的として立上げた技術研究班に始まり、「ブランエール(仏語で“白い翼”)」や「ルーキー・フライト(第201教育航空隊のコールサインが“ルーキー”)」と名称を変えて小月基地航空祭等で演技を披露してきた。航空自衛隊ブルーインパルスほどの速さ・音量・機動性は無いが、編隊維持・隊型変換など、ほど良くまとめてあると思う。

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写真5 この写真を撮影した当時は「ブランエール」だったかな?ほど良くまとめられた演技だった。(2010年10月17日撮影)

 

【余談その2】

 訪問から1年後の2023年10月1日にスウェルフェスタ2023が開催された。この時は木更津航空祭に行っていたので訪問していないが、用廃機群は見ることができたのだろうか?Xへの投稿を調べてみたが、用廃機の様子を投稿された方はいないようだった。そこで10月3日になってからX上で「質問!用廃機ぐんは見られましたか?」という主旨の発言をしてみたのだが、今のところ反応はない。質問の仕方がマズかったということもあるだろうが、それでも「意を汲んでくれる方」も現れないことを見ると、用廃機群を見に行く人もいなかったのではないかと思う次第。用廃機群を見ることができるかどうかは広報に直接確認してから訪問計画をたてるしかないかなぁ、基地見学枠で訪問するしかないかなぁなどと思っている。あくまで趣味なので個別対応の基地見学より見学できるときに訪問した方が良いかとは思っちゃいるのだが、「見学できるとき」が無いならしょうがないかねぇ。(2023年10月4日記)

以上